徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

2008年11月の記録

2008-11-30 | 美術(Index)
2008年11月の記録
展覧会
  • 1日 大琳派展-継承と変奏-(第四期)東京国立博物館
  • 1日 ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情 @国立西洋美術館
  • 1日 百寿をこえて - 奥村土牛・小倉遊亀・片岡球子 @山種美術館
     奥村土牛の作品展だった。
  • 2日 速水御舟展 @平塚美術館
     初期の農村風景を描いていた頃は天才的だった。山種の重文2点以降はやはり写実のみであまり面白くない。 
  • 3日 古渡り更紗 @五島美術館 
     
  • 7日 大琳派展-継承と変奏-(第五期)東京国立博物館
     結局三回通った。第五期に新規にお目見えの作品にやはり目が行った。
  • 8日 岩崎家の古伊万里-華麗なる色絵磁器の世界- @静嘉堂文庫美術館
  • 8日 日本の書跡 かな古筆と近世雅人の書 @泉屋博古館分館
     寸松庵色紙(伝紀貫之)
     石山切(藤原定信)〔重要美術品〕
     熊野懐紙(藤原定家)
     佐竹本三十六歌仙絵切 源信明(伝藤原良経)〔重要文化財〕
     上畳本三十六歌仙絵切 藤原兼輔(伝藤原為家)〔重要文化財〕
    佐竹本三十六歌仙絵切の断簡の際の値段と所蔵先を書いた添え状も展示。これは面白い。
  • 8日 インドネシア更紗のすべて @大倉集古館
  • 8日 茶人のまなざし 森川如春庵の世界(後期)@三井記念美術館
     紫式部日記絵詞断簡(旧森川家本 三段目) ついに拝見しました。三井記念美術館は鈍翁が森川如春庵から無理やり手に入れたこの断簡を、源氏物語千年の十一月一日に(東京国立博物館から借りだして)三井記念美術館に展示したかった。そのための企画のような気もしてきましたが、それはさておき、この三段目、とても判りやすく自然と心休まる断簡で大変魅力的だった。思わず見とれた。
  • 8日 千家十職 釜師 十六代 大西 清右衛門 展 ─襲名十五周年を記念して─
     2008年11月4日から10日
     @日本橋三越本店 6階美術画廊
     十六代 大西 清右衛門。昭和36年生まれ。十六代 清右衛門を襲名後、千家十職の釜師として代々の伝統を受け継ぐ。本展では、各御家元御好の釜を中心に水指・花入・蓋置・火箸など新作約60点を出品。
    花瓶は、百万はしないが、お釜は制作に手間がかかるためか、いいお値段。

  • 14日 国貞・国芳・広重とその時代 -幕末歌川派の栄華-(後期) @太田記念美術館
  • 15日 池口史子展 静寂の次 @渋谷区立松濤美術館
     池口 史子(ちかこ)《ワイン色のセーター》2002~2003年 など
     渋谷区在住。堺屋太一夫人とは初めて知った。
  • 15日 『青磁と染付展―青・蒼・碧―』 @戸栗美術館
     古伊万里の染付に目を見張る。
  • 15日 開館30周年記念特別展 「近世初期風俗画 躍動と快楽」@たばこと塩の博物館
    重文 洛中洛外図(歴博D本)
     観能図(神戸市立博物館蔵)
     遊楽人物図屏風(細見美術館)
     江戸名所遊楽図(細見美術館)
    などを拝見。洛中洛外図(歴博D本)は楽しめた。前期を見逃したが残念。18日から30日は展示替えで洛中洛外図(歴博甲本)が出展される。もう一度行きたい。
  • 15日 数寄者 益田鈍翁―心づくしの茶人(後期) @畠山記念館
  • 15日 やきものに親しむVI 陶磁の東西交流 ―景徳鎮・柿右衛門・古伊万里からデルフト・マイセン― @出光美術館

  • 22日 殉教者とその時代展 @日本二十六聖人記念館
  • 22日 バチカンの至宝とキリシタン文化 ローマ・長崎 信仰の証― @長崎歴史文化博物館
  • 22日 彫刻家 舟越保武 -かたちに込める祈り‐ @長崎県美術館
  • 23日 中国清代の茶道具展 北京故宮博物院提供 @中国歴代博物館(長崎孔子廟)
  • 23日 孔子廟・中国歴代博物館所蔵品展 @中国歴代博物館(長崎孔子廟)

  • 29日 没後40年 レオナール・フジタ展 @上野の森美術館
  • 30日 平常展 東京国立博物館
     企画展示  特集陳列「装飾料紙と鑑賞料紙」
      国宝 古今和歌集(元永本)
      重文 松浦宮物語
      など
     浮世絵 忠臣蔵特集。葛飾北斎、歌川国芳の仮名手本忠臣蔵のシリーズに仮名手本忠臣蔵の見立て絵。
      七段目は、由良之助は仇討ちを忘れてしまったかのように祇園で放蕩に明け暮れる場面。
      歓々楼遊興 鳥居清長筆 A-10569-798,799,800
    由良之助一力にて遊興の図 窪俊満筆 A-10569-341,342 の2図は目隠しをする由良之助
    忠臣蔵七段目 礒田湖龍斎筆 A-10569-3620 は、由良之助は密書を読むが、お軽と縁の下に隠れていた九太夫に盗み見されてしまう。ところを描く
  • 30日 開館30周年記念特別展 「近世初期風俗画 躍動と快楽」@たばこと塩の博物館
    重文 洛中洛外図(歴博甲本); 鴨川西側のみが描かれているのでしょうか。


    テレビ
  • 15日 「須賀敦子 静かなる魂の旅 最終話 ローマからナポリの果てに」BS-5
    http://www.bs-asahi.co.jp/italy_03/staff.html
     須賀敦子さんは、自由と孤独を愛した人だと感じた。林和靖か陶淵明か。

  • 16日 NHKハイビジョン特集「西本願寺~桃山の美と王朝の雅(みやび)~」(再放送)
     西本願寺のお宝はめったに公開されることはない、ましてや、書院の内部など。渡辺了慶による白書院の障壁画。欄間もすばらしい、黒書院の障壁画は狩野探幽など。黒書院は、創建当時は白黒のモノトーンのシックな風情だったのではと思える。白書院、黒書院とも良如が造営した。良如は、桂離宮を造営したことで有名な八条宮智仁親王とも親交があったようで、八条宮智仁親王のサロンを描いた巻物が一瞬映った。本阿弥光悦・池坊専好・狩野探幽が控えていた。飛雲閣(飛雲閣は、金閣&銀閣と共に、京都三名閣だそうだ)の2層の板戸に三十六歌仙が描かれていた。そして、最後にお待ちかねの三十六人家集。花鳥虫などの下絵の描かれた料紙の映像が美しい。1549年に証如証人が下賜された宝物(証如証人には広沢切、栄花物語40巻なども下賜された)。国宝「熊野懐紙(かいし)」、石山戦争和睦の際信長から贈られた「一文字茶碗」なども紹介された。2011(平成23)年4月から2012(平成24)年1月まで、親鸞聖人750回大遠忌が執り行われるとのこと。そのために御影堂は、現在「寛政の大修復」寛政12年(1800年)以来2回目の「平成大修復」(1999年 - 2008年12月)を行っている。 
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    没後40年 レオナール・フジタ展 

    2008-11-28 | 絵画
    没後40年 レオナール・フジタ展 
    2008年11月15日から2009年1月19日
    上野の森美術館

    藤田嗣治(1886~1968)の幻の群像大作4点が呼び物のレオナール・フジタ展を訪れた。

    第一章 スタイルの確立
     ゴーギャン風の作品、ルソー風の風景が並ぶ。そして乳白色の世界。国内の美術館から作品が並ぶが、2006年の東近美の展覧会(こちら)では見ていない作品が並んでいたような気がした。

    第二章 群像表現への挑戦
     
    「ライオンのいる構図」「犬のいる構図」「争闘I」「争闘II」と「馬とライオン」が並ぶ。男性と女性で肌の色合いが違う。女性は乳白色だ。男性はすこし肌色がかっている。北斎漫画のように思えてきたが、でもやはり挑戦といったできばえ。

    第三章 ラ・メゾン=アトリエ・フジタ
    エソンヌ県の小村ヴィリエ=ル=バクルにあるラ・メゾン=アトリエ・フジタの内部を再現。

    第四章 シャペル・フジタ
    ランス「平和の聖母礼拝堂」のデッサンなどが多数並ぶ。
    パリ市立近代美術館蔵の「黙示録」「キリスト降誕」などに再会。
    「花の洗礼」1959年(パリ市立近代美術館蔵)
    「イブ」1959年(ウッドワン美術館)(初見か、今回一番の作品)
    など甘く優美な女性を見ると藤田嗣治(1886-1968)展ではなく、レオナール・フジタ展。

    上野の森美術館のスペースからいってあまり期待はしていなかったのだが、やはり、第3章、第4章で満足。もうすこしで、つい、小箱や空缶などGOODSまで購入しそうになりました。
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    長崎 旧外国人居留地、出島

    2008-11-23 | 歴史
    長崎 旧外国人居留地、出島

    長崎の旧外国人居留地、出島を旅する。長崎4回目にして初めて。はじめの2回は卓袱を食べただけの訪問だった。

    大浦
  • 旧香港上海銀行長崎支店記念館
    NYKラインによる長崎ー上海のほうが長崎ー東京より時間的には近かったという戦前の事実。NYKラインは豪華だった。ちょっと感慨深い。

    南山手
  • 「聖コルベ館」(聖コルベ記念室) 旅する長崎学の説明
     聖コルベ神父(1984-1941、1982列聖)(WIKI)が昭和5年に仮の修道院と印
    刷所を構えたところ。暖炉跡(長崎県指定文化財)が残る。聖コルベ神父のアウシュビッツでの話を知って涙する。
  • 国宝 大浦天主堂(1864年建築)
     正式名称は「日本二十六聖殉教者天主堂」
     プチジャン神父の協力を得て、ジラール、フューレ両神父の設計図による。
     『信徒発見のマリア像』を見る。信徒発見は1865年3月17日。
     キリシタン資料室のド・ロ 神父の木版画は、背の丈ほどもあった。
  • グラバー園 http://www.glover-garden.jp/
     旧三菱第2ドックハウス 、旧長崎地方裁判所長官舎、旧長崎地方裁判所長官舎、旧リンガー住宅、旧オルト住宅、旧スチイル記念学校、旧自由亭、旧グラバー住宅(1863年建築のあと増築を重ねたらしい、昭和32年(1957)三菱重工業株式会社長崎造船所より旧グラバー住宅及び庭園の寄贈を受け、一般公開を行なったのがグラバー園のはじまり。)高島炭鉱が、グラバー商会と佐賀藩との間で始められた。グラバーは、日本初の蒸気機関車「アイアン・デューク(鉄の公爵)」を現在の市民病院から大浦川附近まで約400mに及ぶ線路を敷設し国産の石炭を燃料に公開運転を行った。グラバーが三菱の傘下にはいったのはグラバー商会が倒産したのち、1881(明治14)年三菱商会が高島炭鉱を買い上げてから。キリンビールの前身もグラバー氏が立ち上げる。

     霧笛の長崎居留地―ウォーカー兄弟と海運日本の黎明 (長崎新聞新書) (新書) ブライアン バークガフニ (著)を購入。
    霧笛の長崎居留地―ウォーカー兄弟と海運日本の黎明 (長崎新聞新書)
    ブライアン バークガフニ
    長崎新聞社

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    東山手
  • 孔子廟
     孔子廟自体は台湾でもいったのでなんということはないが、付設の長崎孔子廟中国歴代博物館の展示がよかった。北京故宮宮廷文物展の展示。今回は清朝の陶磁器が展示されていた。優美。
     http://www4.cncm.ne.jp/~rekidai-museum/hakubutukan/index.htmlに展示品のPDFがある。
  • 東山手十二番館 (旅する長崎学
     活水学院など明治はじめのキリスト教教育について展示あり。
  • オランダ坂

    出島
  • 出島和蘭商館跡 http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/dejima/
     復元中、西側10棟が公開中。順路どおりに進むと出島通になれる。幕府の貿易統制の仕方。オランダがナポレオンに占領され、蘭領インドネシアも占領されたとき、オランダ国旗が翻っていたのは世界中で出島だけだったという史実(日本は極東のアジールか)など、興味深かった。
     「出島のプリントウェア」展が開催されていた。
    (11月23日)
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    長崎・信仰の遺産

    2008-11-22 | 美術
    長崎・信仰の遺産

    2008年11月24日、江戸時代初期に殉教した「ペトロ岐部と187殉教者」の列福式がローマ教皇庁の主催により、日本国内で初めて、長崎市において行われる。この列福式にあわせて、長崎歴史文化博物館、日本二十六聖人記念館、長崎県美術館において「長崎・信仰の遺産」をテーマに特別企画展を開催された。これらを拝見しに長崎を訪れた。

    殉教者とその時代展 @日本二十六聖人記念館(2008/11/1から2009/1/12まで)
     フランシスコ・ザビエル自筆書簡、中浦ジュリアン自筆書簡、高山右近書状(上智大学キリシタン文庫)、大友宗麟朱印状(上智大学キリシタン文庫)、マカオから里帰りした188殉教者遺物なども展示されていた。
     結城了悟師は、2008年11月17日死去された。列福式に立ち会えず残念だっただろう。

    バチカンの至宝とキリシタン文化 ローマ・長崎 信仰の証― @長崎歴史文化博物館(2008/11/1から2009/1/12まで)

    バチカンからは
  • 聖母子像 フラ・アンジェリコ 1435年、バチカン美術館蔵;小品だが優美。
  • 聖母子像 サッソフェラート バチカン美術館蔵
    など

  • 大村純忠が出したイエズス会への茂木・長崎の寄進状(イエズス会文書館蔵);びっくり。日本の領地を教会に寄進するとは。やはりナショナリズムなどは最近の思想のようで。
  • 元和5年 長崎大殉教図(ローマ・ジェズ教会)
  • 元和8年 長崎大殉教図(ローマ・ジェズ教会)
  • 日本イエズス会士殉教図(ローマ・ジェズ教会)

  • 南蛮屏風 神戸市立美術館(12/15まで)
  • 泰西王侯図屏風(左隻のみ)(12/15まで)
  • マリア十五玄義図 京都大学総合博物館蔵(原本は、見損ねた)
  • 親指のマリア 東京国立博物館(模本)
    など。

    彫刻家 舟越保武 -かたちに込める祈り‐@長崎県美術館(2008年10月3日~11月27日)

    《長崎26殉教者記念像》で知られる舟越保武の彫刻約41点、素描約33点などがならぶ。作者の言葉で展示解説してあった。

    《原の城》 1971年 ブロンズ 長崎県美術館蔵
    《ダミアン神父》 1975年 ブロンズ 世田谷美術館蔵
    《聖クララ》1981年 砂岩(諫早石) 岩手県立美術館蔵
    など。
     諫早石の質感が聖女に相応しい。
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    岩崎家の古伊万里 -華麗なる色絵磁器の世界-

    2008-11-08 | 陶磁器
    岩崎家の古伊万里 -華麗なる色絵磁器の世界-
    2008年10月4日から12月7日
    静嘉堂文庫美術館

    静嘉堂の伊万里焼コレクションは、金襴手のうち、国内の富裕層向けに製作された皿や鉢類-「型物」「献上手」と呼ばれる作品

    が、幅広く揃うことで知られている。と、ちらしには掲載されている。単なる古伊万里の展覧会と思って訪れた。古伊万里のイ

    メージが大きく変わった。

    岩崎家の古伊万里のコレクションの基礎は、お雇い外国人フランシス・ブリンクリー(海軍省が雇用)のコレクションを一括購

    入し、深川の清澄園に納められたもの。西洋邸宅の陳列室を飾るべく購入されたということになる。今回の展示でも23点がフラ

    ンシス・ブリンクリーの旧蔵品。すなわち西洋人による審美眼にもとづくもの。そのコレクションについて、奥田誠一が調査依

    頼を受け、大正十二年に小冊子にまとめているという。鑑賞陶器という奥田誠一を中心とする活動の発端になったのではないか

    と図録には記事がある。

    いちいちすべてを挙げないが、金襴手の文様のバラエティの多さには圧倒される。特に目に留まったのは
    3:色絵円窓文樽形瓶(古九谷様式);緻密な網目模様にまず目がいく。色合い発色が素晴らしい。
    22:色絵団龍文蓋物(柿右衛門様式)
    23:色絵孔雀牡丹文輪違透小鉢(柿右衛門様式)
    30:青磁龍耳広口瓶(鍋島);青磁の色合いが素晴らしい。
    35:色絵邸宅雲龍寿字文端反鉢(金襴手)
    36:色絵鳳凰花卉文八角鉢(金襴手)
    67:色絵庭園人物山水花卉文十六角鉢(金襴手)
    68:色絵庭園花鳥丸文十六角鉢(金襴手)

    清澄園という西洋邸宅の陳列室を飾るに相応しい陶器だったろう。

    お勧めの展覧会。
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