徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

五姓田のすべて -近代絵画への架け橋-

2008-08-30 | 絵画
神奈川開港・開国150周年メモリアルイベント
横浜開港150周年記念 「五姓田のすべて -近代絵画への架け橋-」
2008年8月9日~8月31日[前期]9月6日~9月28日[後期]
神奈川県立歴史博物館

五姓田(ごせだ)派の全貌を紹介する初めての展覧会という。

五姓田芳柳(1827-1892): 肖像画専門の職業絵師だったようだ。軸装の肖像画が多数展示されていた。単彩で非常にリアルに写真のように描かれている。写真から起こした軸装の肖像画も展示されていた。写真では小さすぎるので、やはり軸装にして床の間に飾ったのだろう。
さらに洋装の明治天皇の肖像(明治7(1874)年、東京藝術大学)まで描いている。明治天皇の肖像の肖像と言えば、キヨッソーネかと思っていたが、五姓田芳柳も描いていた。
・新潟萬代橋図 絹本着色 明治21(1888)年 新潟市歴史博物館
・孟母断機図 絹本着色 明治22(1889)年 横浜美術館(速水ひろ江氏寄贈)
など肖像画以外も描いたようだ。

五姓田芳柳は、英国人報道記者チャールズ・ワーグマン(1831-1891)のもとに、息子義松を入門させたという。横浜では報道記者に職業絵師が技術を習ったということになるが、写真の普及していなかった時代は、浮世絵もジャーナリズムだし、いずれの国のジャーナリストにも絵心があったようだ。

五姓田義松(1855-1915):幼い時から技量があったようだが、明治13年に渡仏。パリ留学時代の
・操芝居 麻布・油彩 明治16(1883)年 東京藝術大学
・クリュニー美術館にて 麻布・油彩 明治17(1884)年 神奈川県立近代美術館寄託
などなかなか。前者は、サロンに日本人ではじめて入選したという。

・加奈陀ヴィクトリア港景図 麻布・油彩 明治25(1892)年 宮内庁三の丸尚蔵館; 帰国後に描いたという。パリからカナダ横断鉄道(1886年に大陸横断が開通)に乗りヴィクトリアから船で帰国したのでしょうか?画面は、すこしニスが茶がかったようだ。

いずれにせよ、いろいろな画風の絵を試している。逆に言うとスタイル確立までは至らなかったようだ。

渡辺幽香
幼児図は、なかなかの力量。後半の挿絵、版画の類もうまい。

二世五姓田芳柳

・聖徳記念絵画館壁画 を描いているのは、二世五姓田芳柳。とはいえ印象的な絵はない。

山本芳翠
 この展覧会の目玉だろう。五姓田(ごせだ)派的な職業絵師から脱皮し画家となった。後期にはまた浦島図がみれる。また訪れたい。

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