最近、、、てか日常的にKEジェトロのエンジン不調のお問合せを多く戴いている寅🐯です。。。
今夏が異常に多忙だった為か最近少々体調が優れず思考回路が飛んでいた状態でメール✉️でのマトモな御質問にリアルタイムで回答出来ませんでした事をこの場を借りてお詫び申し上げます。
いい加減若い頃の様な馬力も失くなる減退期のスタートなのかと自覚して参りました。。。
さて、、、本日のお題であるKEジェトロ。。。
過去ブログでも結構触れて参りましたが不調になると意味不明なミスファイヤやら始動性不良、吹け上がりが重い等実に不快な状況に陥ってしまう実に生き物の様なシステムです。。。
多くの原因は、、、吸入→圧縮→爆発→排気の4サイクルエンジンの四工程が上手くバランスしていない事が起因しています。。。
好調なエンジンは良い吸入→良い圧縮→良い点火爆発→良い排気であります。
良い吸入とはそのエンジンにとってメーカーが定めた適正な混合比を持つ混合気をスムーズに吸入してインジェクターによって噴霧される事です。
良い圧縮とはエンジン内部のシリンダーで吸入された混合気をメーカーが定めた圧力で圧縮する事を言います。
良い点火爆発とは適正な熱価の点火プラグが適正出力で放電して適正な混合気を爆発させ、完全燃焼をさせる事を指します。
良い排気とは爆発後の完全燃焼した排出ガスをエキゾーストポートにタイミング良く送り出す事を指します。
以上の何れかが欠けてもエンジンは不調になります。
KEジェトロの適正な混合比は機械的要素と電気的要素から成り立っています。
メインは機械的要素で機械式のエアフローメーターを可変させる事でエアーの適正吸入量を決めています。機構的にはエアフローメーターのプランジャーの位置をネジ調整で行っておりますがこの調整がかなり微妙になります。メーカー的には『一度決めたエアーの吸入量がパラメータ値の基本になるのだから調整の必要は無い筈だ。』と言う事の様です。
又、エアフローメーターユニットに装着されているスロットルポジションセンサーも緻密な数値で設定されているので永遠に弄る必要の無い部分となります。
こう言った部分の設定はかなり高度な設定をエアフローメーターのメーカーが行っていて『市場での調整行為は必要が無い。』と言う前提でメーカーが基本的に『触るなよ❗️』と言っている部分なのです。
年数や走行距離を経てこのエアフローメーター自体の劣化による不調症状が発生した場合には基本的にメーカーで適正吸入量、スロットルポジション信号を設定済みの新品エアフローメーターユニットへの交換が必要になります。
エアーの吸入についてはエアークリーナーエレメントの交換やアイドルコントロールを行っているアイドルエアバルブの定期交換位でバキュームホースの劣化破損等のトラブル以外でエアフローメーター部分を弄る必要性は全く無いと言えます。
先述のエアフローメーターAssyで交換の必要性が出る場合も通常使用で一切余計な調整等を行っていない前提で300,000kmは耐用している筈なので10万キロの大台でエアフローメーターAssyの自然故障(放置車は除く。)は珍しいと言えます。
では、燃料の圧送部分についてですが、、、KEジェトロは兎に角『燃圧命』なのでW124後期モトロニックインジェクション車よりも燃料の圧送系統に高い燃圧を要します。
燃料タンクから燃料ポンプ&フィルターを介してエンジンルームまで燃料を圧送する為の圧力維持に『フューエルアキュムレータ』と言う部品が燃料ポンプユニットの上に存在しています。
このフューエルアキュムレータが劣化パンクするとエンジンの初期始動時に燃圧抜けが発生して燃料が適正にエンジンルームに運ばれずエンジン始動困難に陥ります。
又、燃料がエンジンルームに入って最初にプレッシャーレギュレータに入りますが此方も消耗品なので圧抜けが発生すると燃料が適正にフューエルデスビに流入しなくなります。
フューエルデスビから気筒分に分配された燃料は混合気となってフューエルインジェクターからシリンダー内に噴霧されますがKEのインジェクターはモトロニック車の様な電磁式インジェクターでは無いので燃圧によって混合気を噴霧させています。
要するに燃圧が規定値以下になるとインジェクターから適正な混合気が噴霧されずエンジンの始動不良に繋がります。。。
尚、インジェクター自体も長い間には開閉不良と言うトラブルが発生してインジェクターバルブが開きっぱなしと言うトラブルも実際にあります。
燃圧抜けの確認方法はエンジン停止後数時間置いて再びエンジン始動を試みるも長いクランキングの末、やっとこさエンジン始動と言う症状が出ていたら燃圧トラブルの可能性が高いので修理工場さんで燃圧測定などの検査を受けられる事を推奨致します。
つまり、燃料の圧送系統でやられるのは燃料ポンプ&フィルターだけじゃ無いってコトです。。。
さて、吸入空気と燃料の混合のお話に移ります。。。
前述のエアフローメーターで取り入れられた空気と燃料を混合するにも燃料の量をコントロールしてやる必要があります。
大まかな混合気の燃料の濃さはフューエルデスビ内でバルブの大きさや可変にて設定されているのでアバウトには制御出来ています。。。
しかしながらキャブ車では無く燃料制御に電気制御を入れたKEジェトロは排気ガスの濃度、水温、外気温等の情報を基に冷間時始動から実用域迄コンピュータが制御しています。
このコンピュータがエンジンの回転数も拾って必要な燃料を適正にするべく電気的バルブに指示を与えます。
この電気的バルブとはEHA、、、つまりフューエルガバナーと言われる部品です。
フューエルデスビの脇にトルクスネジ二本で装着されている黒い箱の物体です。
此方の装着接合部のパッキンも劣化して燃料漏れを起こし、燃圧抜けにも繋がりますので定期的にチェックが必要です。
このEHAをコントロールしているのがKEモジュール。。。
このKEモジュールには1980年代の毒な国の毒なマイコン技術が入っており、常に適正な燃料供給を行う為にEHAをコントロールする事で燃料補正を行なっています。
このシステムもバランス良く補正を行なってくれていた新車から数年間は混合比のバランスも良くてエンジンも好調だったでしょうが、、、既に新車から30年。。。
マイコン基盤が新車時の性能を維持している訳も無く。。。😱
派手に劣化しているのが今や定番化しています。。。
既にメーカーの製造は終了しています。。。
KEモジュールの不良と聞いて直ぐに中古品の入手を考えたアナタ。。。
中古品を入手しても同じく30年選手ですよ。。。
結局また同じ。。。EHAのコントロール不良は混合気が全体的に濃くなってカブリ気味の症状が出ます。。。
中古品のKEモジュールに交換して一瞬症状が治ったと思ったら短い期間で再び症状再発何てよくあるお話です。
燃圧抜けも無く、EHAが正常に漏れも無いのであればKEモジュールの修理を要する事が多いですね。
燃料が適正値より濃ければ良い点火爆発は望めず、点火プラグは黒くカブリ失火症状が出る事も多いです。
この場合、イグニッションコイルから発された点火プラグの点火の為の電流エネルギーが点火プラグで必要以上の燃料を浴びてミスファイヤします。
つまりこの時は点火プラグの電極は放電していないので電流エネルギーはストレスとなって多くはデスビのキャップ&ローターの隙間で放電してしまう、又は点火プラグコードのサープレッサーでリークが始まる事になります。
最悪はイグニッションコイルの絶縁破壊を起こして点火プラグに適正な電圧が掛からなくなってエンジン不調、エンストに繋がります。。。
濃い燃料でエンジンは掛かっていても燃焼室では燃え残った生ガスが排気ポートから排出されてO2センサーに悪影響を与えて場合によっては触媒までやっつける事になりますので本日のお題『混合比』には御注意下さいませ。。。