以前は「旧いメルセデスの電機屋」。。。現在は、、、「隙間風産業の超零細企業」の業務日報。。。

旧いメルセデスの電機屋のニッチな仕事のお話。。。http://jun3104.shop19.makeshop.jp/

KEモジュールのお話。。。

2021-07-02 13:08:00 | 日記
昨日の本ブログでW124 300TEのKEモジュールO/Hについての記事を掲載致しましたが、物好きな毒者様より『そもそもKEモジュールってどんな仕事をしとるん❓』と言う御質問を受けましたので簡単に解説させて戴こうかと。。。



☆コレがKEモジュール。。。

1980年代後半の毒な国で生まれた燃料供給システムのKEジェトロとはKEの前身となるKジェトロと言うデイーゼル車の直噴式の様な機械式インジェクションシステムに電気制御を加えて更なる緻密な燃料供給制御を狙った機械&電気がコラボしたインジェクションシステムです。。。

燃料ポンプで高圧圧送された燃料がインジェクションに入り込み、スロットルの開度に応じた量の空気を取り入れて混合気を作り気化させた燃料を機械式インジェクターに圧力を掛けてシリンダー内に噴射。
噴射の次のタイミングでピストンが上死点まで上がって混合気を圧縮して点火プラグが混合気に点火。
一気に爆発してピストンは下死点まで押し下げられてピストンのコンロッドがクランク軸を回転させる。。。
コレが所謂4サイクルの内燃機関における吸入→圧縮→爆発→排気と言う行程であるが各行程が程良くバランスしなければエンジンは不調になる。
つまり、吸入の段階でエンジンのシリンダー容量を上回る燃料或はエンジンの回転数に対して多くの燃料、、、つまり濃い混合比の混合気が常にシリンダーに入り込めば当然に混合気は完全燃焼とは行かず未燃焼ガスをEXポートから排出する事になる。。。更に点火プラグにも点火能力以上の混合気を与えれば当然に燃え切らずに点火プラグの電極周りに未燃焼ガスがベットリと着いてしまう。コレが所謂カブリって奴。。。
混合気の生成って結構デリケートでいつの時代も内燃機関の設計技術者達は自分達が設計したエンジンの性能を100%引き出す為の燃料制御にシノギを削っていました。。。

アナログ時代の賜物のキャブレターも物理と化学の理論の融合によって素晴らしい燃料供給装置でしたが、、、エンジンが回転する環境って常に温度や湿度が関係していて都度環境に応じたキャブセッティングを行ってあげないとエンジンはパフォーマンスを発揮してくれないと言うリスクを抱えていました。
其れがエンジンの高性能化によって更にシビアになり、サーキットを走行するレーシングマシンに至っては予選前のシェイクダウンテストにて如何にエンジニアがアナログにセッティングを合わせるかが勝敗の鍵となるとまで言われた時代がありました。

市販の乗用車のエンジンも1980年代はどんどん高性能化して行き更なる安定化と適正化された燃料供給装置が要求される様になって参りました。
其れは1980年代の毒な国も例外ではなく、其れ迄は機械式に負圧を用いて混合比をコントロールしていたKジェトロに電気システムによるエンジンの始動条件の管理システムを用いて、負圧のみで制御していたインジェクションシステムに燃料を電気的に補正するシステムを追加したモノがKEジェトロです。。。

電気システムによるエンジンの始動条件の管理とはセンサーによる水温、外気温、吸気温度、スロットルポジションなどのデータをKEモジュールにリアルタイムに認識させて『冷間時』と判断した場合のコールドスタート時に必要な装置の動作を指示させる。。。
コールドスタートバルブの動作、フューエルデスビ傍に取付されたEHA(フューエルガバナー)のコントロールによる供給燃料の量のコントロール。。。
適正な燃料供給によって冷間時始動を果たしたエンジンは今度は動作熱による温度上昇が始まる。。。
アイドリング時はアイドルスイッチがONになってKEモジュールにアイドル時である事を認識させてエンジン回転数をフィードバックさせている。
又、モデルによっては速度信号をKEモジュールに入力させて『アイドリング時であるから速度は0km/hである。』と言った具合にアイドリング時の条件を認識させている。

水温が常用域に達する過程で供給燃料を薄くして行くコントロールはEHAが行い、アイドリング時、走行時でKEモジュールからEHAに適正な燃料制御を行う様に補正信号を出している。この補正信号はエンジンの燃焼状態もベースのデータとなる為にO2センサーからのフィードバックデータも重要となる。。。

つまり、、、KEモジュールはエンジンの謂わば『全身管理』を行い各センサーからの信号によって適正な混合気を作る緻密な仕事をしています。。。

ところが、、、この原理やダイヤグラムが理解出来ていない不勉強な整備士はシステムの不具合で発生している燃料リッチ現象について『KEはO2センサー何か接続しなくて良いんだ。』とか言ってO2センサーのコネクターを抜いてしまったり、、、『KEのコンピュータ何か大した仕事してねえんだ❗️』とか言って機械式エアフローメーターのプランジャーの禁断の調整ネジをグルグル回してしまい、、、結局のところ燃料リッチ症状は治らず『旧いんだから仕方が無い❗️』とK県Y市T区界隈の馬鹿ばっかな修理屋に車を壊されている事も実に多いのよ。。。

メーカーが『町工場レベルでは絶対に脱着するな❗️』とまで言っているエアフローメーター横のスロットル開度をKEモジュールにフィードバックしているポテンションメータについても絶対に触っちゃならんトコでこの部分の調整が狂う事など有り得ない❗️
無闇矢鱈と脱着してしまうとポテンションメータの信号が狂ってしまってヘタすりゃエンジンが掛からなくなる。。。仮にエンジンが掛かったとしてもポテンションメータからのフィードバックデータの電気的数値は非常に微妙なのでメーカーの示す値を全て測定の上で位置決めと言う工程が必要となる。。。
其処まで苦労してポテンションメータを交換したからと言って殆ど99%の確率でエンジン不調は治らない。。。
仮にポテンションメータに経年劣化による不良が出たとすればエアフローメーター自体にも不良が出ている可能性も高い。よって修理の一環としてポテンションメータを交換する必要性に根拠があるのならばエアフローメーターASSY毎の交換を要す。
しかし、経年劣化による自然故障のエアフローメーターASSYなど200000km走行の個体でもお目に掛かった事が無い。要するにエアフローメーターASSYは弄らなければ長持ちする物凄いコストで作られたモノなのでポテンションメータも同様にハイコストな信頼度の高いユニットである。。。其れを不勉強で馬鹿な車屋は弄ってわざわざ壊しているのだから本末転倒としか言えない。。。

その他の水温センサーや吸気温度センサー(無い個体もある。)、O2センサーなどは消耗品として定期交換部品に入るがコレらを交換してもエンジン不調から救われない個体も往々にしてある。。。
前述のエアフローメーターの禁断のプランジャーADJネジを回してしまった個体はもっての他であるが、燃料供給制御の不調はそのシステムを司っているKEモジュールの比較演算機能が劣化していると言う話が濃厚になる。。。
かと言って既に新品モジュールのメーカー供給はほぼほぼ供給終了。
中古品など既に劣化しきっているゴミを買わされるのが関の山。。。
ウチでは現品修理によるお得意のリペアで対応しているがウチに来る前に大口叩いていた馬鹿な車屋にかかっていたオーナーさんは異口同音に言う。。。『半信半疑だった。』と。。。🤣🤣🤣
まあ、ウチはニッチでシュールで怪しい超零細隙間風産業だからね。。。
でも、治せると判断したら治すよ。🤣🤣🤣🤣🤣

KEジェトロは機構部分とすればエアフローメーターASSY,フューエルデスビASSY,フューエルアキュムレータ,フューエルインジェクター,プレッシャーレギュレータと言った大物で構成され、燃圧命のシステムである。圧漏れすればエンジン停止後数時間でエンジンの再始動困難に陥る。。。
圧漏れのよくあるケースとすればフューエルアキュムレータやフューエルインジェクターであるがコレらは普通に消耗品と考えるべきである。

因みに日々そこそこ動いていた個体が始動困難に陥ったケースで直ぐにフューエルデスビだと決めつける整備屋の爺さんは全く信用出来ない度MAXのバロメーターだと思うべし。。。
フューエルデスビは中古品でも高価なので『リビルト品』などと言って中古品を載せられるお話も。。。御愁傷様です。。。🙏
で、治らなけりゃ『旧いんだから仕方がない。』の常套句で終了である。。。

と、まあ今回はKEモジュールの重要性についてお話致しましたがどんな不調であれキチンと診断出来ない馬鹿な車屋にかかると遠回りな上に高額なコストが更に上乗せになりかねんのでお気をつけなすって。。。😓