脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

創作活動の鍵は前頭葉

2017年07月19日 | 前頭葉の働き

近所のコミュニティカフェアジサイ舎で開催中の「藍染・木工・陶芸三人展+ONE」展を見に行ったときのお話です。
こんなかわいい飾り物が。モフリッチ(サギナ)というらしいですよ。

「あの子(人)は頭がいい」と口にする時、何が言いたいのか、ちょっと考えてみてください。
だいたいが、学校の成績がいいことを意味してるのではないでしょうか?
でもよく考えると学校の成績といっても幅広いものですね。「国語・算数・理科・社会・英語」などは点数化しやすいので成績がつけやすい。「音楽・図工・体育」などは点数化以前に、実は評価する側の実力が求められるものなので、つまり成績がつけにくい。
結果的に、「頭がいい」=「学校の成績がいい」=「評価しやすい脳機能分野、つまり国語・算数・理科・社会・英語に秀でている」という意味になります。
大人なら、偏差値が高い大学に行っているとかでしょうね。
ところが、脳機能はそんなに単純なものではありません。
Sikumi
上図でいえば、左脳となっている紫色の部分だけを評価しているのです。コバルト色で表されている右脳もあれば、緑色の運動領域といわれるところもあります。
そして、もっとも重要なその人らしさの源であるピンクエリアの前頭葉も。
脳機能のお話をする時に、エイジングライフ研究所では三頭立ての馬車にたとえて説明します。
Photo_3

左脳はデジタル情報の処理 言葉で説明できる。「1+1=2」とか「A=B,B=CならばA=C」とか「サクラが咲いた」とか。正答は決まっている。論理。
右脳はアナログ情報の処理 言葉ではうまく表現できないけれども、よく感じたりわかったりしていること。正答はなく、むしろ好きか嫌い。サクラに感動したら「サクラがきれいに咲きました。あまりにもみごとで何とも言えない景色なの。うまく言葉では表現できないから一度見に来てね」というしかないでしょ?感性。
最近は、以上のことまではわかってきたような気がします。
三頭立ての馬車にそれぞれ得意分野が違う馬を三頭繋いでも、その馬車はうまく走れません。状況判断をして的確な指示を出す御者がいないと馬車が走れないことに気づくべきです。御者の役割を担うのが前頭葉です。
例え左脳(担当の馬)が高い能力があっても、前頭葉がそれを使いこなすだけの能力がなければ、宝の持ち腐れ。
前頭葉の処理能力を100点だとしましょう。
左脳が150点、右脳が0点の場合だと、結局馬車は前頭葉が処理できる範囲の左脳の100点だけで走ることになりますね。
左脳が80点、右脳も80点だとしたら、前頭葉が左脳も右脳も能力いっぱいを引き出すことができますから、何と馬車は160点の能力で走れます。
評価しやすい左脳ばかりを重視するのは危険です。
仕事をやっていくときには、原則的に左脳優位な生活ですが、退職後の時間がこんなにも長くなった今、第二の人生を豊かにさせるためには右脳が必須ですから。
この3人展は面白かったのです。
入口には+ONEの方の作品が展示されていました。松崎町在住の齋藤秀雄さんで、木工轆轤による挽物作品です。

形といい、色彩といい、また木目までもが本当に「たまたま生まれ出てきた」と言っているようでした。

木を手にされた時に、見通しや予想もなさるでしょうが、制作を進めていかないと何が生まれるかわからない…ただどこでその手を止めるのかが、作者の感性そのものなのでしょうね。理屈ではなく論理でもなくまさに感性と前頭葉の連携プレイ!
次の林敏行さんの木工作品は、まさに対照的。一点一画ゆるがせにしない楷書のような作品たち。

フォルムや色のところは右脳が担当しているのですが、これだけかっちりと狂いもずれもなくというのは左脳に任さなければとても無理です。そして作品にまとめ上げるには前頭葉が必須です。

作者は面白いことを言われました。
「ボクは技術屋だったんです。物を作るというのは、大きな工作機械でもこのようなものでも、一つ一つの部品を正確に作って組み合わせるということですから、ボクの中ではほとんど同じなんです」
ものを制作するときには、形も色などデザインすることが必要ですからどうしても右脳の出番は求められますが、右脳だけでできるものではないという証明のような作品たちでした。

先の齋藤さんが製作される姿勢と対極的でしょう?作品から受ける印象は全く違いますが、どちらの作品も「木」の持つ魅力は十分に伝わってきます。
陶芸の八木弘明さんも魅力的なSeventy。絵を描かれる奥さまと。
今回の3人展は皆さん古希の方々です。制作される方たちは皆さんお若いですが、考えたら当たり前のことですね。常に前頭葉が創造的に活躍し続けているのですから。

もともと陶芸は、窯の中で火と熱を浴びて土にどのような変化が起きるか、その偶然性まで含めて作品が完成するものですから、窯を開けるときの期待感はなかなか言葉では表現できないものだと聞いたことがあります。
そのような偶然を前提に制作できるのは、当然右脳主体でなければ無理ですね。土の塊からフォルムを作り出すところも当然右脳、そして前頭葉。

ところが八木さんもおもしろいことを言われました。
「仲間で窯を持ってるんですが、このエリアの土、あのエリアの土と変えるんですね。そして釉薬も記録して。ちょっと実験っぽいところが面白いでしょう」こういう姿勢は左脳主体なのです。八木さんが何のお仕事をされたのか伺い忘れました。理系のお仕事だったら面白いですけど。

八木さんとは、その場でフェイスブック友だちになりました。そうしたらお花に詳しいこと。花の写真も見事ならその説明も感性豊か。単なる説明文だけなら左脳の出番ですが、八木さんの文章は違います。それだけでなく必ずその花や花ことばを読み込んだ短歌一首が添えられています。右脳が豊かなかたですね。

コンロンカの投稿がありました。普通は黄色の花が多数咲くのですが。去年の誕生日に息子が送ってくれたシンガポールのコンロンカを、私からも送りました。
花だよりを楽しめるしあわせをありがとうございます。





 

 

 

 

 

 

 

 



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