脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

認知症予防教室で生き方は変えられる。その2

2017年03月06日 | 二段階方式って?

奥州市江刺区の「としとらんと会」の千葉謙さんから電話がありました。
「先日、としとらんと会の総会をやったんだけど、安次郎くんが、会長を引き受けてくれることになってね」
「あれ?及川安郎さん。二度目じゃないですか?」
「そうそう。まだ2回目をやってくれた人はいないんだけど、安郎くんは自分から 『どこまでできるかわからないけど、できることをできる間やらせてもらおうと思って』と言ってくれたんだよ。そうしたら、みんなが大喜び『ありがとうございます。よろしく、よろしく』って。安郎くんが教室を大切に思ってくれていると感じるからだろうなあ」そう話してくれる千葉さんの声は弾んでいました。
 
この写真は、去年奥州市へ講演に行ったときに「としとらんと会」を訪問した時のものです。認知症予防講演会in平泉町と奥州市江刺区 (後半に「としとらんと会」の訪問記があります)
 千葉謙さんは後列右端。及川安郎さんは後列左端です。
 この「としとらんと会」は特異で魅力的な認知症予防教室です。(興味のある方は2011年6月のサイトをご覧ください。様子を垣間見ることができます)

「ここに幸あり」花壇―奥州市「としとらんと会」の活動

話は旧江刺市時代にさかのぼります。保健師さんたちが各地区に認知症予防のための「脳いきいき教室」を立ち上げていきました。2004年には、もう各教室が集まって交流会をやっていました。その後、交流会も活発になるし、交流会後に教室間の自主的交流も始まり、地方紙に取り上げられるほどだったのですが、残念なことに例の市町村合併。
そんな中でも、この「としとらんと会」は同じように活動を続けてきたのです(脳機能検査はなくなってもですよ!)。その経緯が先にあげたページに詳しく書いてあります。

続けられたカギは、地区の持っている準家族のような親密さが筆頭に挙げられるべき条件でしょう。次に千葉謙さん、千葉キヌさんという得難いリーダーに恵まれたことも、大きな理由だと思います。

最初にお会いした時の千葉謙さんの言葉が忘れられません。当時はまだ現職でしたが
「地区のお年寄りのために、月1度、たかだか2時間の時間を割くくらい、気持ちさえあれば無理なことではない。実際やれば自分も楽しめるんだし」
去年の年末の発言
「脳の健康と社会貢献の二つが『としとらんと』会の大切な目的。社会貢献は世剣舞を復興して中学生に教えたり、花壇の整備をしたりということも当然あるが、ボケずにいることそのものも、費用削減という意味で大きな社会貢献」。まったくその通りです!
 
千葉謙さんは会長さんとして確かに適任者だったと思います。何年か会長職をつづけられた後で辞任。そのときの言葉も秀逸でした。
「『としとらんと会』をみんなの会と思ってもらうには、会長を輪番にすることだと思ってね。 ボクは交流担当ということで仕事をさせてもらうから」
こういう経緯で、及川安郎さんは会長さんに。
「せんせ。安郎くんは なかなかの会長さんをやってくれてるよ。心のこもったいい挨拶をしてくれるよ。お知らせはパソコンを使い始めてビシッとしたのを作ってくれるし、もちろん会計もきちんとしたものだし。ボクもうれしいけど、安郎くんご本人も水を得た魚のようにあれこれと気を使ってやってくれて、気分がいいんじゃないかなあ」とすぐに連絡がありました。連絡というよりも、千葉さんはご自分のうれしさを、私におすそ分けしたかったような印象を受けましたよ。

その後も、折に触れてはいろいろのイベントでの及川安郎会長の地道な活動が伝わってきました。
「何しろ安郎くんは大工だから、何でも作れちゃうんだよ。右脳刺激の工作の時も頼りになるし」
「ここに幸あり花壇の看板だってお手のもの。すこしも面倒がらずにやってくれるからなあ」
Img
「この前の、振興会青年部による『いなせ夏まつり』では流しそうめんやったんだ。おかげで竹を使って立派なものができて、子供たちも大喜び。ついでに『ながねっこの会』との交流会でも流しそうめんやって大好評」(「いなせだより」に詳細があります)
 

その後、2年の任期を終えた後でしたが、及川安次郎さんにアクシデント発生。
早朝、トラクターに乗って農作業中、脳卒中発作を起してしまったのです。畦道の斜面に身を寄せているところに、たまたま通りがかった仲間が発見してくれて文字通り命拾い。多少の不全マヒは残ったようですが普通の暮らしができていて、ご夫婦ともに地区の皆さんに深く感謝しているということでした。

もともと、地区の役員なども嫌がらずに引き受けて、目立たないように縁の下の力持ちのような働きをなさっていたと聞きました。
一方では、大工さんの腕を生かして、地域の学校(18校も!)に数年にわたって巣箱を寄贈してこられたんですって。それだけでなく稲瀬地域には103戸あるそうですが、各家庭にも巣箱のプレゼントをされたそうです。
まだまだエピソードがあります。今年は奥州市も大雪で大変だったのですが、及川安郎さんは、一人暮らしの家庭にトラクターで行っては、ライフライン確保のための除雪をしてあげたそうです。頼まれた事ではないだけに、除雪してもらった方たちがどのくらい喜ばれたか、目に見えるようです。

千葉さんの電話の声は弾んだまま続きます。
「実は、この前、県から老人クラブの活動に協力的ということで安次郎くんが表彰を受けたんだよ。全県でもほんの数人が推薦を受けて選ばれるものだから、大したものなんだよね。巣箱の件といい、除雪の件といい、ほんとに表彰に値する働きをしてくれたからね」
「安郎くんのお父さんがテキパキした人で、その陰に隠れて黙々と仕事をしてきたんだなあ。まじめで、おとなしく控えめという印象が一番強い。
でも人は場を与えられると、隠された能力が湧き出てくるものだということがつくづくよく分かった。 立派な会長さんだよ。それにしても自主的に次の会長さんに名乗り出てくれるなんて、しかも既に一度は会長を務めてあるんだよ。思いがけないうれしさだった!」
4月3日に、前にもましてうれしそうに弾んだ声で、千葉さんから電話がありました。
「表彰される賞の正式な名前がわかったんだけど、育成指導功労賞。いいねえ、育成指導だものね。その功労を認めてもらって ね!」

どうでしょうか?認知症予防教室で生き方を変えられますよね?
状況を判断したり、その意義を評価したりする前頭葉機能が元気にいきいきしている事が、前提条件ですけど。 

















































































































































 

 


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