(写真の向きが直せましたので再掲します)
今回の旅の目的の一つは、小布施町での仕事。そしてもう一つは富岡製糸場見学でした。
磯部温泉からの車中、そろそろ富岡製糸場というところになって運転手さんが
「もう並び始めてるでしょうね」というではないですか!
9時開場のまだ20分も前ですよ。
ホームページなどで、夏休みになって大混雑のニュースは承知していましたが、この暑いのに、開場前に並ぶなんて思ってもみませんでした。
入場を待つ行列は 、150Mは超えていました。
もちろんどんどん長くなっていくのです。
暑くて暑くて、配られたうちわを皆さん忙しく動かしています。
こういう時に「状況を判断し、行動を決定する」のはもちろん前頭葉ですから、みなさんを観察するといろいろ面白いことに気づきます。
道の右側には日影があるのですが、みんな暑い左側に真面目に並んでいます。当然湧いてくるのは「なぜ右側に並ばないのか?」という疑問です。
私は、いつでも元に戻れるように前の人と後ろの人をよく観察したうえで、右側の影の部分へ移動しました。
後ろの一組のうちの中学生がつられたように移動。「へ~。日蔭ってこんなに涼しいんだ。全然違う!」と、小さな声でしたが言っているのです。
でも他のだれも左側から移りません。「それにしても暑いね」「朝からこれだと今日はどうなることか」などと耳に入ってくるのに。
じりじりする強い太陽を見ながら、もしかしたら、これは日本人の特徴かもと思いました。
つまり、自己主張することなくみんな横並びを選択する。飛び出ることを嫌がる。
よく言えば我慢強いし、東日本大震災の時、世界中から称賛された日本人の持つ特性にもつながります。
ただ、認知症予防から言えば、やや不安が湧いてきます。
国民的合意として「仕事が大切。まじめに働こう。遊ぶなんて子供じゃあるまいし、とんでもない」という考え方が、今までの日本では大手を振ってきていました。
その結果、定年などで仕事がなくなったとき「することがない」人たちがたくさんいます。
みんなボケ予備軍・・・
翻って、「第二の人生に入ったら、遊ぼう。遊ばなくてはボケてしまう」ということが、もしも、国民的合意になったとしたら、日本人は一斉に右に倣えが起きてきます。
例えて言えば、「ボケ」という言葉があっという間に「認知症」に取って代わられたように。厚生労働省の意向は「公文書上で『痴呆』を『認知症』と言い換える」だけだったのもかかわらずです。
遊べるからいいようですが「みんなが遊ぶのだから、遊ばなくてはいけない」「とにかく遊ばなくては」とばかりに強迫的に遊び始めたら、それは右脳優位に楽しむ時間ではなく、左脳が義務的に時間管理していることになるのです。
そのうえ、前頭葉が「自分らしく」選択決定する路線からも外れていることにも気づかなくてはいけません。
さて富岡製糸場。
明治になって、新政府は「殖産興業」「富国強兵」の掛け声のもと近代国家を目指します。
丁度ヨーロッパでカイコの病気が蔓延したことと中国はアヘン戦争後だったために、絹糸製糸技術があった日本への、絹糸の要望が大きかった。というような様々な条件が重なって、官営製糸場が明治の早い時期から計画されました。
絹糸は作れば売れる。しかも品質がいいので喜ばれて。それで獲得した外貨で例えば製鉄工場などを建設していったというわけです。
建築を担当した大工さん、レンガを始めて焼いた瓦職人さん。
何より必要なのが、機械を動かす女工さんたち。
破格の好待遇にもかかわらず、「フランス人は夜な夜な生き血を吸っているから、血を抜き取られてしまう(赤ワインを楽しんでいる)」というデマが飛んだりして、応募がなく苦労したそうですが、信州松代藩士族の娘を採用したところから、多くの女工さんたちが集まってきて、その人たちが故郷に帰ってまた技術を広めていった・・・
このような状況の中では、まじめに横並びで頑張る、というような、まさに日本人らしい特質が飛躍的に国力を上げる結果につながったと思いました。
でも、今は長生きになりました・・・
長い長い第二の人生の生き方は、ほかならぬ自分が、楽しく満足できるものを見つけるしかない、ということをぜひ考えてほしいと思います。
高崎駅で乗り換えなのですが、ちょうど高崎祭り。
もちろんちょっと、祭りを楽しんで帰りました。
写真が90度回転してしまいます。インターネットエクスプローラでもグーグルクロームでも解決できません。逆回転をしてみてもダメ・・・このままアップしておきます。
齢を取ってくると、努力も大切ですが、妥協もまた…というこことで(笑)