脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

1997年~2001年ボケ予防教室草分けのころ

2020年04月01日 | 二段階方式って?
ブログをお休みしている間に、コロナで大変な状態になってしまいました。
実は家にいる間に、心躍ることに集中していました。
冬アジサイ。3月半ばから開花。(3/20撮影)

エイジングライフ研究所が初めての実務研修会を開催したのは1995年。当初研修会に参加された人たちからは、私たちの方が大きな力をもらった気がします。
その頃はまだ「痴呆は治らない」と権威ある先生たちですら明言されていたころで、だからこそ介護を個人に担わせるのでなく国民全体で担っていこうとする介護保険が2000年にスタートしたのですから。ちなみに2004年に痴呆は認知症と言い換えることになりました。
フリージアと冬アジサイは一緒に咲きます。

現場を持っている保健師さんたちは、大ボケ状態の高齢者や介護に疲れ果てている家族を見るたびに「この悲惨な状態をどうにかすることはできないのか」「何かできるはずだ」と暗中模索していました。その時に私たちは
「症状からではなく脳機能から痴呆を理解する」
「痴呆には小ボケ中ボケ大ボケの三段階がある」
「通常、痴呆と言われるのは大ボケ。その前段階で見つけることができれば、回復は可能」ということを主張しました。
参加した保健師さんたちからは「目からうろこ」ということばを何回も聞きました。そして私たちの方は、参加している保健師さんたちから、その熱意を感じて気持ちが引き締まったものでした。
バイモ

職場に帰った保健師さんたちからは、「ボケ予防教室」の成果が次々と報告されてきました。
脳機能が元気な人たち(普通の高齢者)に対する働きかけが、こんなにもストレートな効果をみせてくれるのか!と、当の保健師さんたちまでも楽しみながらその仕事をしていることがよく伝わってくるようでした。エイジングライフ研究所のやり方は「脳機能という物差し」がありますから、客観的に評価することができるというのも、通常の予防活動にはない面だったと思います。
ベニバナトキワマンサク

さてホームワークの報告です。各地の保健師さんが教室の経過(成果)を送ってくださったデータで残っているものを発見したのです。
活動の最初は評価基準が完成していませんでしたから、ほんとに一例ずつ検討して、改善、維持、低下と「脳機能」を評価していきました。
今回、全データをエクセルに入れなおして、現時点での評価基準に合わせて評価しなおしてグラフ化してみました。掲載は教室開始が2000年までの実施例。
ワクワクしますよ。(平成9年は1997年)





参加者は16名から100名まで。そして大体月一度の開催で半年から3年間の経過観察が混在しています。教室の内容も各地でできることをやったわけですからさまざまです。
でも、効果があることは明確ですね。
宇宙の木

もうひとつ、ちょっと違った報告も発見しました。
エイジングライフ研究所の考え方で活動するところは大部分が市町村なのですが会社組織が2か所ありました。その一つ宮崎県の大企業の健保組合です。

担当保健師さんは4人。対象者は116名。内訳は70歳代61名、80歳代47名が中心で90歳代8名。興味深いのはMMSまで全員に実施していることです。
ここは教室まで実施したのではなく生活改善指導にとどまったのですが、脳機能検査をすることで、より改善につながったのだと思われます。
あたり前ですが、年代が若いほど改善率がいい。青が改善群、赤が維持群、グレイが低下群を表しています。左から、70歳代、80歳代、90歳代です。

初回と二回目のかなひろいテストの合否割合を見ても、明らかに年代が若い方が改善しています。青が合格群、赤が不合格群。左から、70歳代、80歳代、90歳代です。

これらの結果はとても示唆的です。
認知症の正体はその人らしく前頭葉機能を駆使して生き続けているかどうか、まさに生き方の問題であるとエイジングライフ研究所は主張しています。
前頭葉機能の使い方が足りないことで、もともと持っている脳の老化を加速させてしまうのが、脳機能からみた認知症の正体なのです。
だからこそ、より早い年代で生活改善を図れば、より効果が生まれるのは当然のことです。
牧野富太郎が愛でた稚木(わかぎ)の桜








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