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●(こちら特報部)《経済同友会の新浪剛史代表幹事…あたかも財界が政府に保険証廃止を発注し、その納期を守れと言っているようにみえる…》

2023年09月24日 00時00分12秒 | Weblog

[↑ 「マイナンバーカードなくても大丈夫 返納のすすめ 明石昇二郎」(週刊金曜日 2023年7月14日 1432号)]


(2023年08月19日[土])
アベ様「桜を見る会前夜祭サントリーが酒を無償提供…《つまり、差額を補填した手段が「カネ」か「アルコール」かの違いだっただけ》。《◆「45歳定年制」を唱え炎上したことも》ありました。
 今度は、(リテラ)《そして、納期納期でありますこの納期(2024年の秋)に間に合うように、ぜひとも仕上げていただきたい》ですって。(東京新聞)《経済同友会新浪剛史代表幹事が、廃止時期を納期だとして、「納期を守るのは日本の大変重要な文化と発言、波紋を広げている。あたかも財界が政府に保険証廃止を発注し、その納期を守れと言っているようにみえるからだ》。

   『●アベ様「桜を見る会」前夜祭にサントリーが酒を無償提供…《一方、
      同業のキリン…「…政治家に無償で製品を提供することはない」》
    「日刊ゲンダイは《つまり、差額を補填した手段が「カネ」か
     「アルコール」かの違いだっただけ安倍氏側は公選法違反罪に
     当たると知っていて巧妙に隠蔽工作していたわけで、
     確信犯だったのだ》と指摘」
    「東京新聞の同記事には、《◆安倍政権に近いサントリー社長 
     サントリーホールディングスの新浪剛史社長は安倍政権下の
     2014年9月以降、政府の経済財政諮問会議の民間議員を務めている。
     同社は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に対し、
     毎年500万円前後を献金している》とあり、自民党おズブズブ、
     はっきり言えば、アベ様とズブズブと言われても仕方ないのでは
     ないか。トンだ《協賛》」
    《■桜前夜祭にサントリーが酒を無償提供 背景に新浪剛史社長と
     安倍の関係 …というのも、サントリーホールディングスの社長を
     務める新浪剛史氏は、ローソン社長時代だった第一次安倍政権の
     ときから「安倍首相に近い経済人」として名を取り沙汰されてきた
     人物で、2013年に安倍政権の成長戦略づくりを担う「産業競争力会議
     の民間議員に抜擢。2014年からは経済財政諮問会議のメンバーに
     起用されたほか、安倍首相と会食やゴルフ、演奏会鑑賞をともに
     してきた関係にある。そればかりか、2018年の「桜を見る会」前夜祭は
     4月20日に開催されたが、その約1週間前である4月12日に
     安倍首相と新浪社長は面談をおこなっており、さらに2019年の
     前夜祭が開催される1週間前である4月5日にも安倍首相と
     新浪社長は会食をおこなっていたのだ》

 岸本拓也安藤恭子両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/新浪剛史氏「納期を守るの重要」マイナ保険証後押しが波紋 桜を見る会、サントリー不買運動まで蒸し返され…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/270061?rct=tokuhou)。《マイナンバーカード一体化保険証(マイナ保険証)普及のため、岸田文雄政権がかたくなに守る来年秋の保険証廃止。この問題で、経済同友会新浪剛史代表幹事が、廃止時期を納期だとして、「納期を守るのは日本の大変重要な文化と発言、波紋を広げている。あたかも財界が政府に保険証廃止を発注し、その納期を守れと言っているようにみえるからだ。一体どういう背景からこうした発言が飛び出したのか。(岸本拓也安藤恭子)》。

 再度引用。リテラの記事【サントリー新浪社長「保険証廃止の納期を守れ」発言に非難殺到、不買運動に発展! 財界のマイナ強行論の背景にある“企み”】によると、《「聞く力」と言いながら、どれだけ非難を浴びても一向に国民の声を聞こうとしない岸田首相……。この岸田首相の強硬姿勢の一方で、いま批判が高まっているのが、経済同友会の代表幹事であるサントリーホールディングス新浪剛史社長だ。SNS上では、「#サントリー不買運動」というハッシュタグが誕生し、ついにトレンド入りを果たした。なぜ、マイナカード問題が「サントリー不買運動」に発展しているのか。それは、新浪社長の、ある発言に批判が殺到しているからだ》。
 (2015年日刊ゲンダイ)【マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚】…あらゆる個人情報を〝集中〟してマイナカードにひも付けすることは、財界や企業にとっても、よっぽど「美味しい」のでしょうね。(こちら特報部)《◆データが「企業の利益」になる時代》ですものね。「1兆円」どころでない巨大な「利権」でしょうね。カルトとヅボヅボな自民党の議員の皆様も大好きな「利権」。《そもそも企業間での「納期厳守」と、幅広い国民を対象とする政府の政策の「実施時期」を同列にとらえる感覚はどうなのか。白鷗大の石村耕治名誉教授(情報法)はいぶかる。「G7(先進7カ国)で、日本のように血税を費やして官製のICカードに保険証を一体化させている国はないカードがないとデジタル社会に対応できないというのはまやかしだ。経済界はこうした世界の潮流を知っているはずなのに前向きなのは、IT利権があるからではないか」》。また、同記事中の斎藤貴男さんの指摘に耳を傾けなくて、大丈夫ですか?

   『●岸田文雄首相も河野太郎大臣も、錯乱していないか? 《マイナンバー
       カードに一本化》したりせず、《現行の健康保険証》のままで良い
   『●ズブズブ壺壺ヅボヅボでない自民党議員はほぼ居ないようだが、《「政治
        とカネ」の疑惑を抱える》議員も多数で、キシダメ首相自身も…
    【政界地獄耳/いまこそマイナカードの出番!?「政治とカネ」で問われる
     自民党の政権担当能力】…によると、《★次の更迭候補は
     「政治とカネ」の疑惑を抱える復興相・秋葉賢也といわれるが、
     ここにきて週刊文春が昨年の衆院選の選挙運動費用収支報告書に
     白紙の領収書94枚が添付されていると指摘。首相自身にも
     公職選挙法違反の疑いがもたれた

   『●(東京新聞)《学業や研究とは関係のないマイナカードの使用状況で、教育
     施設に与えるカネの多寡を決めるというのだ。道理が通る手法だろうか》
   『●「監視社会ならん!市民ネット沖縄」《…国民に不安と不信をもたらす
     マイナンバーの制度そのものを根本的に見直し廃止することを求めます》
   『●《政府の対応が批判されると、河野は「日本だけデジタル化に背を向ける
     ことはできない」と意味不明なことを言い出した。フルスロットルの…》
    「《河野太郎デジタル相は「(トラブルは)マイナンバー、
     マイナンバーカードのシステムの仕組みに起因するもの
     ではない」として、悪いのは登録を誤るなどデータを
     入力した人間、ヒューマンエラーだという立場を崩して
     いない》…SNSでは、河野太郎氏こそ「エラーヒューマン
     との、もっともな指摘が。」

   『●自公お維コミの皆さん、《まずは政治家の政治資金の出入りを、政治家が
      大好きなマイナンバーカードにひもづけて透明性を高めたらいかがか》
   『●自公お維コミ国会議員や地方議員がまずはマイナカードを取得して見せて
     は? …琉球新報【<社説>マイナカード返納 保険証廃止を撤回せよ】
   『●【<ますます迷走マイナ保険証> 防大内部告発・「処理水」放出・大阪万博
      ・「捏造」大川原化工機【山田厚史の週ナカ生ニュース】】…落ち込むょ
   『●《マイナンバーカードの交付責任者を務めたこともあるという都内自治体
     …男性職員…「保険証廃止といった暴論は想像していませんでした」》
   『●2015年の日刊ゲンダイ【マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社
     と天下り官僚】…《納税者番号(財務省)、…運転免許証(警察庁)など…》
   『●アベ様のお友達・新浪剛史氏、キシダメ首相の「聞く力」に期待…健康保険
     証の来年秋廃止について《納期》までに《ぜひとも仕上げていただきたい》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/270061?rct=tokuhou

こちら特報部
新浪剛史氏「納期を守るの重要」マイナ保険証後押しが波紋 桜を見る会、サントリー不買運動まで蒸し返され…
2023年8月15日 16時00分

 マイナンバーカード一体化保険証(マイナ保険証)普及のため、岸田文雄政権がかたくなに守る来年秋の保険証廃止。この問題で、経済同友会新浪剛史代表幹事が、廃止時期を納期だとして、「納期を守るのは日本の大変重要な文化と発言、波紋を広げている。あたかも財界が政府に保険証廃止を発注し、その納期を守れと言っているようにみえるからだ。一体どういう背景からこうした発言が飛び出したのか。(岸本拓也安藤恭子


◆「日本の大変重要な文化」として連呼

     (経済財政諮問会議を終えて記者団の取材に応じる
      新浪剛史氏=7月20日、首相官邸で)

 納期発言は6月28日の記者会見で飛び出した。会見冒頭で、新浪氏は「質問があるだろうなと思って」と持論を語り始めた。

 「デジタル社会においてマイナンバーはインフラ中のインフラ」と訴え、「ミスがあるからやめましょうとかやっていたら、世界から1周、2周遅れのデジタル社会を取り戻すことはできない」と強調。政府が健康保険証の廃止を目指す2024年秋を「納期、納期であります」と位置付け、「民間はこの納期って大変重要で、必ず守ってやり遂げる。これが日本の大変重要な文化でありますから、(政府は)ぜひとも保険証廃止を実現するよう、納期に向けてしっかりやっていただきたい」と、納期という言葉を連呼した。

 6月末は、マイナ保険証に他人の情報がひも付けられるなど、トラブルが次々と発覚したころ。制度への不安が高まる中で、保険証廃止を推進する姿勢は、世間離れしているようにも見える。新浪氏とは、一体どういう経済人なのか。


◆「45歳定年制」を唱え炎上したことも

 「異色のサラリーマン出身経営者」と評するのは経済ジャーナリストの磯山友幸氏。「もともと三菱商事出身で、ローソンに行って経営を立て直したことでカリスマ経営者と呼ばれるようになった。その後、サントリーに転身して、プロ経営者としての色彩を強めた。サラリーマンからプロ経営者になった珍しいケースだ」と解説する。

 時の政権とも良好な関係にあり、安倍、菅、岸田の3政権で経済政策の司令塔と言われる経済財政諮問会議有識者議員を14年から兼任している。

 華麗な経歴をよそに、その発言は物議を醸してきた。21年に、法律で認められていない「45歳定年制」を提唱し、「中高年のリストラ策だ」と批判を浴びた。今年6月には、政府が児童手当所得制限撤廃を決めたことに「大反対だ」と批判した。


◆G7で同じことをしている国はない

 一方、「最低賃金1500円を目指すビジョンが必要」と賃上げを求め、同性婚の法制化についても「多様性の中で認めていくべきだ」と述べるなどリベラルな面も。磯山氏は「必ずしも政府寄りではなく、最近の経済人では珍しく、自分の思ったことをずけずけと言うタイプ。良く言えば腹が据わっているが、悪く言えば脇が甘い」と話す。

     (2019年4月、「桜を見る会」で招待客と記念写真に
      納まる安倍首相(当時、中央)=東京・新宿御苑で)

 とはいえ、マイナ保険証への反対論が強まる中で、納期発言に対してX(旧ツイッター)では、安倍晋三元首相の後援会が主催した「桜を見る会」前日の夕食会に、サントリーが飲料を無償提供していた問題なども再燃し、「サントリー不買運動」なる動きも出た。

 そもそも企業間での「納期厳守」と、幅広い国民を対象とする政府の政策の「実施時期」を同列にとらえる感覚はどうなのか。白鷗大の石村耕治名誉教授(情報法)はいぶかる。「G7(先進7カ国)で、日本のように血税を費やして官製のICカードに保険証を一体化させている国はないカードがないとデジタル社会に対応できないというのはまやかしだ。経済界はこうした世界の潮流を知っているはずなのに前向きなのは、IT利権があるからではないか」


◆ヒト・モノ・カネと並ぶ『情報資源』

 マイナ保険証は国民によりよい医療を提供するため、というのが政府の説明だ。一見、経済界との関係が分かりにくい。

 だが、名古屋大大学院の稲葉一将教授(行政法)は「新浪発言はいまに始まった考え方ではない。2000年代から、経済界が求める要望と政府のデジタル化政策とは、歩調を合わせてきた」と指摘する。

   (マイナンバーカード(一部画像処理))

 稲葉氏はマイナンバー法が制定された2013年に着目する。同年6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」は「『ヒト』『モノ』『カネ』と並んで『情報資源』は新たな経営資源」とし、この情報資源の活用こそが経済成長をもたらす鍵とした。

 稲葉氏は「個人情報を資源とみなしたこの段階で、医療や福祉、教育といった分野での情報収集や活用がすでに想定されている。マイナンバーの情報を連携すればその履歴から人物像を人工知能(AI)が解析し、製薬や教材づくりといったビジネス利用も可能となる」と話す。


◆「デジタル化」圧力かけ続ける経団連

 前年の12年には、経団連の要求を受け、各省庁の情報システムを統括する最高情報責任者に元リコー副社長が就任。16年にはマイナンバーカードの普及活用の促進を定める官民データ活用推進基本法が施行された。

 17年にはビッグデータの活用に道を開く改正個人情報保護法が全面施行。個人を特定できないようにした匿名加工情報なら本人同意なく売買可能とした。同年の経団連提言「Society5.0に向けた電子政府の構築を求める」は、「公共データの産業利用による新産業・新事業の創出等、わが国の経済社会、国民生活の活性化を図り、国際競争力強化に結び付ける」ことを掲げ、26年を最終目標年と定めた。

 19年には行政と民間事業者のシステム共通化を図るデジタル手続法も施行され、21年の経済財政諮問会議では経団連会長(当時)らが健康保険証の単独交付を取りやめ、マイナカードへの「完全な一体化を実現すべき」と求めた


◆「政治権力と一体化、あまりに質の低い発言」

 稲葉氏は「一つ一つは地味な動きだが、つなげていくと全て個人情報の収集解析につながる。国民は民主主義の主体なのか、資源として情報を吸い取られていく客体なのか」と問う。

     (8日、「マイナンバー情報総点検本部」の会合で
      あいさつする岸田首相)

 ジャーナリストの斎藤貴男氏は「カードのトラブルが相次ぐ中で、政治の暴走に歯止めをかけるのも本来は財界人の役割それが政治権力と一体化した新自由主義を象徴する、あまりに質の低い発言で思い上がりも甚だしい業の理屈を押しつけるんじゃない」と新浪発言を一喝する。

 マイナ保険証への要請は政府と経済界、とりわけITビジネスとそれに連なる金融などグローバル資本と一体化していると指摘する。「産業界は利益を得たい、政府はそれによって経済成長を促したい。天下りや企業献金にも有利にはたらく」と述べる。


◆データが「企業の利益」になる時代

 JR東日本は13年、IC乗車券「Suica(スイカ)」利用者の生まれ年や月、性別、乗降駅などの情報を無断で日立製作所に売却して批判を受け、提供を中止した経緯がある。「ポイント付与などは民間活用の一歩。次はこうした交通系の移動やキャッシュレスの買い物などの情報が大きなデータとして活用され、企業の利益となる」

 斎藤氏によると、米国の社会保障番号はベトナム戦争の際の徴兵逃れの捕捉にも使われてきた。「いまはグローバル経済が強いのでそれに使われようとするが、番号制度と国民管理はいつの時代も共にある」。カードの民間利用が進めば、個人情報の漏えいリスクも高まるとみるが「このまま突き進めば、国策の下で被害があっても泣き寝入りだ」と警告した。


◆デスクメモ

 記者にとっての「納期」とは、締め切り時間。上司のデスクから「あと5分」などと怒鳴られたことは数知れない。ただ、間に合わないなら無理は禁物というのも、また鉄則。財界というデスクがいくら騒いでも、国民が「その話はウラが取れません」と言う以上、強行突破は不可だ。(歩)


【関連記事】「桜を見る会」夕食会にサントリーが提供した大量のアルコールの記録 3年間すべて無償
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コメント (1)
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●「平成の治安維持法」で、室井佑月さんや斎藤貴男さん「なんて、最初から一般人扱いされないだろうしな」

2017年03月08日 00時00分31秒 | Weblog


リテラの対談記事【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第3回ゲスト 斎藤貴男/室井佑月が斎藤貴男と「共謀罪」を徹底批判!「安倍政権に逆らう人が片っ端から逮捕される」】(http://lite-ra.com/2017/03/post-2963.html)。

 《●共謀罪が成立したら、室井佑月も摘発対象になる?》。

 まず、この対談シリーズの第1回目と第2回目は、以下の通り。

   【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第1回ゲスト 金子勝(前編)
    室井佑月が経済学者・金子勝に訊く! このまま安倍政権が続いたら
    何が起きるのか、その恐怖のシナリオとは?】
     (http://lite-ra.com/2017/01/post-2849.html

   【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第1回ゲスト 金子勝(後編)
    右傾化するテレビで孤立、室井佑月が金子勝に弱音!
    「どんどん仲間がいなくなる」「右のやつらが羨ましい」】
     (http://lite-ra.com/2017/01/post-2850.html

   【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第2回ゲスト 山口二郎
    室井佑月が野党共闘を支える政治学者・山口二郎に
    「ワイドショーが野党を取り上げたくなる過激作戦」を提案】
     (http://lite-ra.com/2017/02/post-2907.html

 「平成の治安維持法」なんて要らいない。「テロ等準備罪 必要46%」というような法案なのか?」…という異常な状況。(室井佑月さん)「なんで2週間余りの祭りのために、大切な人権を蔑ろにされなきゃならないの?」、それに尽きる。
 《私と斎藤さんが異常なわけじゃないんですね》!? 当たり前です。アッチが「異常」。

   『●室井佑月さん、「なんで2週間余りの祭りのために、
           大切な人権を蔑ろにされなきゃならないの?」
   『●ダークな五輪のために「大切な人権を蔑ろに」!? 
       …なぜならニッポンは人治主義国家、アベ様王国だから
   『●「「共謀罪」の必要性強調 首相「東京五輪開けない」」…
              ならば、共謀罪も不要だし、五輪開催権も返上を
   『●「閣僚の適格性に関わる重要問題」連発…
      そもそも「テロ等準備罪 必要46%」というような法案なのか?
   『●「瑞穂の國記念参院予算委員会」は酷かった…
       「平成の治安維持法」を目指す「裸の王様」の取り巻きの醜さ

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http://lite-ra.com/2017/03/post-2963.html

室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第3回ゲスト 斎藤貴男
室井佑月が斎藤貴男と「共謀罪」を徹底批判!「安倍政権に逆らう人が片っ端から逮捕される」
2017.03.04

 東京新聞の「大波小波」でも取り上げられるなど、各方面で大きな反響を呼んでいるこの連載対談。ところが、そのことを当の室井佑月に報告しようと電話したらいきなりこんな苛立った声が返ってきた。

   「反響があったとか喜んでる場合じゃないって! そんなことより
    共謀罪やばいよ、なんとか止めなきゃ!」「次は、共謀罪の恐ろしさを
    みんなにわかりやすく伝える対談やるよ!」

 そう、室井はあいかわらず本気なのである。ということで、今回は、共謀罪が初めて法案提出されたときから、その危険性を訴えてきたジャーナリスト斎藤貴男氏をゲストに迎え、安倍政権が今国会で成立をもくろむ共謀罪の問題点を、一から検証することにした。
 対談では、共謀罪がいかに危険で不要なものであるかはもちろん、その背景にある安倍政権の意図やマスコミの現状に対する鋭い指摘も飛び出した。今回もぜひ刮目して読んでいただきたい! 

(編集部)
……………………………………………………………………………


●共謀罪が成立したら、室井佑月も摘発対象になる?

室井 あたし、安倍政権に対しては怒りだらけなんだけど、いまはやっぱり共謀罪のことが一番心配なんですよ。共謀罪はこれまで合計3回も法案が国会に提出され、その度に廃案になっているけど、今回は提出するのが安倍政権でしょ。国民を騙して強引に成立させかねない。政府は法案の名前を「テロ等組織犯罪準備罪」に変えるなどと言ってましたけど、基本は共謀罪と同じなんでしょう。

斎藤 同じというか、共謀罪そのものです。共謀罪は犯罪を犯す以前の、相談や計画、準備段階で処罰可能という法律で、何の犯罪も犯していないどころか、その危険性がなくても適用できる。捜査当局が恣意的に運用すれば、極端な話、誰でも自由に逮捕できるとんでもないシロモノなんです。最近になって、対象の犯罪を原案の676から277に絞り込む方針を打ち出したけど、完全に目くらまし。しかも当初は“テロ”を前面に押し出していたけど、その後明らかになった条文案では“テロ”と表記がなくなっている。本質はまったく変わっていません。国民をバカにするのにも程があります。

室井 『東京新聞』がすっぱ抜いた条文案ですね。それによれば、テロの文言がまったくないどころか、テロ以外の犯罪が6割もあるってことも分かった。結局、安倍さんはテロという言葉を最大限に利用しただけだし、普通の市民や企業も対象になる可能性はますます高まってきましたよね。斎藤さんの本『「共謀罪なんていらない?!」──これってホントにテロ対策?』(共著/合同出版)に書いてありましたけど、共謀罪って“心の中を取り締まる法律”、憲法の思想・良心の自由をふみにじるものですよね。でも、具体的には、どんなことが起こるんだろう?

斎藤 たとえば、この対談のタイトルって「アベを倒したい」でしょ。極端な話、共謀罪が成立したら、それだけでも“テロリスト”扱いされて室井さんも僕も逮捕される可能性があるということです。権力側が「こいつら、批判ばかりしていて気に食わない」と思ったら、この法律を使えば簡単に犯罪者にできちゃう。なにしろ防衛大臣だった石破茂さんが「デモはテロ」と公言できてしまう政権なんだから。

室井 マジか。まあ、政府は「一般人は対象にならない」と言ってたけど、きっと私や斎藤さんなんて、最初から一般人扱いされないだろうしな(笑)。

斎藤 その「一般人は対象にならない」というのが最大のインチキなんだよね。多くの国民がこれに騙されて、共謀罪に関心を払わなくなっている。だから弁護士さんたちた僕はよくこんなたとえを出して警告しています。「飲み屋で上司の悪口をみんなで言っていて、『ぶっ殺してやろうか』という話になればそれも対象になるかもしれない」と。

室井 え〜、それはいくらなんでもリアリティがないよ。みんな「まさか〜」と笑って終わりになっちゃいますよ。だったら、沖縄高江のヘリパッド反対運動の例とか出したほうがいいんじゃないですか。この運動の中心的な役割を担ってきた山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)は逮捕されて、微罪なのにもう4カ月以上も不当勾留されているでしょ。いまでもそんなことが起きてるのに、もし共謀罪が成立すれば、高江の反対運動にかかわっている人たちは全員、“犯罪集団”“テロ集団”ってことにされて逮捕されてしまう。そういう権力の恐ろしさを伝えたほうが説得力があると思う。

斎藤 そうも思わないでもないけど、逆なんじゃないかな。いまの状況だと、沖縄の基地反対の例をもち出しても、誰も自分事とはとらえてくれない。本土の人間の多くは沖縄の基地問題を“特殊な例”として片付けてしまってるから。悲しいことだけど、でも、これは共謀罪についても同様で、国民の多くは権力に批判的な“特殊な人”だけが対象で、“普通に生活していれば逮捕されない”と思っている。でも、そんなことはないんだよ。さっきも言ったように、共謀罪の対象となる犯罪は絞り込んだいまも300近くあって、そのなかには、薬物とか詐欺とか偽証とか通貨偽造とか、テロとなんの関係もない犯罪が6割もある。最初は限定的に運用されたとしても、一旦成立したら、いくらでも広げていくことができる。誰もが摘発の対象になり得るんです。ハードルは可変的なのだから、それを訴えないと。第一、世の中はこれからもずっと続くんだよ。いまの安倍さんみたいな総理大臣が、独裁的な権力を振るう時代がくるなんて、たとえば30年前に誰が本気で予想した? で、今は確かに安倍さんが戦後最悪ではあるけど、これからもっともっとトンでもないのが出てこない保証はひとつもない。国家権力というのは必要悪だと思うけど、どこまでも暴力装置なのだから、よほど厳しく縛りをかけておかないと。それが立憲主義の精神です。

室井 法律名に「テロ等」って「」がついてるから、拡大解釈する気満々だとは思ってたけど、いろんな犯罪が対象になるんでしょ? そういえば、LINEやメールで同意しただだけでも、共謀罪が適用されるという話も出てましたけど、本当なんですか。たとえば、過激な友人が「こうなったら官邸に突撃しよう」とかいうLINEやメールを送ってきて、つい「いいね」と返事しちゃったら、つかまっちゃうとか。

斎藤 法務大臣も答弁で認めてからね。同意どころか、LINEだったら既読スルーしただけでも逮捕される可能性がある。それと、共謀罪の処罰対象を「組織的犯罪集団」に限定するなんて言ってるけど、それを決めるのも捜査機関でしょう。解釈次第でどうにでもなる。事実、法務省は2人以上で団体とみなされると言ってるし、最近、国会では処罰対象について、「普通の団体」が“性質を変えた場合”「組織的犯罪集団になりうる」という政府統一見解を示した。これって、市民団体や労組なども捜査機関が“性質を変えた”と言えば、いつでも「組織的犯罪集団」として共謀罪が適用されるということ。実際、彼らの立場ならそれはそうでしょ。テロを起こす前から、わざわざ「我々はショッカーです」とか、「黒い(ブラック)幽霊団」ですとかの看板を掲げる奴は珍しいわけで。で、「デモはテロ」と考える人たちなんだから、沖縄の基地反対運動や安保法制デモに参加した人が逮捕されない方がおかしいことになる

室井 しかも、一旦、捜査対象になったら、盗聴もやりたい放題になるんでしょ? 気に入らない人間をとりあえず逮捕して、それ以前に盗聴していた内容を使って微罪でも何でもデッチ上げられる。

斎藤 昨年の刑事訴訟法改正で、警察は盗聴し放題になったからね。あらゆる犯罪で、電話会社の立ち会いがなくても自由に盗聴できるようになった。それと、逮捕されなくても、共謀罪があるというだけで萎縮効果を生むというのが大きい。共謀罪の怖さは、そうした恐怖が空気となって常に漂い、お互いを監視しあい、人間不信に陥らせることです。特高警察が支配した戦前の日本や旧ソ連のKGB、旧東ドイツのシュタージ、いまの北朝鮮のような社会になるってことです。要するに思想や言論を処罰したい。それに尽きる

室井 安倍さんが共謀罪に固執している目的も、最初はテロ対策なんて言っておいて、結局は条文案から削ってしまった。大嘘だった。本当の目的は自分たちにとって都合の悪い集会やデモ、話し合いを一切させないことその対象はテロリストではなく、“政権に逆らう人なんだよね。


●安倍首相の説明は嘘だらけ! 本当の狙いは政権批判封じ

斎藤 もともと、共謀罪の本質は治安維持、つまり権力に従わない国民を片っ端から“犯罪集団”と認定し、権力を批判する人々を排除しようとするものだからね。しかも、共謀罪は安倍首相ととくに相性がいい。安倍首相の究極の願望は“国民が一丸となり同じ方向を向くのは当然という全体主義だから、それを実現するには格好の道具になる。

室井 しかも、安倍さんって、こんな悪法でも手柄だと思っていて、「歴史に名を残したい」とか言ってそうだしな(笑)。

斎藤 安倍さんの御母堂・洋子サマによると“晋三は宿命の子”らしいからね。「文藝春秋」のインタビューで、そう話しているんだけど、いやはや、なんともはや、マンガだね、ありゃ。俺も『巨人の星』が好きで、“宿命のライバル”とかカッコイイとは思うけど、本気でマンガの主人公になりきった気になるほど幼稚じゃない。

室井 だったらうちの息子だって宿命の子ですよ。ていうか、母親にとって自分の子どもは全員が宿命の子です! それを首相の母親が公言するなんて、本当に恥ずかしい。あ、つい熱くなっちゃったけど(笑)、とにかく、怖いのはこんなとんでもない法律が通りそうなこと。安倍さんに「テロを防ぐためには絶対必要」と言われて、信じちゃう人も結構いたもの

斎藤 テロを取り締まる法律なんて、現時点でも事前の段階で取り締まれる各種予備罪のたぐいが合計58もあり、凶器準備集合罪のような独立した罪とあわせたら、いくらでもある。共謀罪なんて、タテマエとしたって必要がない

室井 あと、私が一番呆れたのは、安倍さんが「国際組織犯罪防止条約」という条約締結のためにはこの法律が絶対に必要で、「この条約を締結できなきゃ、東京五輪を開けないと言っても過言ではない」って言ったこと。本当に五輪開催に必要なら、共謀罪をつくるんじゃなくて、オリンピックを返上したほうがいい。ていうか、共謀罪がなくても東京が開催地に選ばれているんだから問題ないはずでしょ? 

斎藤 あれはまったくの嘘です。国際組織犯罪防止条約を結ぶ187の国・地域のうち、締結に際して国内で共謀罪を新設したのはノルウェーとブルガリアのたった2カ国だけ。日本政府はこれまでに、国連のテロ対策関連条約のうち主要な13本を批准し、日本の国内法ではすでに57もの重大犯罪について「未遂」の前段階で処罰できるように整備している。日弁連も共謀罪立法がなくても国連条約締結は可能だと指摘しています。

室井 でも、そういうこと、全部ごまかしているでしょ。金田(勝年)法務大臣の国会でのめちゃくちゃな答弁、あれ何よ! ハイジャック目的の航空券予約は「現行法で対処できない」なんて言ってたのに、民進党の福山哲郎議員の追及で、現行法の予備罪が適用できることがバレたり。

斎藤 あの人には政治家の以前に、そもそも社会人としての資格も能力も著しく欠如しています。

室井 しかも金田大臣があまりにアホで答弁にすら答えられないから、「法案については成案を国会に提出した後、法務委員会で議論を重ねるべき」なんて文書まで出したでしょ。後になって撤回したけど、事実上の野党質問封じ、議論封じ。何やってんだか。でも、こんな調子でも、成立しそうだから怖いよ。

斎藤 安倍首相の辞書には以外の項目が載っていないから。安保法制成立前の2015年4月にアメリカ議会で「一般に海外派兵は認めらない」なんて言ってたけど、これも大嘘だった。TPPも“絶対反対”って言っていたのに強行採決で成立させた。こうした安倍政治に国民はすっかり慣らされてしまって違和感さえももたないことも大きな問題だと思う。こんなことしてると、共謀罪どころかもっとひどいことになると思うよ。電話やネットだけでなく、事務所や団体に忍び込み、盗聴器や監視カメラを取りつけての監視活動さえ行われる危険性もある。これは実際に警察内部の検討会で「会話傍受」という名前で提案されていることなんだ。

室井 もうすでにやっていませんでしたっけ? 昨年8月に、大分県警別府署員が民進党関連建物の敷地内に無断で立ち入って隠しカメラを設置して、問題になったことがありましたよね。

斎藤 建物外に取り付けることはもうやっているけど、それを室内にまで広げようとしている。とにかく、僕たちが考えるよりはるかに異常な世界になっている。

室井 もう、どんどんそうなって来ていますよ。この異常な世界に何か対抗手段はないんですか?

斎藤 まず第一に、とにかくこんなバカげた政権をさっさと退陣させ、共謀罪だけじゃなくて、盗聴法だの“マイナンバー”──ホントは「スティグマ(奴隷の刻印)ナンバー」だけど──だの顔認証機能付の監視カメラ網だのといった、人間を支配するための悪法や仕組みを根絶する。で、そこまで持っていく過程で一番大切なのは「気にしない」ことでしょう。気にしはじめたら、たとえば「政権批判なんて一切やらないほうがいい」となってしまうけど、「やったら捕まるかもしれないけど、それは悪いことではない」という意識をもつこと。空気を忖度しない、これに尽きると思う。逮捕されても、「自分は正しいことをして捕まったんだから、何も問題はない」と思うしかない。少なくともこの場合は、ひとりよがりではないよ。悪法でも法は法、かもしれないが、こんなものは人間の真実なんかじゃない人間にはやっていいことと悪いことがあるんだ

室井 それは斎藤さんがジャーナリストで、権力批判をするという当然の責務をもっているから。でも多くの一般の人は、やっぱり怖いよ。心のなかを覗かれて、会話を盗聴されて、ちょっとでも気に入らないと逮捕されて。それで新聞に実名が載っちゃうんだよ。サラリーマンだったら解雇されちゃうかもしれないし。

斎藤 僕だって積極的に捕まりたいとは思わないよ。でも今のような絶望的な世の中で、無理をして保身に汲々してもひとつもいいことない。何よりも、支配されるだけの生き物に成り下がったら、人間はオシマイじゃないですか。だから開き直るしかないと思っている。

室井 安倍さんに寿司に誘われて喜んで食べているメディアの人たちは、保身しか頭にないみたいだけど(笑)。


●安倍政権下で進むグローバル資本主義ファシズム

斎藤 メディアの体たらくは論外ですね。共謀罪は最近になってようやく反対キャンペーン的な報道も散見されるようになったけど、それだって市民運動の力に押された結果。独自の調査報道なんて、まずやろうとしない。そもそも監視社会のテーマがすごく嫌われるようになった。以前は「週刊文春」でも連載させてくれたけど、いまはメディア状況が激変した。「そんな話題は誰も興味がないから、やめてくれ」と言われてしまう。

室井 マスコミだけじゃなく、フリーのジャーナリストも変わってきてません? だって2002年の住基ネットや、2003年の個人情報保護法にしても、多くのジャーナリストが集まって反対の声を上げたけど、マイナンバー制度や共謀罪については批判の声が少ないと思う。

斎藤 そうなんだ。「斎藤さん、頑張ってください」で終わり。以前は監視社会の恐ろしさや問題点を知っている人たちが現役だったからね。古い世代の人々は戦争を体験していたり、皮膚感覚で権力の暴走の怖さをわかっていた。でも、あれから10年以上経ったいま、当時運動をしていた人たちも高齢化し、いい加減くたびれたんでしょう。そして何も知らない若者が大人になり、ネットなどで番号に慣れちゃって鈍感になっている。さっき、旧ソ連や旧東ドイツ、北朝鮮みたいなファシズムになるといったけど、共産主義ではないので、グローバル資本主義によるファシズム社会が出来上がりつつある、と言った方が正解ですね。世界的に見てもそう。新自由主義やグローバリズムというのは、巨大資本の経済的利益以外のものに一切の価値を認めない。みんなが金持ちになるというならまだしも、いまで言うところの“成長”の意味って下々の金を吸い上げて、大企業が太る=成長”でしかないんだけどね。

室井 なんでみんなそのことに気がつかないんだろう。私はこの現状を、なんとか大きく変えたいんだけど。

斎藤 それは僕もそうだけど、焦ってもしようがない。とにかくいまは自分を見失わないようにと常日頃考えている。監視社会の問題点を取材し続けてきたけど、最近は「もしかして自分のほうが狂っているのか?」と思うときさえあるからね(笑)

室井 その気持ちよ〜くわかります。世論調査で安倍さんの高い支持率が出ると、「ひょっとして私が間違っているの?と思うことがあるもの。でも潮目が変わるときはきっとくる。それにマスコミにもやっぱり期待したいんです。私は1970年代生まれですけど、その世代の文系の最高峰って、朝日新聞社の記者になるというイメージが強い。頭が良くて正義感もあって。だから「金儲けがすべてじゃない。金儲けばかりを唱えている人間は恥ずかしいという社会正義の観点があった。それを取り戻して欲しい。

斎藤 確かに僕と同世代か上の人で、記者になったような人たちは、「戦争のない世の中をつくりたい。平等な世界をつくりたい」という動機が主流だった。僕なんかはその中では、最も志の低い記者でした。

室井 私の本業は、物書きじゃないですか。物書きってみんな、戦争反対とか、権力を疑うという共通の意識があると思ってた。新聞記者やテレビに出ているコメンテーターも含め、権力批判するのは当たり前だと思っていました。でもそうではなく権力をヨイショして、平気で戦争に協力しようとする人がどんどん増えて。逆に、誰も「戦争反対」って声を上げなくなってしまって。そんなのって、鼻から牛乳を飲むくらいおかしなことでしょ? こんな状況でヤバイくない? それとも、私がおかしいの? わからなくなっちゃう。

斎藤 でもちょっといい話がある。昨年12月6日に保阪正康さんの『ナショナリズムの昭和』(幻戯書房)の出版記念パーティーがあって、文藝春秋の松井清人社長が発起人代表として挨拶した。そこで松井社長は「“右翼的独善”の象徴みたいな政権に対して、正面からモノを言いにくい。(メディアが)異を唱えようとしない現状はおかしい」と発言したんだ。同じく文藝春秋の元専務だった半藤一利さんも、「昔は“反動”と言われていた私が、今や極左と言われている。世の中、どうなっちゃったの?」だって。あの文藝春秋の社長や元幹部が、だよ。保守の代表メディアでさえも危機感をもつほどヤバい世の中ということだし、そもそも物書きやメディアが権力批判をするのは当たり前。しかもそれが商売だし特権でもあったはずだからね。

室井 そんな特権を捨てちゃういまのマスコミってバカなのかな。

斎藤 バカなんでしょう。なんてもったいない。ほとんどの職業は“お上”がどんなに酷いことをやっても、逆らわず、その枠のなかで儲けることが賢いと考えられていると思うけど、しかしマスコミと物書き、弁護士と大学の先生は、権力批判が生業なんだ。特権というか、それが責務のはずなんだけどね。

室井 でも、実際のメディアは萎縮しきっていますよね。安倍政権についてだけじゃなく、視聴者や読者のクレームやネットでの批判にも過剰に反応する。だから、萎縮させない努力しているんです。いいことを書いた記者には「よく戦った」と名前を出して褒めるようにしています

斎藤 僕も講演会で「私たち市民はどうすればいいですか?」と聞かれたら、「いいと思うメディアがあったら、ぜひ直接電話して褒めてください」と言うようにしています。マスコミはこのところ、文句ばかり言われているからね。良い報道は褒めてもらわなくちゃ

室井 『ニュース女子』(TOKYO MX)問題で、安田浩一さんや津田大介さんがMXへの出演を拒否していたのも、それはひとつの見識だと思うけど、私はテレビ局との意見が違っても、サンドバックのように批判されても、追い出されるまでテレビに出続けます。自分から「もう出演しません」と言ったら負けだと思うから。それでもし追い出されたら「追い出された! 追い出された!と言いまくる。それも作戦だと思ってる。

斎藤 それもまた見識だと思います。多様性を否定し、権力に隷属させようとするのが共謀罪の本質です。だからこそ室井さんのような存在は貴重だし、必要なんだ。

室井 じゃあ、最後にもう一度確認しますけど、私と斎藤さんが異常なわけじゃないんですね

斎藤 もちろん(笑)。でも、異常と言われても最後まで頑張って共謀罪を阻止しましょう

……………………………………………………………………………

斎藤貴男 ジャーナリスト、1958年生まれ。日本工業新聞、「週刊文春」記者などを経てフリーに。著書に『「非国民」のすすめ』、『ジャーナリストという仕事』『「マイナンバー」が日本を壊す』、「『戦争のできる国へ──安倍政権の正体』など多数。

室井佑月 作家、1970年生まれ。レースクイーン、銀座クラブホステスなどを経て1997年作家デビューし、その後テレビコメンテーターとしても活躍。現在『ひるおび!』『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS)、『あさイチ』(NHK)などに出演中。
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●「今、声を上げなければ」!: 「戦争の実態を伝えるために作家になった」城山三郎さんはきっと怒り心頭

2016年06月04日 00時00分21秒 | Weblog


東京新聞の吉岡潤記者による記事【9条守れ「怒るべきとき」 父・城山三郎氏の遺志継ぐ大集会】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201606/CK2016060302000126.html)。

 《「戦争で得たものは憲法九条だけだ」-。二〇〇七年に亡くなった作家城山三郎さんが、よく口にした言葉だ》。

 《戦争の実態を伝えるために作家になった人城山三郎さん。《特攻を命じた側に常に厳しい視線を向けた作家》でもある。《平和憲法こそ生き残る者の夢であり、守ることが使命》という城山さん、きっと、いまのニッポンの姿を見て、怒り心頭だろうと思います。
 何度も引用します。城山三郎さん曰く、「日本は先の戦争で、ほとんどすべてを失ってしまった。唯一、得られたのは、憲法九条だけだ」。

   『●『城山三郎の昭和』読了(2/3)
     「『大義の末』を書いた城山さんの「強い反戦意識」。
      「・・・・・・ 戦争待望論を唱える若い文士がいると聞いて、
      鳥肌の立つ思いがする。平和の有難さは失ってみないと
      わからない ・・・・・・ 失ってからでは、おそすぎるというのに」」

   『●『佐高信の新・筆頭両断』読了(1/2)
     「城山さんは、「・・・言論の自由のない当時の時代や社会、
      そして国が強制したのだと強調・・・「九条をね。
      とんでもないことだね。だって、日本が負けて得たものは
      あれしかない、『戦争をしない』ということしかないんだから」」、
      「言論統制が一度始まれば、とめどなく拡大・・・『美化』と
      いう形での情報汚染」」

   『●「袴田事件の次は狭山事件だ」
       『週刊金曜日』(2014年5月23日、992号)

     「【佐高信の新・政経外科第2回/追悼 渡辺淳一様】、
      「城山三郎さん・・・「・・・を語る時、勲章拒否
      現行憲法擁護の二点だけは外してほしくない・・・
      『戦争で得たものは憲法だけ』と口癖のように・・・
      まさに城山さんの遺言というべきでしょう」」。
      (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/38fef8e43cb96129b5209ba4f5be0214)」

   『●「人道なんてなかった」頃の「戦争できる国」の現実
    「靖国神社にある遊就館の片隅に奇妙な像がある。
     潜水服姿で頭には大きなかぶと。両手で長い棒を持ち、
     身構えている。先端に付けられているのは機雷である
     ▼・・・本土決戦を水際で食い止める「人間機雷の存在は
     ほとんど知られていないのだから
▼・・・竹ざおの先の機雷を
     突き上げて自爆する。「伏龍」と名付けられた
     水際特攻隊である▼・・・潜水具には構造的な欠陥があり、
     多くの若者が訓練中の事故で命を失った
▼当時の
     戦争指導者の愚劣さが凝縮されている人間機雷を
     考えたのは、参謀として真珠湾攻撃の作戦を
     立案した人物
だ。・・・▼戦争が長引けば伏龍の要員に
     なるはずだった人物に城山三郎さんがいる。
     特攻を命じた側に常に厳しい視線を向けた作家の原点
     だろう。「日本が戦争で得たのは憲法だけだ」。
     城山さんの言葉が重く響く。」

   『●城山三郎さんと反戦  
     「▼城山さんは「日本は先の戦争で、ほとんどすべてを失ってしまった。
      唯一、得られたのは、憲法九条だけだ」と語っていた。戦争体験と憲法が
      強く結びついた世代は減っている。憲法への思い入れの少ない若い世代
      城山さんの言葉はどう伝わるのだろうか▼あの戦争で新聞は「旗」を振り、
      国民を熱狂させ国を破滅に導いた

   『●城山三郎さん「戦争で得たものは憲法だけ」
        「平和の有難さは失ってみないとわからない」
   『●子供や弱者を守れない国:
      我国では14年連続で自殺者が3万人を越えて・・・

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201606/CK2016060302000126.html

9条守れ「怒るべきとき」 父・城山三郎氏の遺志継ぐ大集会
2016年6月3日 朝刊

     (井上紀子さんは「9」がつく日にJR茅ケ崎駅前に立ち
      反戦を訴えている=神奈川県茅ケ崎市で)

 「戦争で得たものは憲法九条だけだ」-。二〇〇七年に亡くなった作家城山三郎さんが、よく口にした言葉だ。その城山さんが暮らした神奈川県茅ケ崎市で四日、「9条かながわ大集会2016in湘南ちがさき」が開かれる。実行委員長を務めるのは、城山さんの次女で「九条の会・ちがさき」の井上紀子さん(57)。「怒るべきときに怒らなければいけない、と父は言っていた。今、声を上げなければ」と語る。 (吉岡潤)

 井上さんに言わせれば、「父は戦争の実態を伝えるために作家になった人」。十七歳で志願して海軍特別幹部練習生となり、十八歳の誕生日を迎える三日前に終戦を迎えた。経済小説の書き手として名をはせる一方、戦争を題材にした作品を残した。

 ただ、井上さんが父の口から戦争の話を聞くようになったのは晩年だ。「つらすぎて口にできなかったんですね」

 〇一年、城山さんは当時の小泉純一郎首相に会い、個人情報保護法案異を唱えた。井上さんが当時を振り返る。「焦燥感に包まれていた。表現や報道の自由が奪われれば、戦争に突入していったあの時代と同じになる、大変なことになると」

 〇六年六月、城山さんは「九条の会・ちがさき」の依頼に応え、メッセージを寄せた。戦争が長引いていたら相模湾で水中特攻伏龍(ふくりゅう)」隊員として命果てていたはずだ-と。伏龍は、爆雷の付いた棒を持って海底に潜み敵船を突き上げて自爆する部隊だ。そして「平和憲法こそ生き残る者の夢であり、守ることが使命だ」とつづった。同年十一月には、市内の催しに参加した九条の会のテントにも足を運んだ。

 「市民の活動を心強く思って共感していた」と井上さん。翌年三月に城山さんが亡くなると、「父の遺志を継ぎたい」と会に加わった。


 昨年九月、強行採決を経て安全保障関連法が成立した。「何をやっているのかと父に怒られそうな気がする。諦めてはいけない」。四日の集会を「今の政治をおかしいと感じ、それを選挙の投票行動につなげる契機にしたい」と話す。

   ◇

 「9条かながわ大集会」は茅ケ崎市民文化会館などで開催。午前9時半から憲法や自衛隊、教科書、原発などをテーマにした分科会。午後1時からの全体会ではルポライターの鎌田慧さん、東京大大学院教授の小森陽一さんが講演。参加費1000円。問い合わせは、実行委の後藤仁敏(まさとし)さん=電090(####)####=へ。
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●政治家の耳には市民の反対の声は届かず: 特定秘密隠蔽法案が衆院通過

2013年12月01日 00時00分11秒 | Weblog


東京新聞の一連の社説【特定秘密保護法案(1) 自由に壁が築かれる】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013111802000144.html)、
【特定秘密保護法案(2) 情報は国民のものだ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013111902000124.html)、
【特定秘密保護法案(3) 崖っぷちの「知る権利」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112002000162.html)、
【特定秘密保護法案(4) 捜査が暴走し始める】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112102000145.html)、
【特定秘密保護法案(5) 新しい権力が誕生する】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112202000145.html)。

   『●「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」、騙す阿呆に、騙される阿呆
   『●東京電力原発人災「被ばくに関する正確な情報が
           伝えられなかった・・・身近で必要な情報が一層隠される」
   『●西山太吉さん密約事件が示すもの:
          「一人歩きし、拡大解釈され、時の権力によって必ず乱用される」
   『●西山太吉さんが喝破、「うそをつく人たちが作ろうとしている危険な法案」
   『●「「人間が近づけば即死──」特定秘密保護法が隠そうとする、
                         福島第一原発4号機の“不都合な真実”」
   『●特定秘密保護法案: 「うそをつく人たちが作」る猛毒を
                     「いい内容に仕上がっている」認識とは!?
   『●「世紀の大悪法 特定秘密保護法案」 『週刊金曜日』(11月15日、968号)についてのつぶやき
   『●「「秘密」は秘密」: 「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいた時代に逆戻り
   『●特定秘密保護法案「改悪」協議: 
           沖縄密約事件時どころか、戦前の「治安維持法の再来」
   『●「秘密保護法案は廃案に」 『週刊金曜日』(11月22日、969号)についてのつぶやき
   『●騙されることの責任、再び: 特定秘密保護法案を
              仲良く協議する翼賛与党・翼賛野党議員に投票した人々

 馬耳東風。馬さんや鹿さん議員の耳には、これだけの市民の反対の声は届かないようです。とうとう、一部の皆様が白紙委任してしまった自公議員、さらに与党もどきの翼賛野党議員との改「悪」作業という猿芝居、デキレースの挙句に、衆院を通過してしまいました。何とか心ある参議院の皆さんに頑張ってほしいのですが、状況は厳しい・・・・・・。

 今思うと、山本議員のお手紙「事変」猪瀬「ト」知事の賄賂事件はこの特定秘密「隠蔽」法案を「隠蔽」するための騒ぎだったのではないか?、とさえ思えてきます。それにしても、福島「TM タウンミーティング」で、自民党推薦者も含めて全員がこの隠蔽法案に反対の声を上げたにもかかわらず、全くの無視とは!、一体どんな神経なのでしょうね? 自公議員、さらに与党もどきの翼賛野党議員に投票した方々に、是非、お気持ちを聞きたいものです。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013111802000144.html

【社説】
特定秘密保護法案(1) 自由に壁が築かれる
2013年11月18日

 特定秘密保護法案は「戦争をしない国」から「戦争ができる国」に進める歯車の役目さえ果たす。
 日本版NSC(国家安全保障会議)を設ける法案とセットで提案されているうえ、その先には国家安全保障基本法案が見えているからだ。自民党の法案概要では、憲法九条を改正しなくとも、集団的自衛権の行使ができる魔法のような法案だ。
 同党幹部は米中央情報局(CIA)のような諜報(ちょうほう)機関を新設することも公言している。この文脈が示すのは、軍事や治安分野への傾斜度を格段に高めることだ。秘密保護法案をめぐる国会の議論は、この大きな視野が欠けている。
 政府は米国から情報をもらうために秘密保護法が必要だと説明する。だが、他国の軍隊や治安機関から情報を得るには、相互主義が基本である。「ギブ・アンド・テーク」が鉄則とされる。
 「秘密保護」という表面の言葉に惑わされず、裏面の「ギブ」にも注意を払うべきだ。米国に提供されうる重要情報である。現状は不明だが、その収集活動にあたるのは防衛・公安当局などだ。
 対象は中国や北朝鮮、イスラム系など在留外国人の動向にとどまらないはずだ。米軍基地の反対運動や反原発運動など、幅広い市民活動に対しても監視が強まるだろう。これを正当化し、本格化させるのが裏面の目的といえよう。
 そもそも、法案の前提にされる「日本はスパイ天国だ」という指摘は本当だろうか。安倍晋三首相が「過去十五年間で情報漏えい事件を五件把握している」と答弁したのが、正直な現状ではないか。現行法でも十分に対処できるうえ、立法事実も存在しない。
 もし、この法案が成立すれば、蛇口を閉じるように、行政機関からの情報量が大幅に減る心配がある。何が「特定秘密」かも明らかでないため、公務員側はジャーナリストの取材にたじろぐ。一般情報さえ口にしにくい空気が役所内部に醸成されよう。
 個人情報保護法ができたとき、さまざまな名簿が忽然(こつぜん)と消えた。それ以上の萎縮効果が広がるだろう。民主主義社会は自由な情報に基づいて築かれている。厳罰法制は、知る権利や報道の自由などに鎖をつけるに等しい。
 行政機関の情報漏えいならば、内部の情報保全を徹底すれば済む。社会全体に投網をかける必要はない。情報統制色を帯びる法案を成立させてはならない。 (論説委員・桐山桂一
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013111902000124.html

【社説】
特定秘密保護法案(2) 情報は国民のものだ
2013年11月19日

 「迷ったら、公務員は情報を開示することが原則だ」

 米国のオバマ大統領は一期目の就任初日に、こんな趣旨のメモを記した。軍事大国で、元CIA(米中央情報局)職員スノーデン氏が告発したように、通信情報を広範に収集している国だ。
 だが、基本的に情報はオープンという伝統を持つ自由と民主主義の大国である。情報公開を促す「情報自由法」を持つ。国家機密でも解除は十年未満に設定され、二十五年たつと「自動解除」原則がある。五十年、七十五年の例外的なケースもあるが、行政機関がずっと秘密を持ち続けることの方が困難な制度をつくっている。
 機密の指定段階でも大統領令で、行政機関の「長」はフリーハンドで行えず、常に「説明しなさい」という状態に置かれる。疑念があれば、行政内部で異議申し立てが奨励される。外部の委員会に審査請求できる仕組みもある。
 ここで機密解除された裁決は二〇一〇年度で68%にのぼる。秘密の範囲が無限定になると、民主主義が危機に陥ってしまう。同年には過剰な機密指定を削減する法律もつくったほどだ。
 秘密保護法案は秘密の指定や保管、解除、処罰に大きな欠陥を抱えている。海外メディアの特派員でつくる「日本外国特派員協会」が「報道の自由および民主主義の根本を脅かす悪法だ」と声明を出したのも、うなずける。
 そもそも行政情報は国民のものである。国民主権原理が常に働いているからだ。外交上の秘密であっても、必要最小限のみを指定すべきであり、秘密保持期間も本来は一時的でなければならない。その外交政策が後に適切であったかどうかの検証も必要である。

   「国政に関する情報が基本的に国民に開かれていることが原則である。
    (中略)なんでも秘密だというのでは、自由の原則が崩れてしまう」

 一九八〇年代にスパイ防止法案が論議されたとき、谷垣禎一法相は月刊誌にこう書いた。「刑罰で秘密を守ろうという場合は、よくよく絞りをかけておかないと、人の活動をいたずらに萎縮させることになりかねない」とも記した。まっとうな意見だ。
 現在、谷垣氏は「当時と状況が違う」と語るが、「自由の原則」は不変のはずだ。民主主義の根幹を揺るがす法案には、外国特派員とともに「悪法」と呼びたい。 (論説委員・桐山桂一)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112002000162.html

【社説】
特定秘密保護法案(3) 崖っぷちの「知る権利」
2013年11月20日

 国民の「知る権利」と安全保障は、いわば綱引きのような関係である。政府は「秘密にしたい」と言い、国民は「情報を公開してほしい」と願う。調整をどのように図ったらいいのか。

   「あらゆる人は、公的機関が保持する情報にアクセスする権利を
    有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは、政府の責務である

 今年六月にできた「ツワネ原則」はそう定めた。安全保障と情報に対する権利の国際原則である。世界七十カ国余りの専門家約五百人で作成した。兵器開発や軍隊の作戦など、限られた範囲での情報制限は認めているが、政府に証明を負わせる点は重要だ。
 秘密指定を行政機関の「長」に委ねる特定秘密保護法案と出発点が決定的に異なる。さらにツワネ原則は国際人権法に反する情報など、「何を秘密にしてはならないか」を明確にしている。どこまで秘密に覆われるか不明な日本の法案とは、まるで正反対である。
 国家の公衆監視も規制し、裁判所で秘密が公開され、審理できる保障も定めている。ことごとく考え方が逆方向なのだ。国連や米州機構、欧州安保協力機構などのメンバーが加わった最先端の原則から、わざわざ踏み外す法案をなぜ政府はつくるのか。
 秘密に対する日本の官僚のおそまつさを示す一例を挙げよう。二〇〇六年と〇八年に当時の「原子力安全・保安院」の審議官クラスらが渡米した。原発への航空機衝突や火災などの場合について、対処法の説明を受けた。
 だが、米国側から「秘密だ」と注意された。そのため、保安院側は原子力安全委員会にも、電力会社にも伝えなかった。原発の過酷事故に関する重要情報をせっかく米国から提供されていたのに、全く生かせなかったわけだ。
 秘密情報であっても、関係機関内で共有され、活用されなくては何の意味もない。重罰で秘匿化をより強める法案は実用的でないうえ、官僚をさらに束縛する。
 逆に官僚は公文書の公開には無関心すぎる。一一年度に保存期間が満了した行政文書のファイル約二百三十万件のうち、廃棄された割合は実に92・5%にものぼる。国立公文書館に移管されたファイルは、たったの0・7%にすぎない。
 このうえ秘密の密封度を高める法案とは何事か。国民の「知る権利」は崖っぷちに立っている。 (論説委員・桐山桂一)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112102000145.html

【社説】
特定秘密保護法案(4) 捜査が暴走し始める
2013年11月21日

 普通に生活する町のクリーニング業者が、まさかスパイであるはずがない。でも、米軍の機密情報を入手したとして起訴され、有罪判決を受けるという、信じ難い出来事が過去にあった。
 米海軍の横須賀基地(神奈川)に所属する軍艦の乗組員を相手に商売をしていただけだ。クリーニング店の支配人は、営業上の必要から、基地に勤務する軍人を料理店でもてなしたりした。そして、基地に出入りする軍艦の入港予定日や時間などを記したペーパーをもらっていた。
 これが米海軍の機密にあたるとされた。「不当な方法で、探知し、または収集した」とし、一九五七年に横浜地裁は、懲役八月執行猶予二年の判決を出したのだ。罪名は日米地位協定に伴う刑事特別法違反である。
 安全保障条約に基づく法律で、機密漏えいばかりでなく、探知も陰謀、教唆、扇動も処罰する。最高刑は懲役十年である。陰謀は共謀と同じだ。骨格が今回の法案とそっくりなのだ。もてなしも「不当な方法」と認定された。
 特定秘密保護法案は防衛や外交、特定有害活動やテロリズムの防止-の四つの分野を対象にしている。しかも、「その他の活動」や「その他の重要な情報」など、「その他」の言葉が、三十六回も散乱する。いかなる解釈もできるよう、官僚が意図して曖昧に書いているのではないだろうか。
 社会の幅広い場面で法律が適用される懸念は大きい。しかも、何が秘密であるかも秘密にされる。必然的に、どこまで処罰の範囲が広がっているのか、国民には全く手掛かりがつかめない。
 民間人が秘密に近づく事前行為さえ処罰する。「話し合い」は共謀であり、「呼び掛け」は扇動となる。近代刑法は犯罪の実行を要するのに、その前段階で取り締まることが可能なのだ。
 刑事裁判の場合も、秘密は公開されないはずだ。「外形立証」という、秘密指定の理由や手続きなどの審理だけで、「実質的に秘密に値する」と認める手法だ。
 被告人は内容を知らないまま罪に問われる。無実の証明は困難になるだろう。「裁判の適正手続きを侵害する」などと、刑事法学者らも反対の声をあげている。
 捜査当局は新たな“武器”を得るのに等しく、どんな運用をするかもわからない。歯止めのない法律は、やがて暴走し始める。 (論説委員・桐山桂一)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112202000145.html

【社説】
特定秘密保護法案(5) 新しい権力が誕生する
2013年11月22日

 いわゆる「沖縄密約」は、典型的な秘密外交である。一九七二年に元毎日新聞記者が極秘電信文書を入手し、一端が明らかになった。沖縄返還協定で米軍用地復元補償費四百万ドルを日本側が肩代わりしていた情報である。
 実際には氷山の一角にすぎず、日米間の協定額三億二千万ドルのほかに、「秘密枠」があり、一億八千七百万ドルを日本側が上乗せしていた。多額なカネは密約であるがゆえに、国会の承認を得ずに米国側に支払われた。
 密約外交は議会制民主主義を完全に無視したわけだ。つまり沖縄密約とは、違法秘密だといえる。同種の情報を封殺できるのが、特定秘密保護法案である。
 何が特定秘密かわからない状態では、違法秘密も疑似秘密も判別できない。疑似秘密とは二〇一〇年の「尖閣ビデオ」事件のようなケースだ。実質的な秘密でなくとも、官僚が恣意(しい)的に「秘密」とワッペンを貼るだけで、ブラックボックス化が可能になる。
 これらの重要情報を扱うのが、防衛省や外務省、警察庁などである。これらの官僚は、首相官邸と一体化し、新しい権力構造をつくりあげるだろう。戦前の日本が旧内務省と旧陸海軍を中心に動いてきた構図と二重写しである。
 戦後日本は経済成長路線を走り、豊かで平和な社会を築き上げてきた。これまでとは異質な官僚制となろう。「軍と治安」が幅を利かせる統治機構である。
 自民党幹部が「知る権利が国家や国民の安全に優先する考え方は間違いだ」と発言したように、安全保障を最優先に据えているのだ。だが、政権や官僚組織が暴走しない確約がどこにあるのか。沖縄密約のように、権力は秘密裏に違法行為さえできる。
 それをチェックするのに、ジャーナリズムも一翼を担っている。国民の「知る権利」が大事なのは、国家の暴走を食い止めるためなのだ。ドイツでは雑誌社が捜査当局の家宅捜索を受けたことを契機に、昨年三月、「報道の自由強化法」ができた。ジャーナリストは漏えい罪の対象外となったほどだ。
 ヨーロッパ人権裁判所の判例を眺めると、今や既存のメディアと同様に、一般市民やNGOも国家が隠す情報を収集する権利があると考えられている。
 新しい権力が生まれるなら、それを監視する強靱(きょうじん)な「知る権利」が構築されねばならない。 (論説委員・桐山桂一)=おわり
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●『ニセ札はなぜ通用しないのか?』読了

2010年06月27日 00時01分40秒 | Weblog

『ニセ札はなぜ通用しないのか?』、2010年5月読了。佐高信著。角川文庫。2006年8月初版。

 母校での先輩としての授業。「第一章 佐高信流経済学入門 ――課外授業」。疑うことの重要さ(p.20)。土門拳記念館(p.26)。

 城山三郎さんによる日銀の酷評(p.50)。「特攻は志願にあらず。時代や社会や国が強制」、「・・・個人情報保護法案に、・・・鬼気迫る勢いで反対・・・。小泉のバカは、・・・城山さんが電話を書けても返事もよこさない。無礼千万な話です」(p.114)。大岡昇平さんとともに、『噂の真相』の珍しい読者。

 「Ⅱ 民営化とは何だったのか?」(pp.66-84)。中曾根による国鉄分割・民営化を煽り、絶賛し、国労潰しに加担。「「民営化」とはすなわち「会社化」である。会社は当然、利益を上位にし、安全や公平はその下に来る。国鉄の民営化は事故を生み、郵政の民営化は過疎を生む・・・」(p.66)。「「民営化」がJR西日本や東日本の大事故を招いた・・・」(p.266)。

 ニューヨーク市立大学教授霍見芳浩さん(p.88)。辺見庸さん(p.100)。福島瑞穂さん(p.108)。中山千夏さんと矢崎泰久さん(p.200)。

 「自民党の中に反田中・反中国のすさまじい先鋭的なグループができあがる。これが青嵐会。中心人物は石原慎太郎・浜田幸一・中川一郎・渡辺美智雄らであった。・・・小泉という人はタカ派の中のタカで育ってきた」(p.100)。
 「・・・組長の渡辺」が遠藤誠さんに左翼と右翼を分けるポイントを尋ねたところ、遠藤さんは「太平洋戦争を侵略と認めるかどうかでしょう」と。「そうしたら組長の渡辺はさすが、「それは侵略ですよ。他人の縄張りに踏み込んだ、それは侵略ですよ。それで左と言われるなら、左と言われてもいい」と言ったというんですね」(p.112)。

 企業が社員に押しつける「水行(みそぎ」」のあほらしさ(p.170)。
 息子を入社させなかった本田宗一郎(p.190)、松下幸之助との違い。

 久野収さんと大学盗聴(p.194)。本多勝一さんと筑紫哲也さん、編集委員就任の経緯(p.204)。エラスムス(ルネサンス期の思想家、p.210)。城山三郎さんの『官僚たちの夏』のモデルとしての佐橋滋さんは「・・・〝ミスター通産省〟と呼ばれた人物です。・・・一方で、通産省職員の労働組合の委員長をつとめ、官僚制の民主化を試みました」(p.213)。「官僚のトップであるにもかかわらず、佐橋は「非武装平和」を主張したが、対談の席で、佐橋はその思想を久野の平和論に学んだと言っていた」(p.222)。

 佐高さんの卒業論文。

 あとがき。「・・・「哲学」なき「経済学」は単に数字の操作術にしかならないだろう。/竹中平蔵の・・・ベストセラーになったが、これこそ、「哲学」なき「経済学」の見本であり、こんな本が読まれているかぎり、日本経済、いや、日本に「あす」はない。/竹中のような〝内閣の側用人〟は、ミクロの問題についてはマクロを語り、マクロについてはミクロの例を引いて、はぐらかすのである。/・・・何の理念もなき拡大は、必ず腐敗を生む」(pp.266-267)。
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●『抵抗人名録 私が選んだ77人』読了(1/2)

2009年08月24日 07時54分11秒 | Weblog

『抵抗人名録 私が選んだ77人』、7月に読了。佐高信著。金曜日。2008年7月刊。

 
久野収(p.12)、山下弘文(p.24)、高木仁三郎(p.30)、岡部伊都子(p.36)、松下竜一(p.45)、福島瑞穂(p.48)、城山三郎(p.60)、田中伸尚(p.75)、安田好弘(p.78)、朴慶南(p.81)、田中秀征(p.93)、内橋克人(p.105、48)、天木直人(p.117)、山岡俊介(p.129)、梁石日(p.135)、安田純平(p.138)、高杉良(p.147)、中村哲(p.155)、石坂啓(p.156、63)、辺見庸(p.159)、緒形拳(p.162)、澤地久枝(p.165)、杉浦日向子(p.171)、三宅勝久(p.177)、斎藤貴男(p.189)、福田衣里子(p.201)、田中優子(p.207)、井筒和幸(p.210)、二宮清純(p.225)、雨宮処凛(p.231)、落合恵子(p.240)さんら。

 「・・・まさにあきらめない抵抗人である。/・・・抵抗と言っても、私はそれを貫くのに迷いのない人には惹かれない。・・・迷い、悩み、揺れる姿にこそ、私たちは学べるのではないかという思い、私の中で、いつも消えない」(pp.7-9)。

 獄中の鎌田俊彦さん(p.21)。

 本多さん(p.19、30、63、111、156)。岡留さん(p.19)との関係がなぁ・・・。

 「松下の盟友に、やはり、「大人になりきれなかった人間」の梶原得三郎がいる」(p.46)。『五分の虫、一寸の魂』、『いのちきしてます』。「法律の前にくらしがあるのだ。・・・「いのちき」を守るために法律がある。決してその逆ではない」。

 
「城山三郎は・・・いま、鬼気迫る感じで、個人情報保護法反対に時間を割いている。面識のある小泉純一郎に手紙を書き、法案は治安維持法の再現だ、と指摘した」(p.61)。

 田中伸尚さんの「著書で一番好きなのは『合祀はいやです』(樹花舎)である。・・・中谷康子の闘いを描いたこの本・・・。/憲法とは「守る」ものではなく、「獲得する」ものだとして、それを実践している十二人の人をドキュメントした『憲法を獲得する人びと』・・・」(p.77)。

 安田好弘さんの不当逮捕後、「〝邪教〟とされる者の側に立とうと覚悟を決めた・・・」(p.80)。
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●『不屈のために』読了

2008年10月17日 07時56分31秒 | Weblog

『不屈のために』7月に読了。斎藤貴男著。ちくま文庫。20056月刊。

不公平・階層社会、監視社会、管理社会、戦時シフト、知性停滞。対談は森永卓郎氏、解説は鈴木邦男氏。城山三郎さんとの対談もあり、個人情報保護法に対する危機感を共有 (p.91)。「戦争ほど、不平等を極限にまで押し広げ、格差のむごさをあらわにするときはない」(p.132)

社会ダーウィニズム (p.19)。その定義は21頁。ヒトラーも強い影響を。初等教育での水伝についての問題点も早くから批判 (p.37)
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