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●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」

2022年09月14日 00時00分44秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220829[])
これまでさんざん ―――――― さらに最も腹立たしいのは、最大の戦犯が未だにのうのうと政治家で居続けていること。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。その核発電所に「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か? ―――――― と言ってきましたが、そのアベ様も統一協会問題絡みで銃弾に倒れました。

   『●高速増殖炉もんじゅ…ニッポンでは、
       巨額の「エサ代」を支払い続けるつもりらしい
   『●「(悪)夢の高速増殖炉」もんじゅの延命に向かって着々と
                   …ドブガネという巨額の「エサ代」は続く
   『●予想に反して「もんじゅ」廃炉へ、一方、
      「閉じない環」核燃料サイクルは維持するという無茶苦茶
   『●「核発電は安い」と言っておきながら、
      「原発の電力を使っていない消費者にまで負担を強いる方針」
   『●「ふげん」、「もんじゅ」…次の高速炉は
       「こくうぞう」、「みろく」? 「白象」とでもしますか??
   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令

 さて、「悪夢のような民主党政権」どころか、真の意味での「悪夢の自公政権」「悪夢のアベ様政権」が終わったのかと思いきや…キシダメ氏、正気かね? 《原発への依存度を下げると訴えていた岸田文雄首相が唐突に、原発の運転期間の延長に加え、新増設や建て替えを検討する方針も表明》!? 《新増設や建て替えの検討を明言したのは初めて》!? 次世代革新炉「キシダメ」とでも名付けるの?
 我那覇圭・佐藤裕介両記者による、東京新聞の記事【3・11後、初の原発「新増設」を首相が明言 唐突な政策転換、被災者らに十分な説明なく】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/198069)によると、《原発への依存度を下げると訴えていた岸田文雄首相が唐突に、原発の運転期間の延長に加え、新増設や建て替えを検討する方針も表明した。2011年の東日本大震災での東京電力福島第一原発事故後、歴代首相は原発への依存度の低減を掲げており、新増設や建て替えの検討を明言したのは初めて被災者らに十分な説明をしていないにもかかわらず、エネルギー政策を原発推進の方向に転換した。(我那覇圭、佐藤裕介)》。

 さらに、東京新聞の【<社説>原発への回帰 福島の教訓はどこへ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/198157?rct=editorial)によると、《あの悲惨な原発事故をなかったことにしようというのか。政府がこれまでの方針を翻し、原発の新増設や建て替え、さらには法定寿命の延長まで検討するとの考えを明らかにした。脱炭素の潮流や、電力の安定供給を口実にした原発依存への回帰にほかならない。東京電力福島第一原発事故の教訓を反故(ほご)にしてはならない。》
 《脱炭素の潮流》と言いつつ、放射能汚染は気にしない。核発電は、究極の地球温暖化促進なのに、知らないふり。《電力の安定供給を口実にした原発依存への回帰》なのに、ザポリージャ原発で何が起きているのかを無視。安全保障が聞いて呆れる。海岸線沿いに一体何発の《原爆》を並べているの?
 でっ、次世代革新炉「キシダメ」は明日にでも完成するのかね? 半年後くらい? 1年後? でっ、どこに造んの? 東京? 首相官邸? 自民党本部? アホですか。核発電麻薬中毒な皆さんは、そりゃぁ、大喜びでしょうね。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/198069

3・11後、初の原発「新増設」を首相が明言 唐突な政策転換、被災者らに十分な説明なく
2022年8月26日 06時00分

 原発への依存度を下げると訴えていた岸田文雄首相が唐突に、原発の運転期間の延長に加え、新増設や建て替えを検討する方針も表明した。2011年の東日本大震災での東京電力福島第一原発事故後、歴代首相は原発への依存度の低減を掲げており、新増設や建て替えの検討を明言したのは初めて被災者らに十分な説明をしていないにもかかわらず、エネルギー政策を原発推進の方向に転換した。(我那覇圭、佐藤裕介)


 松野博一官房長官は25日の記者会見で、従来の政府方針を転換するかを問われ、直接的には答えずに「エネルギーを巡る内外の情勢変化を踏まえれば、次世代革新炉の開発・建設を含め、あらゆる選択肢を排除することなく検討する」と述べるにとどめた。

 首相は24日の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」で原発の新増設などの検討を表明。ロシアのウクライナ侵攻などで電力需給が逼迫ひっぱくしている現状を受け、自らの政治決断で進めると強調した。

 福島原発事故後、旧民主党を含めたこれまでの政権は、原発の新増設や建て替えは「想定していない」と説明。首相も20年の自民党総裁選時に出した著書で「将来的には再生可能エネルギーを主力電源化し、原発への依存度は下げていくべきだと主張していた。

 昨秋の自民党総裁選や衆院選でも、新規制基準に適合した原発を再稼働させる意向は示してきたものの、新増設などを封印する従来の政府方針は踏襲。今年7月の参院選公約で、それまで明記してきた「可能な限り原発依存度を低減」という文言を消したが「安全が確認された原子力の最大限の活用を図る」と記載するにとどめていた。

 いずれの選挙でも原発政策が大きな争点となることはなく、与党が勝利し、首相は政権基盤を強化。自身に有利な政治環境を手に入れた途端に、故郷を奪われた被災者や原発の安全性に不安を抱く多くの国民の理解を得ないまま、政府方針を変更して新増設や建て替えを打ち出した

 原発政策に詳しい明治大の勝田忠広教授は「原発政策は(使用済み核燃料を処理して再利用する)核燃料サイクルがうまくいかず、『核のごみ』の最終処分方法も決まらず、既に破綻している」と指摘。その上で「首相はエネルギー危機をあおるばかりで、説明責任を果たしていない。まずは幅広い国民の意見を聞くべきだ」と語った。

【関連記事】政府が原発新増設「検討」と明示…福島事故から封印のはずが推進姿勢 運転期間の延長、計17基再稼働も
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/198157?rct=editorial

<社説>原発への回帰 福島の教訓はどこへ
2022年8月26日 07時43分

 あの悲惨な原発事故をなかったことにしようというのか。政府がこれまでの方針を翻し、原発の新増設や建て替、さらには法定寿命の延長まで検討するとの考えを明らかにした。脱炭素の潮流や、電力の安定供給を口実にした原発依存への回帰にほかならない。東京電力福島第一原発事故の教訓を反故(ほご)にしてはならない。

 岸田文雄首相が二十四日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の中で表明した。既に再稼働済みの十基に加え、来年の夏以降、新たに七基を再稼働させる方針も示した。

 七基の中には、テロ対策上の重大な不備が相次いで発覚、地元自治体だけでなく、原子力規制委員会の強い不信を招いた東電柏崎刈羽原発なども含まれる。ロシアのウクライナ侵攻の影響による原油などの資源高が背景にあるが、政府が強引に再稼働を誘導すれば、安全性確保や住民の不信払拭(ふっしょく)が置き去りにされかねない。

 「新増設や建て替えは想定していない」という3・11以来の大方針を転換し、今後、導入を目指す次世代型原発は、従来の軽水炉を改良する「革新軽水炉」や「小型モジュール炉(SMR)」などが想定されるが、安全性も経済性も未知数だ。いずれにしても開発途上で、当面の脱炭素への対応で主役になれるわけではない。

 将来を考えるなら、エネルギー輸入の必要がなく、潜在力の高い再生可能エネルギーを充実させる方がよほど現実的で、何より安全だろう。蓄電技術の革新や送電網拡充による電力融通の強化といった面にこそ集中投資し、天候に左右されて供給が不安定だとされる弱点を克服していくべきだ。

 原則四十年、特別な安全対策を施して六十年とする原発の法定寿命の延長方針に至っては、「老朽化」を「高経年化」と言い換え、不老長寿の夢を見た安全神話の復活と言うしかない。

 「可能な限り原発依存度を低減する」という大方針は、あの福島の悲劇から導き出された重い教訓である。ただ脱炭素、資源高への対応だというのでは、方針転換の十分な理由には到底なりえない。
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●戦争法なんて要らない! 「武力による威嚇や武力の行使を…永久に放棄した日本の役割」を見失っている

2017年05月04日 00時00分49秒 | Weblog

三上智恵監督『標的の島 風かたか』公式ページ(http://hyotekinoshima.com)より↑]



東京新聞の社説【初の米艦防護 本当に必要な任務か】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017050202000167.html)。

 《もう一つは日本の軍事的役割を強化する安倍政権の狙いである。…そもそも必要性に乏しい米艦防護に踏み切った背景には、憲法学者ら多くの専門家が憲法違反と断じた安保法を既成事実化し、自衛隊と米軍との軍事的一体化を加速する狙い…「日米同盟」の誇示でなく、外交努力を尽くすこと。それが、武力による威嚇や武力の行使を、国際紛争の解決手段としては永久に放棄した日本の役割である

   『●日本国憲法第九条「国権の発動たる戦争と、
      武力による威嚇又は武力の行使は、永久にこれを放棄する」
    「「戦後70年、日本は国家として他国民を誰一人殺さず、
     また殺されもしなかった。非戦を貫けたのは、戦争の放棄を定めた
     憲法9条があったからにほかならない」。一方、壊憲はどんどんと進み、
     沖縄の高江辺野古では沖縄差別、沖縄イジメ、沖縄破壊が進む。
     番組中でダグラス・ラミスさんは述べています、
     「(沖縄)…米軍基地はアメリカという帝国の単なる手段ではなく 
     米軍基地は植民地です アメリカの占領する縄張りなのです」。
      アベ様と菅官房長官らが辺野古でやっていること…
     「人権や言論の自由も軽視され、植民地支配と同じ」。アベ様、
     自公議員や翼賛野党議員が好き放題に壊憲させていていいのか?
     そんな議員に投票する人たちは、そんなに「人殺し」に行きたい
     のだろうか?、そんなに「大量殺人」に行きたいのだろうか?」

   『●壊憲派の沈黙、押しつけ憲法論という思考停止:
      「二項も含めて幣原提案とみるのが正しいのではないか」
    ---------------------------------------------------------------------------
    【http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM

    日本国憲法

    第2章 戦争の放棄 

    第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
             国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
             国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。


         前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、
             これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
    --------------------------------------------------------------------------



 「平和憲法」は風前の灯火。壊憲の坂道を転がっていく。

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
               …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その1)

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
               …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その2)

   『●サーロー節子さん「自分の国に裏切られ、
      見捨てられ続けてきたという被爆者としての思いを深くした」
   『●「外交音痴、政治音痴、もう政治家とは呼べない領域」な
            失言王・萩生田光一氏…成果無しなアベ様外交
   『●歴史学者らの公開質問状に、「侵略の定義は  
       国際的にも定まっていない」というアベ様はどう応えるのか?
   『●「軍事的対応ではなく、緊張緩和に知恵を絞り、
      外交努力を重ねることこそが平和国家を掲げる日本の役割」
   『●番犬様を諌めることもなく「海自、米空母と訓練検討」…
          「あくまでも非軍事的解決の道を探るべきである」
   『●高畑勲監督より三上智恵監督へ、
      「あなたがつくっているような映画が、次の戦争を止める」
   『●山内康一氏「『米国の軍事力行使を日本は支持する』
          …戦争を積極的に肯定…重大かつ危険な発言」
    「《★元民進党議員・山内康一は…この発言を「普通の日本語に
     翻訳すると『米国の軍事力行使を日本は支持する』という意味。
     『米国の戦争に巻き込まれる』というレベルではなく
     戦争を積極的に肯定しているレベルです。サラッと報道している
     メディアはどうかしていると思います。重大かつ危険な発言です。
     嘆かわしいことです」》とのこと。
      アベ様らときたら、もう既に大きく一線を越えようとしている。
     《あくまでも非軍事的解決の道を探るべき》はずなのに…」

   『●阿部岳記者「桐生悠々は訓練よりも
     「実戦が、将来決してあってはならない」ことを訴えた…先見の明は…」
    「《▼桐生悠々訓練よりも「実戦が、将来決してあってはならない
     ことを訴えた。…先見の明は、その後の空襲被害が証明している。
     (阿部岳)》
      東京新聞のコラム【筆洗】では、この「関東防空大演習を嗤(わら)ふ
     という論説は「日本の新聞史上、特筆すべき名論説」と言っています」

   『●「平和憲法」が風前の灯火: 壊憲の坂道を転げ落ち、
         アベ政権と与党自公は戦争へと火に油を注いでいる


 トンデモない「ラクダの鼻」の御話。やがて、「戦争へ」=《取り返しのつかぬ事態》に。戦争法なんて要らない! 《武力による威嚇や武力の行使を…永久に放棄した日本の役割》を見失っている。
 東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017050202000142.html)より。《▼ある男が一頭のラクダを連れて、砂漠を旅していた。ある夜、疲れたラクダは男にこう頼み込んだ。「鼻だけテントの中に入れてもいいですか」。男は快く応じるが、その日を境にラクダはどんどん大胆になっていく。顔を、首を、脚を…。テントに入れてくる部分がどんどん大きくなる。結局、ラクダはテントの中で眠るようになり、男が出て行けといっても聞かない▼小さく、無害に見えてもそれをいったん認めれば、既成事実となり、やがて取り返しのつかぬ事態につながる。「ラクダの鼻」とはそういうたとえである▼「ラクダの鼻」になる危険は本当にないのか。海上自衛隊の護衛艦「いずも」が米海軍の補給艦防護のために、横須賀基地から出港した。安全保障関連法に基づく新任務が初めて実行に移された》。

 アベ様や与党自公のやっていることは、《地域の軍事的な対立がさらに加速》させる大愚行。それを阻止できない、国会の無力。戦争法に埋め込まれた、恣意的な欠陥。アベ様らのやりたい放題。
 東京新聞の記事【安保法任務を初実施 海自が米艦防護説明ないまま】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017050202000141.html)。《海上自衛隊が安全保障関連法に基づく「平時の米艦防護」を初めて実施した一日、命令を出した稲田朋美防衛相は防衛省に登庁せず公式に説明する場面はなかったアナウンスなき安保法の発動は、北朝鮮情勢の展開によっては、国民が知らないまま自衛隊の米軍支援が進んでいく可能性を示した》、《◆政府「実績作り」狙う…米艦防護では武器を使った反撃が可能で、状況次第では武力衝突に発展する危険性をはらむ。こうした任務が国民への情報公開も国会のチェックもなく実施される安保法の問題点が、鮮明になった》。 

 5月2日が命日だった…《「地震の後には戦争がやってくる軍隊を持ちたい政治家がTVででかい事を言い始めてる国民をバカにして戦争にかり立てる自分は安全なところで偉そうにしてるだけ」。昔、有名なロック歌手がそう書いていた▼「日本国憲法第9条に関して人々はもっと興味を持つべきだ」という題名でつづったのは、四年前に亡くなった忌野清志郎さん》。このコラムは、以下の様に続く。

   『●これが民意なの?
    《【コラム】筆洗…▼衆院の代表質問で安倍晋三首相はきのう、
     憲法九六条の改正に強い意欲を示した。反発の強い九条は
     後回しにして、発議の要件を緩める既成事実をつくり、
     外堀から埋める戦術だ▼「五十年以上もの間、戦争の無かった国は
     世界でも珍しいのだ。その点だけでも日本はすばらしい国ではないか」
     とも清志郎さんは書いていた。それを誇りに思えない人たちが、
     残念ながら増えているらしい


 琉球新報の【<社説>米艦防護開始 安保関連法を廃止せよ】(http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-488747.html)によると、《「米艦防護」が初めて実施された。米国と北朝鮮との軍事的緊張が高まっている中で、日本が他国との戦争に自ら巻き込まれに行くような行為は厳に慎むべきだ》と主張。同感。
 安保関連法案戦争法)を廃止せよ! アベ政権と与党自公は戦争へと火に油を注いでいる。《東アジアの軍事的緊張には米軍と自衛隊が共同で対処するというメッセージ》なんて、冗談じゃない。《日本の軍事的役割を強化する安倍政権の狙い》なんて、トンデモナイ。


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017050202000167.html

【社説】
初の米艦防護 本当に必要な任務か
2017年5月2日

 稲田朋美防衛相が自衛隊に「米艦防護」を初めて命令した。米国と北朝鮮との軍事的緊張が高まる中、日米の連携強化を誇示する政治的な意味合いが強く、本当に必要な任務なのか、疑問が残る。

 米艦防護は自衛隊が平時に米国の艦艇などを守る「武器等防護」の活動で、安倍政権が成立を強行し、昨年三月に施行された安全保障関連法に基づく新しい任務だ。

 海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」がきのう、横須賀基地(神奈川県)を出港し、東京湾を出た太平洋上で米海軍の補給艦と合流。四国沖まで一緒に航行して護衛する、という。

 米艦防護活動中に、米軍への攻撃や妨害行為があった場合、阻止するための武器使用が認められているため、自衛隊が紛争の引き金を引きかねない任務でもある。

 とはいえ、今回の米艦防護は、軍事的合理性よりも政治的な思惑が先行している感が否めない。

 一つは、東アジアの軍事的緊張には米軍と自衛隊が共同で対処するというメッセージある。

 弾道ミサイル発射を繰り返し、核開発を進める北朝鮮をけん制するだけでなく、東アジアで軍事的存在感を増している中国やロシアにも向けられているのだろうが、日米連携をことさら強化することは、逆に東アジアの緊張を高めることになりかねない。

 もう一つは日本の軍事的役割を強化する安倍政権の狙いある。

 米補給艦は、米原子力空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群などが展開する朝鮮半島沖へ向かうとみられるが、「いずも」が護衛するのは四国沖までだ。

 北朝鮮が太平洋側で米艦を攻撃する能力を持っている可能性は低く、他の国やテロ組織による米艦攻撃も想定しづらい。

 そもそも必要性に乏しい米艦防護に踏み切った背景には、憲法学者ら多くの専門家が憲法違反と断じた安保法既成事実化し、自衛隊と米軍との軍事的一体化を加速する狙いがあるのだろう。

 北朝鮮の挑発行動に、米トランプ政権は軍事攻撃を含む「あらゆる選択肢が机上にある」としているが、安倍政権がすべきは米国に同調して軍事的圧力を強めることではなく緊張緩和に向けて関係国に対し、対話や国際協調を粘り強く働き掛けることだ。

 「日米同盟」の誇示でなく外交努力を尽くすこと。それが、武力による威嚇や武力の行使を、国際紛争の解決手段としては永久に放棄した日本の役割である。
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●山内康一氏「『米国の軍事力行使を日本は支持する』…戦争を積極的に肯定…重大かつ危険な発言」

2017年04月24日 00時00分05秒 | Weblog

三上智恵監督『標的の島 風かたか』公式ページ(http://hyotekinoshima.com)より↑]



東京新聞の宮尾幹成記者の記事【米副大統領「平和は力で達成される」 安倍首相、連携強化で一致】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017041902000124.html)と、
社説【安倍・ペンス会談 平和解決へ日米連携を】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017041902000140.html)。

 《首相は冒頭で「対話のための対話は意味がない」と指摘。ペンス氏は「平和は力によってのみ達成される」と語った上で、日本など同盟国とともに行動する考えを示した。会談に同席した萩生田光一官房副長官…》。
 《トランプ政権は軍事攻撃を排除していないが、日米両政府は連携して平和的解決の道を探るべきである》。


 まず、《会談で…、沖縄の米軍基地負担軽減に連携して取り組むことも確認》って、噴飯もの。一体どこら辺が「沖縄の米軍基地負担軽減」なのかを教えてもらいたいよ、全く。《不測の事態が、朝鮮半島での本格的な軍事行動に発展すれば、在日米軍基地が多く所在する日本も無傷ではいられまい》…現実に《米中の「新たな戦争の「防波堤」》の大半がどこに存在しているのか?

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
               …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その1)

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
               …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その2)

    「そして、《さらに切迫した問題》として、南西諸島での自衛隊配備
     による「住民分断」。アメリカが画策し、日本政府が悪乗りする
     《「統合エアシーバトル構想」…アメリカと中国の争いに自衛隊と
     南西諸島が差し出され、新たな戦争の「防波堤」にされようとしている》。
     アメリカの意のままに、アベ様らのやりたい放題ではないか。でも、
     第一《防波堤》としての《日本全土がアメリカの「風かたか」》…
     《米中の「新たな戦争の「防波堤」に》なっているのは南西諸島を
     含むニッポン列島全体」

   『●サーロー節子さん「自分の国に裏切られ、
      見捨てられ続けてきたという被爆者としての思いを深くした」
    「最後に、東京新聞の記事【自民、「敵基地攻撃」保有提言へ 
     北朝鮮脅威でミサイル防衛強化】
     (http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017032801002289.html)に、
     《自民党安全保障調査会…発射拠点を破壊するいわゆる
      「敵基地攻撃能力」の保有を直ちに検討するよう求めている…
       敵基地攻撃に関し、政府は法的に可能との立場だが…》。
      正気とは思えません。「裸の王様」壊憲王の「外交音痴
     「無定見外交」を暴露しているようなもの…愚かすぎる。
      次は「核」がほしい、と言い始めるにきまっています」

   『●「外交音痴、政治音痴、もう政治家とは呼べない領域」な
            失言王・萩生田光一氏…成果無しなアベ様外交
   『●歴史学者らの公開質問状に、「侵略の定義は  
       国際的にも定まっていない」というアベ様はどう応えるのか?
   『●「軍事的対応ではなく、緊張緩和に知恵を絞り、
      外交努力を重ねることこそが平和国家を掲げる日本の役割」
   『●番犬様を諌めることもなく「海自、米空母と訓練検討」…
          「あくまでも非軍事的解決の道を探るべきである」
   『●高畑勲監督より三上智恵監督へ、
      「あなたがつくっているような映画が、次の戦争を止める」
    「こういったリテラ記事に添えられている「自由民主党HPより」の図
     ご覧あれ…その極めつきのウソツキぶりが明確に、呆れるほどに。
       《不戦の誓いを守り続ける
        そして、国民の命と
        平和な暮らしを守り抜く
        平和安全法制

     …噴飯もので、冗談としか思えない詐称


 あぁ、「力によってのみ」「軍事攻撃を排除していない」だってさ、…アベ様が番犬様を諌める訳もなく、危険な方向へ突き進んでいる。デンデン王国「裸の王様」の周りは、外交音痴氏も含めて、こんな取巻きばかりでウンザリ。

 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/安倍政権まるで戦争前のめり】(http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1810508.html)によると、《★元民進党議員・山内康一は…この発言を「普通の日本語に翻訳すると『米国の軍事力行使を日本は支持する』という意味。『米国の戦争に巻き込まれる』というレベルではなく戦争を積極的に肯定しているレベルです。サラッと報道しているメディアはどうかしていると思います。重大かつ危険な発言です。嘆かわしいことです」》とのこと。
 アベ様らときたら、もう既に大きく一線を越えようとしている。《あくまでも非軍事的解決の道を探るべき》はずなのに…。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017041902000124.html

米副大統領「平和は力で達成される」 安倍首相、連携強化で一致
2017年4月19日 朝刊

     (会談の席でペンス米副大統領(左)と握手する安倍首相
       =18日午後、首相公邸で(代表撮影))

 安倍晋三首相は十八日、ペンス米副大統領と公邸で会談し、核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、日米で圧力を強める方針を確認した。首相は冒頭で「対話のための対話は意味がない」と指摘。ペンス氏は「平和は力によってのみ達成される」と語った上で、日本など同盟国とともに行動する考えを示した。

 会談に同席した萩生田光一官房副長官によると、首相とペンス氏は北朝鮮の挑発行動を阻止するため、中国がさらに大きな役割を果たすよう働き掛けを強めることで一致した。ペンス氏は「中国はこの問題をきちんと理解し、同じ行動をとってもらえると期待している」と話した。

 首相は外交的、平和的な解決を目指すことを前提に「北朝鮮が真剣に対話に応じるように圧力をかけていくことも必要だ」と指摘。軍事力行使を含む「全ての選択肢」を掲げるトランプ政権の姿勢を評価するとあらためて表明した。

 ペンス氏は会談後の記者会見で「北朝鮮が核・ミサイルの開発計画を放棄するまで圧力を強化する」と語った。

 会談で、拉致問題の早期解決や、沖縄の米軍基地負担軽減に連携して取り組むことも確認した。ペンス氏は沖縄県尖閣諸島は米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約第五条の適用対象だと明言した。

 会談は約一時間半。昼食を交えた前半は岸田文雄外相や世耕弘成経済産業相、ロス米商務長官らが同席した。後半は首相とペンス氏を含め日米五人ずつの少人数会合になった。 (宮尾幹成
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017041902000140.html

【社説】
安倍・ペンス会談 平和解決へ日米連携を
2017年4月19日

 ペンス米副大統領が安倍晋三首相と会談した。北朝鮮情勢が緊迫する中での来日だ。トランプ政権は軍事攻撃を排除していないが、日米両政府は連携して平和的解決の道を探るべきである

 北朝鮮に国連安全保障理事会決議や日朝平壌宣言に違反する核、ミサイル開発をどうやって断念させるのか。日本や周辺国にとって安全保障上の脅威を取り除く上で重要な課題である。

 首相は副大統領との会談冒頭、北朝鮮情勢について「外交的に平和的に解決していかねばならないが、対話のための対話になっては意味がない。北朝鮮が対話に応じるように圧力をかけていくことも必要だ」と強調した。

 オバマ前政権の「戦略的忍耐」政策を転換して、軍事攻撃を含む「あらゆる選択肢が机上にある」とするトランプ政権は、原子力空母「カール・ビンソン」中心の空母打撃群を派遣するなど、北朝鮮への軍事的圧力を強めている。

 首相の発言は北朝鮮に「対話と圧力」で臨む日本政府の姿勢を示したものだが、米国の軍事的圧力を支持し、米軍に積極的に協力する姿勢を示したものでもある。

 対話を呼び掛けるだけで北朝鮮が核、ミサイル開発の断念に応じるようなことはないだろう。残念ながら軍事力の存在がなければ、交渉のテーブルに着けることすらできないというのが、国際政治の現実ではある。

 とはいえ、相手の挑発に乗って緊張を高めていいものでもない

 不測の事態が、朝鮮半島での本格的な軍事行動に発展すれば、在日米軍基地が多く所在する日本も無傷ではいられまい。

 北朝鮮は故金日成主席の生誕百五年に当たる十五日に軍事パレード、翌十六日にミサイル発射実験を行ったものの、懸念されていた通算六度目の核実験は見送った。

 先の最高人民会議では「外交委員会」を十九年ぶりに復活させるなど、孤立打開のための外交戦略に乗り出す可能性も指摘される。

 二十五日の朝鮮人民軍の創設八十五年を機に新たな挑発行動に出るのか否かは予測がつかないが、北朝鮮側の変化も慎重に読み取る必要がある。

 北朝鮮に核、ミサイル開発を平和裏に断念させるためには、中国が果たすべき役割は特に大きい。

 日米両政府は日米安全保障条約体制を「北東アジアの礎石」と位置づける。だとしたら、日米両国が連携して、中国の協力を得るために力を惜しむべきではない。
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●アベ様に白紙委任を勘違いさせてはいけない:「A君が毎日、一人で掃除当番をする」という案が過半数に…

2015年11月29日 00時00分56秒 | Weblog


東京新聞の社説【週のはじめに考える 多数決がのし歩いては】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015110102000159.html)と、
LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の、ちょっと昔の記事【安倍晋三と橋下徹の“独裁者コンビ”が持ち出す「民意」「多数決」の論理を疑え!】(http://lite-ra.com/2015/05/post-1104.html)。
 

 《安全保障関連法の強行可決にみられるように、国会ではますます「数の論理」が幅をきかせていますでも、多数決は本当に万能なのでしょうか……みんなで多数決をした結果、「A君が毎日、一人で掃除当番をする」という案が過半数になってしまいました……実は掃除当番のエピソードは、弁護士の伊藤真さんが書いた憲法の絵本「あなたこそ たからもの」に出てきます》。
 《戦後日本の国家のありようを180度転換する集団的自衛権の容認を閣議で決定し、さらに安全保障関連法案(戦争法案)を数に任せてゴリ押し可決しようとしている安倍晋三。そして、阪都構想という何の具体性もないデタラメな計画を住民投票にかけて、大阪市民から白紙委任を引き出そうとしている橋下徹──。二人に共通しているのは「選挙に勝ち、多数決で『民意』を得た者がすべてを白紙委任され、独裁的に物事を進められる」というきわめて単純かつ一面的な、民主主義理解だ》。


 アベ様は「白紙委任」だと誤解している。多くの心ある市民はアベ様に「白紙委任」など託すわけがないし、絶対得票率からも、二重の意味でアベ様は誤解している。《絶対得票率小選挙区で24・4%、比例代表では16・9%にしかすぎない……全有権者の二割程度しか支持していない》にもかかわらず、「白紙委任」と嘯く。あるいは、誤解したフリをしている。それを許した、自民党支持者や、「積極的平和主義」を愛する公明党支持者たちの罪もあまりに深い。
 《弁護士の伊藤真さんが書いた憲法の絵本「あなたこそ たからもの」》……「白紙委任」と憲法と、そして、「憲法くん」。

   『●松元ヒロさん「憲法くん」は語る
    《「だけど丸投げで頼むわけじゃない。
     頼まれたから何でもできると思って
     戦争なんか始めちゃダメだよ。そのために、
     憲法にしっかりと9条を書いてこれをわたす。
     この憲法に書いてあることをしっかり守って、
     頼まれごとをやってくれ、と」・・・・・・
     松本ヒロさんの「憲法くん」は語る。
     アベ様をはじめとした自公議員、翼賛野党の
     壊憲派には理解できまい》

   『●死にゆく平和憲法: 伊藤真さんの憲法の絵本
     『あなたこそ たからもの』と松本ヒロさんの「憲法くん」

    《面倒な掃除当番をある子どもにずっと押しつけた-。
     不当なことだ。このエピソードをてこにして話は続く。
     みんなが賛成したことだからといって、正しいとは限らない
     権力が好き勝手に法律をつくって、国民の自由や権利が
     不当に害されてはならない

      <わたしたちが、えらんだだいひょうも、いつも、
        ただしいことをするとは、かぎらない。だから、
        ほんとうにたいせつなことを けんぽうに、
        かいておくことにしたんだ>》

 アベ様に「白紙委任」と嘯かせないような選挙結果が求められる。

   『●「政権にとって「白紙委任状」ほど好都合なものはありません」: 
                       2014年12月衆院選に是非行こう!
   『●小選挙区制は欠陥品だし、
      自公政権という「驕るもの」に「謙虚」さを求めても仕方ない

   『●いい加減に学ぼう: 「白紙委任状をもらった」
       とアベ様に勘違いさせるようなことをやってはいけない


 ただ、面倒なのは大阪……。最近の歎きのつぶやき。


   「■心ある大阪の皆さん、お気の毒。哀しい二択、大阪「ト」知事派か
    自民「ト」派か。「罰ゲーム」との声あり。稲田朋美氏降臨…
    ヘイトクライム 団体シンパがねぇ~
    (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/57741322ad2096ed1361fbd0e884b59b
    …」

 つまり、アベ様同様、大阪元「ト」知事も、「俺様王国」で王様になりたい人です。同類。強権的政治手法好きな二人。余所事とは言え、ため息が出てしまいます。

   『●「俺様王国」ニッポン、「俺様王国」大阪「ト」を
             造りたい強権的政治手法好きな二人

   『●ご冗談を橋下さん:「泣き落とし」の一環、「やめたらアカン」・・
                    なんて許されない、すっぱり政界引退を

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015110102000159.html

【社説】
週のはじめに考える 多数決がのし歩いては
2015年11月1日

 安全保障関連法の強行可決にみられるように、国会ではますます「数の論理」が幅をきかせています。でも、多数決は本当に万能なのでしょうか

 掃除当番は面倒なものです。誰も進んでやりたくない仕事です。でも、毎日、誰かが引き受けなければなりません。そこで、こんな提案がありました。

   「誰か一人にやってもらおう」

 そうして、「誰か」にA君が指名されてしまいました。来る日も、来る日もA君が一人で掃除当番を引き受けるという案です。

 みんなで多数決をした結果、「A君が毎日、一人で掃除当番をするという案が過半数になってしまいました。


◆掃除当番の押しつけは

 さて、こんな投票は許されることなのでしょうか。こんな多数決は有効なのでしょうか。

 実は掃除当番のエピソードは、弁護士の伊藤真さんが書いた憲法の絵本「あなたこそ たからもの」に出てきます。絵本には、こんな説明があります。

   <たとえ、たくさんのひとがさんせいしても、ただしくないことも
     あるんだ。わたしたちは、ぜったいまちがえない、とはいえない。
     わたしたちが、えらんだだいひょうも、いつも、ただしいことを
     するとは、かぎらない>

 確かに面倒だからといって、A君に掃除当番を押しつけたことは正しくありません。提案自体も多数決の結果も間違っているわけです。では、なぜ間違いだといえるのでしょうか。

 ずばり、A君の人権が侵されているからでしょう。毎日、苦痛な掃除当番を一人に背負わせるのは、基本的人権の観点から許されませんA君という「個人の尊重」からも問題でしょう。絵本の文章はこう続きます。

   <だから、ほんとうにたいせつなことをけんぽうに
     かいておくことにしたんだ


◆民主政治の落とし穴は

 日本国憲法の三大柱は、基本的人権と国民主権、そして平和主義です。憲法前文にはとりわけ基本的人権が優先する形で書かれています。しばしば国民の間で行われた多数決の結果を「民意」と呼んだりしますが、たとえ民意が過半数であっても、基本的人権は奪うことができません。

 「A君に毎日、掃除当番をさせる」という多数決の結論は、「多数の横暴」そのものです。立憲主義憲法では、それを許しません。立憲主義は暴走しかねない権力に対する鎖であると同時に、民意さえ絶対視しない考え方です。いかなる絶対主義も排するわけです。民意もまた正しくないことがあるからです。ナチス・ドイツのときが典型例でしょう。

 初めはわずか七人だったナチス党は国民の人気を得て、民主的な手続きによって、一九三三年にドイツ国会の第一党となりました。内閣を組閣したヒトラーは議会の多数決を利用しました。そして、政府に行政権ばかりでなく立法権をも与える法律をつくりました。「全権委任法」です。

 議会は無用の存在となり、完全な独裁主義の国となりました。戦後間もないころ、旧文部省がつくった高校生向けの「民主主義」という教科書では、このテーマを「民主政治の落とし穴」というタイトルで描いています。

   <多数決という方法は、用い方によっては、多数党の
     横暴という弊を招くばかりでなく、民主主義そのものの
     根底を破壊するような結果に陥ることがある>
   <多数の力さえ獲得すればどんなことでもできるということに
     なると、多数の勢いに乗じて一つの政治方針だけを絶対に
     正しいものにまでまつり上げ、いっさいの反対や批判を封じ
     去って、一挙に独裁政治体制を作り上げてしまうことができる>

 旧文部省の教科書は何とうまく「多数の横暴」の危うさを指摘していることでしょう。多数決を制したからといって、正しいとは限りません。それどころか、多数決を乱発して、独裁政治に至る危険性もあるわけです。

 確かに多数決は民主的手続きの一つの方法には違いありません。しかし、少数派の意見にも十分耳を傾けることや、多数決による結論に対する検証作業も同時に欠かせない手続きといえます。


◆「4分の1」の尊重を

 臨時国会の召集を野党が憲法五三条の規定に基づいて求めましたが、政府は「首相の外交日程」などを理由に拒みました。議員の四分の一の要求があれば、召集を決めねばならないという規定です。

 「四分の一」という数字は、むろん少数派の意向を尊重する意味を含んでいます。多数決論理ばかりが横行して、「四分の一」という少数派の「数の論理」を無視しては、民主主義がうまく機能するはずがありません。
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http://lite-ra.com/2015/05/post-1104.html

安倍晋三と橋下徹の“独裁者コンビ”が持ち出す「民意」「多数決」の論理を疑え!
【この記事のキーワード】安倍晋三, 松本滋, 橋下徹, 選挙 2015.05.17

     (“ゴリ押し独裁者コンビ”(左・自由民主党公式サイトより
      /右・橋下徹公式サイトより))

 戦後日本の国家のありようを180度転換する集団的自衛権の容認を閣議で決定し、さらに安全保障関連法案(戦争法案)を数に任せてゴリ押し可決しようとしている安倍晋三。そして、大阪都構想という何の具体性もないデタラメな計画を住民投票にかけて、大阪市民から白紙委任を引き出そうとしている橋下徹──。二人に共通しているのは「選挙に勝ち、多数決で『民意』を得た者がすべてを白紙委任され、独裁的に物事を進められる」というきわめて単純かつ一面的な、民主主義理解だ。

 実際、国民の側もそう考えている人が多いかもしれない。個人としては反対でも、多数決で決まったら従うのが民主主義のルールだ、と。

 たしかに、投票のない民主主義はない以上、民主主義を実質化するためには、何かのルールが必要だ。しかし、多数決はけっして最良の方法ではない。それどころか民主主義という観点から見れば欠陥だらけの方法だと教えてくれるのが、『多数決を疑う』(坂井豊貴/岩波新書)だ。

 では、具体的に多数決のどこが問題なのか。

 我が国の選挙制度は、国政選挙でも地方選挙でも、それぞれ選挙制度などに違いはあれど、一人一票による多数決方式が採用されている。この方式のもとでは有権者は「一番に支持する候補者」を選ぶことしかできず、二番目や三番目への支持表明はできない。仮に全有権者から二番目に支持を受けている候補者がいたとしても投票されることはなく、したがって彼・彼女が当選することも絶対にない。

 また、多数決は「票の割れ」に弱い。たとえば2000年のアメリカ大統領選では、当初ゴア優勢だったにも関わらず、途中から似たような政策を掲げる泡沫候補ネーダーが立候補したために、2人のあいだで票を食い合い、結果的に漁夫の利を得たブッシュが当選してしまった(その結果があのアフガン戦争、イラク侵攻であり、ひいては現在の「イスラム国」の隆盛につながっているのだから、多数決のもたらした影響は大きい)。

 加えて、多数決は少数の意見を切り捨ててしまうという欠点があるのは、中学校の公民の授業で習ったとおりだ。

 このように多数決は、適切に人々の意見を集約するルールとしては穴だらけだ。しかも、なぜそんな欠陥品が長らく採用されてきたかといえば、たんなる文化的な慣習からでしかないのだという。

   〈もし「一人一票でルールに従い決めたから民主的だ」
    とでもいうのなら、形式の抜け殻だけが残り、民主的
    という言葉の中身は消え失せてしまうだろう。投票には
    儀式性が伴えども、それは単なる儀式ではない。
    聞きたいのは信託ではなく人々の声なのだ。〉

 だからこそ、多数決に代わる「性能のよい集約ルール」が必要だ。本書の副題は「社会選択理論とは何か」であるが、社会選択理論こそ、そうした可能性を探る学問分野である。

 本書ではいくつもの集約ルールを平易に紹介し、比較検討している。そのなかでとくに有効なものとして挙げられているのが、スロヴェニアの国政選挙やFIFAワールドカップの予選でも採用されている、ボルダルールという方式だ。

 これは、たとえば選択肢が3つあるとしたら、投票者は支持する順番に1位は3点、2位は2点、3位は1点とポイントをつけ、その総和が多い選択肢から勝利するというやり方である。

 ボルダルールでは、各選択肢を1対1で対決させたときに他のあらゆる選択肢に負ける選択肢、つまり先述の大統領選の例でいえば、ブッシュのような実質的には弱いのに、全体の多数決では勝者に見えてしまう候補者を排除できるメリットがある。

 細かく見ればボルダルールにも難点はあるのだという。だが、実は完全に合理的で民主的な集約ルールなどありえないのだ! そのことは、ノーベル賞経済学者ケネス・アローを筆頭とする論者たちが「不可能性定理」で数学的に証明しているのである。

 とはいえ、ボルダルールが多数決より圧倒的にマシであることには変わりない。ボルダルールでなくともいい。いますぐにでも公職選挙法を改正し、少しでも民意が反映される多数決以外の方法を導入すべきだ。

 ところで、本書は公職選挙法にからんで、きわめて重要な指摘をしている。

   〈本来なら憲法は法律を上位から縛るものだが、
    公職選挙法が小選挙区制を通じて、下から第96条の
    実質を変えてしまっている〉

 現行の選挙制度では、小選挙区制(ないしは小選挙区寄りの区分け)の割合が大きいせいで、得票率が低くとも簡単に圧勝できてしまう。

 それをふまえると、憲法改正のための条件として衆議院と参議院のそれぞれで3分の2以上の賛成が必要だとしている憲法96条の縛りは「見かけ以上に弱い」。実際、自民党は直近の国政選挙で衆議院、参議院ともに半数以下の支持だったのも関わらず、それぞれ約76%、約54%の議席を獲得してしまった。

 憲法改正に必要なハードルは実質的には3分の2ではなく、せいぜいが半数以下で十分なのだ。このように法の抜け穴を利用して自分に都合のいいようにコトをすすめるのを脱法行為、もしくは詐欺というのではないか?

 人民主権を唱え、民主主義思想の礎を築いたルソーは、自由や権利が侵害される場合には多数決を適用してはならないとした。そして、それを実現する仕組みとして、たとえば多数派が少数派を抑圧する法律をつくらないよう、上位の憲法が禁止する立憲主義が生まれた。だから憲法が単なる多数決で簡単に改正されるなどあってはならないのだ。

 ちなみに民主制を徹底的に考えぬいたルソーにとって主権とは立法権に他ならず、そうした立法権を一部の代議士だけが独占する代表制民主制は原理的に否定されている。本サイトの過去記事でも紹介されているが、ルソーによれば代表制民主制は奴隷制と同じである。

 本書の著者もそんなルソーに依拠し、たんなる形式主義が民主制にすり替えられた現状に憤りをぶつけている。

   〈現実には主権者は、立法にも執行にもほとんどまったく
    関われない。しかし先ほどの形式の確保(引用者註:
    主権者である国民が国会議員を選出し、国会議員が法を
    定め、内閣の一員がそれを行政処分によって執行すること)
    を民主制の成立と錯視すると、現行制度は「民主的」と
    目に映ることになる。人々が声をあげたとしても、
    すでに制度を民主的だと思い込んでいる者は、
    そのような声をノイズとしてしか受け付けないだろう。〉

 結局のところ、たんなる多数決の結果を笠に着た「民主制」なぞペテンでしかない。著者はさらにペテンに加担する者がいかにも言いそうなことにたいして痛快な批判を浴びせる。

   〈「政治に文句があるなら自分が選挙して立候補して勝て」
    といった物の言い方がある。何を根拠としているか不明だが、
    それを口にする者の頭のなかでは、それが「ゲームの
    ルール」なのだろう。だが、わざわざ政治家にならねば文句を
    言えないルールのゲームは、あまりにプレイの費用が高いもので、
    それは事実上「黙っていろ」というようなものだ人々に沈黙を
    求める仕組みはまったくもって民主的でない。〉

 私たちには“クソゲー”をプレイしない権利がある。一票の格差とか投票率についてグチグチ言うのも結構。だが、真の民主主義は選挙=多数決がひからびたクソだという認識をもつところからしか始まらない。

(松本滋)
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