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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【13航海目】!

2019年10月30日 | モバイル
10月25日、朝4時・女川入港、水揚げ

水揚げ中に減速機メーカーと主機メーカーが訪船、前回施した処置の確認…

結果、減速機を解放して摩擦板の状態を確認したい となった!

漁撈長との相談で、気仙沼に台風避難で廻航し、徹夜で作業する事になった…

9時・女川出港、11時20分・気仙沼入港、12時から作業開始…

摩擦板の摩耗が激しく、
その摩耗ゴミがエレメントを詰まらせて圧力低下を招いているようだ…
他船で前例があったが、原因の特定には至っていないと云う…





摩擦板を全て新替えして、組み直し…

…26日朝5時30分・主機始動、各点検
台風による雨も強風も思考から消える程、忙しく徹夜作業が続いた…
作業に携わった方々のおかげで7時30分より航走試運転にこぎつけた…

更にデータログを取り付けた、原因解明に繋がる事を期待したい‥

再確認の後、12時・気仙沼出港…。

今回の作業は、これだと云う原因が特定出来ない限り、
この先ずっとサンマ漁期前にやらなければならない…

意気消沈…
モチベーションもかなり下がった…。

…台風一過、まだまだうねりの残る三陸沖を微速で沖へ‥

27日、15時・S/B。
ロシア領海内、うねりはまだ高い…
更に沖へ…

19時頃から操業開始…
調査・操業を続けている最中
船首側のミニボールと呼ばれる網を巻く漁撈機械が故障…
夜が明けて作業…

まだ新造船2年目であるが…
今年は不調と共に試練が続く…!

28日、15時・S/B。
良い凪となり、日没から調査開始!

時化後の凪で、サンマの群れが固まったようだ!
20時頃から纏まった漁獲を数回…。

10月下旬になって、やっとサンマの回遊が活発化…
回遊が遅れていたのかどうか今後に注視だが
今期のサンマ漁は特異だ…。

日付けが変わった頃から西へ‥
朝7時頃、チェックポイント通過 南下帰途航走、女川向け!

30日朝6時頃の入港予定。

【12航海目】!

2019年10月25日 | モバイル
18日夕刻に気仙沼入港。

不調で我慢しながら使用していた10段巻き‥
(網の一番下、足と呼ばれる錘が付いている箇所)
ワイヤーをつなぎ、それを巻き揚げる油圧漁撈機械で、
人間の労力の何倍もの力で引き揚げる操業時の重要な機械!

原因がほぼ特定され、対処復旧のメドがたった事から女川向けの航海予定が
気仙沼に寄港して作業…

深夜に気仙沼出港、女川廻航…

19日朝4時・女川入港、水揚げ。
水揚げ中には、こちらも不調な減速機…
減速機メーカーと主機メーカーが訪船‥

甲板では水揚げ後、10段巻き用のワイヤーを新替え、今後の操業に備えた。

減速機は現在出来る対応を限られた時間で処方し、目まぐるしく多忙な時を経て
9時・女川出港…!

雨風強い南三陸沿岸を北上、夕方からは低気圧の後を追うように沖へ…

20日夕刻・S/Bなし。
解禁から2ヶ月、この日は大時化で時に支えたり、微速での公海向け…。

21日・15時S/B。
まだうねりも風も残るが、幾分良くはなった海上

ワイヤー交換後、長さの調整をしてこなかった事から、2回程調整の為の操業試運転。
不調だった10段巻きは格段に素晴らしい動きをみせた!
やれやれである…。

悪天候の中、調査・操業を繰り返しながら北よりに…

高いうねりでの操業は、漁具にも人にも高負荷である…

若干纏まった漁獲で夜明けとなり、漂泊…

22日・15時30分S/B。

うねり風共に弱まり、時化後の公海、北へ北へとサンマを追った…!

10月も下旬となる中、北緯43°台での操業ポイントは
今期のサンマ漁の異常さを物語る…。

海水温も、先日までの16℃台から11℃台での操業となり
後れ馳せながら、サンマに脂が乗った…!

外気温も低く、漁が後半戦になったようなイメージ…

まだ気持ちは早いけど、漁が終わる12月には楽しみにしている映画がある…

音楽メディアがカセットテープからCDに移行した頃、
どうしても自分の部屋で聞きたい曲のCDを二十歳の誕生日に買った…
発売しがけ、当時DENONのCDプレイヤーを買ったのだが、
初期不良で音楽は聞けず、2回交換…
3台目でやっと聞けたその曲が、今や12月になると耳にするクリスマスシーズンの定番
「Last Christmas」by Wham!

その年の夏からサンマ漁船に乗船し、
30年以上経っても思い入れの強い曲…!
その曲「Last Christmas」にインスパイアされた映画、「ラストクリスマス」が
12月6日から上映開始となる…!



それを今から楽しみにしている…。

漁期間中、頑張れるのは漁後の楽しみを何かしら用意しておく事もひとつの要素だ…!

今期の異常な漁模様、毎年たてる目標を、今年は機関の無事に置き換えた。

漁撈長の漁へのモチベーションを維持し続けれるように!
自身は頑張らなければ…!

23日夜明けより低気圧による強風域をかわすように西への帰途航…

夕刻より南西よりに、巧く追い風追い風で経済速力での航海走。

船は25日朝4時頃の女川入港予定…!

【11航海目】!

2019年10月18日 | モバイル
10月12日、台風避難で花咲入港。
水揚げ後時化繋、夕刻より13日の昼過ぎまで待機…!

台風が東の海上に抜けた事で道東沿岸は大きな被害は免れた。

22時・花咲出港!
さすがに大型の台風だっただけに
道東沖は高いうねりが残った…
14日・S/Bなし、更に沖へ…

15日、20時30分・S/B。

初冬の寒さとなった公海の操業ポイント
北緯42度、10月中旬…
ジャネーの法則が最近になって益々感じられる…
自身の感覚は日々時々の流れが物凄く早い…

若干纏まった群れを操業中に、高いうねりの影響で網が破損‥
大破にはならなくて済んだものの、揚網後に忙しく応急の補修…

日付けが変わった頃には、うねりがだいぶおさまったが、西風が強まった…

減速機のクラッチ圧力が、再度低下傾向に…

夜が明けて漂泊後、急いで対策作業し、甲板に…
破損した網の交換作業…!

冷えた身体をお風呂で温める‥
今期は昨期と違って浴室シャワーが絶好調、これが救いである…。

16日、15時30分・S/B。

数日前に3冊目となった冷凍日誌に続き、



この日からは機関日誌が4冊目となった。
各日誌には本船の、ある意味歴史が記されていく…。



16時20分、日没‥
調査開始…!

一旦凪た海だったが、日没過ぎから南西の風が少しずつ強まった…

サンマが見えなくなり、東よりに調査…
沖よりの水平線に遠く赤い明かりが見える…

外国籍船団も操業ポイントを西よりに少しずつ移動しているようだ…!

南西からの風に変わった事で、海上の気温が上がり、寒くはなくなった。

東へ西へと調査範囲を拡げながらの操業も漁獲は伸びない…

夜明け前には雨が降りだし、風も強まった…

夜明けより南西へ…

17日、16時・S/B。
新たに張り出した冷海水温域を、ライトは点灯固定したまま調査しながら航走。

若干サンマは見えたが、操業には至らず帰途航走。

18日、16時頃に気仙沼入港予定。

【10航海目】!

2019年10月11日 | モバイル
10月10日朝5時、花咲出港!



2時30分から冷凍機を起動し、自分なりの感覚を確認、不安は解消された…

魚艙・氷艙・冷水艙と何事もなかったかのように、順調に冷えていく…

またひとつ、安堵感…

なんだか今期は、これの繰り返しのように思えるが、
安堵感を感じるにこしたことはない!

9日の花咲水揚げ後、冷媒液ラインの亀裂箇所を切断し、
新たに鋼管を使い、振動対策を施して復旧
500kの冷媒をチャージ、工事が終わったのは17時…

工事完了を漁撈長に報告すると、時化休みを伝えられた。

その後試運転を経て、倒れるように寝台に入った…!

花咲出港後、若干うねりの高い道東沖
風がなく、思ったより良い凪で15時30分S/B。

台風を警戒して、ロシア領海内を調査
ピストンで花咲に戻る航海予定である。

19時過ぎから薄群れを連続、回数操業…

付近の調査を経て僅な漁獲ながらも夜明けより帰途航



11日20時頃の花咲入港予定!

【9航海目】!

2019年10月09日 | モバイル
10月3日・11時、気仙沼出港北上、台風避港で花咲向け!



4日・10時30分、花咲入港 時化休み。

廻航中に冷水造りを終えていた事で、買い物する時間ができ
あいにくの雨だったが根室へ個人仕込み…

僅かな時間ではあったが、ちょっと息抜きできた。

5日朝5時・花咲出港!
台風崩れの低気圧の影響でまだ、うねりの残る道東沖…

出港後、氷艙と冷水艙の保冷中に、レシーバーへの戻りが少なく
心当り箇所の「リークテスト」反応はなかった。

普段より、心持ち時間をかけてバキュームしても変わらないのが気になった…

ロシア領海ラインを越えたらS/Bの予定となり、20時より再度冷水の保冷と魚艙の冷却。

22時、ガス(冷媒)漏れを目視…!
普段冷凍日誌に付ける項目箇所の目と鼻の先…

一瞬慌てかけたが、タオルを鼻と口に巻き、ガスの出口バルブを閉め
冷凍機を緊急停止の処置

真っ白なガスの噴出が消えた後に箇所を確認すると溶接箇所に1㎝程の亀裂…
まだ多少のガスが抜けており、対策を急いだが
レシーバーの液残量は僅かとなってしまった…。



なんとかガス漏れは止まった…。
土曜日の深夜だったが、関係担当の方に連絡し、その後の処置・対策対応依頼。
入港地によっての各対応をしてくれる手筈をお願いした‥

関係担当の方に感謝である…。

各保冷で十分な冷却温度を保てた後だったのと、
酸欠にならなかったのが救いだった!

領海ライン付近で風が強まりS/Bなしとなり、長いような短いような夜が明けた。

6日11時30分・漂泊。
漁撈長・甲板長に事態を伝え対応の予定を確認。

15時30分S/B。
低気圧が東に抜け、公海は気温がグッと下がり
寒さを感じるまでになった…!

冷水は十分な温度を維持していてホッとした‥

漁獲が纏まり早い帰途航を願ったが、漁模様は低調…

付近に他船は10隻程だったが、沖よりのポイントも芳しくないようで
時間の経過と共に漁り火が増えた。
赤い外国籍船も1隻が近づいた…。

回数操業でやや纏まった漁獲で夜明けとなり、漂泊。

7日・15時30分S/B。
前日よりは気温が若干上がったが、冬海近しを感じる公海…

付近一帯に日本船から外国籍船まで、多くの船が集まった…!

日没から調査も、船だらけ…
大船団での調査となったポイントであるが
サンマの漁模様は冴えない…

北西よりに調査範囲を拡げるも、サンマが見えない…。
次第に南東からの風が強まった…

更に西よりに…

夜明け前に若干跳ねるサンマが見えたが、僅かな漁獲に終わり
漁灯を仕舞い帰途航走、花咲向け!

会社、冷凍機業者、他に油圧業者さんとの連絡を確認しながらの花咲向け

昨年の新造船時よりも、不調箇所が多く、不安の種は尽きない…

風と共にうねりも大きくなり、船は激しく揺れる…

花咲に着いて、ガスチャージを済ませて
冷凍機が無事に再始動できるように…

安らぐ刻がほしいと切に思う…

船は9日朝4時頃の入港予定。