テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

グラン・トリノ

2011-06-21 | ドラマ
(2008/クリント・イーストウッド監督・共同製作/クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー/117分)


 “ネタバレ注意”

(↓Twitter on 十瑠 から

ウディ・アレンの「おいしい生活」を観ようとツタヤに行ったら見当らなくて、替わりに「グラントリノ」が目に付いたので借りてきた。先日、図書館の廃棄図書で見付けたキネマ旬報2010年特別号で2009年のベストテン1位の映画だ。ブックマークしている余所様のブログでも抜群の高評価だったが。
 [Jun 21st Webで/以下同じ]

1回目の印象は★★~★★★程度。演出力でいえば「ミスティック」や「ミリオンダラー」の方が上だったような気がする。さっぱり心に響いてこないので、弱ったなぁと思いながら余所様の記事を読みにいったけど、やはりどれも共感は出来なかった。

2度目の鑑賞で、★★★に落ち着く。「ミスティック・リバー」で書いた事を繰り返すと<面白いんだが、特別面白くはない。画面構成やショットのつなぎも上手いんだが、緩急の振幅の巾が狭い>。要するに、イーストウッドの作家としての視点が僕と合わないんだな。しょうがない。

ブックマークしている余所様の中で、唯一コチラの記事にはかなり共感した。(→)「グラン・トリノ

終盤でドンパチがあるらしいことは知ってたので、前半で「わらの犬」みたいなムードになるのかなぁと思いながら観ていたら、途中から「ベストキッド」の逆バージョンになった。

ラストは主人公の贖罪のあかしだと思うけど、あれで隣家の問題は解決するのかな?少なくとも日本じゃ数年で出てくるよね。中には不起訴になるヤツもいるかも。ま、これは映画の出来とは関係ないけど。

気を取り直して観た2回目で、これが現代版西部劇だと気付いた。やっぱりクリントさんはこれに落ち着いちゃうんだねぇ。

息子や息子家族との関係がワンパターンだったのも深みがないと思ったね。世界一の美女だと讃えた奥さんと育てた息子達でしょうに、付き合い方が分からなかったってなに?人種の違う隣人とはあんな風に付き合えたくせに。親なんだから自業自得だよね。なのに、ただ息子達を悪者にするのもどうかなぁ。

「グラン・トリノ」で追加して言うと、隣人の家族の事情がさして詳しく語られなかったのも作品に厚みが出なかった一因じゃないかな。あの一帯は同じモン族のコミュニティがあるようだけど、チンピラ連中に話の出来る長老なんかは居ないのかねぇ?そんなのが力にならなかったとなれば納得だけど・・。





goo映画の紹介文は(↓)

<朝鮮戦争の帰還兵ウォルト・コワルスキーはフォード社を退職し、妻も亡くなりマンネリ化した生活を送っている。彼の妻はウォルトに懺悔することを望んでいたが、頑固な彼は牧師の勧めも断る。そんな時、近所のアジア系移民のギャングがウォルトの隣に住むおとなしい少年タオにウォルトの所有する1972年製グラン・トリノを盗ませようとする。タオに銃を向けるウォルトだが、この出会いがこの二人のこれからの人生を変えていく…。>


 「ミスティック」や「ミリオンダラー」の方がよりテクニカルだと感じるのは、前者が監督に専念し尚かつミステリーだった事、後者が助演的な出演だった事も関係するような気がする。しかも、今作が構造的に西部劇に倣っていることを考えても奇をてらった演出は避けただろうし。
 そういう意味でも大きな期待はせずに「チェンジリング」にもその内挑戦するか。あと「インビクタス」にも。「バード」にも再挑戦するかなぁ。

 クリントさん、これにて俳優業とはおさらばとか。タダでさえポーカーフェイスだったのが、更に表情が乏しくなったような気がするもんな。

 ゴールデン・グローブで歌曲賞にノミネートされた主題歌、「♪Gran Torino」は、息子のカイルがマイケル・スティーヴンスやジェイミー・カラムと作った曲だとか。映画ではエンドクレジットで流れますが、クリント父さんも唄っておりやす。渋過ぎ!

※ 追加記事は吹き替えの効果について

・お薦め度【★★★=一見の価値あり】 テアトル十瑠

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