(1997/河瀬直美:監督・脚本/國村隼、尾野真千子、和泉幸子、柴田浩太郎、神村泰代、向平和文、山口沙弥加/95分)
(↓Twitter on 十瑠 から)
「萌の朱雀(1997)」を観る。「クライマーズ・ハイ」の尾野真千子、映画初出演作。かなり前に録画していたヤツだが、後生大事に保存していた割には期待はずれだった。ドキュメンタリー・タッチで、台詞もナチュラルを狙い過ぎてか、ぼそぼそとした感じで何言っているのか分からない。
[Nov 21th webで](以下同じ)
台詞の感じから中国地方が舞台かなと思ったら、河瀬監督の故郷である奈良のお話だそうだ。撮りたい画やら残しておきたい映像があったのだろうが、見た目の自己満足だけではイイ映画は作れませんぞ。ストーリーも説明不足だし、ドラマの表現も中途半端な感じ。
ストーリーが説明不足といえば、あの父親の結末はどうなんだろう?allcinemaもNHKの解説も“失踪”と書いているが、ブログでは死亡と思っている人も結構いる。僕も死んだんだろうと思っていたが、そういえば葬式は無かったな。
20分ほどしてから話は十数年後に飛んでいるんだけど、時間経過の表現が不十分で、僕は最初に出ていた小学生のぼくと2、3歳くらいの女の子は何処に行ったんだろうとしばらく考えちゃったよ。ところで、ヘルメット無しでバイク飛ばしてるって、何年前の話なんだ?
人間関係もよく掴めなかったな。男の子は國村隼の姉の子供で、だけどばあちゃんと叔父さんの一家と暮らしている。尾野真千子も大きくなってからはお母さんに甘えるシーンもなかったし、ラストだって親子らしい雰囲気は弱かった。監督自身が特殊な生い立ちらしいんだけど・・・。
カンヌ映画祭で新人監督賞にあたるカメラ・ドールを日本人初、史上最年少で受賞したらしい。10年後の「殯の森」では同映画祭のグランプリを受賞した。allcinemaのコメントを読むに、「殯の森」も似たような出来のようだ。
女性で脚本も監督もこなすといえば、「ゆれる」の西川美和を思い出すが、出来上がりを観ると、かなり力の差があるような気がする。真面目な視点だからお薦め度は甘くしたいけど、真面目だけでは面白みは出てこないからな。肝心の人間ドラマが甘いなぁ。
人間ドラマが甘いと言うよりは、人の描写が甘いんだな。
数年前に観たウルグアイ映画「ウィスキー」も判断を観客に委ねるような、観客の想像力を試すような語り口だったけど、「萌の朱雀」の方は想像力を試すと言うよりは、『ねぇ、わかってくれるでしょ』と(舌足らずなくせに)判断を強要するような感じがするんだ。
女の子の従兄弟に対する恋心の描写、従兄弟の男性の対応も雰囲気だけで、シチュエーションとしての新味はない。従兄弟と義理の叔母さんとの関係も、きちんと描けば(成瀬巳喜男作品のような)揺れ動く心情描写が出てくる作品になるはずなのに、ただ思わせぶりなだけで肩すかしに終わっている。
失踪だか、失踪後に死んだのか分からない父親は、実質主役ではないので思わせぶりとはいわないが、残されたお祖母ちゃんを見つめるラスト・ショットは異様に長かったですなぁ。あれは、最初からラストはああしようと決めていたような匂いがしましたが・・。
NHKの解説はコチラ(↓)
<カンヌ映画祭で新人監督賞にあたるカメラ・ドールを日本人初、史上最年少で受賞した河直美監督の劇場映画デビュー作。過疎化が進む奈良県の小さな村を舞台に、父親が失そうしたことから一家離散への道をたどっていく家族のそれぞれの思いが淡々と叙情的に描かれる。河監督は、この作品のちょうど10年後の2007年に「殯(もがり)の森」でカンヌ映画祭グランプリを受賞した。>
監督の狙いがある程度達成された映画であろうとは思われるが、個人的な趣味から言えば面白みがありません。
緑豊かな画は美しいです。
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人間ドラマが甘いと言うよりは、人の描写が甘いんだな。
数年前に観たウルグアイ映画「ウィスキー」も判断を観客に委ねるような、観客の想像力を試すような語り口だったけど、「萌の朱雀」の方は想像力を試すと言うよりは、『ねぇ、わかってくれるでしょ』と(舌足らずなくせに)判断を強要するような感じがするんだ。
女の子の従兄弟に対する恋心の描写、従兄弟の男性の対応も雰囲気だけで、シチュエーションとしての新味はない。従兄弟と義理の叔母さんとの関係も、きちんと描けば(成瀬巳喜男作品のような)揺れ動く心情描写が出てくる作品になるはずなのに、ただ思わせぶりなだけで肩すかしに終わっている。
失踪だか、失踪後に死んだのか分からない父親は、実質主役ではないので思わせぶりとはいわないが、残されたお祖母ちゃんを見つめるラスト・ショットは異様に長かったですなぁ。あれは、最初からラストはああしようと決めていたような匂いがしましたが・・。
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<カンヌ映画祭で新人監督賞にあたるカメラ・ドールを日本人初、史上最年少で受賞した河直美監督の劇場映画デビュー作。過疎化が進む奈良県の小さな村を舞台に、父親が失そうしたことから一家離散への道をたどっていく家族のそれぞれの思いが淡々と叙情的に描かれる。河監督は、この作品のちょうど10年後の2007年に「殯(もがり)の森」でカンヌ映画祭グランプリを受賞した。>
監督の狙いがある程度達成された映画であろうとは思われるが、個人的な趣味から言えば面白みがありません。
緑豊かな画は美しいです。
・お薦め度【★=真面目なだけでは、お薦めしません】 ![テアトル十瑠](http://8seasons.life.coocan.jp/img/TJ-1.jpg)
![テアトル十瑠](http://8seasons.life.coocan.jp/img/TJ-1.jpg)
この映画に対する私の感想は、TBさせていただきました中で述べておりますので、よければご笑読ください。
ほかの河瀬直美作品では「沙羅双樹」(2003年)と「殯の森」(2007年)を観ています。
彼女の作風は、地味で、素朴過ぎて、返って難解に思える雰囲気を作っていると思います。
同郷の人ですので、応援していますが、十瑠さんが仰るように、真面目さだけでは、一般受けはしないでしょうね。
ご指導出来るほどのモノはありませんので、こちらこそでございます。
>同郷の人ですので、応援していますが・・
そうでしたねぇ。^^
奈良弁は広島訛に近い感じがしました。親戚が福山にいますのでね。
河瀬作品、タイトルも難しいですね。