5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

鮎はオカズ

2017-08-20 21:33:23 | たべもの

いわゆる「グルメ」はTV番組のほぼ中心的テーマである。

今朝も某TVタレントのグルメ番組が岐阜県の二店を紹介していた。創作四川料理と川魚炉端料理。どちらも値段の張る高級店の範疇に入るのだろう。

瑞浪にある炉端料理は鮎がメイン。木曽谷に沿えば川魚料理で当然だが、駅から遠いということもあるのか、個客は取らずグループでまとめさせるのが店のポリシーらしい。これなら素材管理が楽だし見栄えもする。

「酒田の真桑瓜」で引用した丸谷才一は「食通知ったかぶり」で岐阜の鮎料理についても書いている。

「そばで見てゐると、深尾さんの鮎に対する態度は、普通の日本人の鮎に対する態度とはどうも違ふ。つまり、われわれが鮎を高貴にしてかつ貴重な珍味として恭しくあがめてゐるのに反し、深尾さんはごく当り前のオカズとして把握してゐる。これはどうやら、彼の口がおごつてゐるせいではなく、岐阜人一般の鮎に対する関係の、ごく自然な表現であるらしい。子供のころから鮎をふんだんに食べてゐれば、どうしてもかうなるわけだ」

評論家の篠田一士を共通の友人とする岐阜の深尾学氏と出かけた鮎料理の店は〔なかたに〕だったとあるが、ウィキでは引っ掛かってこないところを見るとすでに廃業組なのだろう。丸谷はここで「岐阜では鮎はオカズである」ことを認識して帰るのだ。

岐阜の隣県、福井の小浜では子供たちが鮎の投網漁に挑戦したというニュースが見える。

地域活動の一貫として「川に親しみきれいな川を守ろう」という趣旨で始めて開いた夏休みイベントだという。 「川には海から遡上した天然鮎と春に放流した鮎が生息し、春に放流したものは20センチ前後に育っている 」 と若狭河川漁協から説明を受けた20人余の親子は難しい投網漁に一時間の挑戦。奮戦叶わず自力で鮎は捕れなかったが、漁協が準備した放流鮎の塩焼きに舌鼓を打っていたとある。

福井は「鮎をオカズ」にするかは知らぬが、香魚といわれる鮎の香ばしさを子どもの頃に記憶できれば、彼らが成人してからの食生活の質にも影響を及ぼすことだろう。

夏の鮎が美味しく食べられる地域に暮らすことの幸せも一緒に学んで欲しいものである。

 

 


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