5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

名門温泉旅館の休業

2012-09-04 22:38:06 |  旅行・地域
NHKの石川ローカルに「加賀温泉のホテル百万石5日から休業へ」というニュースが載った。ホスピタリティ業界で働いたものとしては、突然の「クビ」を言い渡された多くの従業員たちの困惑具合がまず気になった。

ニュースによると、突然の休業は、旅館の経営不振が原因と見られるとのこと。帝国DBの情報では、平成3年には87億円の年間売上だったものが、長びく不況で業績低迷が続き、10年後の現在は年間売上16億円と、5分の1とガタ落ちとなっているのだという。

明治40年創業の老舗「ホテル百万石」は昭和天皇の宿泊もあって、山代の名門旅館として知名度も高かった。しかし、2010年の9月には、破産手続を申請し、運営会社に形をかえた旧オーナーが、管財人の不動産管理会社と不動産賃貸借契約を新たに交わして運営を継続してきたわけだが、ここまでで精一杯だったというわけだ。

旅館の建物は管財人と運営会社とが現在も係争中だというし、運営会社の計上した売上は仮差し押さえの対象だそうだが、こんな状態で長い間働き続けてきた従業員たちへの退職一時金は支払われるのだろうか。厳しい労働環境の割りに支払われる報酬がすくないのがホスピタリティ業界。厚生年金も最低レベルだろう。

自らが撒いた種だとはいえ、山代の中核ともいえる大型旅館が、秋のシーズンを前に突然閉鎖するというのだから、地元加賀温泉郷の多くの観光関係者にとっては大きなイメージダウンになることは間違いない。格安旅館チェーンが取得の動きを見せているともニュースにある。大旅館の低料金化で困るのも同業の旅館経営者たち。彼等は、これを機会に、加賀温泉の行き方を再考する必要も出てきそうだ。

温泉旅行は依然として人気があるのだとは云うが、時代とともに利用客のプロフィールが変化し、日帰り客やグループ客が比較廉価パッケージで泊まるスタイルばかり。人件費や管理コストばかりがかかる旧来の高級旅館の経営スタイルでは充分な利益を生み出しにくくなっているはづである。運営会社側は、将来、営業を再開したい意向だというが、いったい、どういう甦生策があるというのだろう。はたして名門「百万石」は甦ることができるのか?




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1 コメント

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Unknown (さる)
2012-09-05 00:20:22
働いていた知り合いに聞いたところ、6,7,8,月分の給料が未払いのまま一円も支払われなかったみたいです。

従業員の皆さん大変ですよね。
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