神鳴り(アメジストネックレス)

難聴ゆえに家居の好きな主婦です。過去、心臓弁膜症、大腸がんの手術を受けました。趣味は短歌です

「わかれ」瀬戸内寂聴『わかれ』より

2016年03月27日 16時47分43秒 | 読書
これは、著者の体験談だろうか。

いや、小説家だから、作り話だろう。

が、それにしては、よくできすぎている。

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私は、90歳を超えた画家である。エッセイなども書く。

ふとしたきっかけで、孫のような年齢の男性となかよくなる。

男性は、耳の遠くなった私に補聴器を買わせたり、ケイタイを買わせたりする。

無理と思っていたケイタイの操作も、この男性が懇切丁寧に教えてくれるものだから、メールも打てるようになる。さらに、スマホまで買わされて、それも使いこなせるようになる。

私は、この男性には何でも話せる。

男性も、私には、他の女性との付き合いとか仕事のこととか、隠さず話してくれる。

私にとっては勿論、この男性にとっても、今や私はなくてはならない異性になっている。

若い男女のような関係ではないが、それでも、やはり、ある意味、男女の関係である。

こんな生活がずっと続くと思っていたのに、ある日突然、この男性はカメラマンとしての仕事のために遠い外国に行ってしまう。

それが、結果的に「わかれ」になってしまうのだ。

長い人生を生きてきた私は、今まで男に捨てられたことは一度もなかった。が、今回のこの孫のような男性には、初めて捨てられた。

というところで、話は終わる。

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晩年に、こういう恋人のような異性を身近における女性を描いて、出色だと思った。

願わくばとまでは思わないが、しかし、歳をとるのも悪くないと思わせてもらえた小説だった。

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