特待生と野球留学

「特待生」、「野球留学」、「アマチュアリズム」に焦点を絞って展開します。

沖縄尚学

2007年05月03日 | 高校別

99年センバツの優勝校です。同校のWebサイトには「学園奨学生」として、次のような記載があります。

学校法人尚学学園>平成19年度沖縄尚学高等学校募集要項
A.学業奨学生      
   学業成績優秀・品行方正で他の模範となる者に対して、特待生 
   給費生として授業料の全額、又は半額を給与する。  
B.貸費生     
   学業成績優秀で心身ともに健全で経済的に困窮している者に対して
   授業料の全額、又は半額を貸与することがある。   
C.スポーツ奨学生     
   心身ともに健全でスポーツ技能に優れ精励し、他の模範となる者に
   対して、スポーツ特待生、給費生として授業料の全額又は半額を
   給与する。

至極妥当であって、特別に問題があるとは思えませんが、高野連様によれば「アウト」なのだそうです。

スポーツ特待/沖尚・興南も違反 (沖縄タイムス 2007年5月2日)
 沖尚は1日午前、「違反なし」とする回答と現状を報告する説明資料を日本高野連に送付したが、認められなかった。
 大城英健部長によると、同校が公表してきたスポーツ技能推薦の要項で、授業料の全額か半額を免除する奨学生に「野球、柔道、ゴルフ、テニス」と明記していることが「違反」と判断された。部員89人中、43人が抵触しているという。
 同校は十数年前、奨学制度について日本高野連に問い合わせした際、「問題ない」との回答を得ていた。大城部長は今回、その経緯も説明したが、日本高野連の田名部和裕参事は電話で「指導不足だった。申し訳ない」と陳謝した上で、沖尚側の言い分を認めなかったという。

沖縄尚学は1000人規模の学校です。たしかにゴルフや柔道やテニスでも名前は聞きます。野球部の89人中43人が奨学生なら、奨学生は全体で100人に迫ることになりそうです。私の感覚としてはいささか多すぎるような気もしますが、それでも学校経営が成り立つ(と思う)のなら、そうすればいいわけです。

わざわざ問い合わせるのですから、何かきっかけがあったに違いありません。「高野連様が特待制度に関する最初の通達を出したのは1990年です。10数年前」とは、おそらくこの通達の直後ぐらいだろうと私は推測したのですが、どうやら「10数年前」は94年以降のようです。

沖尚野球部長が退任 特待生は43人(琉球新報 5/3 10:04)
 同校には、創立時の1983年から同制度が設けられている。会見で大城野球部長は「94年に(部長)就任後、はっきりした時期は覚えていないが県高野連に、自校の奨学制度について確認したことがある。その時は問題ないということだった」と説明。名城校長は「率直に申し上げて日本高野連と(学校とは)だいぶ見解が違うと感じた」と話した。
 今後の対応について名城校長は「保護者にすぐに授業料を払ってくれるようには言えないだろう」と話し、日本高野連にも確認しながら、生徒や保護者に配慮した対応を取る考えだ。

問い合わせた結果「問題なし」と言われたのなら、学校側には(ほとんど)非はないでしょう。今になって突然「違反」だと言われた学校側が釈然としないのは当たり前です。このようなケースはほかにもあるのではないでしょうか。私も200校は超えると思っていましたが、400校に近いとは思っていませんでした。説明がつかないのです。まあ、文書で残っているわけではないでしょうから、証拠はありませんけど…。

体協のアマチュア規程が廃止されたのは1986年です。高野連様の通達は(1回目当時も)時代に逆行するものでした。いまどき、どの競技団体が「アマチュア資格」などという記憶の彼方にしかない言葉を口にするでしょう。そんなものは博物館で冷凍保存しておけばいいのです。

ここでも学校側は生徒をかばおうとしています。「生徒にも責任はある」とおっしゃる方々が現場にいないのが唯一の救いかもしれません。