特待生と野球留学

「特待生」、「野球留学」、「アマチュアリズム」に焦点を絞って展開します。

2つの南北問題

2007年06月03日 | ブルータス

ちょっと「ブルータス」には無理があるのですが、まず某政令指定都市の市議会議員のブログをどうぞ。

■広島市議会議員 谷口おさむのブログ>高野連VS高体連

このブログはいきなり「西ライオンズ」という、いかにもありがちな誤字から始まります。4月27日付ですから、特待生調査が進行中に書かれたものです。

導入部分は、産経新聞社がベータ版として公開中の「イザ!」のニュース記事をほとんど丸ごとコピーしたものです。中盤は、もともと共同通信の配信記事だと思われます。産経とスポニチに同じ内容のものがありました。文末を変えてあるだけです。

■iZa>「スポーツ特待、他競技は容認」 専大北上高野球部解散
■スポニチアネックス>特待生「全面否定は避けたい」

広島市議会のWebサイトによれば、谷口修議員は実在します。安佐南区選出で当選3回、所属会派は自由民主党新政クラブです。建設委員長を務めておられるようです。別に、適法な「引用」でないことを指摘したいのではありません(結果的にそうなってしまうのですが…)。

ご本人のWebサイトによると、氏は呉工、国泰寺、広島工で体育の教員を務めておられたようです。すると、「高野連には係わらないほうが良いと教えられ」たのは呉工時代でしょうし、寄付金集めの特別チームをつくったのは広島工時代でしょう。親が応援バスを出して近所の人を連れて行ったのも広島工ということになりそうです。

谷口氏はおそらく野球以外の競技で中京大や広島修道大大学院に進まれたのでしょう。高校野球が「特別」扱いされることを苦々しく思っていたに違いありません。これは野球以外の競技者に共通する心情だと思われます。

実は、ここにもう1つの「南北問題」が起きているわけです。高野連理事で毎日新聞大阪本社運動部長の堂馬隆之氏は、高野連は特待生を禁止しているのだから高体連も同調せよと主張されました。後日扱いますが、堂馬氏の(忠実な)部下である滝口隆司氏もほぼ同様のことを述べています。

高野連と高体連が等しく規制すれば、野球だけが突出している現状が固定されます。高野連が特待生を規制すれば、伝統校優位が固定され、新興私立校は事実上排除されます。2つの南北問題を抱えて利害関係が錯綜しているわけです。

要は、高校野球がマイナースポーツになれば、「特待生」など雲散霧消するだけのことですが(私はそれでもいいと考えています)、主催新聞社は人気を維持しつつ(どこにも書いてない)「アマチュアリズム」を墨守したいという贅沢な考えから脱却できないようです。