河北新報より転載
石巻・雄勝まちづくり「住民の会」代替案提出へ
雄勝地区の復興まちづくりについて話し合う住民の会のメンバー
東日本大震災からの復興まちづくりに住民の声を反映させようと、石巻市雄勝地区の住民有志が「持続可能な雄勝をつくる住民の会」を設立し、活動している。県が中心部に計画する防潮堤(海抜9.7メートル)の見直しなどを求め、話し合いを重ねる。行政が描くまちづくりに対して代替案をまとめ、年内の提案を目指す。
「豊かな自然や景観を壊してまで、人が住まない場所を守る防潮堤を造る必要があるのか」「中心部での再開を迷っている商業者が『またここで営業したい』と思える町にしたい」
6日夜にあった会合には7人が集まり、防潮堤を計画通りの高さにすることへの疑問、中心部に形成される予定の商業エリアの活性化策について意見を出し合った。
中心部の土地利用計画は海岸に防潮堤を整備し、被災した雄勝硯伝統産業会館の再建や商業施設の建設を見込む。防災集団移転の宅地は、海岸から約80メートル離れた海抜20メートルの高台に整備される予定だ。
メンバーの一人、雄勝硯生産販売協同組合の高橋頼雄さん(47)は「行政主導で、血税で無駄なハード整備を進めるのはおかしい。生活する住民が10~20年先も見据えたまちの在り方を考える必要がある」と語る。
住民の会は8月、中心部への移転希望者やまちづくり団体関係者ら11人で結成。これまで7回、意見交換してきた。防潮堤の変更に加え、グリーンツーリズムなど環境を生かした町おこし案も探っている。
住民の中には「行政の計画を見直せば、集団移転が遅れるのではないか」と懸念する声もあるという。
発起人の一人で、被災した自宅跡地にローズガーデンを整備する一般社団法人「雄勝花物語」の徳水博志共同代表(60)は「行政と対立するのではなく、協力して復興を加速したい。今ある資源を守り、自分たちの手で高齢者の知恵や若者のパワーを生かした町をつくりたい」と話している。
2014年11月14日金曜日