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被災地支援の問題と提案

2016年06月24日 | 震災・災害


被災地から聞こえてくる多くの声や意見、被災者が登録したAmazon欲しいものリストの品目などを俯瞰しながら、問題がどこにあるのかを推察した。



1)行政と避難者の認識のズレ

下図のように行政と避難者の間で、「必要な物資」の品目で認識のズレが大きくなっている。

例を挙げれば、行政は「飲料水は2Lのペットボトルで十分に確保している」と認識し、避難者は「子供や高齢者は2Lは運べないし、季節柄、開封後の劣化による健康被害リスクを考えると500mlが欲しい」と要望している。



行政と避難者の間でズレが生じるのはやむをえないが、問題はこれを埋める工夫がなされているかどうか。

あるいは、行政が認識している水準が妥当であるのかどうか。



2)必要な物資は時間が経つほどに変化

避難者(または被災者)が求める物資(≒生活水準)は時間とともに変化するのが当然。

①食生活や生活環境から生じた問題に対処するために必要物資の品目は増加する
 例:栄養補助食品、副菜、汗対策の日用品、殺虫剤その他

②元の生活水準に戻りたいとする欲求

それにもかかわらず、提供する物資を行政が一方的に“生存確保水準”に固定しておくならば、避難者の問題や不満はますます増大していく。



現状で聞こえてくる範囲では、「増えていく必要物資の品目」に対処する工夫や努力の様子が見られない。

なお、自宅や家財、場合によっては収入源まで失った被災者には「足りたいモノがあったら自分で買いなさい」は酷である。



3)行政には対応できない

避難者が何を求めているかをきめ細かに把握し、それを手配する能力はそもそも行政にはないと考えた方が良い。

にもかかわらず、行政が避難所を完全支配下に置いていることが問題。

次の記事で用いた図を再掲するが、支援物資の手配や配送の体制にNPOを入れることでこの問題には対処できる。東北の被災地ではそのようにやった。一例を挙げれば、漁村が多かったので「ゴム長靴が欲しい」という要望にも対応したし、寒さ対策のために使い捨てカイロも配布した。

物資支給体制
http://blog.goo.ne.jp/zf-phantom/e/7420757f800d800c0a85676c9d577218





4)民間企業への協力要請が必須

避難者が求める細々した品目に行政がいちいち対応できないのは当然だが、民間企業は世間のあらゆるニーズに応えるためにあらゆる商品を用意している。

例えば衣類ならば、企業は売れ残り商品などを格安あるいはほぼ無料で提供できる。衣類の原価は3割前後だし、売れ残り廃棄予定商品ならば本来は処理費用がかかるところを無償提供によりタダで処分できる。

食品ならば、これも原価は売価よりはるかに安いし、被災者をもファンにしたいという企業側の意図がある場合などは一種のマーケティングも兼ねて無償提供できる。

また、被災地への物資支援は企業にとっても「社会貢献」の一環としてアピールできるので、企業にとっても物資提供は必ずしも損にはならない。

いずれにしても物資品目の拡充は、企業からの協力があれば比較的容易に可能だが、これを個人ボランティアが店頭小売価格で自腹で購入し、避難者に配布するというやり方は持続不可能。

また、現状のように行政が公式に支援物資の受け入れを停止している状況では企業は支援ができない。なぜならば、企業は個人ボランティアと違って、行政の方針に反してまで支援を強行するようなことはしない(できない)から。



5)支援物資業務にNPOを参加させるべき

何度考えても結局同じ結論にしかならないが、次の記事で紹介したように、支援物資配布の業務をNPOに業務委託するのがベストと考える。行政は大枠だけ用意してくれれば、細々した品目はNPOが避難者からヒアリングして企業との間をコーディネートできる。

物資支給体制
http://blog.goo.ne.jp/zf-phantom/e/7420757f800d800c0a85676c9d577218



6)現実解は行政とNPOの住み分け連携

ただ、理想論を述べてもラチがあかないので、次のように現実解を提案する。

すなわち、行政が提供している生存確保水準の物資提供は維持したまま、健全に生きるための物資提供の体制としてNPO+企業の支援体制を追加する。



これを実現するには次の2条件が必須。

 ①行政からNPOへの業務委託
 ②行政からの支援物資受け入れの告知


これさえ揃えばあとはなんとでもなる。

実行上の課題は、このような提案を誰がどうやって行政に提案し、説き伏せるか。また、その提案の時点で、業務委託を受けるNPOが立候補していることが望ましい。

細かいことを言えば、NPOが倉庫代わりに使う体育館のような施設の確保に便宜を計らってもらいたい。なお、この施設は必ずしも被災地内でなくても構わない。


また、あえて言及するが、いくつか懸念される事例はあったにせよNPOやボランティアへの過剰な批判や排除が結果的に今の状況を生み出した側面もあったのではないかと考える。




参考)避難者がAmazon欲しいものリストで提供を呼びかけている品目の例

★食品類

インスタントスープ
クッキー
煮魚のパック
牛乳
500mlの水
栄養補助食品(ビタミン、カルシウム、亜鉛、DHC、鉄その他)
スポーツ飲料
缶詰(魚、果物)
麦茶など
青汁
菓子またはつまみ類(鉄とカルシウム補給など)
レトルト食品(丼物、カレー)
味噌汁
ゼリー(エネルギー補給)
ドライフルーツ
長期保存非常食
芋チップなど(食物繊維補給)
アルファ米


★生活雑貨

無添加の洗濯用液体石鹸
シャンプー
乾電池
蚊やダニ対策スプレー
使い捨てのスプーンと紙コップ、紙皿
汗の拭き取りペーパー
消臭と除菌のスプレー
ハンドソープ
ローション、クリーム
スマホ充電ケーブル
殺虫剤
ウェットティッシュ
胃腸薬


★衣類

下着、靴下




以上。





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