サムライ左近法務事務所の事件帳

本業の法律事件の他、考古学、歴史学、戦国山城等を、その実証から紹介します。

原発事故と一時帰国

2011-03-20 18:59:57 | Weblog


昨日、相談に来られたヨーロッパの方は
「日本に残りたい」と言われた。
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今般の地震・津波・原発の3重苦は
日本人はもとより、日本に在留する外国人にも
様々な人間模様を映し出した。

そんな混沌とした中で来所された
ヨーロッパ人のお話を聴くと
日本に支店がある外資系企業で働く7割近くは
本国に一時帰国したとのことであった。

真意のほどは定かではないが
そこで働く本人の言葉なのである意味
真実味を帯びている。

そう言えば福島第一原発の事故を受けて、
東京入国管理局には、一時帰国に必要な
再入国手続きを求める外国人が連日、
普段の数倍の約五千人も訪れている。
とニュースで報じていた。
 
在日外国人が在留期間中に日本を出国、
再入国するには、再入国許可の申請が必要で、
許可がないと在留資格を失う。

今回の相談者は
日本に「永住」することを希望していた。
多くの外国人が本国に帰国若しくは一時帰国
しようとする中にあって少し驚いたが
理由を聴いて、ある程度納得がいった。

先ず、その一つ。
「日本が本当に好き」であること。
そして二つ目としては、今回の大災害に
あっても「毅然として立ち向かう勇気」
に感銘し、日本人に更なる好感をいだいたのだ
そうである。

■永住許可要件■

[要件と趣旨]

出入国管理及び難民認定法では永住が
許可される要件として

①素行が善良であること
②独立の生計を営むに足る資産
 または技能があること
とされています。

[審査ポイント]

永住許可を与えるかどうかについては
法務大臣の広範な裁量が
認められていて、現行は以下を基準に審査されます。
①原則として10年以上継続して本邦(日本)に
 在留していること
②罰金刑や懲役刑などを受けていないこと
 納税義務等公的義務を履行していること
③現に有している在留資格について、出入国管理
 及び難民認定法施工規則
 別表第2に規定している最長の在留期間をもって
 在留していること
④公衆衛生上の観点から有害になる
 おそれがないこと

*「10年以上継続して本邦に在留」の例外

①本例のような日本人、永住者または特別永住者の
 配偶者または実子若しくは
 特別養子の場合、配偶者においては婚姻後
 3年以上、本邦に在留していることが必要
 但し海外において婚姻・同居歴のある場合は
 婚姻後3年経過し、かつ
 本邦で1年以上在留していれば在留歴を満たします。
②定住者の在留資格で5年以上継続して
 本邦に在留していること
③難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上
 継続して本邦に在留していること
④外交、社会、経済、文化等の分野において
 我が国への貢献があると
 認められる者は5年以上本邦に在留していること

等、永住許可を得ようとする場合のハードルは
高いと言える。
特に今回のケースは「原則10年以上の在留」
を満たしていないので頭が痛い。

現在、こうした事案に対応できる専門家は
弁護士と行政書士に限られている。



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「世とは人を申すなり」

2011-03-18 19:24:51 | Weblog


この7日間は色々なことを考えさせられた。
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この世に生を受けて
仕合せを望まない者はひとりも
いない筈である。

今般の未曾有な災害を前にして
「天災」だとのたまった○○知事もいた。
その後、撤回し謝罪はしたものの
一度、口から出た言葉は、もう後戻りはしない。

善意に解釈すれば
道理にかなっているかも知れないが
それは時と場合を選ばなければならない。
そうした配慮もなく出た言葉は
上に立つ者としては失格である。
と私は思う。

『愚管抄』に収められた慈円の言葉に
「世とは人を申すなり」がある。

中野東禅師は、その意味を以下のように
述べている。

「人がこの世をつくったのだから
世の中=人間である。
だか、人々は助け合いながら仲良く暮らし
世の中を育んでいく。これが人間に与えられた
使命である」。

中野東禅師は文末でこう結んでいる。

私たち人間が環境をつくっている。
一人ひとりが
「世の中を育てる」
「自然環境を育てる」
という発想で生きていななければならない。
そうすれば人間同士の無意味な争いもなくなる。

そのためには
各人できることはエゴを減らすこと。
「自分さえよければいい」という気持ちを
一人ひとりがなくしていくこと。

そして
できることなら
ほんの少し自分を犠牲にして
人の役に立ってみること。


「愚かな人々は分かち合うことをたたえない。
しかし、心ある人は分かち合うことを喜ぶ・・・・。」
(釈迦)




離婚時代の「養育費」

2011-03-10 15:23:49 | Weblog


先日、来られた相談者は「養育費の減額」であった。
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この方の場合は離婚後、再婚している。
既に10年以上も養育費を支払っているが
その負担の大きいことに再婚相手は
納得できないので減額を要求したいのだ
そうである。

しかし、その夫婦は共稼ぎで収入も
決して悪くないし,夫婦の間に子もいない。
一方、離婚した相手側には2人の子どもがいて
再婚もせず片親だけの収入に依存しているのが
実状のようである。

これでは2人の子どもに対し
減額を要求するのは酷である。

減額が難しく、仮に承諾がとれたとしても
2人の子どもに、そのしあわよせがおよぶことを
説明しお帰りいただいた。

養育費は文字通り
子どもの監護・教育のために必要な費用である。
養育費の支払額は、過去裁判官らの作成した
「養育費算定表」が目安になる場合が多いが
飽くまでも目安であり規定はない。

2006年の全国母子家庭調査(厚生労働省)
によると、養育費を取り決めているのは
全体の38.8%で依然として低い数値を示している。

またこうした取り決めがなされたにも
関わらず、実際に養育費が継続して支払われない
ケースが7割もあると言われている。

民法上、養育費の支払いについての規定は
ないが、2004年の改正民事執行法で
未払い養育費は給料から差し押さえることが
可能になり、制裁金が科せられるようになっている。

総じて離婚にまつわる取り決めは
養育費も含め「公正証書」しておくことが肝要である。



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離婚時代の「親権と監護権」

2011-03-09 16:54:13 | Weblog


夫婦の3組に1組が離婚する時代。
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この頃の新聞記事に
その連載が載り始めた。

仕事柄、大勢の方々から相談を受けるが
全く同じパターンなど一つもなく
各々が複雑であり深刻である。

日本は離婚後、父母のどちらかが親権を持つ
「単独親権性」となっている。

離婚には大きく分けて4つの種類がある。

■1 協議離婚
離婚する夫婦の90%は協議離婚が占める。
基本的に夫婦での話し合いにより決めるもので
合意ができれば離婚届を提出するだけで
離婚が成立する。

■2 調停離婚
離婚する夫婦の9%が調停離婚と言われるもの。
夫婦での話し合いで離婚が成立しない場合、
家庭裁判所に間に入ってもらい、調停を利用して
離婚を成立させる。

■3 審判離婚
審判離婚は極めて少ないケース。
調停での離婚が成立しなかった場合、
家庭裁判所が離婚をした方が良いと審判を
することがある。
審判に不服のある場合は2週間以内に異議を
申し立てれば効果はなくなる。
2週間を過ぎると審判は確定し審判離婚が成立する。

■4 裁判離婚
離婚の中で裁判離婚になってしまう割合は
僅かの1%。
家庭裁判所で離婚の調停が成立しなかった場合、
夫婦のどちらかが地方裁判所に離婚の訴訟を
起こし、離婚を認める判決を得られれば
離婚が成立する。
但し、判決に納得のいかない場合は
高等裁判所→最高裁判所へと争うことも
可能である。

離婚の9割を占める協議離婚の場合、
離婚届に未成年の子どもの名前を
父若しくは母、どちらかの欄に記入するだけで済み、
諸外国に比べて手続きは簡単である。

しかし養育費や面接交渉など、離婚後の
子の養育についてはっきりした規定がなく、
様々な場面でトラブルが多発していると言える。

親権とは
「未成年の子に対し親が行使する」と民法で
規定する権限である。
監督・保護・教育権や居住指定権、財産管理権
などで構成される。

離婚後、こうした親権を取得するのは
母親が多く、全体の82%を占めている。

一方、親権と監護権を別にする「分属」は
僅か3%に留まっている。

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勝者が「正義」となる

2011-03-08 16:42:42 | Weblog


「まつろう」はマツラフの転で、服従する、従いつく
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を意味すると広辞苑には書かれている。

日本の古代史に登場する
「まつろわぬ者たち」の中で
当時の朝廷から屍を切り刻まれる
「散梟」と呼ばれる刑にかけられた者がいる。

『日本書紀』崇峻天皇即位前紀には
捕鳥部万(ととりべのよろず)の屍を
八段に切り刻んで八ヵ国に晒したとの記述がある。

捕鳥部万は物部守屋の資人で
蘇我馬子らが守屋を攻めた際、守屋の屋敷を
百人の兵を率いて守ったとされる人物である。

守屋は滅ぼされ、捕鳥部万は
天皇の盾となって働いたと主張するが
聞き入れてもらえず、その場で自刃して
果てるが、それを河内国司が朝廷に報告すると
朝廷は「屍を八つに切り刻め」と沙汰を下した
と言われている。

こうした刑罰を受けた人物は信州にもいる。
飽くまでも「物語」の域を出ないが
安曇野に今でも残る「魏石鬼八面大王」伝説である。

八面大王は八女大王の末裔とも言われ、
九州に関係する説が多い。

八女大王=筑紫君葛子とし、
磐井の乱(527・528)での敗北後、
土地をヤマト政権に渡すことで死罪を免れ、
一族(安曇族)は、日本海を北上して安曇野に逃れ、
クニを作ったという説である。

八面大王は坂上田村麻呂によって討伐される
ことになるが、何故滅ぼされたのかに及んでは
以下の通り、分かれている。

(Wikipediaより引用)

八面大王については二通りの見方がある。

英雄
坂上田村麻呂の北征の際、途上にある信濃の民に
食料などの貢を強い、それを見かねた八面大王が
立ち上がり、田村麻呂と戦った。


民に迷惑をかけ、鬼と呼ばれていた八面大王を、
田村麻呂が北征の途上で征伐した。


歴史は「勝者がつくる」と言われる。
捕鳥部万も八面大王も
その人物が持っている強力な武力や威力が
ときの権力者であった朝廷にとって
恐ろしい存在であったことは間違いないだろう。

その後、起こった
平将門の乱や藤原信西事件などでは
その長本人たちはいずれも「梟首」(さらし首)
の刑に処せられているのをみても頷ける。

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孫への遺贈・孫との養子縁組

2011-03-06 16:21:09 | Weblog


今日は二十四節句の啓蟄ですね。
だんだんと暖かくなり
春の気配を身近に感じますね。

さて私の事務所では毎月「無料法務相談日」
を設けています。
最近、相談を受けた事例に
「子ではなく孫に財産を譲りたい」
と言った内容のものがありました。
こうした相談に対する対策方法は
幾つかあります。

その1(孫への贈与)

一般的には子供に財産を生前贈与することで
相続税対策として一定程度、有効と言えます。

しかし、いずれはその子供にも相続が発生します。
故に子供の相続までを考えてその子供、
つまり孫に贈与するというのも方法の一つです。
このような「世代飛ばし贈与」は2世代に亘る
相続税の軽減につながります。


但し、財産の大部分を孫に贈与してしまうとなると、
逆に子供との間でトラブルが生じる可能性があります。
民法で、子供や配偶者など一定の相続人には
相続財産のうち一定割合がもらえる権利→
「遺留分」が守られているからです。
(実際にそうしたケースを私自身も知っています。)

その2(孫との養子縁組)

通常、孫には相続権がありません。
ではどうすればいいのでしょう。

それは孫を養子にすれば、相続の際に子供と同様の
法定相続分が認められ、相続税の
総額軽減につながります。
ただし、相続税の計算においては、
養子の数は実子がいる場合は1人、
実子がいない場合は2人
までに制限されています。

もう少し判り易くまとめてみましょう。

①孫を養子にしていた場合、
孫の相続税が2割加算されます。
孫を養子にすれば、1代飛ばして財産を
相続させることができるため、
このルールが設けられています。

②相続税の不当な節税を防止するため、
相続税の控除が受けられる養子の数には、
制限があります。
その制限とは、相続税の計算をする際の
被相続人の養子の数を、実子がいる場合には1人
実子がいない場合には2人までとするものです。

③明らかな節税を目的として養子縁組を
行おうとすれば、税務署から租税回避行為と
みなされる可能性があります。
養子縁組することに対して節税以外の
目的・理由がなければいけません。

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数次相続

2011-03-05 18:15:43 | Weblog




「数次相続」と呼ぶ相続の仕方が
あることを御存知ですか。
--------------------------
数次相続とは
相続開始後に相続人が亡くなった場合に
生じますが、代襲相続とは趣を異にします。

これはとある方から相談を受けた例です。

被相続人(故人)には子が3人いました。
2年間、相続手続きをせずにいたところ、
子のうちの1人(女性)が亡くなりました。
亡くなった子には配偶者と未成年の子が4人います。

こうした場合
    
・被相続人の子2人
・被相続人の亡くなった子の配偶者
・被相続人の亡くなった子の子(故人の孫)4人
の7人の間で遺産分割の話し合いを
行うことになります。
   
相続開始後、手続きをしない間に相続人が
亡くなった場合、亡くなった相続人が被相続人から
相続した権利は、亡くなった相続人の相続人に
あたる人が引き継ぎます。

従って
亡くなった妻の「夫とその子供4人」が
相続する権利を持ちます。

但し、子は未成年ですから
裁判所に申し立てて成年後見の手続きをして
子のための代理人を選任しなければなりません。

何故なら、親子の間に
遺産相続における利害関係の
問題が生じるからですね。

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嫁に行くのが「遅れる」?

2011-03-04 18:50:18 | Weblog


「家難祓」と書いて”かなんばれ”
と読むのだそうである。
-------------------
信州、南佐久の相木村で
毎年三月三日に行われる
年中行事である。

その起源はいつ頃まで遡るのか
知る由もないが、かなり古くから
民間伝承の一環として継続されてきたのであろう。

「家難祓」は流し雛の一形態である。
のちの雛祭りの元になったといわれる行事で
「雛流し」とも言われている。

祓い人形と同様に身の穢れを水に流して
清める意味の民俗事例として、
現在も各地で行われている。
なかでも
「ひな祭り」発祥の地とされる和歌山県の淡島神社、
鳥取や島根、山形の流しび雛が有名で
いずれも「海」と関わりを持っているのが
興味深い。

反面、海とは全く縁もゆかりもない
山村の北相木村にこうした行事が
長く根付いていることは注目に値する。

さて、雛祭りの由来には
「三つの背景」がある。

先ず一つ目は
奈良時代から平安期にかけて
当時の貴族が行った三月三日の
曲水の宴である。

二つ目は
貴族の幼女たちの雛遊びが挙げられる。

そして三つ目として
祓いの呪具としての人形である。

各詳細に関しては省くが
元々、雛祭りに登場する雛人形は
若い娘の厄災や穢れを雛人形に移して
三月三日に流すものであった。

それ故、三月三日を過ぎて
飾ったままにして置くのは
穢れを移し取った人形を流さないままに
して置くことに等しい訳である。

皆さんのお宅では、もう
「しまわれ」ましたか。

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公正証書のおそろしさ

2011-03-03 14:06:58 | Weblog


先日、公正証書による遺言書作成の
依頼を受けました。
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遺言には
公正証書遺言以外に
自筆証書遺言
秘密証書遺言
がありますが、矢張り
「公正証書」による遺言を
お勧めしました。

さて公正証書は上記遺言以外に
多肢に亘って活用されています。

任意後見契約公正証書
金銭の貸借に関する契約
土地・建物などの賃貸借に関する公正証書
離婚に伴う慰謝料・養育費の支払に関する公正証書
事実・実験に関する公正証書などがあります。

公正証書は、公証人が公証人法・民法などの
法律に従って作成する公文書です。
公文書ですから高い証明力があると同時に、
債務者が金銭債務の支払を怠ると、
裁判所の判決などを待たないで直ちに
強制執行手続きに移ることができます。

金銭の貸借や養育費の支払など金銭の支払を
内容とする契約の場合、債務者が支払をしない
ときには、裁判を起して裁判所の判決等を
得なければ強制執行をすることができませんが、
公正証書を作成しておけば
直ちに執行手続きに入ることができます。

「強制執行」・・・・・・。
何か怖い言葉でもあります。


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同時死亡の推定

2011-03-02 17:16:54 | Weblog


義父の遺産は通常「嫁さん」
にはいかない訳ですが
知恵を絞れば
可能かも知れませんよ。

さて今日は相続にまつわる
「同時死亡の推定」についてです。

相続人が相続するためには
被相続人が死亡した時点において
相続人は生存していなければなりません。

例えば、父親と子が乗っていた飛行機が墜落して
2人とも死亡した場合
どちらが先に死亡したかが判別するのは困難ですね。

こうした場合に備えて民法には
「同時死亡の推定」という規定があり、
これらの者は同時に死亡したものと推定されます。

「同時死亡」は、死亡した数人の死亡原因が
「共同の危難」にあることを要件としません。

場所的に離れていて死亡状況も異なる場合の
一例を挙げますと
父が飛行機事故で死亡し、
ほぼ同時に
子が登山中に遭難して死亡した場合で、
親子のどちらが先に死亡したのか明らかでない
場合にも該当します。

同時に死亡したと推定されると、
一方が死亡した時点で他方も生存して
いなかったことになるので
互いの間に相続は起きないことになります。

従って父親と子が同時に死亡したと
推定される場合には父の相続に関して
子は相続人となりません。
また子の相続に関して父は相続しません。

尚、同時死亡が推定される場合にも、
代襲相続は認められるので、父の相続について、
死亡した子に子(父からすると孫)がいれば、
孫が代襲相続することになります。

お分かりだと思いますが
こうした場合でも「嫁さん」に
相続する権利は生じません。


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どこかで誰かが支えていてくれる

2011-03-01 11:34:34 | Weblog



「ブログを更新しなさい」
と妹に言われてしまった。

見ていてくれたんだ。
ありがとう。

もうお互いに50を超えた、いい歳である。
私とは6年の歳の差があるが
少なくとも妹だけは
憎く怨んだことはない。

高校を卒業すると同時に
私は上京したので
妹との思い出はあまりないが
今でも鮮明に残っている記憶がある。

私が中学生になったばかりの頃、
夏休みに「ホップ摘み」のアルバイトに
来ないかと誘いがあった。
少し場所が遠いので躊躇した。
当時の交通手段といったら
路線バスぐらいのものである。
家には自家用車など勿論ないし
自転車も買ってもらえなかったので
小学生の妹と片道1時間有余
歩いて通った。

ホップ畑でのホップ摘みは
炎天下での作業である。
摘み終わったホップは
その日ごと計量器ではかられ
多く摘めば、その分
稼ぎは増えた。

「兄ちゃん、頑張ろう」
と言いながら
黙々とホップを摘む妹の小さな手。




ホップ摘みの最終日
そこの経営者の奥さんから
「よく頑張ってくれたんで来年も
手伝ってほしい」とお願いされた。

あれから
50年。
今はそのホップ畑の痕跡すらない。

振り返れば
あの頃も、今も
妹には兄として
何もやってあげられなかった。

「ごめんね」。
と小さくつぶやくのみである。


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「苦労は買ってでもする」は死語か

2011-02-26 20:35:16 | Weblog


本当の愉しさとは
----------------
苦労を経ないと味わえない。
と川北義則は書いている。
(『人生愉しみの見つけ方』)

氏の書く本はいつも
スーッと心の中に入ってくる。
難しいことを難しく書くことは
楽だが
難しいことを判り易く書くことは
大変なのだと思う。

さて
いつも楽々と生きて辛いことは
全部パスしている人間は、
一見愉しそうな人生を送っているように
見えるが、実は少しも愉しくはないのである。

そのことを一番よく知っているのは当人たちで
しばしば暴走の原因になったりする。

愉しい筈なのに愉しくないから苛立つ。
何故そうなるのか。
それは「愉しさ」とは相対的なものだからである。

旨いものばかり食べ続けていると
その旨さは当たり前のものになり
段々とまずく感じ始める。

実際、腹がすいてれば
何を食べてもおいしく感じるものである。

お金だってそうである。
お金がジャブジャブあり
好きなものが何でも買えるとしたら
買う楽しみは色あせ、消え失せてしまう。

苦労をしない人間は
当然、努力もしない。
努力をしないと人間の一番大切な
感性が萎えてしまい、次第に無機質な
人間へとなっていく。

そうした意味においても
「苦労は買ってでもせよ」の教えは
決して死語ではない筈である。

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最高裁初判断:「代襲相続人」を認めず

2011-02-23 11:58:12 | Weblog


最高裁判断は今後の遺言の在り方に
少なからず影響を及ぼします。
---------------------------
今朝の新聞記事では
親の遺言で子2人のうち
「全財産を相続させる」と指定された
長男が親より先に死亡した
場合を取り上げていました。

通常ですと
その長男の子が権利を承継する
「代襲相続」となりますが
今回の最高裁は
「原則として代襲相続は認められない」
との判断を示した。

では何故、そうした判断が下されたのでしょうか。

裁判長曰く
「遺言は通常、相続人になるべき相手との
関わりなどを考慮して行われる」
としたうえで
『相続させる』との趣旨の遺言は
名宛人(長男)に遺産を取得させる
効力を持つにとどまる」としています。

さらに
「名宛人が先に死亡した場合
その子(孫)に遺産相続させるとの
意思が遺言者にあったという特段の
事情がない限り、遺言の効力は
生じないと解するのが相当」と
結論付けています。

(経緯)

2008年 一審東京地裁判決
「親が相続させようとした長男が
死亡した場合、長男の遺族に相続させる
のが当事者の意思にかなう」と判断。

2009年 二審東京高裁判決
「長男が死亡した場合に子がその権利を
承継する趣旨の遺言が明記されておらず
効力はない」と判断。

では、こうした問題が起こるのを
避けるためにどのような遺言を
すべきかサンプルを挙げておきましょう。

          遺言書

1 遺言者は、遺言者の有する財産全部を
  遺言者の長男○○○○に相続させる。

2 遺言者が死亡したときにおいて
  すでに遺言者の長男○○○○が
  死亡していたときには、その有する財産を
  長男の孫である○○○○に相続させる。

等々。

すでに遺言を書かれている方も
一度、専門家に見てもらうことをお勧めします。

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名ばかり「講師」

2011-02-20 14:17:02 | Weblog


昨日、上田市民会館にてタイトルの
講師をして参りました。
-----------------------------------
遺言
相続
成年後見
の3つのお話を約45分致しました。

いずれも重いテーマでありまして
資料準備に1週間ほど要しましたが
その分、手応えは十分にあったと感じました。

遺言でも
相続でも
はたまた成年後見でも
皆さんにとっては
身近な問題であり
矢張りおおぜいの方々が
悩んでおられるようです。

質問攻めの中で
そんなふうに感じた一日でもありました。

そんなこんなで
当ブログから
業務を依頼された
お客様、方々
ご迷惑をお掛けしましたが
今日から取り組みを再開しておりますので
御容赦下さいますよう
お願いします。


特定非営利活動法人 遺言・成年後見普及センター長野
<事務所> 長野県佐久市長土呂427-27-202
<電話番号> 0267-68-1866 <FAX番号> 0267-67-8567
http://www.yuigon-kouken.jp/


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「蟻通神社」と「姨捨伝説」

2011-02-18 18:40:00 | Weblog




60歳になれば捨てられるとされた「姨捨伝説」。
-----------------
私ももうじき捨てられる?
さて、この「姨捨伝説」を
調べていくうちに
七曲の竹

七曲の玉
に辿りついた。

周知の通り
棄老伝説とされた姥捨て山は
全国各地に散見されるが
その中でも特に有名なのが「姨捨山」である。

姨捨山は信州の千曲市と東筑摩郡筑北村にまたがる山で
正名は冠着山。冠山とも更科山とも称され坊城とも
言われた。

そのことを前提に
以下はその要約である(一部引用)

「親は六十歳になったら山に捨てるべし」という
掟があった。
しかし、ひとりの孝行息子が、老いた母親をどうしても
山に捨てることができず、ひそかに家の裏の納屋に
かくまっていた。
そんな国にあるとき隣国から使者が来て
三つの難題を課した。

1 七曲がりの竹に糸を通せ。
2 一本の棒の根元と先端はどうやって知るか。
3 灰で縄をなえ。

文字通り、無理難題である。
領主以下、家来も領民も誰もわからなかったのだが
ただひとり、ひそかにかくまわれていた先の老母に
だけ答えることができた。

一つ目は、アリを捕まえてきて糸をくくりつけ
七曲がりの竹の一方の端に蜂蜜を塗って、
もう片方の穴からアリを入れてやればいい。
いくら曲がりくねっていようとアリはちゃんと
こっちの穴へ出てくる。
これで糸は七曲りの穴を通る。

二つ目の根元と先端の分からない棒は
タライに水を汲んで、浮かしてみろ。
ちょっとでも沈んだ方が根元、浮いた方が先端だ。

三つ目は、まずワラでしっかり縄をなって
それを塩水につけ、よく乾かしてから燃やせば
形がくずれない。灰で縄をなったように見える。

隣国の使者は「この国には、すごい知恵者がいるに
相違ない」と引き下がり、国は危難を逃れたという。
これをきっかけに、老親を山に捨てるべしという掟は
廃され、くだんの老母は息子や孫たちと末長く安楽に
暮らしたとされている。

こうした説話の内容から
読み取れる時代背景はおそらく
平安時代ごろから戦国時代の末期までと考えられる。

ところがもっと古い伝承が残っていた。
大阪の泉佐野市にある蟻通神社。
この神社は紀貫之にゆかりがあると言われる。

天武天皇の頃、唐の皇帝が、日本人の知恵を
試してやろうと、穴が反対側へ貫いている
七曲がりの玉を贈ってきた。
これに糸を通してみろ
というわけである。
蟻の体に糸をくくって、一方の穴から入れ、
反対側の穴の出口に蜂蜜を塗って、
蟻に七曲がりの穴の中を這わせ、
見事、糸を通した翁がいた。
以来、志富田(渋田)荘の氏神として祭られている。
 
元々は
七曲の玉に糸を通すことから
始まっていたと考えられるが
いつしか民間伝承されるうちに
七曲の竹に転化していったものかも知れない。

ただひと言わせてもらうと
7世紀に始まる日本の古代法制度下では
20歳以下の若年者、60歳以上の老齢者や
障害者には税の軽減など保護がされていて
法制にも棄老はない。

そう言えば
蟻通神社は「知恵の神様」とも呼ばれている。
仕事上でまだ解決がつかない問題
なかなか手がつけられない難しい事案など
七曲の玉のごとく
閃くヒントや深い知恵に
あやかりたいものである。


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