今回は当語学教室でベトナム語を担当するチャンハトウ講師、ミャンマー語を担当するマーナンシュイヌエ講師に、ベトナムとミャンマーの食文化や食事作法などについて語っていただきました。
Q:ベトナムの食文化やお茶の文化を紹介していただけませんか?
ベトナム:ベトナムは米を主食とし食事のときには箸や茶碗を使用するなど、日本の食文化と共通する特徴があります。ただし、ベトナムではご飯にスープなどをかけて食べることが多く、日本ではお茶漬けはあってもスープなどをかけることはあまり多くないと聞いていますので、その点では相違があります。あと、ベトナムでは麺類も米でできたフォーなどを食べるのが特徴ですし、フランス植民地時代の影響もあってバインミーというフランスパンのサンドイッチのようなものを食べたり、中国食文化の影響を受けた料理もいくつかあります。
ミャンマー:ミャンマーも米が主食で、特に昼食や夕食にお米のご飯を欠かすことはできないほど重要な位置をしめています。朝食は特に都市部では外食で済ませる家庭が多く、麺類を食べたりパンも食べたりしますが、ミャンマーの人は甘いものを好みますので、パンのなかに生クリームなどを入れたものをよく食べたりします。あと、ミャンマーでは手を使って食事をする人も多く、左手は不浄であるといわれているので、右手を使用して食べます。ただ、麺類を食べるときは箸を使用しますし。スープを飲むときはスプーンを使用します。なお、ご飯とおかずを別々に食べることはほとんどなく、ご飯におかずをのせたり、混ぜたりして食べることがほとんどです。
ベトナム:先ほども述べましたがベトナムは中国食文化の影響を受けているのでお茶を飲む習慣があり、茶の文化が根付いています。北部地域では緑茶を好んで飲みますが、南部地域ではジャスミン茶や烏龍茶、コーヒーなど様々な種類の飲み物が飲まれます。なかでもコーヒーはフランスの影響をうけ、細挽きの豆をベトナム式フィルターでいれ、練乳を加えて飲むのが一般的です。そのほか、ベトナムの家庭やレストランなどで愛飲されているのがハス茶で、ハス茶には身体の熱をとる働きがあるといわれ、暑い気候のベトナムならではのお茶といえると思います。
ミャンマー:ミャンマーでは緑茶も紅茶もよく飲まれています。ただ、日本と異なりミャンマーの人はお茶類も甘くして飲むことが好きなので、紅茶やコーヒーには練乳をたっぷり加えて飲みます。コーヒーに練乳を入れるのはベトナムと共通している特徴であるといえるかもしれませんね。あと、ミャンマーで最も特徴があるのはお茶の葉の食べ物があるということです。これはいわば漬物のようなもので、「ラペッナ」という名前の食べ物ですので、ミャンマーを訪れる機会がありましたら、一度味わってみてください。
Q:次にベトナムとミャンマーの食事作法について紹介してください。
ベトナム:お年寄りのいる家庭では食事を始めるときに「さあ食べましょう」といった合図で食べ始めたり、年配の人が最初に箸をつけてからほかの家族も食べ始めるというのが決まりになっていますが、お年寄りのいない家庭ではこのようなルールはあまりなくなってきているのではないかと思っています。また、地域によっても食事作法に違いがあり、私の印象ではハノイなどの北部地域では食事作法は比較的厳しく、ホーチミンなど南部地域ではあまり厳しくないのではないかと思っています。あと、麺類のスープなどを飲むときは、食器に口を付けてすすることはせずスプーンで飲むのがマナーであるといわれていますが、私の知る限りでは結構多くの人が丼などの食器に口をつけてスープを飲む光景を目にしましたので、あまりこのマナーも守られてはいないのではないかと思っています。
ミャンマー:ミャンマーでもお年寄りが「さあ食べましょう」といった合図で食べ始めたり、長老が最初に箸を付けてからほかの家族も食べ始めるといったルールはベトナムとまったく同じですね。あと、私の家では小さい頃から両親に食事を残してはいけないとしつけられましたが、ミャンマー人はあまり食事を残したりする人は多くないと思っています。マナーについてもベトナムとほぼ同じで、麺類のスープなどを飲むときは食器に口をつけてすするのではなく、スプーンを使用して飲みます。あと、テーブルの中央に大皿の料理があるときは、年配の人のお皿におかずをとってから自分のお皿に料理をとるなど、年配の人に気を配ることがエチケットであるといわれていますよ。