12月から新しく当語学教室のロシア語講師になったコルコ マリアさんのプロフィールなどを紹介するため、いくつかの質問をして尋ねてみました。
Q:マリアさんはロシアのどこの出身ですか?
マリア:私は22歳まで極東ロシアの中心地であるハバロフスクに住んでいました。ハバロフスクはロシアの首都モスクワからはとても遠い距離にありますが、一方でアムール川を挟んで中国とは至近の距離にあります。ハバロフスクは古い街並みが特徴で人口も約60万人なのでとても落ち着いて生活することができます。一方、気象条件は厳しく大陸性気候であるため寒暖の差が大きく、夏は30度を超えることもありますが、冬は寒さが厳しくマイナス40度近くになることもあるほどです。冬の期間は半年近くに及ぶのに夏はあっという間に過ぎてしまうので、夏を楽しもうとする市民のなかにはアムール川で泳ぐ人もいます。市内のムラヴィヨフ・アムールスキー通り付近は旧市街になって賑わっていますが、郊外には温泉地や日本人墓地などもあります。
Q:日本について何に関心がありましたか?
マリア:私はロシアの大学で日本語を学んでいましたが、学ぶにつれて日本語をもっと深く学びたいと思ったほか、日本の文化にも触れてみたいという気持ちが徐々に強くなり、大学時代には空手を3年間学びました。でも、今思うと大学時代以前の15歳頃に村上春樹の小説に関心を持ち何冊かの本を読んだことが、日本語や日本文学に関心を持ち始めたきっかけになったのかもしれないと考えています。そんなこともあり、日本では最初にハバロフスクと姉妹都市の関係にある新潟市で生活したのですが、そこでは日本のお祭りにも参加してゆかたを着たり、踊りを体験したりして日本の文化にすっかり溶け込んだような気分になり、ますます日本のことを深く学びたいと思うようになりました。そんな訳でその後名古屋の大学院に入学し、今も日本文化を学びながら充実した日々を贈っています。
Q:下の写真はどんなときに撮影した写真ですか?
マリア:今年の3月に名古屋でお茶会に参加する機会があり、そこで撮影した写真です。このとき、和服はもちろん自分だけで着ることができないので先生などから着付けをしていただきましたが、その前には髪を結っていただき鏡に映った自分は普段の自分と全く違って見えたのがとても印象的でした。お茶の作法も先生の指導を受けながら、見よう見まねでお茶をたてたのですがなかなか真似をすることができず、先生の動作がとても繊細かつ洗練された動きであることに感心させられてしまいました。外国人のなかには抹茶の苦さを苦手とする人もいますが、私は抹茶の味がとても好きで、和菓子の甘さと絶妙なバランスになっていると感じるほどです。
Q:今の趣味や関心事を教えてください。
マリア:先ほども言いましたがロシアに居る頃から村上春樹の小説を読むようになったのですが、大学で日本語や日本文学などについて学ぶにつれ、幅広いジャンルの日本文学を楽しむことができるようになりましたし、ロシア文学との比較についても研究をしたりして文学を深く読むことができるようになったと思っています。また、日本映画にも関心があって黒澤明監督や小津安二郎監督などを中心にたくさんの作品に出会ったのですが、こうしたことも日本文学の研究に役立っているように思っています。一方で、ロシアは寒い地域なのでウインタースポーツが盛んですが、私もスキーやスケート特にスノーボードがとても好きで、日本に来てからも妙高高原などで楽しみました。でも、妙高高原の近くには赤倉温泉と言う温泉があるので、スノーボードを楽しんだあと温泉でのんびり過ごすこともでき、私はこのプランにすっかりはまってしまいました。あと、名古屋の大学に来てからはじめたのはラテンダンスで、最近はこちらも熱心に挑戦を続けています。
Q:最後に日本の食事で好きなもの、嫌いなものは?
マリア:私は日本食がとても好きなので、寿司、てんぷら、うなぎなど何でもおいしくいただいていますが、日本食好きな私でも納豆だけは食べることができません。そして日本の霜降り和牛は感動するほど味が繊細で、一番のお気に入りです。実はしばらくの間たぶん2年ほどベジタリアンで過ごしたことがあるのですが、あるとき日本の和牛をご馳走になって以来、その考えも食生活もまったく変わってしまったほどです。あのままベジタリアンを継続していたら和牛のおいしさも知らずに過ごしたことになるので、今では食生活を改めて良かったと思っています。