今回はロシア語担当のコルコ マリア講師とドイツ語担当の森 桃講師に、ロシアとドイツの学校教育について紹介していただきました。
Q:まず、それぞれの国の学校教育の概要を紹介してください。
マリア:ロシアの学校制度は4・5・2・5制で、義務教育は6歳から15歳までの9年間です。ただし、初等教育開始年齢は6歳開始または7歳開始かを親が選択することができ、7歳から開始の場合は3・5・2・5制になります。また、大学には4年制のほかに5年制の大学があります。義務教育段階の公立学校の授業料は無料です。義務教育終了時の9年生と中等教育終了時の11年生は統一国家試験を受験してから卒業となります。そして、11年生の統一国家試験は卒業試験であると同時に大学の入学試験にもなっています。
森:連邦制のドイツでは州によって学校制度が異なりますが、基本となる学校制度は4年間初等教育とその後の中等教育です。中等教育は生徒の適性能力に応じて大きく分類すると3つの選択肢があります。ハウプトシューレと呼ばれる基幹学校は主に卒業後に就職して職業訓練を受ける者が入学する学校で5年制、実科学校は主に卒業後に職業教育学校に進む者や中級の職につく者が入学する学校で6年制、ギムナジウムは主に大学進学希望者が入学する学校で8年制または9年制です。義務教育は6歳から15歳までの9年間、ただしベルリンなどでは10年間です。義務教育段階の公立学校の授業料は無料です。
Q:学校年度や学期はどのようになっていますか?
マリア:学校年度は9月1日から8月31日までで、学期は2学期制です。1学期は9月から12月まで、2学期は1月から5月までですが、ひとつの学期はそれぞれ2つの半期に区分されるので、4半期となります。夏休みは地域によって多少異なりますが、大半は6月から8月までの3ヶ月になります。
森:学校年度も州によって多少異なりますが、9月1日から8月31日までとする州が多く、3学期制です。学校の休み期間も地域によって異なりますが、ベルリンでは7月上旬から8月下旬にかけての約6週間の夏休みのほか、約10日のクリスマス休暇、約2週間の秋休み、約1週間のイースター休暇があります。
Q:学校の制服について教えてください。
マリア:ロシアでは1982年に義務教育段階の学校での制服は廃止されました。ただ、一部の学校では制服の着用を義務付けており、また制服を着用しなくても着用基準を設けている学校は多くあります。また、体育授業時の体操服も学校指定ではなく、自由としている学校もあります。
森:ドイツの学校には制服着用の規定はなく、私服で通学します。ドイツを初めとするヨーロッパ諸国では、個性を重視する教育が行われており、制服を着用しないのも個性重視している側面があると思います。
Q:受験競争などのため、塾に通う人も多いでしょうか?
マリア:有名な国立大学などに入学するための競争は激しいですが、ロシアには学習塾はあまりないので、家庭教師から学ぶ人は多くいました。
森:中等教育のギムナジウムという学校の卒業試験が大学入学資格試験になるのですが、その試験内容はとても難しいので、試験のために勉強はとても大変でした。大学入学資格試験に合格するとすべての大学・学部に入学することができるのですが、人気の高い大学・学部では成績優秀な人を優先して入学させるので、試験には合格するだけでなく成績も求められました。ドイツでも学習塾はあまりないので、義務教育段階の生徒は先輩から教えてもらったり、家庭教師から学ぶ人が多くいました。
Q:最後に長期の休み期間の宿題について教えてください。
マリア:ロシアでは夏休みでも宿題はほとんどありませんでしたが、5年生くらいになると期間中に読むべき本のリストが渡されました。それでも、特に読書感想文などが義務付けられているわけではありませんでした。
森:ドイツでは夏休みは約3ヶ月ありましたが、宿題はまったくなかったので休みになるととても開放的な気分になりました。大人も長期の休みをとる人が多いので、家族揃って旅行したりキャンプしたりすることのできる絶好の機会になっていました。