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Symphonyeel!(シンフォニエール!)

ようこそ。閲覧者の皆さんとのメッセージが響き合う場となってほしいナ―という想いで綴ってます

「奇跡のシンフォニー」 原題:AUGUST RUSH(オーガスト・ラッシュ)

2008-06-22 21:47:33 | シネマレビュー
【作品概要】
[音楽は、そばにある。  心を開けば聞こえてくる。  心の耳を澄ませば・・・・・・。]

11年と16日・・・施設で育った孤独な少年。
でも、彼は信じていた。
この世界のどこかで、まだ見ぬ両親がいることを・・・。

音楽の力が「再会の奇跡」を呼び起こす、感動のファンタジー。

あなたはきっと、心に沸き起こる、あなただけの音楽に涙する―

【ストーリー】
主人公のエヴァン・テイラーは、ニューヨーク(以下・NY)州の男子養護施設で育った11歳の少年。彼は、風の音やベッドがきしむ音など、あらゆる音をメロディとして感じられるという鋭い感性を備えている。まだ見ぬ両親と自分が強く結ばれていると信じてやまないエヴァンは、施設内で少年たちからいじめにあっていた。児童福祉局のリチャード・ジェフリーズと施設で出会った際、 彼に養子になることを薦められるが、「ここを離れたくない」と涙を流す。
「生まれて最初にいたこの場所を離れたら、パパとママが僕を探し出せなくなるから」と。

一方、11年前の満月の夜。コンサートでNYへやってきた新進チェロ奏者、ライラ・ノヴァチェクと、サンフランシスコ州出身のロックミュージシャン、ルイス・コネリーは、ワシントン広場を見下ろすビルの屋上で衝撃的な出会いを果たし、ロマンティックな一夜を過ごした。
しかし、厳格なライラの父、トマスによって、二人は引き裂かれてしまう。
まもなく妊娠に気づいたライラは、シングルマザーになることを決意するが、トマスは断固反対。出産を間近に控えたある夜、交通事故にあってしまったライラは、意識を取り戻した際に「お腹の子は助からなかった」と告げられてしまう。以来、演奏活動を止めてしまい、故郷のシカゴで傷心を癒すための日々を送る・・・
一方ルイスも、兄たちと組んでいたバンドを脱退し、サンフランシスコで金融ビジネスの仕事に転職していた。
そう、二人とも知らずにいたのだ。二人の間にできた子供が、この世に生を受けて存在しているということを―

ある晩エヴァンは、もしも両親が自分のことを迎えに来ないのなら自分から探しにいこうと決意し、施設を抜け出した。親切な果物屋さんのトラックに拾われたエヴァンは、NYマンハッタンへたどり着く。
そこで彼は、ストリートパフォーマーの子供たちや、彼らの面倒を見ている男ウィザード、ゴスペルを歌い、ピアノを弾く少女ホープ、牧師・・・さまざまな人物と出会い、音を感じることから音楽を奏でるようになっていく・・・
エヴァンの運命はメロディが流れるように大きく小さく、うねり、変わり、進んでいく。
そして、奇跡と呼ぶにはあまりにもリアルな、ダイナミックなクライマックスが、一曲の狂詩曲と共に訪れる―!


【登場人物・キャスト】
エヴァン・テイラー:フレディ・ハイモア
ライラ・ノヴァチェク:ケリー・ラッセル
ルイス・コネリー:ジョナサン・リース=マイヤーズ
トマス・ノヴァチェク:ウィリアム・サドラー
リチャード・ジェフリーズ(NY児童福祉局職員):テレンス・ハワード
マックスウェル・「ウィザード」・ウォレス:ロビン・ウィリアムス
アーサー(ストリートパフォーマーの少年):(レオン・トマス3世)
ホープ(教会で暮らす少女):ジャマイア・シモーヌ・ナッシュ
ジェームス牧師:ミケルティ・ウィリアムソン
ジュリアード音楽院学部長:マリアン・セルデス
ジュリアード音楽院教授:ロナルド・ガッドマン
リジー(ライラの親友):ボニー・マッキー

【スタッフ・詳細情報】
製作:リーチャード・バートン・ルイス
脚本・原案:ニック・キャッスル
脚本:ジェームズ・V・ハート
テーマ音楽:ハンス・ジマー
提供:ポニーキャニオン、東宝東和
配給:東宝東和
監督: カーステン・シェリダン

【コメント・感想】
テレビCMも流れ、夏休み映画を前にすばらしい作品が公開された!と前評判もよく、「シンフォニー」の「ォ」の字が八分音符=♪になっている邦題が印象的で、公開当日に観に行きました。
原題と邦題があまりにかけ離れていて、ちょっとギャップを感じましたが、交響曲の壮大さの如く、物語のラストまでじわじわと感動がやってきます。クライマックスを迎えたときには、涙を通り越して、空へ(宙へ)届きそうな何とも言えない不思議な感動が広がります。

主人公のエヴァンは、生まれてすぐに孤児になってしまうという運命でありながらも、決して挫けることなく、心の扉を開いてゆき、音を信じることでそこから「両親に会うんだ」という目的に向かって進んでいく・・・そこがまず一番の感動ですね。
彼が独り言のようにつぶやく「音に対する姿勢」「向き合い方」、そして「音楽の信じ方」は、殺伐混沌とした現代社会に生きる私たちにとって、音楽に触れている全ての人にとっては、「言うは易く、行うは難し」の非常に高尚な、それでいてピュアなモノだと思います。
いうならば、大空を飛ぶような、まっすぐ月まで飛んでいきそうな「自由」なベクトル。
ここでいう「自由」は、「なんでも思い通りになる」という単純なものでは決してなく、「自らを由とする」=自分の頼りにするところを基盤にした上で、誰の支配下にも置かれない、他から束縛されない自由、です。
たとえば―乗り物の自由席・・・。自分で予約を取って座れる指定席とは違ってどこへでも座れます。でも満員でも自由席は自由席。「座れないじゃないか、どこが自由なんだ」という口実は通じません。また、コンビニのウェットティッシュなど「ご自由におとりください」とある真下には「取りすぎはご遠慮ください」とある店舗もあります。
「自由」という言葉をやたら連発したがり、気軽に使いがちな日本人。とある方が新聞のコラムでこう寄せていました。

英語で言う「自由=freedom」は、「自分があって自由がある」自由なんだと思います。
それを具体的に表している一つのサンプルがエヴァンだと思うのです。
音楽はもちろんのこと、孤児という運命にありながらも両親に会えると信じる自分があり、その自分の心に素直に、正直になっていたからこそ、自由に自分の音楽が奏でられた・・・

ライラはクラシック、ルイスはロック、アーサーはストリートミュージシャン、ホープはゴスペル、と様々な形で音楽に触れ、エヴァンの前にも現れてきますが、エヴァンは彼なりに「『楽しむ』音楽」を紡ぐ―運命に導かれ、信じた道を行くことで紡いでいく―エヴァンにしかできない、感じられない心の根底にあるものと鋭敏なセンサーによって、彼は音を感じていきます。彼が施設を抜け出して最初に感じた「音楽」は、ありきたりの「音(騒音)」でしか無かったのに、エヴァンには素晴らしく感動できるものとなって、心に飛び込んできたのですから。
そして、その真っ直ぐな瞳も、他の誰にも真似出来ない、透き通る瞳でした。
あんなに真っ直ぐに音に向かう現代人は、なかなかいないのではないでしょうか。


演出面で好感が持てたのは、ルイスが歌う歌や、ホープが歌うゴスペルの歌詞、そして、右も左も分からないでいそうだったエヴァンにマイルストーンを置くかのように言葉を送り続けたリチャードやアーサーの存在です。
そして、映画の冒頭・・・エヴァンが麦畑の中で両手を広げ、「感じて」いるシーンです。
あんなふうに音楽だけでなく、さまざまな「想い」を感じるコトができればなぁ、とただただ感激してみていました。

何よりも、フィクションでありながら、ファンタジックかつ現実感が全く失われなかったのは、見事でした。まるで、目の前に起きているコトの様に、ぐいぐい引き込まれていったのです。


「音は心の耳で感じるものだ」
「3度のメシより音楽を愛せ。 人生よりも、自分よりも。弾け、両親のために」


おりしも、去年の夏公開された「ピアノの森」に続いて、この作品は、「音楽」と深く結びついた映画だったので、飽きることなく、お腹いっぱい感動を味わえました。
【音楽はもっと自由であっていいのだ】という感じ方も、この映画を見て少し変わったように感じます。

【音楽は音を楽しむと書いて音楽】
たびたび聞かれる言葉ですが、その真の意味を、この映画を見て、音楽が好きな方、実際に演奏している方はもう一度この言葉を深くかみ締めてみてください。

そして、ファンタジックな奇跡ではなく、「自分の中で描く奇跡」を信じてみてください。
それはもう、奇跡などではないということを、この映画は静かに、爽やかに訴えかけてくれます。


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2 コメント

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感動した (みはん)
2008-07-01 23:42:25
今日友達と見に行った…本当に感動した。音楽って本当にステキ。
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はじめまして― (Hibiki@管理人)
2008-07-02 22:18:47
「みはん」さん、こんばんは。
「Symphoneyeel Solitude」へようこそ。
そして、コメントをくださってありがとうございます。
私の感想はご覧のとおりですが、みはんさんも本当に感動したようで―
よかったですね。
劇場で見た映画が感動できた!というものだったら、喜びもひとしおでしょうね。

このブログには、いろいろな由無しゴトが綴られていますが、何かの機会にまた訪れることがありましたら、ごゆっくりと読んでいってください。

ありがとうございました!
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