お多福 満腹 大福帳

金沢でお芝居にかかわっています。
今かかわっている舞台などの情報や、お芝居についての思いなど書いていきます

MONO第34回公演「地獄でございます」を観てきました

2007年03月12日 | 観劇レポート
今日の記事は、「夢二」の公演報告をお休みして
北九州芸術劇場で上演されたMONOの公演「地獄でございます」の
観劇レポートです。

MONOは、私が受講している戯曲講座の講師、
土田英生さんが作・演出をつとめる
1991年に旗揚げした(その前身B級プラクティスは1988年旗揚げ)、
京都を拠点に活躍する劇団です。
私は数年前、スカパー!のシアターチャンネルで初めて公演を観てから、
かなりはまっていました。
夫のほうは映像をいっさい見ず、戯曲を読みふけりはまっていました。

戯曲講座も、平田オリザさん、鐘下辰男さん、松田正隆さん、マキノノゾミさん、
と豪華な顔ぶれが続きました。
松田さん、マキノさんはおふたりとも京都の方。
なんとか今度は土田さんに来ていただけたらと思っていたところ、
運良く土田さんが講師を引きうけてくださったため、
私としては本当にうれしいことでした。
前回の戯曲講座の際に、この「地獄でございます」のお話を伺い、
ぜひ見に行きたい!と思った市川ディレクターと、
スケジュールを調整し北九州へに観劇旅行のはこびとなりました。

本来なら、大阪公演に行くほうが近いのですが、
その時期はちょうど「夢二」の稽古の真っ最中。
大阪公演のほうには、戯曲講座の聴講をしてすっかり土田さんファンになった人が
見に行ったそうです。
その人から、「ほんっとに面白かった」という感想を聞いていたので、
自分の目で観る日を楽しみにしていました。

結局北九州へは、もうひとり戯曲講座の受講生ハッチさんも加わり、
女3人での旅となりました。
観劇だけではなく、観光も!という楽しい旅行になりましたが、
そちらのほうのお話はまた別の機会に。

北九州芸術劇場の小ホールは、キャパが200名ほどの、
横長の客席の、使い勝手のよさそうなホールでした。
かなりリアルに精密に作られた、サウナのロビーのセット。
開演すると、上手上部に作られたドアが開いて、
いきなり裸の男が入ってきます。
階段の手すりのところに磨りガラスのようなものが取り付けられているため、
下半身は客席からは見えないようになっていますが、
全裸であることはわかります。
メモを片手、ぶつぶつつぶやきながら移動する男。
そして次々と全裸の男たちが現れます。

もうはじまりから、なぞだらけです。
登場人物はMONOのメンバー男性5人のみ。
閉じられた空間での、5人の会話劇。

会社の出張で一緒にやってきた同僚3人と、
他者との会話ができない15年間引きこもりだったオタク田村、
やたら爽やかぶる自分語りが大好きなはなもちならない男成田。

同僚3人のうちひとりを土田さんが演じています。
恐がりで、小心者、ちょっと小ずるいサラリーマン園川。
そのサラリーマンとは大学時代からの友人で、
豪放磊落といえば豪放磊落、無神経といえば無神経、
自分なりの価値観で常識では計り知れない言動をとる明神。
その後輩でなんとなく3人のバランスをとる、
家族思いで、まじめできちんとしている坂上。

5人はなぜか無性にサウナに入りたくなり、
吸い寄せられるようにそこに来たようですが、
サウナの温度が熱すぎて入れないので、店のものを探しますが誰もいません。
店から出ようとしても、外へ出ることもできません。
あれこれ、5人で会話するうち自分たちがすでに死んでいることに気がつきます。
そして、そのサウナのロビーだと思っていたところが、
地獄の入り口であることに気づき…

というストーリーです。

とにかく上演時間1時間半の間、笑いの絶えない舞台でした。
5人のキャラクターがはっきり際だち、
時に立場の上下がめまぐるしく入れ替わり、
少しづつ明かされていくそれぞれが抱える真実。
張られていた伏線が、みごとに繋がるつくり。
なんだ、こいつ?
みたいな困った奴や、不気味な奴が、
本当は一番真っ当だったり、
ちゃんとして見えた奴が実は…ということがあったり、
気持ちのいい裏切り方をしてくれます。

そして、それぞれみんなどこか可愛げがあり、
どうしようもないなぁ~と思いつつも
なんとなく許せてしまうかんじです。
もしも自分がその立場にいたら…と考えて、
はじめは優等生的な答えを思い浮かべていたけれど、
観ていくうちに自分自身のなかにある本質に気がつき、
舞台上で右往左往する人物たちに
いつのまにかそれぞれ共感する部分を見つけていました。

これ、そのうちDVDになると思います。
生の舞台にはかなわないけど、ぜひたくさんの人に観てもらいたいものです。

MONOの次回公演は、来年の2月~3月だそうです。
これは、絶対次回も見逃せない!と思った私でした。
北九州まで観に行った甲斐がありました。

戯曲講座の今月の課題は、一応提出済みですが、
こんなに面白い舞台を見たあとで、
自分の戯曲の箱書きを読み返すと、穴があったら入りたい気持ちになります。
でも、なんとかとりあえず1本ちゃんと書き下ろしてみたいという
そんな気持ちになりました。
頑張るぞ!




劇団ドリームチョップ第9回公演 「ダイニングズ」

2007年03月09日 | 各劇団公演案内
本日初日を迎えるドリームチョップ第9回公演「ダイニングズ」のお知らせです。


3月 9日(金) 午後9時~
  10日(土) 午後2時~ ・午後7時~
  11日(日) 午後2時~

金沢市民芸術村pit2 ドラマ工房

前売り1800円
当日 2000円 


オムニバス方式のお話だそうです。
家族がテーマのお話みたいなので、
幅ひろい世代の人が共感できるのではないでしょうか?

と、言いつつも、
私は明日早朝の飛行機で土田英生さんの新作公演を観に行くため、
今回のドリームチョップの公演は見に行けません。
今日の公演があと2時間開始が早ければ、
行くつもりでしたが、自動車の運転をしない身としては、
9時の公演をバス移動で観に行くのはなかなかおっくうです。
時ちゃん、吉原さん、ごめんね~。
観てきた人、感想教えてくださいね。
 

衣装写真

2007年03月08日 | 衣装
公演が終わり、もう髪を結い上げる必要がなくなったので、
本日カットしてきました。
すっきり。
中途半端な長さだと、寝癖はつくし手入れが面倒だし、
やはり短め前下がりボブが私にはらくちんです。
ただし、やたら黒々と染めた髪は、
少しばかり浮き気味ではあります。

さて、衣装の写真をUPいたします。
ところが、これ私が千秋楽の日に時間を見つけて撮ったため、
ピンぼけが多いです。どうかご容赦を。

まず、夢二。

温泉に長逗留しているということで、粋な縞の丹前をはおってます。
でも、なかにはなんとラクダの上下。
ラクダの上下は、衣装屋さんの指定でした。
衣装部の坪坂さんのお父さんのをお借りしたようです。
マフラーにラクダの上下は暑かったろうなぁ。

そして、彦乃ちゃん。
これは、幕開きのとき。
このあと帯を締めます。
その帯が刺繍のとてもきれいな色の帯でした。
そっちの写真、撮れば良かった!

チコちゃんです。

ベレー坊と、半ズボン、白いハイソックス、マフラーで、
いいとこの子の雰囲気を醸し出してます。
履いてるローファーは、みついさんのものだとか。
今の子は足が大きいなぁ。

衣装の評判が一番良かった、たまきさん。

粋な縞の着物に、紫の絞りの羽織、黒いショール。
髪型も毎日美容院でセットしてもらって、
大正ロマン風のウェーブをつけています。

東郷です。

チコとおそろいか?と思わずつっこみたくなるベレー帽。
派手なチェックのジャケットがオシャレな東郷を表しています。
写っていませんが、指にはたくさん指輪もはめています。

巡査のたけぞうです。

写っていませんが、腰には立派なサーベルを下げています。

車夫のしげさん。

足元は、地下足袋でした。
修さんが以前芝居で使ったマイ地下足袋をお渡ししたようです。
腰から下げた、日本手ぬぐいが着こなしのポイント。


宿の亭主、とくさん。

この着物をベースにして、上に印半纏や消防団の半纏を羽織ったり、コートを羽織ったりしました。
お腹が出ているので、着物のきこなしはお手の物の修さん。

宿の使用人、鈴ちゃん。

地味な臙脂の格子柄の着物を短めに着て、同系色の前掛け、
赤いタスキと手ぬぐいで働き者の鈴です。
三つ編みの先にさりげなくつけた
リボン代わりのちりめんの紐が唯一のおしゃれ。

そして、これが話題の女風神の衣装。

実は、風神の衣装はぎりぎりまで送られてきませんでした。
そして、ようやく送られてきた衣装の一部は、
「え?まじっすか?」
と全員の目がてんになるような代物が混じっていました。
その着物に合わせて入っていたスパッツもピンクと緑だったし!
で、いろいろ試行錯誤の末、この着物にみついさんとよっちゃんで手を加え、
帯締めも工夫して、
スパッツも自前の黒を使い、
メイクも工夫し、このとおり。
髪飾りの風車は、西川さんのアイディア。

で、最後に私女将。

ブルーがかったグレーの縞の着物に、半纏です。
半襟が薄紫でした。
稽古着で、私物のブルー系の縞の着物を着ていたので、
本番の衣装も違和感なくマッチしてたと思います。
なんとなく、女将は細かい縞の着物だろうなと予想していた自分に拍手。

お~い、幾多郎のときは、何着も派手な着物が着られて
女冥利につきたのですが、
今回の衣装も楽しかったです。

女優たちのなかで、自分で着付けをしていたのは女風神の2人のみ。


あとは、坪坂さんに着せていただいていました。こんなかんじで。

   
坪坂さんの存在なしでは、着物に関してお手上げでした。
稽古や本番が終わったあとも、着物の手入れをしてくださいました。

感謝、感謝です。










バックステージ

2007年03月07日 | 「夢二 ~男の花 女の冠」にまつわること
さて、今日はバックステージ。

セットの裏側はこんなかんじ。

床にはパンチが敷き詰められ、足音を吸収してくれます。
今回はスモークマシンを使うので、そのための薬品などが並べられています。
柱にはゴミ袋が貼ってあります。

その向かい側には、小道具置き場がつくられています。


整然と並べられた小道具たち。
使う役名と小道具の名称を白ガムテープに書いて机に貼ってあります。
履き物もここに集められて、ここで履き替えて舞台に出ます。
お~い幾多郎のときは、小道具、持ち道具、置き道具が半端な量ではなく、
消えものとよばれるお饅頭やお茶まであり、
スタッフの苦労は大変なものだったようです。

今回はそれに比べると随分少ないです。

これはチコが大切にしているくまちゃん。


実は、このくまちゃんはオーディションを勝ち抜いたくまちゃんです。
みんないろんなくまちゃんを持ってきたのですが、
結局坪坂さんのお子さんが昔かわいがっていたこの子に決まりました。
私が最初に持っていったテディベアは早々に敗退しました。残念!

で、これが女将がはたきかけしていた招き猫。

実は、台本ではなんの指定もなかったのですが、
私が勝手にはたきを持って登場するように提案してみました。
稽古を重ねるうちに、演出の西川さんから
「手に、何か持ってそれをはたきかけしながら台詞を言ったら?」
という提案がありました。
招き猫なんかいいなぁということで、
家にあった張り子の招き猫の出番となりました。
結構、かわいい顔してるでしょ?

これは、風神2が投げて彦乃が拾う椿。
紙コップに入っているのが本物の椿。
そのとなりは和紙で作った造花。

最初は造花でやっていたのですが、やはり生の花を使ったほうがいいだろうということで、
コトミちゃんが探し回って確保した椿。
お隣の家の椿をいただいたり、職場の庭のをいただいたりしたようです。


そして、これが裏でスモークマシンの操作のために待機する演出部の東くん。

どうしたんだ?
また舞台監督の道場さんに叱られて、落ち込んでいるのか?
それとも舞台監督助手の高木さんと休憩中にキャッチボールのやりすぎで、
疲れているだけなのか?

そしてその向かい側で、集中しているのか寝ているのかよく分からないない、
稽古中出番待ちの亭主役の東氏。


こんなかんじの舞台裏でした。

次回は、役者たちの衣装について。







「夢二」舞台セット

2007年03月06日 | 「夢二 ~男の花 女の冠」にまつわること
公演の興奮もまだ冷めないかんじですが、
ぼちぼちと日常に戻らねばならず、なんだか寂しい私です。

今日の記事は、「夢二」公演の舞台セットについて。
今回の舞台美術を担当したのは、劇団昴の岡田志乃さん。
まだ20代のお若い女性です。
これまで「蜃気楼」「お~い、幾多郎」の美術は朝倉摂さんでした。
何度かお会いし、直接着付けや髪型、髪飾りのアドバイスをいただいたり、
長岡公演を観に行った際には気軽に声をかけていただいたうえ、
お食事をご一緒したりしたのですが、
やはりとても緊張します。
なんといっても世界の朝倉摂さんです。
ご本人はまったく気取らないさっぱりした方なのですが、
こちらから気安くお話することはなかなかできませんでした。
今回、岡田さんとは楽屋で差し入れを食べたりしつつ、
お話することができました。

舞台美術、ほんとに素晴らしものでした。

  



外の設定のため、パンチをひいたうえに色づけした地がすりをひき、

 
こんなふうに土くれや、葉っぱを置いてあります。本物みたいだけど、つくりものです。

そして、客席からはみえにくい塀の前の側溝には、

このように本物の水を張り、なかに反射板をいれて照明があたるとちらちらと光るようにしてあります。

そして、その塀のすきまには…

このように、苔や葉っぱをいれてあります。
すっごくリアル!


そして、これ。    なんだかわかりますか?

舞台の四隅に仕掛けられた送風機と、照明。
この上に、みんなで切り取った和紙の葉っぱを仕掛けて、
送風機が回ると舞い上がるようにしてあったのです。
残念ながら、私はこれが作動しているのを見ていないです。

そうそう。
忘れてはいけないのが、これ。
 夢二たちが宿泊しているお宿の看板。
亭主と女将の私たちの名前を意識してか、
お宿の名前は「あずまや」
ちょっとうれしい私でした。

では、次回はバックステージの写真を。



公演終了いたしました

2007年03月05日 | 「夢二 ~男の花 女の冠」にまつわること
おかげさまをもちまして、昨日3月4日(日)無事、
5ステージの公演の千秋楽を迎えることができました。

さすがに、公演中のブログ更新はムリでした。
申し訳ありません。
ぼちぼちと、舞台写真や楽屋のスナップなどを
公開していきたいと思います。

今日はとりあえず動員数のご報告。
昨日の打ち上げの席でチケット担当のすみちゃんから発表があり、
その後ブログ用にメモをいただきました。

1日(木)     122名
2日(金)     133名+ 招待5名 = 138名 
3日(土)14時  133名+ 招待3名 = 136名
     19時  146名+ 招待5名 = 151名
4日(日)     146名+ 招待10名= 156名
合計        680名    23名  703名

本当にたくさんのお客様にご来場いただきました。
連日の超満員の客席に、場内整理担当のみんなは嬉しい悲鳴をあげていました。
日によっては、柱のかげになり見えにくい座席になってしまったり、
途中退場ができず、不便をおかけしたお客様もいらしたようです。
謹んで、ここにお詫び申し上げます。

たくさんのお客様に見守られての舞台は、
キャストスタッフともに、心強く張り合いのあるものでした。
ありがとうございます。

写真のとりこみなど終わりしだい、また記事にしていきますので、
どうかお楽しみに。