成功に近づくための成功本紹介ブログ

掲載点数210点(2011年8月6日時点)-amazon読者評価4以上を中心に、成功に近づく良書を紹介します。

裸一貫からアメリカに美味しいコーヒー文化を定着させた男のストーリー「スターバックス成功物語」

2011-06-24 13:41:14 | 成功した有名経営者に関する本
「スターバックス成功物語」
筆者/ハワード シュルツ ドリー・ジョーンズ・ヤング著 出版社/日経BP社 1,800円

◆目次
Part1、コーヒーとの出会い
第1章  想像力、夢見る日々、貧しい家に生まれて
第2章  価値ある文化的遺産があなたの未来を支える
第3章  コーヒーはイタリア人にとって音楽のような存在だ
第4章  幸運とは計画の副産物だ
第5章  悲観的な人間には大企業は築けない
第6章  会社の価値観を植え付ける

Part2、新しいコーヒー文化を目指して-株式公開以前
第7章  現実を見つめ、夢に挑む
第8章  あなたが引きつけられるものは、ほかの人たちも引きつける
第9章  社員は経営の道具ではない
第10章 高層ビルには強大な土台が必要 
第11章 賢い人間を恐れるな
第12章 こだわりと柔軟性

Part3、起業家精神の見直し-株式公開以降
第13章 ウォール街が評価するのは企業の価格であって、価値ではない
第14章 企業の改革は自分の改革から
第15章 経営者は社員の進取の精神の邪魔をするな
第16章 成功しているときも自己改革を目指せ
第17章 危機を乗り越えて
第18章 一人ひとりに注ぐ真心がブランドを築く
第19章 2000万人の新規顧客を獲得する
第20章 成長しても、小さなときの心で
第21章 企業の社会的責任
第22章 月並みのチェーン店にはならない
第23章 直面する問題だけでなく、長期的展望を見失うな
第24章 真心で指導せよ


今や巨大なコーヒーチェーンショップに育った、スターバックスコーヒー。

この本はその発祥からリアルな成長過程まで、ハワード・シュルツ自身の言葉で語られた自伝であり、優れたドキュメンタリーでもあります。

一貫して流れているのは、その時置かれた自分の状況に対する客観的な視点です。

アメリカ社会は人種差別がある反面、とてつもないヒーローを生み出す一面も持っています。しかしそういった成功者には、自己顕示欲や自己主張が強く、自慢話が好きな人間像が多いイメージを持っていましたが、この本はそんなイメージを気持ちよく打ち砕いてくれます。

本書の印象的だった部分を、以下に紹介します。


◆第1章/想像力、夢見る日々、貧しい家庭に生まれて

心で見なければ、物事を正しく見ることはできません。
目に見えないことが一番大切なのです。
サン・テグジュペリ 『星の王子さま』

今日のスターバックスの原点はニつある。一つは1971年に創立された最初のスターバックス社である。最高級のコーヒーに情熱を注ぎ、一人ひとりの顧客に良質のコーヒーとはどういうものか啓蒙することに専念する会社だった。

もう一つは私がスターバックスに持ち込んだビジョンと価値観である。それは負けじ魂と全社員が共に勝利者となることを目指す断固たる決意にほかならない。私はコーヒーに自分の夢をかけ、不可能と思えることに挑戦し、斬新なアイディアで障害を乗り越え、目標を達成したかったのである。しかも優雅にかっこよく。(※中略)

物語は私の幼年期から始まる。なぜなら、スターバックスの発展を支えている価値観はすべて、ブルックリンの共同住宅に根差しているからだ。
(※中略)


ブルックリンの街並み

三人の子供のうち一番上の長男だった私は、一日も早く成長する必要があった。十二歳のときに金を稼ぐために新聞配達を始め、次いで地元の軽食堂のカウンターで働いた。十六歳のときには、学校がひけてからマンハッタンのガーメント地区にある毛皮加工工場で働き、毛皮を広げて伸ばす作業に携わった。きつい仕事だった。私の両手の親指には今もそのときできたたこが残っている。

暑い夏の間、過酷な編み物工場で蒸気が出ている編み糸を扱う仕事をしたこともある。私はいつも自分の稼ぎの一部を母に手渡していた。母に要求したわけではないが、両親の苦境を黙って見ていられなかったのだ。(※中略)

高校生活で一番うれしかったのは、クオーターバックに選ばれたことだ。おかげで私は5700人の学生を擁するカナーシ―高校のキャンパスのリーダーになることができた。財政基盤の乏しいカナーシー高校にはフットボール・フィールドがなかったので、われわれの試合はすべてアウェイゲームだ。チームは決して強くなかったが、私は優秀な選手の一人だった。(※中略)

一年後にニューヨークに戻り、ゼロックス社に就職して営業の訓練を受けた。まさに幸運というべきだ。それはアメリカ第一の営業専門学校で学ぶことができたからだ。そこはバージニア州のリースバーグにある一億ドルをかけたゼロックス社のセンターだった。

私はそこで仕事とビジネスの世界について、大学よりも多くのことを学んだ。私が学んだのは営業、マーケティング、プレゼンテーションの技術などである。訓練が終わったときには自信が付いていた。ゼロックス社は超一流企業だったので、そこで働いていると言うだけで尊敬の目で見られた。(※中略)

◆第2章/価値ある文化的遺産があなたの未来を支える

私は毎日、何百回となく自分の精神と肉体が、すでに亡くなった人々や生きている人々の労働によって支えられていることを思い返している。
だから、私も同じように人々のために献身しなければならないのだ。

アルバート・アインシュタイン

自分の心をとらえたものはほかの人たちをも魅了する

私は入れたてのコーヒーを注いだ陶器製のマグカップを受け取った。湯気と香りが顔いっぱいに広がる。ミルクも砂糖も要らない。ちょっと口に含んでみた。

素晴らしい。私は顔を上げ、思わず目を見張った。一口飲んだだけで、これまで味わったどのコーヒーよりも濃いことがわかった。

私の反応を見て、スターバックスの人たちは笑い声を上げた。「少しきつ過ぎますか」。

私は笑いながら首を振り、もう一口飲んでみた。さらに口の中いっぱいにコーヒーの味と香りが広がった。

三口目には、やみ付きになっていた。

私は未知の世界を発見したような衝撃を受けた。これに比べると、今まで飲んでいたコーヒーは本物とはいえない。私はもっと知りたくなって、スターバックスの履歴や世界各地で生産されるコーヒーの種類、焙煎度合などについて次々と質問した。店長は私たちが店を出る前に、スマトラ産のコーヒー豆を挽いて袋に入れ、おみやげに持たせてくれた。(※中略)


◆第3章/コーヒーはイタリア人にとって音楽のような存在だ

存在するものだけを見て「なぜそうなのか」と考える人もいるが、私は存在しないものを夢見て「なぜそうでないのか」と考える。
チャンスがなかったと言う人は、おそらく一度もチャンスをつかまなかったのだ。

ジョージ・バーナード・ショーロバート・F・ケネディがよく引用した言葉


スターバックスで働くことは、当時の年収7万5000ドルの職場と地位、車、同僚、住居などすべてあきらめることを意味した。北米大陸を横断して、コーヒー店を5つしかもたない小さな企業に乗り移るなど、両親や友人たちには想像もできないことだった。(※中略)

考えれば考えるほど、その計画は有望に思えてきた。スターバックスは無限の可能性を秘めているのだ。

スターバックスのコーヒーを初めて飲んだニューヨークの友人たちは、みんな目を見張った。アメリカ全土の人たちが、同じような反応を示すのではないか。その市場は北西部の数千人のコーヒー愛好家にとどまらないはずだ。ジェリーはこんな使命感に燃えている。スターバックスのコーヒー豆に対する情熱を、シアトルのはるか彼方へ拡大することは決して不可能ではない。当時、こんな高い目標を掲げるコーヒー店はニューヨークにもほかのどこにもなかった。
(※中略)

あれから15年になるが、つくづく運命は不思議だと思う。あのとき、私が最初の決定を黙って受け入れていたら、どうなっていただろうか。たいていの場合、就職を断られたら黙って引き下がるしかない。

その後も私は、問題や状況こそ違うものの、同じような場面に何度も遭遇した。そんなことは不可能だと言われたことは数え切れない。そのたびに忍耐力を奮い起こして誠心誠意相手を説き伏せ、不可能を可能にしてきたのである。

人生はニアミスの連続と言ってもいい。われわれが幸運と見なしていることは実は単なる幸運ではないのだ。

幸運とはチャンスを逃さず、自分の将来に責任を持つことにほかならない。ほかの人たちには見えないことに目をこらし、だれが何と言おうと自分の夢を追い続けることなのである。

日常生活で、友人や家族、同僚から受ける圧力は極めて大きい。われわれは困難はできるだけ避け、将来のしきたりを守ることを要求されているのだ。だから、ちょっと現状を変えようとしたり、周りの人たちの期待を裏切ろうものなら、たちまち大きな抵抗を受ける。しかし本当に自信がわいたときには、あらゆる可能性に挑戦して自分の夢を実現しなければならないのだ。

どんなことも、幸運だけで成就したためしはない。


シアトルにあるスターバックス1号店


◆第5章/悲観的な人間に大企業は築けない

我々は何ができるかで自己評価し、何ができたかで評価される。

ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー 『キャヴァナ』 1849年

アメリカ社会で育った企業家ならだれでも抱く夢がある。まず素晴らしいアイディアをはぐくみ、投資家の関心を集めて会社を設立し、利益を上げて発展させることだ。

問題は、たいてい負け犬としてスタートしなければならない点にある。

負け犬の気持ちを知りたければ、会社を設立するための資金集めをしてみることだ。門前払いをされ、疑いの目で見られ、自尊心を踏みにじられ、そんなアイディアなど何の役にも立たないとあらゆる難癖をつけられるだろう。(※中略)

惨めな負け犬でいたくなかったら逆境に挑戦し、平凡な人生という最悪の運命を克服しなければならない。


ハワード・シュルツ


◆第11章/賢い人間を恐れるな

最も優れた管理者とは、計画遂行にふさわしい人材を選び出す見識と、彼らのやることに干渉しない自制力を備えた人間である。

セオドア・ルーズベルト

多くの起業家が同じ過ちを犯している。起業家はアイディアを胸に秘め、その実現に情熱を燃やす。だが、アイディアの実現に必要となるあらゆる技能を身につけることはできないであろう。彼らは権限移譲を渋り、自分に追随する者だけを周囲に侍らせるようになる。頭脳明晰で有為な人材を上級管理職として迎えることを恐れているのだ。

しかし会社が繁栄するためには、何としても聡明な経営陣が必要なのである。有能で創造的な人物は、イエスマンよりもはるかに強い刺激を与えてくれる。自分より物事を知らない人間から何が学べるというのだ。彼らは、自尊心を満足させてくれるだろうし、指示にも素直に従うだろう。だが、成長の支えにはならないのだ。

私は当初から、自分よりも経験のある経営専門家を外部から招かねばならないと考えていた。恐れることなく私と議論できる人間、強い意志と自制心を備え、自信に満ちた人間を経営陣に加え、意志決定のプロセスに参加させる必要があったのだ。(※中略)


◆第18章/一人ひとりに注ぐ真心がブランドを築く

心からあふれ出たものは、心に注がれる。

サミュエル・ティーラ―・コールリッジ 『テーブルトーク』

ブランドは人と人を結びつける

われわれはブランドの確立を目標に掲げたことはない。われわれの目標は、素晴らしい企業を築き上げることだった。何かを目指す企業。製品が本物であること、社員が情熱を抱くことに価値を見出す企業。そういう企業を目指してきたのだ。(※中略)

顧客の期待に応え、喜んでもらうには、優秀な社員を採用し教育するのが一番だと信じていた。だからこそ、コーヒーに熱意を燃やす社員の育成に投資してきたのだ。小売業務に従事するパートナーたちは、その熱意と献身でコーヒーとブランドを広める最大の力となってくれた。彼らの知識と熱意が顧客の評判となり、再び店に足を運ばせる要因となったのだ。

強力なブランドの秘密はここにある。

パートナー一人ひとりのコーヒーに対する愛着、そして、彼らが顧客と結んだ関係がブランドを築き上げてきたのだ。



◆リンク集
・スターバックスコーヒージャパン
・スターバックス―ウィキペディア
・ハワード・シュルツ


スターバックス成功物語
ハワード シュルツ ドリー・ジョーンズ ヤング 日経BP社 売り上げランキング: 13918


スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則
ハワード・ビーハー ジャネット・ゴールドシュタイン 日本経済新聞出版社 売り上げランキング: 14905


なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?
スコット・ベドベリー 講談社 売り上げランキング: 57625


ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記 (日経ビジネス人文庫)
鳥羽 博道 日本経済新聞出版社 売り上げランキング: 32626



最新の画像もっと見る