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サイエンス・ビジネスの挑戦

2010-01-22 13:55:41 | 成功するための業界知識本
「バイオ産業30年の失敗の構造を冷静に分析し、その未来を探る」
筆者/ゲイリー・P・ピサノ 出版社/日経BP社 2,310円

◆目次
 サイエンス・ビジネスという新しい実験
 第1部 不確実性、複雑性・学際性、変化の速さ
  ・サイエンス世界の地図
  ・新薬開発プロセスの複雑な「構造」
  ・製薬研究開発の特異性と課題

 第2部 バイオテクノロジー産業の「生体構造」を解剖する
  ・バイオテクノロジー・ビジネスの変遷
  ・バイオテクノロジー産業、30年目の成績表
  ・知的財産権の「収益化」のメカニズム

 第3部 あるべき企業戦略、ビジネスモデル、資金調達
  ・組織戦略とビジネスモデル
  ・未来のサイエンス・ビジネスに向けて
  ・資料


バイオテクノロジー技術は、新聞やニュースでもよく取り上げられます。

遺伝子組み換え技術や、最近では人間の歯の再生技術など、近未来的なイメージがあり、ワクワクします。

しかしそんなバイオテクノロジー系企業の経営としての実態は、一体どのようなものなのでしょうか?

著者は、アメリカで上場しているバイオテクノロジー系企業の数十年の収益推移を分析した結果、収益性があまりにも低い事実を明らかにします。

そして、その原因としてバイオテクノロジーの科学として有する特性と、ビジネスとしての「リスク管理」や「情報の共有」といったインフラのなさを指摘しています。

では、サイエンスはビジネスとして成立しないのでしょうか?

本書の展開は、決してそうではありません。

過去の分析から導かれる反省を踏まえつつ、バイオ産業としてどのような産業構造を作るべきか、問題提起をしています。

大手製薬会社が短期的利益のためのライセンス活動に邁進する現状とは別に、長期的利益のために、この業界全体のあるべき姿のヒントを示していると言えると思います。

それにしてもこの業界の短期的な技術革新のスピードの速さが、混乱を招いているのも一因でしょうね。



最後に著者のプロフィールを以下に記します。

◆ピサノ,ゲイリー・P.(Pisano,Gary P.)
ハーバード・ビジネススクール教授。テクノロジー&オペレーションズ・マネジメント部門の責任者。長年、製薬・バイオテクノロジー産業を中心に、技術戦略とイノベーションのマネジメントについて研究を続けてきた。MBAプログラムなどで教鞭をとる一方、アムジェン、バイオジェン、メルク、ノバルティス、ファイザー、ロシュをはじめ、数々の製薬・バイオテクノロジー企業の経営陣にも助言してきた。


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おすすめ度の平均: 4.0
5 結局、サイエンスはビジネスにならない5 08年最初の良書 サイエンスはビジネスのファンタジー!4 新たな産業組織構造を作り出すために4 バイオ(製薬)産業に身をおく人間は必読!4 “バイオテクノロジー神話”の検証?



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