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沖縄だれにも書かれたくなかった戦後史

2009-10-26 13:25:20 | 成功するための教養本
「今、美(ちゅ)ら島の封印を解き放つ、佐野眞一渾身のルポルタージュ」
著者/佐野 眞一 出版社名/集英社インターナショナル 1,995円

◆目次
Ⅰ 天皇・米軍・沖縄県警
「お約束」の島から「物語」の島へ
歴史に翻弄された沖縄県警
スパイ蠢く島
米軍現金輸送車強盗事件
エリート議員の失踪と怪死

Ⅱ 沖縄アンダーグラウンド
花街・映画・沖縄空手
沖縄ヤクザのルーツ「戦果アギヤー」
山口組の影
沖縄旭琉会VS三代目旭琉会
「ユートピア」組長狙撃事件
あるヒットマンの独白
密貿易の島―与那国
空白の琉球孤―奄美群島
伝説の義賊・清真島

Ⅲ 沖縄の怪人・猛女・パワーエリート
弾圧・拷問・右翼テロ
第三の新聞・沖縄時報顛末記
スーパースター・瀬長亀次郎
沖縄を通り過ぎた男たち
ゴッドファーザー・國場幸太郎
オリオンビール創業者・具志堅宗精
沖縄のパワーエリート「金門クラブ」
川平家四代の物語
ウチナー金融表裏事情
「沖縄の帝王」軍用地主
カプセルホテル怪死事件
沖縄知事選コンフィデンシャル
女たちの沖縄

Ⅳ 踊る琉球、歌う沖縄
島唄復活と大阪ウンナンチュー
沖縄ミュージックは日本は届くか
最果て芸能プロモーター伝説
沖縄最高のエンターテイナーは誰か

Ⅴ 今日の沖縄・明日の沖縄
少女暴行事件の傷跡
美ら島の陰に


「私はこの取材で、これまでまったく耳にしなかった話をおびただしく聞いた。
 とても信じてもらそうにない光景を各所で目撃した。
 本書ではそれをいわばゴーヤチャンプルー風のごった煮状態のまま報告したい」


こんな気になるフレーズが裏表紙に展開されているのが、この『沖縄だれにも書かれたくなかった戦後史』です。

著者の佐野眞一氏には、日経ビジネスの連載中は部数が伸びたと言われるダイエー中内氏を描いた『カリスマ』、実際の起こった事件を扱った『東電OL殺人事件』、満州の阿片を一手に握っていた里見甫を描いた『阿片王』など数多くの名作があります。

今や日本を代表するルポルタージュ作家であると言っても、いいでしょう。

今回の作品は、月刊「PLAYBOY」誌上に長期にわたって連載されたもので、臨場感溢れるイラストとともに、その大マスコミ上には決して出てこない凄みのある内容がずっと気になっていました。

その連載が一冊にまとめられたのが、この本です。

この本のエッセンスは、著者のはじめにの部分に凝縮されていると思いますので、以下御紹介します。


戦後日本のありのままの姿を見ようとするとき、私の視野にはいつも二つの国土がせりあがってくる。一つは満州、一つは沖縄である。(※中略)

日本は敗戦からわずか十年足らずで高度成長の足がかりをつかんだ。それは、わが国がいち早くアメリカの核の傘の下に入って、軍事防衛問題をほとんどアメリカという世界の警察国家にまかせっぱなしにし、経済分野に一意専心することができたからにほかならない。

その反対給付の人身御供としてアメリカに差し出されたのが、沖縄だった。沖縄は世界第二位の経済大国になる道を駆け上がった本土の繁栄をよそに、東シナ海に浮かぶ日本最貧の島としての運命をたどることになった。(※中略)

満州を舞台に暗躍し、“阿片王”と呼ばれた里見甫と、“満州の夜の帝王”という異名をほしいままにした甘粕正彦。日本近現代史上最も謎めいた二人の男の物語をとりあへず書き終えた私の役目は、自ずともう一つの仮説の立脚点の沖縄に向かった。(※中略)

沖縄県民を聖者化することは、彼らを愚弄することとほぼ同義だと私は考えている。そこには、沖縄の歴史を1945年6月23日の沖縄戦終結の時点に固定化させ、その島にその後60年以上の歳月が流れたことをあえて無視しようとする欺瞞と、それにともなう精神の弛緩が垣間見えるからである。(※中略)

「So what?」という英語の慣用句がある。私流に訳せば「それでどうしたの?」という意味である。私が言う「大文字」言葉とは、聞いたときにはわかったような気にさせるが、あとから考えると「So what?」という疑問がわく言葉のことである。

テレビに登場するコメンテーターが口にする一見もっともらしい発言は、だいたい「大文字」言葉だと思って間違いない。私は彼らのおごそかな口調の割には無内容なコメントを聞くたび、「雨が降るから天気が悪い。悪いはずだよ、雨が降る」という俗謡を思い出してにが笑いする。(※中略)

これに対して「小文字」とは、活字だけで世界がくっきり浮かび上がる言葉のことである。それは小さい声ながら、有無をいわせぬ力で読者をねじふせる。

物事を「説く」には「大文字」言葉が便利だが、物事を「語る」には「小文字」言葉を身につけなければならない。「語って説かず」。それがノンフィクションの最大の要諦だと、私は常々言ってきた。(※中略)

いずれも、これまでまったくといっていいほど書かれてこなかった沖縄をめぐる切実なテーマである。そこには切れば血が出る沖縄の本当の戦後史が埋まっている。それをいわば“手掘り”で発掘したのが本書である。(※以下略)


基地問題、沖縄の四天皇から沖縄アクターズスクールまで、佐野眞一氏の地道な取材に基づいた迫真の事実が次から次へと飛び出してきます。

ちょっとエキサイティングな秋の夜長の読書に、もってこいの一冊です。


沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史
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