漫トラ日記

現実生活空間&脳内妄想空間を日々マンガに浸食される主婦の怠惰な日常

『村上海賊の娘』(上)

2015年04月18日 04時23分28秒 | 

村上海賊の娘 上巻

>> 上下巻一緒に来たんで、貸出期間中に読めるかと心配したけど、杞憂だった。

ヒロイン景のキャラにはまって、気が付いたら300ページを一気。

おかげで本日は寝不足(-_-)zzz

bookmeter.com/post/13/121867… #bookmeter



やっと来た!(4月16日(木))

2015年04月17日 04時23分11秒 | 

コミュニティ【図書館部】 bookmeter.com/c/331375  

図書館に予約していた『村上海賊の娘』がや~~っと来ました。  

     

一年越しです。

が、上下1000ページはあろうかという大作。果たして2週間で読めるだろうか・・・一緒に頼まなきゃよかったよ

bookmeter.com/post/13/121846… #bookmeter



オタク川柳―人はみな何かしらかのオタクです

2013年03月11日 21時05分00秒 | 
久々の本レビュー。

『オタク川柳』

タイトル通り、ヲタ心を詠んだ自虐ネタ満載の川柳集。
マンガで句の状況解説してるので、かる~~く読めちゃう。
私の場合、1時間半くらいで読み終わってしまった。

コストパフォーマンスが良いとはとても言えない本だけど(もっとも私は図書館)
読書メーターにレビューするだけじゃもったいないくらい笑えわせてもらったので、
気に入った句をいくつかここにご紹介~


まず、真性ヲタの生態から
『究めても ほめてはもらえぬ 修羅の道』
回りの白い視線も何のそのです

だいたい・・・
『何でもいい 夢中になれと 育てたじゃん』
世間も親もそう言いますけどね~・・・方向が!

そして、究めたと思っても
『極めたと思い見上げりゃまだ麓』
上には上がいるのです。無理すると遭難するよ!

挙句に腐(含ヲタ)の森に入り込み・・・
『オタク道 入り口あって 出口なし』

けど、そこで出会いがあるかも
『妻、腐女子、旦那、特オタ、いい夫婦』
割れ蓋に閉じ蓋。うらやましいです

ま、普通は・・・
『ラブプラス 独身期間が またプラス』
『オタク化で 増える嫁と 減る子供』
あぁ、日本の未来が!!

『初恋は 次元の違う 恋でした』
私にも心当たりが・・・

市民生活には気をつけましょう!
『この知識 オタクに普通 世に不通』
『二次会で 俺が歌うと この空気』
『スーパーで アニソン流れて 挙動不審』
       ↑
  知らずに口ずさんでいた経験アリ


個人的に大賞をあげたいのは
『実物大? 実物ないのに 実物大?』
詠み人は“ガンヲタの妻”
お台場ガンダムには熱くなったけど、冷静に考えたら確かに!
思わずうなっちゃいましたわ~

ふと現実に返れば
『シャアが好き だのに貴方は ドズル顔』
あぁ・・・

死ぬときは
『戒名に「萌」の一文字 おまい神』
今から、坊さんに頼んでおくか
ちなみ、私の葬式は「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌で送り出して欲しいと思っております。


最期に腐女子・貴腐人の方々へ
『蓮舫に 負けじと受け攻め 仕分けする』
『秘密の恋 部長と課長 妄想中』
『もう止めて 日用雑貨を 腐らすの』
『自分より 兄に彼氏を 作りたい』
『百合に薔薇 咲き乱れてる 本棚に』


どうです?
ヲタの皆様には心当たりのある事ばかりでしょ?

読書メーターまとめ(2013年1月7日~1月13日)

2013年01月14日 14時39分33秒 | 
2013年1月7日 - 2013年1月13日の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1311ページ

中野京子と読み解く名画の謎 ギリシャ神話篇中野京子と読み解く名画の謎 ギリシャ神話篇
☆☆☆ 聖書と違ってギリシャ神話は一通り知っているから絵も解説もすんなり入ってくる。人物のアトリビュートもわかりやすい。物語自体が人間臭くてドラマティックなので絵も楽しい。というか、中野さんの解説で画家と依頼主たちの俗っぽい関心事(スケベ心^_^;)が透けて見えるのがまた面白い。これは洋の東西、時代を超えたテーマだから理解(女性としては“共感”とはいえない)できるのかな。画家の筆も宗教画と違って、心なしか奔放のような…特にティントレットがいい
読了日:01月13日 著者:中野 京子

残酷な王と悲しみの王妃残酷な王と悲しみの王妃
☆☆ 中野京子さんの本はかなり読んでいるので、既読エピソードばかり。が、これは王様の狂気的な横暴さばかり並べ立てらてるので結構来ます。ことにイワン雷帝の息子殺しとハプスブルグ家の近親相姦図は何度読んでも気持ち悪い。
読了日:01月11日 著者:中野 京子

影の王国 下 (創元推理文庫)影の王国 下 (創元推理文庫)
☆☆☆ ウェンセルの目的ははたして何か?そこがこの物語のミソなのだが、かなり普通。というより、あまりにも普通すぎてかえって意外だった(世界征服なんて目的だったら白けたでしょうね)。しかし、そのためにここまで面倒臭いことをしなくても…という突込みを入れたくなる。とはいえ、ローマ帝国のケルト人征服を連想させる古代ウィールドの伝説や聖王権をめぐる諸々、いずれも大好物設定なので楽しく読めた。
読了日:01月11日 著者:ロイス・マクマスター・ビジョルド

御伽草子―マンガ日本の古典〈21〉 (中公文庫)御伽草子―マンガ日本の古典〈21〉 (中公文庫)
☆☆☆ 誰もが知ってる御伽噺6編を収録。さっぱりしたやまだ紫さんの絵とあいまって、さらっと読めた。が、「酒呑童子」のエグさにびっくり!こんな話だったけ!?「ほんとうは怖いグリム童話」を思い出しました。洋の東西を問わず、昔話ってシビア。ヒューマニズムなんて言葉は現代人の贅沢でしかないと改めて認識。
読了日:01月09日 著者:やまだ 紫

ヴィンランド・サガ(12) (アフタヌーンKC)ヴィンランド・サガ(12) (アフタヌーンKC)
☆☆☆ 悩める奴隷編もそろそろ終盤のようです。
読了日:01月07日 著者:幸村 誠

読書メーター

読書メーターまとめ(2013年1月1日~1月6日)

2013年01月09日 03時40分16秒 | 
2013年1月1日-6日の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:839ページ

初恋の剣 八丁堀育ち2 (朝日文庫)初恋の剣 八丁堀育ち2 (朝日文庫)
☆☆☆ ちょこっとしたコネタは解決したものの、本筋の事件は主人公の危機で終了~~~( ̄□ ̄;)!!良い所でお預け。続きは3月だそうだけど、借り物なんでそれまでストーリーを覚えていられるだろうか・・・?
読了日:01月05日 著者:風野真知雄

影の王国 上 (創元推理文庫)影の王国 上 (創元推理文庫)
☆☆☆☆ 最初背景設定が全く思い出せず苦労。五神教シリーズはビジョルドの中でも世界観が一番面倒くさいんじゃないだろうか。にもかかわらず、面白くてどんどん読ませる所はさすが。読んでるうちにだんだん思い出してきましたが、この曲者の神々に触れられた者は人一倍苦労する定め。主人公イングレイもまた神のコマとして幾多の障害を乗り越えなくてはならない。とはいえ、今回のヒーローはハンサムな25歳(珍しい!)の青年。表紙を見るだけでも美味しい気分♪
読了日:01月01日 著者:ロイス・マクマスター・ビジョルド

おこぼれ姫と円卓の騎士 将軍の憂鬱 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 将軍の憂鬱 (ビーズログ文庫)
☆☆☆ 前2作では出来杉くんでいささか可愛げの無かったレティ王女ですが、この巻では“夢はお姫様”とか迫られて赤くなったりとか、17歳の乙女らしいところも垣間見えてキャラがこなれてきた感じです。ストーリーも現実離れした魔法がらみも無く、3冊の中で一番良く出来ていたのではないでしょうか。一番面白いのは『愛人王』への道を着実に歩み続けるレティさん。おじ様ゲットの次は愛玩少年かな?^_^;個人的にはデュークとの関係が気になるところだけど…
読了日:01月01日 著者:石田リンネ

読書メーター

読書メーター始めました

2009年08月10日 12時33分23秒 | 
このところ、ドラクエとガンダムに夢中だったんでご報告が遅れましたが、
読書メーター始めました
      ↑
 (ブログパーツに貼れるはずなんだが、今一貼り方が良くわからん???ので 文字リンクのみ)


これ、本のタイトルを入れるだけで自分の読書記録が出来る、っていうスグレものなんです


タイトル書き込むだけで簡単に読書記録が出来るので

大の無精者で。。。

質より量の活字マニア(読んだ本の中身はともかく?)で。。。

読んだ本のタイトルを片っ端から忘れていく鶏頭。。。の私には
とっても便利なツール!

こたりん宅で見て一目で気に入り、即効やり始めました


何たって、読んだ本の冊数・累計ページ数がグラフになって一目で分かるのが良い!
とっても達成感があるんです
“一日平均コンマ○冊”なんてのを見ると、思わず1冊越えを目指したりなんかして。。。
変なところでマニアックな性格が性格が出たりします

マンガもカウントされるところも、マンガ読みにはたまりません~


しかも、簡単なコメントまで書き込めて、備忘録には最高です
(ブログだと体力知力使うからね~)



何度も言うように、ガンダムとドラクエに夢中で
こたりんさん以外には何も言ってなかったのだけど
いつの間にか、お気に入り登録ユーザーにこたりんさんぶっくさん、アガサさん等
マンガ友の名が!!

ろくにコメにも行ってないのに、忘れずにいてくれてありがとう~!!
ぶっくさんやアガサさんまで読書メーターをやってたんだね
もしかして、じゃなくて、もしかしてなくても毒書チーム“腐海”?

それにしても、3人ともすごい読書量だわ~

よしながふみ『あのひととここだけのおしゃべり』②

2008年09月12日 04時03分03秒 | 
①から続いて・・・

第5章 羽海野チカ「メディア化するということ」
よしなが:そもそもの馴れ初めの話を。~中略~
本当にたまたま共通の知人がいて。
羽海野:「お見合い」をさせてもらったんですよ。
よしなが:お昼を食べて、確かウミノさん、忙しかったんですよ、その日。
そしたら、お茶を飲みに行こうと言う話になって・・・。
ウミノさんがお茶くらいなら・・・って、お茶にしたんですよ。
で、6時が閉店で追い出されて、で、ウミノさんが自分から「お腹すきませんか?」って言ってきて(笑),
「え?仕事は?」って言ったら、「ううん、あのね、大丈夫なの、頑張ってやれば」って。
で、6時に居酒屋に入って、弊店の10時半までいて、追い出されて(笑)、
それで、「珈琲を1杯」って言った時には。もう他の人は笑ってたんだよね。
~中略~
で、ジョナサンに入って二人で結局明け方の4時まで・・・。
羽海野:そう、結局明け方の街をタクシー乗って。結局何時間喋ったんだろう。
よしなが:耐久16時間。~中略~ 初対面で16時間喋るってあなた。


よしなが:マンガ家は分かる事なんだけど、数あるまんがの中から別の畑のクリエーターの人が、
自分の作品を選んでくれたと言うKとの、この嬉しさ、っていうのがあるんです。
駄文誰一人として「もっとせんでんになるから」と言う理由じゃないのよ。
メディア化を受けるって言うのは。
~中略~
羽海野:でも、読者さんから帰ってきた反応は「そんなにまでして売れたいのか」と言うもので・・・
すごくビックリして悲しくなってしまって~中略~
よしなが:読者さんは、それでマンガが面白くなくなってしまうんじゃないか、とか、
人気が出たからとってたらたら長くなっちゃうんじゃないか、とか。
そういうことを心配なさってる。
だから、メディアになってもならなくても、マンガ家の出来る事はいつも一つで、
面白い漫画をベストを尽くして描こうとすること、それだけ。
~中略~
羽海野:よしながさんがね「ドラマも何もみんな通り過ぎていくけれども、単行本だけが残る。
だから、マンガを頑張る事」だって。
「時間が経っても残るのは原作のマンガだけだから、そこを自分で分かっていれば大丈夫だ」って言ってくれて、
あの時は嬉しかった。


第6章 志村貴子「表現は選択できない」
志村:マンガがなかったら、私、本当にすごく社会不適合者なんですよ。
だから、よかった、マンガがあってって思う。


よしなが:私、マンガのいかがわしいところが好きなんです。
だから、それが理由で小説やほかのエンターテイメントなジャンルから低く見られるならそれでもいいと思うの。
ちょっと得ろ買ったり、何かの際々ま部分を描いていたり、そこが好きなんだもん。
間違っても文部省ご推薦、みたいにならないように、そんな認められ方はしなくていいと思って。


よしなが:ネガティブ思考だから、人生の怖い可能性を全部考えてしまうんです。
志村:私はネガティブ思考のくせに自分に甘いから、なんとかなるさって思っちゃう(笑)。
~中略~
でも、社会性に欠けるからマンガ家になったようなものなのに、
ここでもやっぱり社会性が求められるんだなぁと思うことってありません。
よしなが:長くマンガ家をやってらっしゃる方ほど社会性が高かったりして、
どういうサバイバルゲームなんだ!って思うことがあります(笑)。
どこでも世間は甘くないって事なんですよね、きっと。


よしなが:男性と女性とでは、萌えに関して大きく違いますよね。
女性の萌えは、関係性に萌える。
志村:男性は属性に萌えますよね。単体のキャラに萌える。
~中略~
女性は、キャラが二人いるときの言動に萌えるんですよね。
だからなのか、女の人が好きな伽羅を語る問いは、
そのキャラがだれそれにこういう事をして、とエピソードで語ることが多いけれど
男の字とのキャラ萌えはそのキャラの外見や属性について語っている気がする。


第7章 萩尾望都「マンガ=24年組というくらい…」
よしなが:『トーマの心臓』も、最初にトーマが死んでしまうわけですが、その分からなさが怖かったんですよ。
最後まで読んでも子供の(頃の)私には腑に落ちないところもあって、そのわからなさがまた怖かった。
でも、萩尾先生の作品に出会えて本当に良かったと思ってます。
萩尾:そんなふうに言っていただけて、どうもありがとうございます。
よしなが:いえ、とんでもない。
こちらこそ子供の頃から贅沢なものを読ませていただいて、ありがとうございます。
たとえば萩尾先生の『スター・レッド』などの作品を子供の頃に読んでしまうと
それがスタンダードというか当たり前だと思ってしまって、のちにいろいろ読んでそれは違うと言うkとが分かるんですが。
毎日贅沢なものばかり食べていた子供みたいに、当たり前のように普通に食べていたものが全然普通の食べ物ではなかったということに後に気付く、というか。


よしなが:私、『銀の三角』は何度読んでも、5分の4くらい読んだところでなんだか分かったような気がするんですが、
最後まで読み終わると、「このままでは人に粗筋を説明できん・・・」と思ってまた読み直そうとするんです。
~中略~
結局、そのラグトーリンが誰だったのか明白にはされていなくて、なんとなくわかるようにはなってるとうか。
~中略~
萩尾:世界の綻びの上に立つように言われた、お針子さんみたいな存在かもしれないですしね。
ラグトーリンのことを何かの媒体だと言う人もいます。
よしなが:萩尾先生は、『マージナル』の「地球の見た夢をキラが最後に見るんだ」と言うようなセリフだったり、
『銀の三角』の「結び目だったパントーもほどけていなくなった」というようなセリフだったり、
そういう一言でするっとその世界の事を端的に説明されることがありますよね。
そして、その言葉を目にした瞬間には、その世界のことがすべてわかったような気がするんですが、
最後まで読み終わるとなんだかふわっとした気分になってしまって・・・。
萩尾先生の、特にSF作品を読み終わったときは、なんともいえない不思議な読後感があります。


よしなが:よく親は子供のことを何があっても愛しているというけれど、本当は逆なんじゃないかと思います。
だって、そうじゃない親もいるし。
でも、小さな子供は間違いなくどんな親でも親のことを愛してると思うんです。
萩尾:子供は親に依存しないと生きていけませんものね。
~中略~
よしなが:萩尾先生の場合『訪問者』も親子者といえばそうなんですが、『イグアナの娘』はちょっと違う。
ターニングポイントのような作品なんじゃないのかしら、と思ったんです。
萩尾:親子問題というのは、私がずっと抱えていた問題なんです。
それまでにも、どうして親子でこんなにうまくいかないのかと、心理学などいろいろな本を読んでいたのですが
あるときふと占いの本を見たら「親子でも相性の悪い場合がある」というようなことが書かれていたんです。
そのときに、これが答えなのかな、とおもいました。
相性が悪いと言うのはどうしようもないじゃないですか。
だから、産んだ娘がイグアナだったら、これはもう完全に相性が悪い。
愛せないわけですから。
でも、娘がイグアナなんだから、本当は生んだお母さんだってイグアナなんじゃないのって。
タダ自分の中の見つめたくないぶぶんだからそうは見えていないだけで、
本当はそうなんじゃないのって、思ったんですよね。
~中略~
萩尾:『残酷な神が支配する』を描いてるときまでは、大人は大人で、子供は子供という距離感がとてもあった。
ところが、あの作品を描き終えてから、じぶんもとうに大人の癖して、大人だから完璧ではないんだな、と思うようになりました。
親は自分にとって完璧な絶対神のような感じがあったのですが、親も人間だしいろいろあるよね、と。
それでやっと『バルバラ異界』で大人のお父さんを主人公に描いて、あれ以来日本物を描くのが少し楽になりました。

よしながふみ『あのひととここだけのおしゃべり』①

2008年09月12日 04時02分48秒 | 
よしがふみ対談集『あのひととここだけのおしゃべり』

よしながふみさんが羽海野チカさんや萩尾望都さん等7人とマンガ(特にBL)について語り合う
とてもディープな内容の対談集

名言(迷言?)・珍説満載で、うんうん頷いたり思わずニヤリとしたり
思わず腐海の深みに引きずりこまれそうになる面白さです!
もう腐海にどっぷりつかっている方々にはより一層楽しめる事でしょう!

てことで、一人で受けてるのはとっても勿体無い!!
少しだけ抜粋しておすそ分けします~


第1章 やまだないと×福田里香「私たちの大好きな少女マンガ」
やまだ:少女マンガってさ、ちょっとタブーっぽいこともありにするための工夫をいろいろ考えるよね。
よしなが:そうですね。男同士もタブーの一つだし・・・
やまだ:男同士がタブーっていうよりも、~中略~、レイプされてみたいっていう願望がタブーだから、
男の子とかの姿に変えて描くんじゃないかな。
福田:レイプ願望とは違うと思うな。~中略~ ていうか、レイプしたくなるぐらい・・・・
福田・よしなが:私を好きになってほしい!
福田:(笑)ってことなのよ。
~中略~
福田:その人限定でレイプされるほど愛されたいってことなのよ。
レイプは最上級の乙女表現にすぎない。
よしなが:一般のレイプ願望ではないんだよ。その人にどれだけ求めてもらえるか、っていう話なんですよ。
福田:だから、それ読んで女の子が全員レイプしてほしいと思うのは大間違いで、そんなことは望んでない。
だいたい男の人って勘違いするんだよね、それ読んで。


第2章 三浦しをんその1「フェミニズムはやっぱり関係なくないのよ」
三浦:私は一時期インテリみたいな男の人が、24年組を語るのがホントに腹立たしかったんですよ。
しかも、彼等はちゃんと読めてないんですよ!
~中略~
よしなが:『綿の国星』の猫耳のチビ猫ちゃんを見て、「あれが少女の化身」って言い方をするんだけど、
違う、私たちが同化しているのはむしろ時夫で彼に共感してチビ猫を眺めているのであって、
誰もチビ猫に共感していつまでも少女でいたい願望をこのにゃんこに託したりなんかしてません私たち!みたいな。
三浦:そうなんですよ!何一つわかっちゃいない!
よしなが:でてくるのが少女だから、少女は少女に共感するだろうって言うのがまず間違っているんですよ。
大島さんのマンガって少女にどっぷりはまっているんじゃなくて、むしろはるか高みから描いていて・・・・。
~中略~
三浦:永遠の少女性みたいなものに非常に冷たいですよね。
よしなが:『バナナブレッドのプディング』で衣良ちゃんが結局あのままでは生きていけなくて最後に大人になる決心で終わるように、
必ず大島さんのマンガって少女が大人になる瞬間を描いていて、
いつまでも永遠の少女でいることなんて全然描いてないんですよね。
~中略~
私はむしろ永遠の少女を描いているといったら、吉野朔実さんの方だと思います。


よしなが:親は私に学校の先生になれって言ってたんですが、
理由を聞くと、「好きな人と結婚したいってことは、相手の経済状況とか考えないで結婚したいっていうことだよね。」
「女の人が働いてないと、なかなかそれは出来ないんだよ。」
「男の人に養ってもらおうと思ったら、男の人の経済状況や家のことを全部条件に入れないといけない、要するにまったく自由に好きな人とは結婚できない」
あるいは「好きな人がいないから結婚しません」って選択肢はとれないんだよって。
社会って言うのはホントに不公平で不条理で女の人が生きていくってことはとっても大変なんだって、親に恐怖心を刷り込まれたんですよ。
成績が良くて一番とれば女の子だって一番、そんな男女平等の世界は学校だけだって。
~中略~
不条理なことがあったら訴えるべきことは訴えればいいのですが、
社会が急に変わるわけじゃないし、
結局は自分が工夫してやっていくしかないんです。


第3章 こだか和麻「ボーイズラブじゃないと描けないこと」
こだか:私は、BLは“切なさ”が描ければいいと思うんですよ。
読んでる人を切なくさせればいいかなって。


こだか:BLは女の子が読者なので合体場面が必ずある。
主人公たちが一体になることに意味があるんですね。
~中略~
要はエッチシーンてサービスカットなんですよね。
読んでる人は、主人公たちがラブラブに至るまでの紆余曲折のシチュエーションを楽しむわけで、
つらいこともあったけど、ようやく二人でいっしょになれたねって、それがうれしい。
エッチシーンはご褒美みたいなもの?(笑)


こだか:以前に河惣益巳先生とお話させていただく機会があったんですが、
『ツーリングEXP』でなかなかシャルルとディーンがくっつかなかったのは、少女マンガだし、子どもが読むかもしれないものなので、
男といえども胸から下を描くのはよろしくないという、壁があったそうなんですよ。
それがBLを浸透してきたことによって、男同士のエッチシーンも珍しくなくなり、描ける時代になった。
~中略~
河惣先生に「ありがとう」って言われたんですよ。
BL作家ががんばって作品を描き続けてくれたおかげで、自分はようやく好きな者同士がくっつく話を描くことができるって。

こだか:BLはキャラの見てくれも大事だけど、キャラが一途かどうかも大事だよね。
よしなが:“一棒一穴主義”だよね(笑)。
こだか:そうそう。それはね、<攻>キャラはある意味、読者の理想だからなんだと思う。
この人と定めたらブレない、そういう一穴主義に徹するキャラにしないと、読者からのウケも悪い。
よしなが:それまでさんざん遊んできたような人たちが簡単に<受>にメロメロになるでしょ。
そのうち絶対浮気するから、って思うんだけど、しない(笑)。
こだか:そこに乙女の夢が入ってくるんですよ。


第4章 三浦しをんその2「やおいは男同士でなくてもいい」
三浦:BL作品を読まずに、「男二人の関係が書いてあればBLなんだろう」とイメージしている人が多い
~中略~
よしなが:私の『大奥』という作品だって、BLだって言うひとはいるんですもん。
三浦:えーっ!?それはどういう理解なんですかね。
よしなが:よく知らない人にとっては、男同士の同性愛行為が1回でもあったらBLなんでしょう。
~中略~
私にとっては、『西洋骨董洋菓子店』はBLではない、ただゲイの人も出てくる少女マンガなんですが、
読者さんからのおたよりで「BLなのに恋愛が中心じゃなくてとっても面白かったです」とか感想をいただきますから。


よしなが:私や友人たちの言うやおいっていうのは、セックスをしてない、つまり恋愛関係にない人たちを見て
その人たちの間に友情以上の特別なものを感じた瞬間に、これはやおいだと名づけるわけ。
二人の関係が性愛に踏み込んでいたら、それをやおいとは言わないんです。
そういう人たちの間柄を妄想して、創作物の中でセックスさせていることもやおいというから、
世の中の人たちはやおいというものをごっちゃにしていると思うんだけど。
~中略~
三浦:性別ではなく、人間関係の在り方がポイントってことですよね。
~中略~ テーマは「孤独と連帯」なんですよ。
よしなが:まさに(笑)。それこそやおいの本質ですよ。


三浦:よくオタクの人は、キャラクターに擬似恋愛をしているから現実の恋愛に意識が向かないんだと言われますが、
私はそれってちょっとちがうとおもうんですよね。
だって、擬似恋愛してます?
よしなが:萌えの気持ちのドーパミンが恋愛しているときと似てないかと言われれば、似てると思う。
(でも、)妄想するドーパミンのほうが、恋をしているよりもはるかに多くでてるはずなの。
だから、中毒になっちゃう。
妄想のほうが快楽としての純度が高いんですよ。


字数制限に引っかかったので、②へと続きます。


『琥珀の望遠鏡』

2008年04月07日 15時39分49秒 | 
ライラの冒険シリーズⅢ『琥珀の望遠鏡』

鉄は熱いうちに打て!と言うのに、読み終わって二週間
感動が冷めてレビューが面倒臭くなってきた。。。
ヤバイ!
さっさと、レビューを書かねば~!と言う事で今回はこれです


まず、ネタバレストーリー紹介から!

前巻ラストで誘拐されたライラ
誘拐したのはコールター夫人でした
娘を殺そうとする教会と袂を別って山奥に身を隠し、
ライラを薬で眠らせながらも甲斐甲斐しく世話をする夫人
唐突に母性に目覚めたような夫人に違和感感じまくりですが
彼女には彼女なりの訳があった様で。。。
 眠らされてる間、ライラは殺されたロジャーの哀しげな姿を夢に見ます
その後、ライラはウィルに助け出されて
ロジャーを助け出しに死者の世界へ!
ここでも、死後の世界を約束したオーソリティの嘘が明らかになります
閉じ込められた霊たちを解放したものの、再び教会の追っ手に追い詰められる二人
 一方、コールター夫人とアスリエル卿は、
オーソリティの右腕で実務の実力者であるメタトロンに立ち向かいます
(「メタトロン」・・・マンガマニアの方はこの名前に記憶を刺激されません?
由貴香織里さんの「天使禁猟区」に出てきました。
勿論、随分印象は違いますが。。。

このメタトロンとコールター夫人&アスリエル卿の戦い
今までの冷たさを補って余りあるすさまじさ
特にコールター夫人が熱いです!
 そして、からくも別の世界へ逃れたライラとウィル
そこで、ウィルの世界で知り合ったメアリー・マローンに出会います
彼女から昔の恋バナを聞いて、自分の気持ちを自覚するライラ。。。
その時、世界に異変が!!。。。



世界は大団円です!
でも、ちょっと悲しくて切ない
大人になることは何かを得る事であり失う事でもあります
世界を救った彼女たちの代償は。。。大きかった!
オックスフォードの植物園のシーン、泣けます!
まぁ、予想はしてたけどねぇ。。。

この3巻ですべてが明らかになりました
オーソリティとその壮大な陰謀について
コールター夫人の謎の行動の理由
神秘の探検の秘密
ライラがどうして教会から執拗に追われるのか?
ダストを食うスペクターの謎
そして、ダストの謎

そのダストについては、本の中に明確に
「ダストとは、物質が自らを理解しはじめるときに生じる物につけられた名称だ。
物質が物質を愛し、自らについてもっと知ろうとすると、ダストが生じる。」

と、語られています
が!う~~ん。。。わかるような?、わからないような????
人が形而上の問題について考える時、脳から何らかのエネルギー生じて
それがダストだ、って言う訳かしら?
でも、2巻で天使がダストで出来てるって書いてあったし
てことは、知性生物の思考エネルギーが天使を作っているって事!?
確かに、生前人間だった天使もいるから、それも理解できないわけじゃないけど。。。
でも、そしたら幽霊との違いは何!?
それに、霊から比べると天使の方がずっと物質的だし。。。
メタトロンなんか、人間二人を相手に大立ち回りをするくらい充実した物質ぶり
あれがダスト?
私は天使については、まだ納得できませんわ~


ともかく、続きが出るようですし
そのタイトルが「ダストの本」!
もっとダストの謎が語られるのでしょうか?
楽しみです~~

フィリップ・プルマン『黄金の羅針盤』『神秘の探検』

2008年03月09日 17時37分18秒 | 


今、テレビでしきりに宣伝している映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤」の原作本です
前々から気になっていたんだけど、映画をきっかけに図書館に予約
もっと待たされるかと思ったけど、意外と早く来ましたね
分厚いんで読む人が少ないのかなぁ。。。面白かったのに!


3部作一緒にレビューを書きたかったけど
返却しなくちゃいけないんで、とりあえず先に来た2部までアップします~
相変わらずネタバレバレですから、ご注意を!

皆様、知ってると思うけどファンタジーです

主人公はライラ。12歳の少女。
彼女は両親を亡くして(ここにも色々と複線が)、
物心着く前からオックスフォードの寮で暮らしています。
ただ、彼女の世界、一見すると20世紀初頭のイギリスみたいだけど
私たちの知ってるイギリスとはちょっと違っているのです
人々は“ダイモン”と呼ばれる動物の形をした守護霊を持ち
魔女や人語を話す熊が普通に暮らしている世界。

そんな世界で子供たちが誘拐される事件が続出
ライラの親友も行方不明になってしまいます
彼女は心配して周囲の大人たちに働きかけますが
突然、彼女自身がコールター夫人と名乗る美しい女性に引き取られることになります
コールター夫人の家へ移る日、
学寮長からライラの叔父のアスリエル卿の持ち物だった
真理計(アレシオメーター)(黄金の羅針盤)を渡されます
誰にもこの事を言ってはいけないと言われて。。。。

美しいコールター夫人に引き取られて有頂天だったライラですが
夫人の残忍な性格を垣間見て
そこを逃げ出し、誘拐された親友のロジャーを探す旅に出るのです

自分の子供を捜すジプシーの一族や熊の戦士イオニク・バーニソンの助けを借りて
子供たちを無事助け出すことの出来たライラ。。。
しかし、彼女は最低の裏切りにあってしまう!
(第一部終了)

<第二部>
次元に橋を架けて、別の世界に渡ってしまったアスリエル卿
彼を追って平行宇宙の一つに移動したライラ
そこで自分と同じ年頃の少年ウィルと出会います
彼もまた違う世界からやってきたのです

教会とコールター夫人に追われるライラ
幼い頃から謎の組織に追われ続けるウィル
最初は警戒していたものの、いつしか信頼し合うようになったふたり。
ところが、ライラの真理計が奪われ、
それを取り戻すためにある短剣を探すことになります
その短剣とはこの世のあらゆる物、空間ですら切り裂ける力を持っているのでした
しかし、その短剣が選んだ主人はウィル!
それを使って、盗まれた真理計を取り戻した二人は
ウィルの父を探すことにしますが
ライラやウィルを追ってきた連中に追い詰められて行きます。。。



※真理計
回りに36の絵が描いてあって、針が三つある時計のような物
心を空にして念じると真実を教えてくれる計器です
タロットカードを機械にしたような物と理解


※ダイモン
こっちの世界では“ディーモン”
“ディーモン”とはデビル(悪魔=Demon)のことかと思ったけど
どうやらDaemon、ギリシャ神話の守護神のことのようです
このあたり、英語の素養が無いんで確めようが無いですが。。。
第二の自我とも言うべき存在で
それを切り離されると(普通は切り離せない)、
ダイモンは消滅し人間は意志を無くします



壮大な物語です!
たった12歳の少女に世界(平行世界すべての!)の運命が掛かっていると言う
やたらと大風呂敷な設定
でも、そう言う話にありがちな
大げさな割にはうそ臭くて中身の薄っぺらい感じは全くしません!
分厚い外見に見合う中身の濃さがありました
子供向けながら、作者の教養の深さを充分感じます

この作品の中で“ダスト”と言うものが重要な役周りを担っています
語源は聖書の『あなたはちり(ダスト)だから、ちり(ダスト)に帰る・・・』
目に見えない正体不明の物質であり
大人の周りには集まるけど、子供には付かないのです
何故か?
“ダスト”とは何なのか?
その謎をめぐる陰謀に巻き込まれたのが、主人公ライラなのです

実際のところ、“ダスト”が何か?と言う点については
私もここまで読み進んでも、今一良くわかってません
キリスト教の素養が無いせいか、聖書の一文が出てきてもピンと来ないんですよね

2巻目で出てきた天使が自らを“ダスト”と名乗るんだけど
3万年前人類の進化に干渉し(エデンの蛇の役割)
要は人間の意志と情動を促す存在のようです

ここで思い出されたのが佐藤史生さんの短編「レギオン」!
ともに「神」(ライラの世界ではオーソリティと呼ばれる)を
人間の精神の自由を束縛する存在として捉えてる所が似てます

さて、最終巻では
すべての生物、すべての次元が神(=オーソリティ)との戦いに巻き込まれて行くようです
世界が最終戦争(ハルマゲドン)へと傾きつつある中
ライラやウィルの役割は何なのか?
続きが速く読みたいです!!


ちなみに、映画は見てないけど
コールター夫人役をやっているニコール・キッドマン
美しくて残忍で強い意志と頭脳の持ち主と言う役どころのイメージに
ピッタリはまってますね!!

浜 たかや『ユルン・サガ』

2008年02月20日 13時24分04秒 | 
この前アップした「太陽の牙」に続く
「火の王誕生」「遠い水の伝説」「風、草原をはしる」「月の巫女」
この5作はユルン民族の歴史を取り扱ったシリーズとなっており
まとめて『ユルン・サガ』と呼ばれてます

読んでる人は少ないと思うので
思いっきりネタバレストーリーを紹介させてもらいます!

年代的には
「月の巫女」が一番古く、
ユルン民族が鉄器を手にするまでが描かれます
有史以前の伝説と言う語り口なので、話もシリーズ中一番ファンタジーっぽいです

ユルン王ザトガルは鉄の技術を持つ異民族の巫女ラトシャイと結ばれ
王は彼女の死と引き換えに跡継ぎを得た
彼は母と同じラトシャイの名を与えられ、
武勇を尊ぶユルンの風習になじまぬやさしげな少年に育つ
そんな彼の一番の理解者は、ザトガル王に滅ぼされた一族の落とし胤であり
王の右手であるグインギンの養子となっているアタルゲイだった
ある時、一族のタブーを破り終われる身となった二人。。。
一方、この事をきっかけに、
王と有力部族の対立が表面化しユルン同士の内乱に発展
この内乱の中でユルンは鉄を手に入れ、王位はグインギンが継ぐことになります
ラトシャイは死んだ妹と合体して女になり(←ここ、深く突っ込まないように!
アタルゲイと結ばれ(精神的に)て、ケイナン(「太陽の牙」とは別人)が生まれ、
これが月(デイ)を奉じる一族デイーインの祖となるのです


続いて「風、草原をはしる」
「太陽の牙」に出てくるタイバル王の父タグタイが主人公

この時代、ユルンはチルギド民族の支配を受けて苦しんでいた
ユルンたちにとって、どこかに隠れ棲むグインギン・ダニハ王子が唯一の希望の星だった
そんな中、タグタイは女神ヒングリの化身のような少女と出会い
人目で心奪わる
が、彼女はユルンを救うと言われるグインギン・ダニハと結婚
タグタイはグインギンの代わりにチルギドに捕われてしまいます
危うく殺されそうになるところを逃げ出したタグタイは
チルギド族に対して叛旗を翻し、自らをグインギン・ダニハと名乗り
ユルンの信望を集めます
ところが、本物のグインギン・ダニハも兵を挙げ
結局、グインギンを破ってユルンを統一したタグタイは
チルギド族も破り王となるでした
一方、ヒングリは夫の敵を取ろうとして失敗し
グインギンとの間に出来た子供をタグタイに託し死んでいきます
その子の名はジェイバ、後のドグールンなのです


3番目が「太陽の牙」
ラストで、タイバル王を破ったドグールンは王となり
息子オキュレンの死骸に自分の剣を乗せて河に流します
ケイナンはドグールンの息子となります


4番目は「火の王誕生」
「太陽の牙」の主人公、ケイナンから7代経った時代
王妃を決める神事でイラー神側が勝ち、ユルー神官長の娘リガルは
神事で生き残った赤ん坊を連れて姿を消します
それから15年。。。
先王の死後、王位は気の弱い少年王カグウトが継ぐが
政治の実権は王母ダイギリと兄のイラー神大祭司タウクに握られていた
その為、民心は荒廃し
草原には村々を襲って村人を皆殺しにして回る残虐な<荒野の王>と呼ばれる賊が
暴れまわっていた
まるで、すべての生命を憎んでるかのように。。。
その頃、「燃え上がる炎の中から真の王が現れた。真の王が<荒野の王>を討ち取った・・・ドグールンの剣を持ち・・・」と言う予言が流れる
一方、リガルが連れ去った赤ん坊ホローシは彼女の死後
<柳の里>のユルー神殿に左遷されたリガルの父イギスと出会い
彼の世話をしながら暮らしていたが
そこの神殿から“ドグールンの剣”が発見されたことから
王位をめぐる陰謀に巻き込まれていく。。。


最後が「遠い水の伝説」
「火の王誕生」で思わず王となってしまったホローシ王の晩年が描かれます

前作で王となったホローシだが、愛する<柳の里>の娘<遠い水>に振られ
彼女の面影を求めて王妃を6人も変える冷たい王となってしまう
ところが、6人目の王妃にやっと出来た王子を
イラー神官の生き残りに掏り換えられてしまう
しかも、政治はおべっか使いの導師マーザンに任せっきりで
民心はすっかり離れてしまっていた
父に全く似てない王子ハドインは父に疎まれ
さらわれた本当の王子の方は、
ホローシへの憎しみを植えつけられて育っていった
結果、初恋の<遠い水>の孫娘に会えると言う言葉でおびき出されたホローシ王は
実の息子に殺されることとなるのだった。。。



長々、ストーリーをご紹介したのは
1作目の「太陽の剣」以外、これが児童文学!?って思うくらい
シビアだからなんです
どの巻も王位は血筋ではなく、それに相応しい苦労をしたものが継ぐ。。。
まぁ、その部分は正しいだけど、
その後がメデタシメデタシとは行かないんですよね
タグタイは愛する女性を失い
ドグールンは息子を失い
ホローシにいたっては、実の息子に殺される。。。
王位の代償はそれほど大きい
また、彼等の周りの人間も犠牲を強いられる
「火の王誕生」のラストでホローシがつぶやきます
「カグウト王は王位から落ちた。だが、すべてを持っている。私は王位にのぼった。でも・・・わたしは・・・うしなった。」と。。。
テーマの深さは大人にも読み応えがあるけど
子供に読ますには、あまりにも希望が無さ過ぎるような気がしますわ~


全巻通して読むと
太陽神ユルーを信仰し他文化に対し狭量で独善的な態度のユルーが
だんだん他部族の神や文化を受け入れ変わって行く過程が見えます
最初はユルー神だけだったのが
他民族と調和していく過程で、月と牝牛の神イラーを作り出し
イラー神が勢力を強めれば、享楽的で柔弱な世の中となり
次の世代でユルー神が盛り返すと厳しく殺伐とした世の中になる。。。
まるで、神々の勢力争いを人間が代わりにやっているような。。。
きっと、「遠い水の伝説」のラストで王位を継いだハドインも
その先は茨の道が続いていることでしょう。。。

浜 たかや『太陽の牙』 

2008年02月06日 18時56分49秒 | 
 浜たかや「太陽の牙」(偕成社)

『精霊の守人』みたいな読み応えのあるファンタジーを探してたら、これに当たりました。
こういう時、密林さんのお奨め順検索は便利ですな~
さすが☆5つ!
児童文学の枠を越えて、非常に深い物語でした

<ストーリー>
紀元前5~2世紀、中央アジア、ウラル地方で
鉄器を武器に周辺部族を征服していく騎馬民族ユルン族
そのユルンに征服されたケタイ族の少年ケイナンが主人公。
ケイナンは同じ年頃のユルンの少年オキュレンに嘲られ、
ユルンに支配されるケタイの生活に反発心を抱きます
実は、彼は人を殺すと狼に変身すると言うデイーイン族だったのです
彼の母はそれが嫌で部族を抜けて、大地の神を信ずる穏やかなケタイの中で息子を育てていたのでした
が、ケイナンはある事件をきっかけにタイバル王と王の右手ドグールンとの対立に巻き込まれていきます
そして、ユルンに虐げられ、すべてを失ったケイナンはデイーイン族の元に走りますが
そこも決して安住のではありませんでした
そんな中ユルン族はデイーイン族が住む赤い山(鉄鉱山)を求めて侵略を開始する。。。


青銅器から鉄器時代への移り変わりを舞台とした歴史ファンタジーなんだけど
人間描写に深みがあって、ファンタジーと言うより壮大な人間ドラマになってます

故父王に対する対抗心から闇雲に周辺諸部族を制服して回るタイバル王
王に溺愛されていても、満たされないものを抱えている男勝りの王女ヒングリ
王の第一の忠臣でありながら、だんだん王に追い詰められていくドグールン
被征服民族のケタイを母に持つドグールンの息子オキュレンの劣等感
それぞれの登場人物の人間性が、ちょっとしたエピソードで浮き彫りにされる所が凄い!
主人公の敵役オキュレンや暴君タイバル王は最初は完全悪役キャラだったのが、
何故そんな人間になっていたのかが明らかにされるにつれ、だんだん哀れになってきます
特にドグールンとオキュレン親子の結末は泣けます


ファンタジーのカテゴリーに入っているものの
ファンタジー的要素は狼に変身するデイーイン族だけです
鉄を悪用されることを嫌い、必死の防衛戦をしているだけと思われるデイーイン族。。。
結局、それが自分の民に戦争のための戦争、それゆえの貧困を強いる事となっているわけで
それは、現代でも同じことが言えるのです。。。それも地球のあちこちで。。。
人間て全然進歩してませんね
そういう意味では、かなりリアルな物語なのです

歴史的背景については、かなり学術的に忠実に描かれており
鉄がユーラシア大陸を西から東へと、どのように伝播していったのか
鉄によって人類の生活がどのように変わっていったのかとか
かなり具体的に想像できて面白いです


このユルンシリーズは5冊出ており、次の巻はタイバル王の父の時代の話で
またまた、ドロドロの愛憎劇が展開されるようです
図書館から連絡が来るのが楽しみ~

ジョージ・R.R.マーティン『タフの方舟』①②

2008年02月01日 01時12分29秒 | 


ハヤカワSF文庫です
作者は『氷と炎の歌』シリーズ(“夜”は個人的に史上最高のファンタジーだと思ってる)を
書いたジョージ・R.R.マーティン

このマーティンと言うお方、なかなか個性的なキャラをお書きになります
例えば、「氷と炎の歌」に出てくるティリアン
名門貴族の家に生まれながら生まれつき発育が悪く、インプと蔑まれて育った小男
それだけに少々卑屈な所はあるものの心優しく頭脳明晰で
物語の主要キャラの一人です

さて、この「タフの方舟」の主人公、ハヴィランド・タフも相当変わってます
まず身長2メートル50で太鼓腹の持ち主
無表情な長い顔に大きな手、その上、ツルッ禿でまっ白な肌
1巻の表紙絵はタフを描いたイラストだけど
私はミシュランタイヤのキャラクターのイメージが頭に浮かびましたわ
そして、人に触られるのは大嫌いだけど、猫はこよなく愛する商人(とってもあこぎな)です
でも、一番面白いのは大仰大時代なもって回った彼の語り口調
○「ごもっとも、まことにもってごもっともでございます。」
○「お客様の軍事の才には、手前ごとき、遠くおよぶところではございません。さすがに軍事史家だけのことはおありです。しょせん手前は、ただの卑小な商売人。・・・」(戦争ゲームでタフが散々勝った後の台詞)
○「貴方はどうも、猫の価値を適切に評価しておられないようですな、守護士どの。猫は文明の程度の指標となる生物なのですよ。いかなる世界も、猫がいないかぎり、真に開けてるとは申せません。」
○「すっかり失念しておりましたよ、貴方が元役人だと言うことを。どうりで能無しのはずだ」(借金の形に働かせた男が役立たずと知って)

等々、ものすご~くへりくだってて大げさで理屈っぽくて
でも、皮肉に満ちてる台詞に思わずニヤリとしてしまうのですよ
これは、そのタフを主人公にした7編の短編集です

第一話「禍つ星」
タフが方舟を手に入れるまでの物語です
方舟とは、千年の昔に失われたバイオテクノロジーを満載した戦艦のこと
タフはあらゆる生物のDNA情報とそれを合成・クローニングする技術を持った船を巡る争奪戦に巻き込まれます

第2話「パンと魚」
方舟のテクノロジーを使って、環境エンジニアとして商売を始めたタフ
前話の争奪戦で傷ついた船を修理するためにス=ウラスム星に寄航することに。。。
ここは最新の科学技術を誇る星だったが
産児制限を善しとしない宗教的理由から、人口過密と慢性的な食糧不足に悩まされていた
いそのため、タフのバイオ船をあの手この手で手に入れようとするが。。。

ここ宇宙ステーションの長官トリー・ミューンがとっても魅力的
と言っても、美人と言う意味ではございません
がさつだけど、仕事が出来て一本筋の通った中年女
この話を含めて3話に出てくるけど、どれも良い味出してます

第3話「守護者」
人類が入植してほぼ1世紀の惑星ナモールでは、
最近頻繁に新種の生物による攻撃を受けて甚大な被害を受けていた
最初は海、次に空、陸と被害は広がるばかり。。。
それらの生物を退治することを求められたタフの採った手は?

ここで、表紙絵でタフが抱いている黒猫が誕生
名前はダックス。エンパス能力のあるネコです
ネタバレになるので詳しいことは書きませんが、最後に出てきた生物が面白い

第4話「タフの再臨」
未払いになっていた船の修理代を払うため、再びス=ウスムス星を訪れるタフ
彼のおかげで食糧事情が好転したはずの星は、ますます危機に陥っていた
再度、タフの船を手に入れようとするトリー・ミューンとタフの丁々発止のやりあいが面白い

第5話「魔獣売ります」
十二家が大型捕食獣を戦わせることで生計を立てている星ライロニカ
その十二家の一つから声を掛けられ、強い魔獣を用立てすることになったタフ
その家の魔獣はどんどん勝ち進むが、他の家も同じように魔獣をタフに依頼するようになる
さて、その行く末は。。。

作成年代で言えば、これが一番最初に書かれた作品
そのせいか、タフのキャラにちょっとユーモアが欠けてますな~

第6話「わが名はモーセ」
見知らぬ男にいきなり殴られそうになったタフ
生物を操って彼の星の文明を破壊したモーセと名乗る男の影に、タフがいると誤解したのだった
男の星に向かい、濡れ衣を晴らすタフ

第7話「天の果実」
三度、舞台はス=ウスラムへ
ローンを払いに来たタフ
が、またまたス=ウスラムに捕らえられそうになる
しかも、今度はス=ウスラムは爆発的人口増加のせいで周辺惑星と一触即発の戦争の危機にあった
それをタフがいかに解決するか。。。?

ここでタフは節制の無い人口増加とネコの野放図な生殖を比べています
で、本筋には全く関係ないんだけど、
我が家の近所で出没する野良猫オバサンを思い出しましたわ。。。
飼えもしない野良猫にわざわざ遠方から餌をやりに来る人がいるんですよ
食べ残しの餌は汚いし、おしっこは臭いしで、結構近所迷惑になってます
これって、飢えた野良猫をかえって増やすだけで
とっても無責任な行動だと思うんだけど、どう思う?
でも、本人はいたって真剣に動物愛護のつもりなのよね~~

人間社会の方も宗教的理由や無知から産児制限をしないため、
どんどん人口が増え続け
それが貧しさを再生産させている国が実際にあります
が、今のテクノロジーではSFのように簡単に食料を増産することは出来ません
先進国の援助だけでは根本的解決にならないのも同じ
「タフの方舟」、なかなか深いSFなのです


パトリシア・ブリッグズ『ドラゴンと愚者』

2008年01月29日 22時55分45秒 | 
最近、活字の世界へトリップしてます
この前読んだのはこれ

 ハヤカワ・ファンタジー文庫です

<ストーリー>
タルベン国王が統治する五王国の最北の国、ヒューログ。。。
かつてはドラゴンが飛び交い、ドワーフが富をもたらす
魔力に満ちた豊かな国だったが
今ではドラゴンの魔力もドワーフの富も失い、貧しい最果ての国になっていた
そのヒューログの城主の息子ワードウィックは父の嫉妬と虐待から逃れるため
幼い時からバカを装い続けてきたのだが
ある時、城の地下でドラゴンの骨を発見し、謎の少年オレグと出会う
彼はヒューログ城に魔法で縛り付けられ、代々のヒューログ城主に仕えてきた奴隷だった
そして、ワードウィックは父が死んで彼に城が譲られたことを知るのだった
が、長年愚かな振りをしてきたため
タルベン国王に城主として相応しくないと施設送りされそうになる
間一髪、それを逃れ
戦で名を上げ城主として相応しいことを証明するために
オレグら5人の仲間とともに南の紛争地帯へ向かうが。。。



主人公は実の父に何故ああまで憎まれねばならなかったのか?
世界に何故魔法がなくなってしまったのか?
ドラゴンは何処へ何故行ってしまったのか?
その謎がオレグと密接に係わってきます

そんなに目新しいアイデアは無いけど
龍と魔法と言うファンタジーの王道を扱って
ラストはちゃんとハッピー・エンド!
安心して読めました

ただ、タイトルの“愚者”と言う言葉の響きがねぇ。。。ダサい!
原題は「Doragon Bones」
直訳して『ドラゴンの骨』とか
ベタだけど「ドラゴンの城」とかって言うタイトルの方が
読む気が出たと思うわ~

松下雄一郎『藤川球児 ストレートという名の魔球』

2008年01月11日 16時54分37秒 | 


お正月、テレビの合間に一気読みした本です
タイトル通り、去年セーブ王に輝いた我らが球児の軌跡を書いた本

普段、本は図書館頼りなんですが
年末のタイガース特番でこの本を知って、速攻本屋に走りました!

が、近くの本屋に無かった。。。
次の本屋に行っても無い!
仕方ないので、家と反対方面にある別の本屋へ~
ここは、本店が大阪だからあると思ったら。。。やっぱり、無い!
そ、そんなに売れてるの~!?

無いとなると、余計読みたくなるもの!
今度は、その足で神保町に向かいました
ここに無かったら、あとはネット頼りです

神保町の書泉グランデに入って、2階のスポーツ書籍のコーナーへ
と、ところが~!ここにも無い!!
意を決して、店員さんに聞きました
そしたら、パソコン上は3冊あるはずなのに実物が無い(ありゃりゃ。。。)
そこで、近くの支店(ブックマーク書泉)に問い合わせてもらったら
あった~~!!
8冊も。。。
というわけで、やっとのこと5件目で購入できました~~

やっとの思いで手に入れた本、期待に違わず面白かった!

9回、「あと一人ッ!」コールの中
打者のバットを避ける様にミットに収まる球児のストレート!!
阪神ファンにとっては、おなじみのそして一番燃える瞬間です
あの魔球のようなストレートがどのように生まれ
数々の名勝負を生んできたのか
そして、その時藤川球児は何を考え、これからどこへ行こうとしているのか。。。
デリースポーツのトラ番名物記者松下氏が
記者としての立場を離れ、一藤川ファンとなって書いた渾身の一冊です!

特に、去年の二つのウッズとの対決の章が泣かせます
最初の一つは7月の26日
阪神が3-2で勝ち、ナゴヤドームで3連勝!♪したときの対決
このときの球児は素人目に見ても後光が差してるくらい素晴らしかった!

もう一つの対決は9月14日のウッズとの対決
このとき阪神は破竹の10連勝の後2連敗して、後が無い状態。。。
あの運命の11球の試合です
球児が投げ込むストレートをウッズはことごとくファウル
最後にとうとう。。。さよならヒット!
タイガースはここで折れたと言っても過言ではありません
でも、このときウッズも球児も充実した顔してるんですよね~~
負けたけど、負けたけど。。。
あんな良い勝負見せてくれて、球児にありがとう~~!!って、言いたい
でも、。。。でも、。。。メジャーには行って欲しくないよ~~
もっとも、心の片隅にA.ロッドのバットが空を切るのを、ちょっとだけ見てみたい気持ちもある~

と、まあ球児の過去の活躍が目に浮かぶようで
阪神ファンなら心熱くなる本なんだけど、ちょっとだけ不満が。。。
それは、あまりにも読みやすくて、あっという間に読み終わっちゃったこと!
もっと、もっと、球児を堪能したかったな~~


ところで、著者の松下氏
関西やスカパーを見ている方にはおなじみの方なんですが
知らない方のためにちょっと。。。
もし、この本を本屋でお見かけしたら、表紙の折り返しを見てください
著者近影が載ってます
それはもう、のけぞること間違い無し!
デイリースポーツと言う会社、懐が大きいです~~