以下の駄文は一年前に書いていたのですが、いろいろ反感を買ってしまいそうなので、出すのをためらっていました。
評判のよろしくなかった二十四話を最良回だとあえて述べる、あまのじゃくレヴューです。
演出が悪かったとか、作画が悪かったとか、スカリエッティの発言に虫酸がはしったとか、いろいろ非難轟々を浴びたこの問題の二十四話ですが、果たしてそれだけで、この回をおとしめることは正しいのでしょうか？
作画や演出の悪さについては、これまでの回にたびたび観られたものですので、あきらめはつくでしょう。たとえば、八話のなのはとティアナとの軋轢も、ましてや十八話のなのフェ涙の抱擁シーンも、重要なエピソードなのにけっしてできのいい描画ではなかった。しかし、それだからといってこの回がつたえたことは薄れてしまったでしょうか？そんなことはないはずです。それにこういう人物の感情がおおきく揺れるときは、絵が崩れてあたりまえだと私は思います。だって、ひとの泣き顔や怒った顔ってたいてい見られたものじゃないでしょう。私はむしろ『メガミマガジン』やDVDの表紙にあるような、うつくしくて輪郭もととのっている顔立ちは、見目よいけれど画一的で面白みに欠けるように思えるのです。一枚絵しかないならよいのですが、終始こころが波たってゆくキャラの表情がそんなだったらおかしいですよね。
ところで、この回の不満点といえばアクションシーンのつまらなさにあるのではないでしょうか。
フェイトは一期はなのは、そして二期ではシグナムとの刃を交えながらのすばらしい舞闘をみせてくれた。
とくに、放映前から噂されたソニックフォームでの勝利というのは、二期の第九話の対シグナムで仮面の騎士による邪魔がはいったためになしえなかった独壇場であり、これに期待をかけていたファンも多かったことでしょう。
他のメンバーに比べたら、好敵手ではない。戦士としての誇りなど微塵のかけらもない狂気の科学者。そしてましてや、男です。剣戟の合間からこぼれる会話の緊張感だとか、息詰まるような攻防なんてものがまったく観られなかった。
しかも、彼女のソニックフォームは、シグナムの強さを前に肉を斬らせて骨を断つという覚悟から、生まれたものではなかった。子供の声援をうけて変身する、やすっぽい特撮ヒーローみたいなノリです。そして、スカもあっさり倒されてしまう。勝利はしても、なんだか清々しくはない。後味の悪さだけが残りますね。
フェイトちゃんの動きが悪かったのは、露出の高いソニックフォームで暴れ回るとたいへんキケンだからではないでしょうか。演出の能力不足（というか演出のとおりに原画をかけない事情のせいというべきか）だけじゃなくて。この三期変身シーンも一回しかなかったんですけど、今作はとくにお色気シーンを排除しているのではと思いました。そのあたりが、お兄ちゃんは不満？だって、あのコスチュームで激しい戦闘やって、ビリビリ衣裳が剥がれたら、なんかいやで。
一期、二期と比べますと、国家レヴェルな戦争の勢いを呈しているのですが。
杖やら斧やら魔法書やらの魔法少女のレヴェルでそれを描くのは無理があったような。といいますか、狭い艦内のなかでの戦闘て、迫力薄れますよね。AMF下の状況のために、魔法力の描写をおさえているんでしょうけれど。フェイトちゃんの決め技が、アレはないでしょ（苦笑）なんか、『仮面ライダークウガ』（だったと思うが）の最終回で、どつきあいで終わったのとおなじ。
しかし、最後にやはり本音をいわせていただくと。
スカリエッティの発言に嫌悪感をいだいたことは事実です。たぶん、「京四郎」のミカ様を手にかけたカズヤに対するそれと同じように。
要するに産む機械発言とおなじように。
でも、スカがちゃんと彼女たちのこと愛してるならそれはそれでいいと思うのですが。
この回のいちばんの見どころはフェイトちゃんが母親との確執をのりこえることなんですが。
二期でも終盤に回想シーンがでてきたし、十年経ってもけっこうトラウマなんですね。母親にとって「完全な」娘になれなかったので、こんどは自分が完全な母親になることで過去をふりきろうとした。虐待された子どもを保護し、自分が与えてもらえなかった優しさを過剰にふりまくことで、母親を演じようとした。それが亡き母親への弔いだと信じたのかもしれない。
スカリエッティのするどい分析はあながち外れていないかも。
にしても、この回でおぞましかったのは、スカが父親ぶったところでしょうか。一瞬ほんとうにプレシア母さんと？！と勘繰ってしまいました。
なのはと比較すると、ダメ母親像として描かれた三期のフェイトちゃん、ちょっとかわいそうですね…。最終回もアレだし。SS04で溜飲さがりましたけど。
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