陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「レッドクリフ Part 1」

2011-01-23 | 映画──SF・アクション・戦争
トニー・レオンってとりたてて美形とは思わない(…というか、いやな先生に顔が似てるから好きじゃないの)んですが、なにか気になるなと思ったら、左右の表情の違い。左顔だけときに刻まれる深い皺のせいで、どことはなしに陰のある人物を演じられます。
金城武はあいかわらず、知性的だけど飄々とした感じ。にしても、この人の洋画って本人は吹き替えしないんですね。もちろん、こなれた声優さんのほうがいいけど。

トニー・レオン、金城武の主演ときけば、そう、映画「レッドクリフ」

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第一部が昨年公開されて反響を呼んだ、ジョン・ウー監督の話題作ですね。小雪が宣伝しているブルーレイでCMに流れているのでもおなじみ。もう、あのBGMだけで、わかっちゃいますね。

これがはやくも日曜洋画劇場で放映されていたわけですが。話題になったわりには、すこしもの足りないと思ったのは、やはり中途半端なところで切っているからでしょうかね。

三国志のなかでも前半の見せ場、赤壁の戦いを、曹操が呉の孫権下の名将、周瑜の美人妻に横恋慕しておこした戦闘という大胆な解釈のもとに、構成されていますが。
巨額制作費をかけただけあっての大規模なスケールでくりひろげられる戦闘シーンが、やはり見ものです。戦艦などはCGなのでしょうけれど、俯瞰でみせる騎馬戦は圧巻。ワイヤーアクションよりも動きが自然。

三国志といいますと、だいたい劉備軍がわが主役になることが多いかと思うのですが、この映画ではどちらかといいますと、呉のほうが主導権を握っていますね。軍師とはいっても、孔明のように安楽椅子探偵みたいではなくて、じっさい戦場に降りて槍をふるい、剣をかざして、敵を薙ぎ倒してしまう周瑜の勇ましさ。

三国志はNHKの人形劇がいちばん詳しく知っているものなんですが、どうもそのときの印象が強すぎまして、この勇ましけれど孔明には友好的な周瑜も、毒々しさがあまりない曹操も、違和感があります。関羽や張飛はあいかわらず、そのままですね。玄徳さん、へたれすぎ(笑)

意外に活躍していたのは、超雲。周瑜が画面に登場するまでは、雄々しい姿で大活躍。出だしの彼のスピード感あふれる奮闘が光っていたのだけど、その後はいささかだらけた展開が重なって、もたついた印象が。

五時間ぶんもつくらなくてよかったといますか、映像美だけ追求したら、こうなったという印象が否めない。
あと、若さゆえに優柔不断で思い悩む君主、孫権の描き方もよかったけれど。三国志オタクの制作者が、自身の好きなキャラの見せ場をつくるために映像をつくったという気が。
周瑜の家来が中村獅童で、なんというか、いい俳優さんを見せたいがために筋を曲げてあれこれやと舞台をつくってしまったげく、長くなってしまったという。

曹操の動機をもっとあぶりだすように、周瑜の奥さんとの因縁のエピソードをもうけるとかしたら、物語としておもしろくなるように思ったのですが。中国一の美人と誉れ高いから好き、って気持ち弱くない? 彼女も、権力者をまどわすような傾城の美女という感じがしないので。もしかしたら、後半でなにかそのあたり明らかにされるのか。ま、アクション大作に恋愛要素を過剰期待しても致し方なし、なのですが。

あと、戦闘シーンは両軍の色分けがないのでわかりづらかった。あえて、どちらが善悪かわからぬようにそうしているのかも。

ちなみに番組のおわりに、いま公開中のPart 2 のダイジェスト版を流していたんですけど。思いっきりネタバレしてまんがな!劇場に動員する気ないんですかね?


(09年4月12日記事の再掲載)



レッドクリフ Part I - goo 映画

レッドクリフ Part I<日本語吹替版> - goo 映画

【追記】
2011年1月23日現在、Part 2 がテレビで放映されていますが、Part1があまりに期待はずれだったので視聴を諦めました。

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2 Comments

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おはようございます (十瑠)
2009-04-20 07:24:37
TBありがとうございました。

>あと、戦闘シーンは両軍の色分けがないのでわかりづらかった。

そうそう。戦闘シーンの終わり頃が少し分かりづらかったですね。

>周瑜の美人妻に横恋慕しておこした戦闘という大胆な解釈のもとに・・

えっ、そうなんですか。あれは、ついでに彼女もモノにしちゃおうか、程度の事だと思いましたが。
しかし、PartⅡでは、どうやら“その女”のことで躓くようですね。^^
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色恋沙汰からはじまった一大決戦? (万葉樹)
2009-04-20 18:20:38



ごきげんよう、、十瑠さま。
コメントありがとうございます。

>そうそう。戦闘シーンの終わり頃が少し分かりづらかったですね。

武田と上杉の川中島対決のイメージからか、どうしても両軍があざやかに判別できると思いこみがありますけれど。史実によれば当時はああいう寂びた色あいだったのでしょうけれど、羅貫中の三国志じたいがいちぶは創作と聞き及びますし、ましてや現代ふうにアレンジしてるのですから、色分けしてもよかったような気もしております。LOVERSとかの影響のせいかもしれないですけど(苦笑)

>あれは、ついでに彼女もモノにしちゃおうか、程度の事だと思いましたが。
しかし、Partでは、どうやら“その女”のことで躓くようですね。^^

噂を聞きつけて色好みの英雄曹操が目をつけたのか、それとも周瑜に出会う前にいわくがあったのか。曹操がはべらしていた妾に、お茶の作法について説く場面があったので、それは誰かの煎れ方を前提にしていたのだとかんぐっているんですが、どうなのでしょうか?

絨毯にくるまれたクレオパトラじゃあるまいに、敵陣にとびこんで勝負を左右する美女。う~ん、いかにも当世はやりの女傑を軸にすえて、女性客も誘引しようかという戦略かと思われました。

超雲さんが、あまりにかっこよすぎますね。


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