芸術の秋、スポーツの秋。各地でイベントもりだくさんです。
にしても、今年は9月から連休や週末を狙ったように台風が来ます。もう、なんとかしてほしい。
毎年秋ごろになると、観たくなる映画を紹介します。
とくに、十月になれば思い出したくなるのが、やはりこの映画。
1999年の映画「遠い空の向こうに」(原題 : October Sky)は、手製ロケット打ち上げに飽くなき挑戦を続けた少年たちを描いた青春ドラマ。夢を叶えようとする子どもの執念、そして息子と父親との確執と成長は、まさにエリア・カザンの「エデンの東」と並び永遠のテーマ。また、エネルギー革命で廃業の危機に追いこまれていく不安定な街の暮らしも語りつぐ、時代性を感じさせる話でもあります。なまじ、これが実話をもとにしているというから、なおさら驚きです。
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ソ連が人工衛星スプートニクの打ち上げに成功したニュースが、米国民に衝撃を走らせた1957年10月5日。
ウェスト・ヴァージニア州の炭坑街コールウッドの高校生ホーマー・ヒッカムは、ひそかに自家製ロケットをうちあげようともくろむ。やんちゃな二人の悪友にくわえ、数学オタクのクエンティンを仲間に引き入れて、ホーマーは打ち上げ実験にのめり込む日々。
母は理解を示すが、生まれながらに炭坑夫の父ジョンは猛反対。フットボール選手の特待生で大学進学が約束された兄と違い、出来の悪い弟の自分になにかと辛くあたる父。激しく対立していくホーマー。
しかし、父の同僚の援助もあって、改良に改良を重ねたロケットは、着実に飛行距離を伸ばす。全米科学コンテストに出場し、優勝すれば州立大学への奨学金も得られる。ホーマーたちが夢に一歩近づいた矢先、ロケットが引き起こしたとされる山火事で逮捕され、さらには父が事故で重傷を負ってしまう…。
実話だとは思えないほど、ホーマー少年を襲う不幸の連続。
夢を封印し、退学して炭坑で働きはじめたホーマーにとって、憧れた空はあまりにも遠いものに見えます。かつてはあれほど嫌悪していた、一日中、炭と汗まみれの労働にも慣れ、父からも一人前の男として認められる。しかし、彼の心にはなにか空虚感が残ります。
その現状に甘んじようとした彼に、ふたたび勇気を起こさせたのが、かねてからホーマーたちを激励していた物理学教師のミス・ライリー。不治の病に倒れた彼女の説得を受けて、ふたたび夢を再燃させたホーマーは、汚名をそそぎコンテスト参加のチャンスを得ます。
周囲の無理解や、非難が受けようとものともせず、みずからの信じる道を進む息子のすがたに、最後は父親も和解することに。
ホーマーの行動に理解がないとはいえ、この父は勤勉で頼りがいがあり、息子の友人の義父の虐待を捨てておけないなど、義理堅いタイプで好感が持てます。がむしゃらに夢を追いかけていく若人の姿勢もすばらしいけれど、それだけなら感動はしないでしょう。ホーマー少年が、いっとき挫折して地に潜って懸命に働いた経験があるからこそ、彼の成功がなおさらに輝かしく思えるのですね。
すばらしい映画でした。
ただ、ロケットの材料をある場所から持ってくるのは、やはり犯罪ではないんでしょうかね。そこはまあ突っ込んではいけないのだろうけれど。あのシーンは「スタンド・バイ・ミー」を思い起こしますね。
原作は、NASAの宇宙エンジニアとして活躍したホーマー・ヒッカム・ジュニアの自伝的小説『ロケット・ボーイズ』
中高生の英語の教科書にも載せられているそうです。
主演は、ジェイク・ギレンホール。その父親役は「モンタナの風に抱かれて」「大いなる遺産」「ボーン・アイデンティティ」のクリス・クーパー。
監督は「ジュラシック・パーク3」のジョー・ジョンストン。
(2010年2月19日)
遠い空の向こうに(1999) - goo 映画
それにしても、もう日本人宇宙飛行士が珍しくなくなったこの時代。
アパレル通販メーカー「ZOZO TOWN」の社長が月旅行に申し込んでいるのが話題になっていますけれど、やはり宇宙には見果てぬ夢と飽くなきロマンを感じますね。