表面的には相容れないものだと思うのに、本質的には似ているものをミックスさせた妙味を狙ったといえるのが、1992年の「天使にラブ・ソングを…」(原題: Sister Act)
いくどか地上波放映されていたはずですが、視聴するのは今回がはじめてだったりします。しかし、結末が読めるとはいえ、なかなかおもしろい。
天使にラブ・ソングを… [DVD] | |
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クラブの売れっ子歌姫デロリス・ヴァン・カルティエは、この地域のマフィアで情人でもあったヴィンス一味の殺人現場を目撃してしまう。
警察に保護されたデロリスをヴィンスの公判まで匿うことにした、サウザー警部が紹介した先は、ロサンゼルスの治安のよくない街にある知られざる修道院。修道院長は厳しい戒律を敷き、修道女たちは外部と接触しない生活を送っている。禁欲的な毎日に嫌気がさしたデロリスは刺激をもとめて、修道女すがたのままお忍びでバーにしゃれこんだりしては、院長と衝突。だが、奔放なデロリスの性格が、陽気なパトリックや行動力のないマリー・ロバーツら修道女たちの意識を変えていく。
もともと男をかどわかすような魅惑的な歌を披露していたデロリスは、聖歌隊のリーダーを任されると、ソウルやロック調にアレンジ。院長のお目玉を買ってしまいますが、界隈の人気を集め、評判は評判を呼んで、ついにはローマ法王までが拝聴なさるという事態に。
いっぽう、デロリスが修道院を去る日も近づいた頃、ヴィンスの手下によって連行されてしまうデロリス。しかし、そこに立ち上がったのは、院長はじめ修道女たち。デロリスを救わんと、カジノバーまで押しかける。そして、ヴィンス一味は御用に。
性質も肌の色も違うタイプのふたりの女性たちが友情をはぐくむというのは、「バグダッド・カフェ」にも見られますが、注目はブギウギふうに変えられてしまった教会でのコーラス。前半部でデロリスがクラブで歌っていたラブソングの歌詞を、神への愛にすりかえているのがおもしろい。
いかにも犯罪色漂うカジノに清楚な修道女がわらわらと訪れては巻き起こす騒動も大笑いだけれど、感化されたのはデロリスもおなじ。ヴィンスの手下に誘拐されて銃口を突きつけられても動じない、強さを身に着けています。
あばずれ歌手が世俗を持ちこんで、保守的な教会を破壊したというのでなく、互いに異質な気風どうしが寄り添って、高めあっていくという展開がいいですね。現実の教会では、ありえない話だとは思うけど(笑)
また、人を殺めているけれど修道女には手を出せないという小悪党や、修道女のデロリスのアドバイスを信じてうっかり賭けてしまうカジノ客など、犯罪大国アメリカといえども、根底にキリスト教文化が根付いていることを感じさせずにはいられないですね。
主演は、「ゴースト/ニューヨークの幻」の占い師役で有名なウーピー・ゴールドバーグ。スピルバーグ監督の異色作「カラーパープル」での熱演が印象深いです。2007年に女優引退されたのが惜しまれます。
修道院長に、「ハリー・ポッター」シリーズの常連のマギー・スミス。
ヴィンス役は「ピアノ・レッスン」で野性的な愛人を演じたハーヴェイ・カイテル。
監督は、エミール・アルドリーノ。
好評を博したため翌93年には、ビル・デュークを監督にを迎え「天使にラブ・ソングを2」という続編が発表されました。
(2010年1月22日)
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