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陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

学生時代の写真を懐かしむ

2025-06-08 | 教育・資格・学問・子ども


今年の夏は緊急事態宣言下の東京五輪2020もあって、忸怩たる思いの方も多いわけで。

コロナ禍でお出かけ制限されているせいか、過去の旅行の写真を掲げたり、想い出を語るブロガーさんも多くて。学生時代に出かけた場所が今はもう更地になってしまったとか、昔なじんだ街も趣きを変えてしまいました。懐かしさのあまり、思わず、実家を整理した後に出てきたアルバムをじっくり見直したくなりました。

私は基本ぼっち傾向で高校では不登校経験もあったのですが、大学時代だけは別でした。
はじめて親元を離れたこともあり、田舎のうっとしい人間関係とはおさらば、とばかりに新しい繋がりを求めていました。いわゆる大学デビューというやつですね。

学部の専攻クラス内では積極的なリーダー格を装い、他専攻の友だちも積極的に作り、バイト先でもよくしてもらいました。
若いから、国立大学の学生さんだから、と失敗しても多めに見てもらえたのでしょう。就職氷河期世代は悲惨だとよく言われますが、私の学生時代だけをとってみれば、バブル末期とはいえ、さほど不景気ではなく、社会に重苦しい雰囲気はなかったですね。ケータイもまだ連絡に必須ではなくて、食費をやりくりすれば生活費もかからなかった。まあ当時はあまり世相を見ていなかったせいもありますが。

恥ずかしいので、実物の写真は載せませんけれども。
学内ではしょっちゅうグループ内の誰かとつるんでカフェでだべってましたし。研究室とは別に空き教室があって、そこは私たちの溜まり場でした。今でいう哲学サロンみたいな人生の語らい。発展的な子は海外からの留学生とお付き合いしてたり、私も就労ピザで滞在していた英国人男性を紹介されて、英会話の上達にと、何時間も電話でお喋りしたり、カフェでランチを摂ったことがあります。もちろん、お代はこちらもちで健全な対話です(笑)。

文化祭の実行委員をしたときの写真。
友だちとお揃いのツナギの服を着て、オブジェの搬入や飾りつけを行いました。同級生男子を女装(!)させたゲイバーでカメラマンをして、ポラロイド写真を売りつけ、売上に貢献した話だとか。ポスターやパンフの作成に精を出したとか。

合気道部だったときの写真。
夏場の合宿に来ていたOBの先輩が怖くて、飲み会がしんどかったこと。なのにお酒に強くて水みたいに飲めてしまったこと(現在はほぼ飲まない)。端っこのほうで記念撮影してたら、後ろの美人の先輩が頬を寄せてくれての一枚でドキリなこと。体育会系の部活は上下関係が厳しくて、いかめしい師範のご老体にも絶対服従で、今だったら一日で音を上げていたでしょう。腰を痛めて段位をとるまえに退部してしまったけれど。

学内の研究発表会のあとの打ち上げ飲み会。
旧帝大の助手を務める女性講師や、留学帰りの助教授を囲んで、先輩後輩含めてのパーティー。自分が一回生でもてなされる側だったときは楽しかったけれど、上級生になってお世話係になったときは上手くできたんだろうか。

さる財団法人の研究奨学生に選ばれたときのホテルオークラでの会合。
就職活動もしていないのにパンツスーツ姿。この頃は生意気で、自分の学んだことに揺るぎない信念を抱いていました。

大学院終了間際、家族が来阪したので神戸の異人館へ。
かなり型の古いコートに、靴のセンスがあまり垢ぬけていなくて。文献と睨めっこで研究ばかりしていたので、野暮ったかったんだなと…今からかなり恥ずかしいいで立ちです。

7年間の学生時代のうち明るかったのは、家族を亡くす前。
苦学生だったけれども、家庭教師の口を紹介してもらえたり、奨学金を戴けたり、自分なりのテーマで論文も書けたりして、思えばとても充実していました。ブログ上では人文科学系は役に立たない! 芸術系はクソみそ! 社会人として無能、なんて自虐的にこきおろしていますが、やはり培った教養と青春時代の交流は何よりも代えがたいもの。

現在の学生さんならば、おそらく、こういった写真はSNSにアップして共有しまくって、でしょう。でも、かつて仲が良かった友とこじれたりすると、SNSを離脱するから想い出の痕跡もあっけなく消えてしまう。インスタントカメラで出たとこ勝負でしたから、自撮りで隣の子よりも写りをよくする小技なんて小細工もなかったんです。写真で写ったひとのほとんど、今では交流はほとんどありませんし、喧嘩別れしたこともありますけども、それでも、こうして時代に洗われて毒気や熱気が漂白された写真を見ると、ただ純粋に懐かしい気持ちで胸がいっぱいです。

お昼のラジオを聴いていたら、20代の女子学生が内気で友だちができない自分が嫌い、なんて相談がありました。
今の若い子、すごく横のつながりを意識しますよね。美容に気を遣ってて、みんなAKBやジャニーズみたいなキレイな顔をしてる。私らの時代はバブル時代ほどヤンチャじゃないけれども、それぞれの個性を発揮して、はみ出し者だけどそれでも居場所があったような。私の母校や専攻だからそうだったのかもしれませんが、とにかく自由で明日への不安なんてありませんでした。いまのSNSありきの子どもたちの人付き合いは、なんだか窮屈に見えます。大学は勉強だけするところ、と割り切って、友だちは別の場所でつくってもいいし。なんだったら、本にある言葉やサブカルのキャラが味方になってくれることだってあります。

でも、本音を言ってしまえば、私も学生時代前半部はかなり無理して明るいキャラづくりをしていました。そのときは誰彼ともなく付き合っていたけれども。自分の不幸や面倒なことがあってから、ひとを選ぶようになり、素を出すようになってからは研究にも集中できて、結果としてよかったものです。今の自分はこれに近い。現在、自分からは好んで写真を残そうとはしていない。なんとなく居たら居心地がいいひとになれば、ひとは寄ってくるんでしょう。友だちを増やそうとして自分を押し殺さなくてもいいのではないでしょうか。これはSNSのフォロワー関係でも言えることでしょう。

コロナ禍だから、大学に進学しても対面授業がほとんどなかったり、友だちもできずらくて、モチベーションが下がり、下宿先に引きこもりになってしまったとか、経済苦や勉強が辛くてリタイアしてしまった、という話もよく伺います。私も家族を亡くした直後は大学に行けなくて、周囲にとても心配されました。私の県では、地元の特産品を独り暮らしの学生に届けるプロジェクトをはじめたようです。生産者支援にもなるし、こういうの、継続すればいい。

若い頃の勉強や出会いはとても貴重です。それが後年のさもしい人生を支えてくれることもあります。
外出制限があって、ストレスが溜まるのもごもっとも。好奇心旺盛だからこそ、新しい世界が見たいもの。それでも、どうかご自身を大切にして、健康一番に、夢や希望を失わないでほしいと願っています、私は。


(2021/08/19)



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