陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「フル・モンティ」

2021-02-09 | 映画──社会派・青春・恋愛

仕事を失ったときに自分を落ち込ませないために、ヲタクはサブカル沼に嵌まってしまうものですが、リア充の皆さんはやはりこうなのでしょうか、とふと考えてしまった映画です。手っ取り早く稼ぐ手段はなにかと考えてしまうものなんですね。あまり真似はしたくないけれども。

1997年のイギリス映画「フル・モンティ」は、まさに今の不況時代にふさわしい、気持ちが明るくなる映画…かな?
「フル・モンティ」という言葉、カタカナで聞くとかっこよく響きますが、この映画
は英語音声で耳にするとかなり恥ずかしい言葉になると予想されます。
かつて、ミュージカルかなにかのCMであったので、タップダンスかなにかだと思っていました(苦笑)

イギリス北部の街シェフィールド。鉄鋼所の閉鎖にともない職をうしなったガズは、養育費が払えないために愛息子ネイサンを離婚した元妻に奪われてしまう。息子を取り戻すための資金稼ぎをすべく、男だけのストリップダンスで一儲けしようとたくらむ。
募ったメンバーは、どれも冴えない男たちばかり。
気のいい友人だが太った男。病身の母親を抱えて自殺を図ろうとした気弱な青年。もと上司で失業したことを妻に黙っている高慢ちきな男。かつてブレイクダンスの名手だった黒人の老人。リズム音痴だが体格だけはいい若者。

途中、家庭で揉めたり、資金繰りに困ったり、景殺沙汰になったりと紆余曲折を経て、彼らはいとも華麗なストリップショーを披露。会場は歓喜と熱気に包まれます。

失業した男たちが芸に打ち込むというのは、おなじく英国の鉄鋼街を舞台にしたブラスバンドの活躍を描いた「ブラス!」でありましたが、本作はなかなかコメディタッチですね。
男性の悲哀がにじみ出ています。特に序盤で高飛車な女性陣に圧倒されて肩身の狭い思いをしているあたり。

ただ、他のメンツはまだいいとしても、この主人公ガズの性格が好きじゃないです。
ショーに参加させるためむりやり仲間の再就職を妨害したり、息子にまで借金することになったり。そして言い出しっぺの彼が、いざ開演となると観客に男がいるという理由で拗ねて、尻込みして自分だけ出演を渋るのには呆れました。女々しいったらありゃしない。
このガズを演じたのがロバート・カーライル。「ザ・ビーチ」でもすぐに殺されてしまうような顔なので、とても主役向きじゃないですね(失礼)

あと、図ったようにメンバーのふたりがデキてしまうのですが、ゲイセクシャルってお笑い要素にしか使われていないような気がします。

本作は、英国アカデミー賞 作品賞、主演男優賞、助演男優賞、観客賞をさらい、2000年にブロドーウェイでミュージカル化を果たしました。

そういえば、邦画でも、炭鉱街の田舎を舞台に地元民がフラダンスに挑んで経済活性化につなげた実話を描いたものがありましたけれど、人が来ない場所ほど明るく元気に振る舞うのは大事なのかもしれませんね。そんな地方民の私は、アニメイベントやらで町おこしが目立つ県の出身ですが、しかし、集団騒ぎがいやではあります。サッカーなどのイベントはいいけれど…。近隣住民に迷惑がかからぬように、街をきれいにつかってほしいですね。

フル・モンティ(1997) - goo 映画


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