陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

アニメ映画「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」

2012-05-06 | 映画──ファンタジー・コメディ
2009年の映画「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」は、2005年より一年にわたりTVで放映された人気アニメの劇場版。
名前は知っていたのですが、中身は知りませんでした。たしかその当時日曜の朝に放映されていてCMで観たかぎりでは、ロボットアニメだったので興味が湧きませんでした。「少女革命ウテナ」の劇場版がそうであったように、TV版の総集編ではなくパラレルワールドだそうです。TV版と同じ人物が立ち位置を変えて登場しているらしいので、TV版愛好者からはかなり賛否分かれる評価をいただいているようですが…。

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宇宙から侵略した謎の生命体イマージュに脅かされて、絶滅の危機にある西暦2054年の地球。
イマージュと交戦する人民解放軍の独立部隊に属する少年兵レントン・サーストンは、戦闘中に偶然にも、八年前に生き別れとなっていた少女エウレカを保護する。再会の喜びもつかのま、部隊を率いるリーダーのホランドは、軍の命令を無視して戦闘母艦ごと戦線を離脱してしまう…。

人類VSイマージュという対立構図が、じつは三つどもえ、四つどもえの対戦になってしまうあたりは、昨今の勧善懲悪が徹底して敷かれていない群像劇を得意とするジャパニメーションならでは。
任務遂行のためなら人命をも厭わないホランドたち独立部隊の秘められた野望に巻き込まれ、そしてエウレカの隠された正体もあって、レントンとエウレカ、この惹かれ合う少年少女はいくども引き離されそうになります。

副題から、小中学生向けのアニメのように感じたのですが、実際はかなり込み入った伏線が張り巡らされていて、大人向けの内容といえるでしょうね。悲劇的なホランドたちの過去も同情を禁じえないですが、当初、黒幕なのかと思われた長老連中がじつは良心的な傍観者というか、事件の語り部に落ち着いていくあたりでも溜飲は下がる。みな、何かの被害者なのです。しかし、小さな犠牲を強いても大きな未来を掴もうとしたホランドたちが、「神話」の解釈の違いから仲間割れを引き起こしていき、独りで暴走していきそうになるくだりは、現実世界の裏返しのよう。

最初の方で主人公ふたりの青くさいやりとりがかなりの既視感を覚えたものであるのと、あきらかに「エヴァンゲリオン」の申し子ともいえる、終末世界観ロボットアニメであったので、あまり乗り気になれなかったのですが。絵が美しいので、最後までみればのめり込める筋書きではあります。
ホランド一派の背負った苦痛が、子孫には受け継がれないというオチは、あっさりしてはいるけれど希望がもてますね。閉塞的な現代日本に対する、表現者としてのメッセージは感じます。アニメならではの萌えシーンは控えめなので、そこそこ楽しめるでしょう。


総監督・脚本は京田知己
音楽担当の佐藤直紀は、大河ドラマの「龍馬伝」でおなじみ。

しかし、あの主人公の乗ってるロボットのクラゲみたいな小型版は、ZAQのCMに出てくるふにゃっとしたアレみたいですね。もふもふしてみたい。

(2010年10月2日)

交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい - goo 映画

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