散歩と俳句。ときどき料理と映画。

屋敷神

京王堀之内駅から北へ通りを渡ったマンションの一角に、小さな鳥居と祠がある。
それほど古いものではない。
おそらく、ここにマンションが建つ前の宅地にあった〈屋敷神〉が、
新しく建て直されたのだろう。
北東、もしくは北西に向かって建てられることが多いらしいが、
ここでは南東に向かっている。

屋敷神は屋敷およびその土地を守護する神で、屋敷の裏や敷地に付属した土地もしくは、やや離れた山林などに祀られることが多い。その呼ばれ方は地域によって様々である。家との関わりが深い神であるが、神棚などの屋内神とは異なり、原則として屋敷の中には祀られない。屋敷神を祀る信仰は、浄土真宗の地域を除いて全国に分布している。屋敷神の起源は明確なことは分かっていない。しかし、神格としては農耕神・祖先神と同一の起源を持つ神だと言われている。特に祖先神との深い繋がりが指摘されている

石や木、または藁で造られた屋敷神の祠だが、
堀之内の祠のように必ずしも鳥居があるわけではないようだ。
ネットで全国各地の祠の写真をみたが、鳥居のないものが多い。

石祠(せきし:左)と木祠(もくし:右)。

先日多摩センター駅近くの吉祥院の境内で見つけた石祠。
もしかすると屋敷神をここに移したのかもしれない。

祀られるのは稲荷明神が圧倒的に多いが、
変わった祭神としてはオシヤモジサマや
猿田彦、龍神、蚕影様などさまざまである。
もちろんその中には祖霊を祭神として、丸石や木札を祀る屋敷神もある。
屋敷神は祖霊信仰や農耕神がその基盤にあると考えるのが妥当だと思われる。
江戸時代後半に流行神としての稲荷信仰が熱狂的に受け入れられた影響が、
屋敷神の祭神として勧請されたのだろう。
それぞれの地域と産業、そして暮らしに根差した信仰対象があるということだろう。

顕現した屋敷神を描いた江戸時代の彩色画(「地神露姿」藤長庚編集『遠江古蹟圖會』1803年。国立国会図書館蔵)。
むさくるしい神の姿とおびえる町人(武家か?)の姿が可笑しい。

〈のんびり続く〉

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「歴史」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事