リビングにある小さな本棚をのぞきこんだら、
ロバート・フランクの写真集『FLAMINGO』(1996年)が出てきた。
すっかり忘れていたが、たしかにどこかの
美術書専門店か洋書屋で買った覚えがある。
懐かしい気持ちで眺めた。
翌々日、今度は同じロバート・フランクの
『THE LINES OF MY HAND』(1989年)が出てきた。
そうか、ワタシはこのスイス生まれ(1924年)の
アメリカの写真家が好きだったのか。
写真集を買うことは滅多ににない。
理由は単純で値段が高いからである。
それでもこうして手元にあるというのは、
きっとこの写真家が好きだったのだろう。
もう一冊好きな写真集として、まるで傾向は違うが、
オリビア・パーカーという女性写真家の
『WEIGHING THE PLANETS』がある。
このもう手元にはない写真集についてはいつか書きたい。
『FLAMINGO』は1996年に
ハッセルブラッド・アワード受賞を記念して刊行された写真集で、
50年代から90年代にかけてのモノクロ作品、
数点のカラーのコラージュ作品が収録されていている。
カバーそでには、この年までの受賞者の名前が載っている。
全52ページのうち、序文や作品リスト、年譜が14ページあるから
作品が掲載されているのは38ページしかない。
しかし十分にロバート・フランクという写真家の
世界を知ることができる本である。
数カ所に折り込みで横長の写真が収録されている。
いちばん古い写真は1948年にニューヨークで撮られたもの。
新しいものは1995年撮影。
時系列を無視して掲載展開されるのだが、
とても緊張感に溢れていると言える。
書名の『FLAMINGO』はカバーに使われている瓶に収められた
フラミンゴのフィギュアの写真によるものだろう。
本文にも掲載されている1991年撮影の写真だが、
このフラミンゴがロバート・フランクの手によるものかどうかは不明。
〈ロバート・フランク:1924年スイス・チューリッヒ生まれ。1947年にアメリカに渡る。「ハーパーズ・バザー」のファッション・カメラマンをへて、1951年に雑誌「ライフ」の若手写真家コンテストで入賞。外国人として初のグッゲンハイム奨学金を受け、1955年から56年にかけてアメリカ撮影旅行にでかける。1958年、代表作である「アメリカ人」("Les Americains")をフランスで発表、翌年にはジャック・ケルアックが序文を書いたアメリカ版(The Americans)が出版され、後に続く写真家に多大な影響を与えた〉
ロバート・フランク1954年。
ロバート・フランクは写真を撮る理由について
あるインタビューで次のように答えている。
〈私の母は『なぜ貧しい人の写真ばかり撮るの?』とよく尋ねてきました。それは事実ではありませんが、困難の中にいる人たちに共感を寄せていたのは確かです。そして、ルールをつくった人に対する疑念も〉
〈だらだら続く〉