洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 海外の経験#47 米国 NE漁業界は洋上風力発電に反撃する  科学的報告書の存在を指摘

2023-08-13 00:12:00 | 日記

 

2023年08月10日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#47 米国 NE漁業界は洋上風力発電に反撃する]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

米国北東部のニューイングランド漁業者管理協会(New England Fishermen Stewardship Association:NEFSA)は、2023年8月7日、洋上風力発電が漁業と環境へ及ぼす悪影響に関する概要報告を発表した。

また、ダウンイースト・ロブスターメンズ協会、メイン・ロブスターメンズ協会、メイン・コースト漁業者協会、メイン・ロブスター組合、ロングアイランド商業漁業協会、ニューイングランド青年漁業者同盟、ニューハンプシャー商業漁業協会、そして“責任ある沖合開発連盟”(RODA)が、連邦政府と州政府に対し、メイン湾における洋上風力発電開発計画を一時停止するよう求めるNEFSAの書簡に署名した。

NEFSAとメイン州の他の多くの組織は、その影響に関する環境調査が完了するまで洋上風力発電開発プロジェクトの延期を求めている。

特に2023年3月に米国海洋大気庁(NOAA)らが、洋上風力発電開発が漁業と海洋環境にもたらす影響について、これまでの情報等の包括的な報告をとりまとめており、この内容に留意することをNEFSAは指摘している。

当該報告では、大型ケーブルが海底に敷設して洋上風力発電のタービンから陸上に電力を供給する際に与える影響において周囲の電磁場の形成の影響が強調されており、欧州と米国の科学者による研究は、タラや甲殻類などの商業的に重要な資源に対するいくつかの重大な懸念を示している。

メイン湾はロブスターとタラの重要な漁場であり、NEFSAらは、ニューイングランド沿岸地域の数十万の雇用を支える漁業の保護に努め、貢献したいと考えている。

欧米の漁業界が指摘しているのは、風力発電所の建設中の杭打ちの現場近くで魚類が打撲で死んだり、発生する衝撃音で建設が完了した後もしばらくの間、当該地域を資源が避け続けること、杭打ち衝撃音、稼働中のタービンの騒音が、タラ等の産卵行動中のコミュニケーションなど生物学的に重要な手がかりをかき消す可能性があること、更には、商業的に価値の高い様々な魚種が、送電施設によって形成される電磁場にさらされ、通常の行動能力を失い捕食される機会が増大することが危惧されること等となっている。

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