洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 日本の経験#50 漁業影響調査を行っていない石狩湾洋上風力発電 課税権で対立

2023-11-22 15:32:26 | 日記

2023年11月22日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 日本の経験#50 漁業影響調査を行っていない石狩湾洋上風力発電 課税権で対立]

2023年11月13日、来月2023年12月にも稼働が開始される石狩湾でのプロジェクトについて、国土交通省港湾局海洋・環境課海洋利用調査センター(所長:榊原基生様)は、把握している限り、漁業影響調査に関する論議に至らなかったと語り、調べた限り漁業影響調査を行っていないと明らかにしている。

2023年11月20日付北海道新聞(河田俊樹様)は、当該プロジェクトについて、固定資産税の課税権めぐり小樽市と石狩市対立していると伝えた。

 

 

2023年11月20日付北海道新聞(河田俊樹様)

洋上風力の固定資産税 課税権めぐり小樽市と石狩市対立 境界設定なく

【小樽、石狩湾新港】石狩湾新港沖で2023年12月に商業運転が始まる洋上風力発電施設を巡り、小樽市と石狩市の固定資産税の配分協議が暗礁に乗り上げている。風車は両市の陸地の境界付近の沖合に設置されているが、海上は境界が定められておらず、どちらに課税権があるのか判断できないためだ。両市は道に仲介を求めたが進展はなく、予定する2024年度からの徴収に影響が出かねない。脱炭素の流れの中、各地で洋上風力発電施設の整備が進んでおり、将来、同様の問題が起こる可能性もある。

同港の沖合約3キロに高さ196メートルの風車14基が設置されたのは今年9月。海底に基礎を固定する着床式で、総出力は単独の港湾区域内では国内最大となる11万2千キロワットに及ぶ。

事業主体のグリーンパワーインベストメント(GPI、東京)の幸村展人(こうむらのぶんど)副社長と共に完成間近の8月、現場を視察した鈴木直道知事は「国内随一の再生可能エネルギーのポテンシャルを有する道内で、モデルとなる取り組み」と期待を示した。

石狩湾新港は、道と両市でつくる組合が管理する。1978年の組合発足当初から沖合の海面に境界は設けられていないが、貿易港として運営する上で大きな支障はなかった。洋上風力への注目が高まる中で12年、GPIの計画が明らかになると、固定資産税課税のために境界を設定する必要性が浮上した。

■年間7億円前後

固定資産税は土地や構造物にかかる市町村税で、評価額などに税率(1・4%)を乗じて算定する。GPIの施設一式の年間課税額は粗い推計で少なくとも計7億円前後とみられる。どちらの税収になるのか―。計画が具体化しだした13年ごろ、両市は事務レベルの協議を始めた。

小樽市は同港の樽川、花畔(ばんなぐろ)両埠頭(ふとう)間で画定済みの境界の終点から、海岸線に対して垂直に延ばす案を主張。石狩市は石狩湾漁協が持つ漁業関連の権利に基づき、港湾内全域を石狩市とする案を念頭に置く。小樽市案では風車14基のうち10基と海底ケーブルなど付帯設備の約8割が小樽市の課税対象となり、石狩市案では全てが石狩市分となる。

■「配分額明示を」

新型コロナ禍もあって協議は停滞が続き、両市は本格稼働まで半年を切った今年7月、道を交えた3者協議を開催。それでも着地点は見いだせず、9月には道に配分額を示すよう求める連名の文書を出した。

地方税法は、施設が複数の市町村にまたがり、総務相が認める場合、知事が固定資産税の配分を決定できると規定。境界は地方自治法に基づき当事者の自治体が協議して決めるが、合意できない場合は知事が裁定できる。道は「両市で折り合える案を協議してもらうのが前提」(市町村課)とし、配分額や境界を自ら決めることには慎重だ。

予定通り24年度から課税するには来年2月までに妥結する必要がある。協議再開の見通しは立っておらず、両市関係者からは「司法判断を仰ぐしかない」との声も漏れる。総務省は「同様のケースは聞いたことがない」(固定資産税課)と注視する。

GPIが風車を設置したのは港湾法に基づく港湾区域。全国では現在、19年施行の再エネ海域利用法に基づき、外海の一般海域に風車を造る動きが進む。東北や九州など道外の10区域が事業化段階の「促進区域」に、道内では渡島管内松前町沖など5区域が一つ手前の段階の「有望区域」に指定されている。

海洋管理に詳しい神奈川大・海とみなと研究所の来生新(きすぎしん)上席研究員は「洋上風力は今後、自治体の境界が不明確な海域にも広がる。小樽市と石狩市の協議結果は再エネ海域利用法に基づく各地の風車の整備にも影響しかねない」と指摘。膠着(こうちゃく)状態が続く現状を踏まえ「道が両市の納得できる配分案を示すべきだ」と話す。

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