洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 海外の経験#51 米国 漁業界 エネルギー管理当局が耳を傾けない

2023-08-26 20:51:36 | 日記

 

2023年08月25日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#51 米国 漁業界 エネルギー管理当局が耳を傾けない]

“望むだけ会議を開催することと実際に漁業界の意見に耳を傾けることは別だ”

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

米国海洋エネルギー管理局(BOEM)は、先週(2023年8月13日からの週)、洋上風力発電開発の候補として太平洋岸北西部オレゴン州のブルッキングスとクースベイの沿岸沖合を指定する提案を発表した。

この地域は開発に最適な場所であり、安定した強い風が吹いており、完全に稼働すると最大 2.6 ギガワットの電力を生成する可能性があるとされている。

これらの地域は、主要な漁場への基地であるばかりでなく、先住民族にとって重要な場所でもある。

ニューポートに本拠を置く、トロール漁業協同組合(Midwater Trawlers Cooperative)常務ヘザー・マンは、多くの利害関係者の懸念が無視されているように感じると述べ、この地域で32隻の漁船が操業をおこなっており、漁場を失うばかりでなく、予期せぬ環境への影響も懸念していると語った。

昨年2021年、バイデン政権は米国の洋上風力エネルギーについて高い目標を設定、2030年までに30ギガワットの電力生成を目指す方針を示した。

化石燃料からの移行を提唱する非営利団体“リニューアブル・ノースウェスト”のオレゴン州代表ダイアン・ブラントも洋上風力発電プロジェクトには、対処しなければならない独特の欠点があり、それは、やはり、漁業界や地域社会が抱いている『私たちの声は届いているのだろうか?』といった懸念や疑問だと指摘している。

ヘザー・マンは、米国政府からは、最も大きな影響を受ける可能性のある人々の懸念に耳を傾けることよりも、バイデン政権のエネルギー目標を達成することに関心があるように感じると語り、BOEMが興味を持っているのは、沿岸沖合区画をリースする競売を進め、政権の目標にチェック・マークを入れることができるようにすることだと言及した。

また、ヘザー・マンは、BOEMが、漁業界と地域社会が望むだけ、多くの会議を開催すると表明しているが、会議を開催することと実際に漁業界の意見に耳を傾けることは別のことだと言及、それは一方通行の関係で、本物のエンゲージメントではないとした上で、漁業界は取り返しのつかない道を歩むことになるのではないかと危惧しているのであって、洋上風力発電プロジェクトを否定したことは一度もなく、正しい、責任ある方法を求めているだけだと加えた。

ヘザー・マンは紛争の少ない沿岸沖合区画を探すためにオレゴン州沿岸沖合海域全体を再調査することを主張しており、そうしなければプロセスのスケジュールが大幅に遅れる可能性がある。

 

 

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