野村陽子植物細密画工房

標高1000メートルの清里高原に住み
描きたいものを描きたいように描く。
楽しい絵を楽しんで描く。

ヤマユリの種 歌人若山牧水のこと

2021-02-10 00:00:00 | 絵日記
若山牧水に出会ったのは
愛媛県岩城島に住んでいた時

岩城郷土館に置いてある本棚に
牧水の主催・発行していた冊子
創作』
表紙の絵は中川一政
ページをめくると最初に
『歌話斷片』と題した随筆があった

今回は
昭和八年六月號に掲載されたもの



『自己を知れ』

輝け
ひややかに輝くと、
火のごとく輝くと、
そはその人の本然に據る。

とにかくに輝け。
歌は輝くこころよりのみ生る。

寂は輝きの極り沈みたるものである。
輝くことなくして、
先ず寂をねがふ、
愚及び難し。

自己を知れ、
否、修養書のいはゆる
「自己を知れ」ではない、
根本的に自分の生きてゐることを
痛感せよといふのだ。
やがて其處に生命のなやみは起る。

詩歌ーすべての創作は
その惱みから生まるゝ。
云い得べくんば、
純眞無垢のこゝろの輝きは
其處から發する。

自己を知らうとする努力に、
読書、
思索、
而して創作がある。



【注】
臨場感を感じていただきたいので
旧漢字
旧かな使い
原文のまま載せました

牧水は歌人
生涯に詠んだ短歌は八千とも

歌に対する考え方は
随筆で残しています
すべての創作活動に於ける
基本かと感じました