田園調布の山荘

「和を以て貴しとなす」・・ 日本人の気質はこの言葉[平和愛好]に象徴されていると思われる。この観点から現代を透視したい。

1151220 15年前の日記から「緑を粗末にすること3」

2015年12月20日 15時24分26秒 | 平和

 微細藻を工学的に利用することを研究しているs社のI会長はこう言っています。「もし、水田を水や太陽光の条件を整えた上で、水田を有用微細藻の生産工場に変えれば、これは非常に回転の速い炭酸ガス吸収装置になるし、収穫したものを餌などとして収穫すれば、明日から 誰も水田が経済性のない土地であるとは言えなくなるだろう。稲の生産性:5g/m2/d,米の生産性:1g/m2/d の所、微細藻の生産性:30g/m2/d は、炭水化物として 30倍、食物連鎖の転換率1/10で蛋白質に転換したとして、良質の蛋白質が3g/m2/dと米の3倍できるとすれば、稲作に比べてはるかに経済性がある筈で、少なくともこれを休耕田として放置することはない」。  微細藻は同じ緑色植物なのに、木・草に比べて、有機物(バイオマス)生産性が高い確からしい理由は、「陸上植物が利用し得る炭酸ガス濃度が、現在は大気中の350ppmである。これは増やすことも減らすことも難しい、微細藻は自然界では大気中の炭酸ガス濃度に平衡な水中炭酸ガス溶解度であるところで繁殖するが、人工システムで炭酸ガス濃度を可変--やり方によって自由に変えられる可能性があるという--にすることにより、バイオマス生産量を上げることができるのではないかといいます。この辺りの基礎的解明と、水田などを活用するシステム開発は重要な要素でしょう。この分野は農と工の接点ですから、工業と農業の学際的な共同研究が必要です。 地球温暖化対策との関連はどうでしょうか。これもIさんの所説ですが、微細藻を活発に繁殖させて工業的に炭酸ガスを固定させるという当然の方法では、現状では、固定できる炭酸ガスの量が少ないから実用性に欠けるといいます。だから如何に森林の保全と植林が重大であるかということです。一方において、現にある装置の水田の有効利用は大きな付加価値を作り出すだけではなく、炭酸ガス吸収装置として機能しうるのです。広大なアジアモンスーン地帯は照葉樹林と水田が発達し、森林-水田系を構成しています。また熱帯地域は膨大なバイオマスの生産地域として、地球の肺臓といわれていますが、今後新しい農法を受容し夢のある農業を包む大いなる地球環境装置です。森林-水田系システムは、炭酸ガスの吸収という面で米国の農業学会が昨年から、この地域における環境と繋がった農業のシステムに関心を示しているといいます。またインドネシアやフィリピンでは失われた熱帯雨林の復元のために「REFORESTRATION」(森林再生)プロジェクトが計画されています。これが最大の国富であるという考え方が勝利しつつあると言えましょう。私でも最近世界各地から、アジアモンスーン地帯の森林-水田利用のこと、熱帯雨林の保護、再生、そしてその農的活用に関してさまざまな情報提供を求められています。農業を目の敵にし、鉱物や木材資源を収奪し伐採するしか脳のなかった近代国家の商社、木材業者、そして農業企業などが森林-水田系が生産する目に見える付加価値、例えば目に見えない付加価値を作り出すことに研究の焦点をあて始めたと思われます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿