放浪日記

刮目せよ、我等が愚行を。

モグモグ隊 高雄遠征 第5話

2018年09月28日 | モグモグ隊


モグモグ隊 高雄遠征メンバー
(を):をきな氏(絶対的リーダー)
(や):やはぎ氏(特攻隊長兼撮影主任)
(し):シェリー氏(見習い隊員)
(に):にいや(永久幹事)


台湾の大人の娯楽といえば、エビ釣りである。
ショッピングやグルメに忙しい観光客が集まるエリアから、少し路地を入り、いかがわしい雰囲気の歓楽街のはずれや郊外に行けば「釣蝦」と書かれたド派手な看板を目にすることができるだろう。
だいたいどこでも、倉庫を改造したような吹き抜けの広い空間の中央にタイルで囲われた池があり、明らかに時間を持て余したオッサンやガラの悪そうな兄ちゃんたちが、くわえ煙草で釣り糸を垂らしている。
エビ釣り場は、日本でいうところのパチンコ屋っぽい感じで、18歳未満禁止と書かれており、24時間営業のところがほとんどだと思われる。そしてエビ釣り池の横には、麻雀やパチンコのゲーム機が置かれていたり、カラオケボックスが併設されていたりと、素面で訪れるよりはベロンベロンになっていたほうが楽しめそうな雰囲気がプンプンしている。
エビ釣り場では子どもを見かけたこともあるが、大人同伴だった。子どもだけで釣っているのは見たことがない。そして高校生っぽい感じの学生も見たことがない。料金は時間制で、1時間300元(約1,000円)が相場っぽいので、学生にはお金が高すぎるのかもしれない。
釣り具の持ち込みは自由。もちろん持っていなければ店の物を無料で借りることもできる。餌代も含まれているので、手ぶらで訪れてエビ釣りが楽しめる。釣ったエビはリリースしてもいいし、持ち帰ってもいい。店には必ず水場とBBQコンロがあるので、その場でエビを焼いて食べてもいい。大人の社交場のため、ビールもコンビニよりもちょい高いくらいで販売している。
ビールに釣りたてのエビの丸焼き。もう絶対うまいでしょ。
そう、今回の我々が目指すのは、当然それである。


そんな紳士の遊興には、タクシーで訪れるのがよく似合う。

やってきたのは、ガイドブックに必ず載っている六合観光夜市のほど近くにある高雄明星釣蝦場




なんとなく晩飯タイムに入ろうとしている時間帯なのに、けっこうな人がいる。
もちろんオッサン(および予備軍)ばかりであり、全員がアローン滞在である。



ただ、普通にオッサン4人が釣り糸を垂れてもまったく面白くなさそうだったので、自称釣りマスターの(を)と、フィッシング童貞の(や)の2名が釣り糸を垂れ、(し)と(に)は応援兼見守り、買い出し担当であり撮影係ということにした。


(を)よぉぉし、釣るぞ!
とやる気満々のリーダー。実兄が釣り具メーカー勤務というアドバンテージを持つ男である。
その実績から、今夜の晩飯は基本(を)に釣ってもらおうという作戦だ。
もちろん入れ食い状態であれば、にぎやかし2名も急遽釣り竿を持ち、池にいるすべてのエビを釣ってしまおうという魂胆はあった。

そして、釣り竿を選び、餌を付け、針が着水するや否や、フロント横で売られていたチンカチンカの缶ルービー(by なぎら健壱)で乾杯!

誤算だったのは、この釣蝦場は飲食の持ち込みが禁止だったこと。
せっかく老舗鴨肉を持っているのに、食べられない…。
思いきってエビの餌にすることも考えたが、もったいなくてやめた。


池を囲む大勢の地元民の合間を縫うように、(を)と(や)の糸が右へ左へ。
さて、いつ釣り上げてもいいように、タモと網の準備も完了。
(し)と(に)は固唾を呑んでその瞬間を待つ。






…5分経過。




…10分経過。





何も動きがない。
しびれをきらし釣り糸を上げると、餌だけがなくなっていて、また餌をつけて投入。
その繰り返しである。



…15分経過。



…20分経過。




釣果なしのままである。
さすがにこれはイカサマなんじゃないかと疑ってはみたものの、プール対岸の高雄オッサンたちはホイホイと釣り上げている。
普通に釣れるようだ。

(を)うーん、こんなはずでは…
と額に脂汗を流し始めるリーダー。頼むぜ、おい。
釣れなければ釣れないだけ、ますますエビが食べたくなってきていた。


と、そのとき

「おおおおおお!」と(や)が突然の咆哮。
釣り竿を見ると、カクカクと不規則な動きをしている。
(や)かかったー!
もうそれだけで一堂の目がぎらついた。
(を)そーっとやで、ゆっくり引くんやで
なんて、自分は釣れていないのにアドバイスを送る。





そして


見事に釣れました!





(し)すごい!
(に)惚れちゃう!
と換気の嵐。1匹釣っただけなのに。



ただ、その後もまた沈黙が続き、
結局、1時間粘って、





(や)の釣ったエビ2匹だけ…。


ちーん。




(を)は放心状態。
何がいけなかったんやろ…、と念仏のようにつぶやいていたが、我々はあふれ出るやさしさで彼のことを無視した。



もちろんその場で焼いて(や)だけが勝ち誇ったように食べたのだが、
我々の空腹は限界に達しようとしていた…。



(つづく)




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