平成20年(ワ)第3371号 国家賠償請求事件
原 告 出 羽 やるか
被 告 大 分 県
準 備 書 面
平成21年3月7日
横浜地方裁判所第9民事部い係 御中
被告訴訟代理人弁護士 富 川 盛 郎
1 原告主張の要旨
原告は国家賠償法1条1項の責任を求めるにつき,被告の違法行為として
訴状では,
(1) 玖珠署は,本件事故の発生日の平成11年10月7日実況見分を行った
が,平成13年9月27日まで実況見分調書(甲7)の作成を放置した。
(2) 実況見分調書(甲7)の記載内容に真実でない部分がある。
(3) 玖珠署が,実況見分時撮影したとする実況見分調書添付の写真(甲8)
のほとんどは事故当日写された写真ではない。
(4) 玖珠署は,人身事故の加害者である小野寺を業務上過失傷害の被疑者と
して送致しなかった。
と主張し,第2準備書面の第1,原告の主張では,
(1) 実況見分調書(甲7)中,「1,実況見分の日時,平成11年10月7
日午後0時34分から午後1時20分まで」との記載は不実である。
(2) 堀部警部補は,本件実況見分をしていない。
(3) 早水巡査長は,平成11年10月7日午前11時50分から実況見分を
行い,交通切符様式の実況見分調書を作成した。
(4) 間ノ瀬巡査部長は,平成11年10月29日以前には本件トレーラ(炊
事車)を見分していない。
と述べている。
また,上記以外に実況見分調書の不実記載及び実況見分調書添付の写真が
事故当日されていないとして個別的に主張している。
2 実況見分調書には事故現場の状況等が正確に記載されていること及び実況
見分調書添付の写真が事故当日撮影されている事実
1
(1) 訴状(2),(3)及び原告第2準備書面の第1,原告の主張(1),(2),(4)につい
て
ア 平成11年10月7日午後0時34分から午後1時20分までの間,
小野寺立ち会いのもと,間ノ瀬巡査部長を見分官とし,堀部警部補,早
水巡査長を補助者として実況見分を行ったことは明らかであり,原告の
主張は認められない。上記事実を裏付ける証拠は以下のとおりである。
a 玖珠警察の堀部警部補は,平成11年10月7日午後0時34分か
ら午後1時20分までの間,見分官を本件事故当時の間ノ瀬巡査部長
とし,補助者を同警部補及び本件事故当時の早水巡査長,立会人を自
衛隊車を運転していた小野寺として,本件事故現場の実況見分を実施
した。(甲55のカ 16頁)
b 実況見分は,玖珠警察署の堀部警部補や間ノ瀬巡査部長らによって
小野寺を立会人として事故当日に行われたものと認めることができる
(甲55の17頁 下から1行目乃至18頁の上から2行目迄)
c 平成11年10月7日午後0時34分から午後1時20分までの間
玖珠警察署の間ノ瀬久太巡査部長を見分官とし,堀部金丸警部補及び
早水満堯司法巡査を補助者(なお,見分官と補助者いづれも所属,階
級は本件事故当時のものである。),小野寺を立会人とした本件事故
の実況見分が行われた。(甲58の16頁 (2)のア)
d 前記1(2)で認定したとおり,本件事故に対する玖珠警察署員によ
る実況見分は,本件事故当日に行われたこと,別件訴訟の裁判所に提
出された本件実況見分調書は,作成日付こそ本件事故から約2年後で
はあるが,内容としては,本件事故当日に実施された実況見分に基づ
く調書であることが明らかである。そして,警察が本件事故直後に,
本件実況見分調書とは別個の新たな実況見分調書を作成したと認める
に足りる証拠もない。(甲58の19頁 2の(1) )
(2) かように間ノ瀬巡査部長は見分官として実況見分に臨んでいるから当然
本件トレーラを見分している。
(3) また,実況見分調書添付の写真は,「実況見分調書添付の写真は,同一
機会に撮影された一連のものと認められ,その撮影内容に照らしても,本
件事故直後の状況を撮影したものと理解するのが自然なものである。また,
本件トレーラの擦過痕,本件道路のタイヤ痕・擦過痕を後日ねつ造したよ
うな状況はうかがうことはできない。(甲35の17頁 下から6行目以
下)」から明らかなとおり,本件事故当日に撮影されたものである。
3 訴状での原告の主張(1)について
2
平成11年10月7日に実況見分をしたにも拘わらず,平成13年9月2
7日に実況見分調書を作成したのは,被告の平成20年11月12日付準備
書面11頁の(7)以下乃至13頁のオに記載したとおりである。
上記準備書面の11頁乃至12頁の(7)のとおり本件交通事故に関する処理
を一時保留にしたことは,合理的な理由が存し,平成13年9月27日に作
成した実況見分調書作成の経緯は上記準備書面12頁乃至13頁のア乃至オ
で述べたとおりである。かように実況見分調書作成を一時保留したことに合
理的理由があり,前述の2の(1)に明らかなように実況見分調書には事故当日
の現場の状況等が正確に記載されていること及び実況見分調書添付の写真が
事故当日撮影されていることから,平成11年10月7日の実況見分時から
かなり遅れて平成13年9月27日に実況見分調書が作成されたとしても違
法性はない。
4 訴状での原告の主張(4)について
小野寺には,本件事故につき過失が存じない。(甲49,50,55の
19頁乃至20頁の2の(1) 甲56の15頁乃至16頁の2の(1))
かえって原告に過失が認められる。(甲50の9頁)
なお,被告の平成21年1月9日付準備書面での甲55,56の判決が原
告の過失を認定したとの主張は撤回する。
従って小野寺に過失がないから被疑者として送致することはありえない。
5 原告第2準備書面の(3)の主張について
早水巡査長が交通切符様式の実況見分調書を作成したと主張しているが,
被告の平成20年11月12日付準備書面の8頁の(4)及び18頁の2の(2)主
張のとおり平成11年10月8日に間ノ瀬巡査部長が作成したものである。
原告主張を裏付ける証拠は存しない。
6 その他原告の主張について
(1) 実況見分調書添付の写真(甲8)①②③④には,原告車の荷台に固縛さ
れた荷物,「徐行」の道路標示(写真⑥,⑦),里程標(写真⑪)が撮影
されているにも拘わらず,荷物については,実況見分時には存しなかった
し,「徐行」「里程標」の写真が事故当日のものではないと主張する。
しかし,前記2の(3)で述べたように「実況見分調書添付の写真は,同一
機会に撮影された一連のものと認められ,その撮影内容に照らしても,本
件事故直後の状況を撮影したものと理解するのが自然なものである。また,
本件トレーラの擦過痕,本件道路のタイヤ痕・擦過痕を後日ねつ造したよ
うな状況はうかがうことはできない。(甲55の17頁 下から6行目以
下)」であるから原告車の荷物,「徐行」の道路標示,里程標は実況見分
3
存在したものと考えられる。
また,原告が撮影した写真(甲31)に徐行の道路標示が存せず,里程
標の位置が異なったとしても実況見分調書添付の写真の信用性及び事故当
日に実況見分が行われたことを疑わせるものではない。
更に甲19の小野寺の証言(19頁)で,小野寺は里程標を見て110
番通報をしていることをみると,写真⑪の里程標が存在したことは明らか
である。
(2) KP34.9の警戒標識の記載が実況見分調書(甲7)に記載されてい
ないことについて
実況見分調書添付の甲8の写真⑪に警戒標識が写っていないことから甲
8の⑪の写真は事故当日撮影していないと主張する。
しかしながら事故当日撮影した甲8の⑪を拡大した写真である甲29に
は警戒標識が写っているのであるから,警戒標識は事故当日に既に存在し,
甲8の⑪の写真は事故当日撮影したということとなる。
(3) 原告は甲8の写真のように自衛隊車が草地の上に移動された事実はない
と主張し実況見分調書の内容が虚偽である,あるいは事故当日撮影された
写真ではないと主張するのであろう。
しかし,原告の主張は成立しない。その理由として甲50の6頁乃至7
頁の(1)のイを援用すると,「本件事故現場の道路は,九州横断道路の一部
にあり草原や森林を鑑賞できる「やまなみハイウエー」と称される観光道
路で,対向1車線の勾配のあるヘヤピンカーブ部分であり,丈の高い草が
生えた部分もあって走行方向の見通しも良くないこと,本件事故は午前1
0時55分頃に発生したことが認められ,この事実からすると,本件事故
現場の道路の日中の交通量は観光目的等の通行車両が少なくなく,本件事
故後,炊事車を牽引していた大型トラックである加害車両(自衛隊車両)
を,道路上に止めたままにしておくと,自動車通行上支障を生ずる虞があ
るから,特段の必要性のない限り,道路際の空間の草地などの移動可能な
安全な場所があるのであれば,一時的に当該場所に移動することもあり得
るし,本件事故に関する証拠を保全確保するため,実況見分を実施する場
合には,事故状況を再現したり,車両や道路等の正確な位置や距離を確認
ないし計測するため,加害車両(自衛隊車両)等を再度道路上に戻すこと
もあり得る。これらの措置を執ったからといって,実況見分や検証の結果
を不合理ないし不当ならしめるものとはいえない。」本件事故直後,加害
車両(自衛隊車両)は,一旦,本件事故地点付近の道路外の草地に移動され,
警察官の到着後に開始された実況見分に際して,道路上に移動されて止め
4
られ,実況見分終了後に,本件事故現場から移動されたものと考えられ,
実況見分調書は事故当日の実況見分の内容を記載したものであり,実況見
分調書添付の写真も当日に道路外に移動された車輌を撮影したものであ
る。
(4) 実況見分調書の現場見取図には擦過痕・タイヤ痕が記載されているにも
拘わらず,甲8の⑫乃至⑯につきタイヤ痕と擦過痕を示す矢印を示してい
るが,タイヤ痕と擦過痕が写っていないうえに,写真では測定基準が写さ
れてていないので,その位置が特定できないとし,実況見分調書の擦過痕・
タイヤ痕の記載が偽造であると主張しているのであろう。
しかしながら,前記2の(1),(3)で述べたように,平成11年10月7日
午後0時34分から午後1時20分までの間,小野寺立ち会いのもと,間
ノ瀬巡査部長を見分官とし,堀部警部補,早水巡査長を補助者として実況
見分を行ったことは明らかであり,実況見分調書添付の写真は,同一機会
に撮影された一連のものと認められ,その撮影内容に照らしても,本件事
故直後の状況を撮影したものと理解するのが自然なものである。また,本
件トレーラの擦過痕,本件道路のタイヤ痕・擦過痕を後日ねつ造したよう
な状況はうかがうことはできない。
甲8の⑬,⑭,⑮にはタイヤ痕が印象されており,実況見分調書の現場
見取図3は実況見分の結果を正確に記載したものである。
(5) 自動二輪車のスポークについて
原告は,甲8の⑩に写っている自動二輪車は,原告車両ではないと主張
するが,甲8の⑩に写っている自動二輪車はナンバー「1横浜あ6876」
の本件事故で原告が乗車していたバイクである。甲8の①乃至④の写真か
ら原告車は明らかにワイヤースポークのホイールである。実況見分調書添
付の写真は事故当日に撮影された一連のものであり,甲8の⑩の写真もそ
のうちの1枚であることから写真に写った原告車は当然にしてワイヤース
ポークである。
5
原 告 出 羽 やるか
被 告 大 分 県
準 備 書 面
平成21年3月7日
横浜地方裁判所第9民事部い係 御中
被告訴訟代理人弁護士 富 川 盛 郎
1 原告主張の要旨
原告は国家賠償法1条1項の責任を求めるにつき,被告の違法行為として
訴状では,
(1) 玖珠署は,本件事故の発生日の平成11年10月7日実況見分を行った
が,平成13年9月27日まで実況見分調書(甲7)の作成を放置した。
(2) 実況見分調書(甲7)の記載内容に真実でない部分がある。
(3) 玖珠署が,実況見分時撮影したとする実況見分調書添付の写真(甲8)
のほとんどは事故当日写された写真ではない。
(4) 玖珠署は,人身事故の加害者である小野寺を業務上過失傷害の被疑者と
して送致しなかった。
と主張し,第2準備書面の第1,原告の主張では,
(1) 実況見分調書(甲7)中,「1,実況見分の日時,平成11年10月7
日午後0時34分から午後1時20分まで」との記載は不実である。
(2) 堀部警部補は,本件実況見分をしていない。
(3) 早水巡査長は,平成11年10月7日午前11時50分から実況見分を
行い,交通切符様式の実況見分調書を作成した。
(4) 間ノ瀬巡査部長は,平成11年10月29日以前には本件トレーラ(炊
事車)を見分していない。
と述べている。
また,上記以外に実況見分調書の不実記載及び実況見分調書添付の写真が
事故当日されていないとして個別的に主張している。
2 実況見分調書には事故現場の状況等が正確に記載されていること及び実況
見分調書添付の写真が事故当日撮影されている事実
1
(1) 訴状(2),(3)及び原告第2準備書面の第1,原告の主張(1),(2),(4)につい
て
ア 平成11年10月7日午後0時34分から午後1時20分までの間,
小野寺立ち会いのもと,間ノ瀬巡査部長を見分官とし,堀部警部補,早
水巡査長を補助者として実況見分を行ったことは明らかであり,原告の
主張は認められない。上記事実を裏付ける証拠は以下のとおりである。
a 玖珠警察の堀部警部補は,平成11年10月7日午後0時34分か
ら午後1時20分までの間,見分官を本件事故当時の間ノ瀬巡査部長
とし,補助者を同警部補及び本件事故当時の早水巡査長,立会人を自
衛隊車を運転していた小野寺として,本件事故現場の実況見分を実施
した。(甲55のカ 16頁)
b 実況見分は,玖珠警察署の堀部警部補や間ノ瀬巡査部長らによって
小野寺を立会人として事故当日に行われたものと認めることができる
(甲55の17頁 下から1行目乃至18頁の上から2行目迄)
c 平成11年10月7日午後0時34分から午後1時20分までの間
玖珠警察署の間ノ瀬久太巡査部長を見分官とし,堀部金丸警部補及び
早水満堯司法巡査を補助者(なお,見分官と補助者いづれも所属,階
級は本件事故当時のものである。),小野寺を立会人とした本件事故
の実況見分が行われた。(甲58の16頁 (2)のア)
d 前記1(2)で認定したとおり,本件事故に対する玖珠警察署員によ
る実況見分は,本件事故当日に行われたこと,別件訴訟の裁判所に提
出された本件実況見分調書は,作成日付こそ本件事故から約2年後で
はあるが,内容としては,本件事故当日に実施された実況見分に基づ
く調書であることが明らかである。そして,警察が本件事故直後に,
本件実況見分調書とは別個の新たな実況見分調書を作成したと認める
に足りる証拠もない。(甲58の19頁 2の(1) )
(2) かように間ノ瀬巡査部長は見分官として実況見分に臨んでいるから当然
本件トレーラを見分している。
(3) また,実況見分調書添付の写真は,「実況見分調書添付の写真は,同一
機会に撮影された一連のものと認められ,その撮影内容に照らしても,本
件事故直後の状況を撮影したものと理解するのが自然なものである。また,
本件トレーラの擦過痕,本件道路のタイヤ痕・擦過痕を後日ねつ造したよ
うな状況はうかがうことはできない。(甲35の17頁 下から6行目以
下)」から明らかなとおり,本件事故当日に撮影されたものである。
3 訴状での原告の主張(1)について
2
平成11年10月7日に実況見分をしたにも拘わらず,平成13年9月2
7日に実況見分調書を作成したのは,被告の平成20年11月12日付準備
書面11頁の(7)以下乃至13頁のオに記載したとおりである。
上記準備書面の11頁乃至12頁の(7)のとおり本件交通事故に関する処理
を一時保留にしたことは,合理的な理由が存し,平成13年9月27日に作
成した実況見分調書作成の経緯は上記準備書面12頁乃至13頁のア乃至オ
で述べたとおりである。かように実況見分調書作成を一時保留したことに合
理的理由があり,前述の2の(1)に明らかなように実況見分調書には事故当日
の現場の状況等が正確に記載されていること及び実況見分調書添付の写真が
事故当日撮影されていることから,平成11年10月7日の実況見分時から
かなり遅れて平成13年9月27日に実況見分調書が作成されたとしても違
法性はない。
4 訴状での原告の主張(4)について
小野寺には,本件事故につき過失が存じない。(甲49,50,55の
19頁乃至20頁の2の(1) 甲56の15頁乃至16頁の2の(1))
かえって原告に過失が認められる。(甲50の9頁)
なお,被告の平成21年1月9日付準備書面での甲55,56の判決が原
告の過失を認定したとの主張は撤回する。
従って小野寺に過失がないから被疑者として送致することはありえない。
5 原告第2準備書面の(3)の主張について
早水巡査長が交通切符様式の実況見分調書を作成したと主張しているが,
被告の平成20年11月12日付準備書面の8頁の(4)及び18頁の2の(2)主
張のとおり平成11年10月8日に間ノ瀬巡査部長が作成したものである。
原告主張を裏付ける証拠は存しない。
6 その他原告の主張について
(1) 実況見分調書添付の写真(甲8)①②③④には,原告車の荷台に固縛さ
れた荷物,「徐行」の道路標示(写真⑥,⑦),里程標(写真⑪)が撮影
されているにも拘わらず,荷物については,実況見分時には存しなかった
し,「徐行」「里程標」の写真が事故当日のものではないと主張する。
しかし,前記2の(3)で述べたように「実況見分調書添付の写真は,同一
機会に撮影された一連のものと認められ,その撮影内容に照らしても,本
件事故直後の状況を撮影したものと理解するのが自然なものである。また,
本件トレーラの擦過痕,本件道路のタイヤ痕・擦過痕を後日ねつ造したよ
うな状況はうかがうことはできない。(甲55の17頁 下から6行目以
下)」であるから原告車の荷物,「徐行」の道路標示,里程標は実況見分
3
存在したものと考えられる。
また,原告が撮影した写真(甲31)に徐行の道路標示が存せず,里程
標の位置が異なったとしても実況見分調書添付の写真の信用性及び事故当
日に実況見分が行われたことを疑わせるものではない。
更に甲19の小野寺の証言(19頁)で,小野寺は里程標を見て110
番通報をしていることをみると,写真⑪の里程標が存在したことは明らか
である。
(2) KP34.9の警戒標識の記載が実況見分調書(甲7)に記載されてい
ないことについて
実況見分調書添付の甲8の写真⑪に警戒標識が写っていないことから甲
8の⑪の写真は事故当日撮影していないと主張する。
しかしながら事故当日撮影した甲8の⑪を拡大した写真である甲29に
は警戒標識が写っているのであるから,警戒標識は事故当日に既に存在し,
甲8の⑪の写真は事故当日撮影したということとなる。
(3) 原告は甲8の写真のように自衛隊車が草地の上に移動された事実はない
と主張し実況見分調書の内容が虚偽である,あるいは事故当日撮影された
写真ではないと主張するのであろう。
しかし,原告の主張は成立しない。その理由として甲50の6頁乃至7
頁の(1)のイを援用すると,「本件事故現場の道路は,九州横断道路の一部
にあり草原や森林を鑑賞できる「やまなみハイウエー」と称される観光道
路で,対向1車線の勾配のあるヘヤピンカーブ部分であり,丈の高い草が
生えた部分もあって走行方向の見通しも良くないこと,本件事故は午前1
0時55分頃に発生したことが認められ,この事実からすると,本件事故
現場の道路の日中の交通量は観光目的等の通行車両が少なくなく,本件事
故後,炊事車を牽引していた大型トラックである加害車両(自衛隊車両)
を,道路上に止めたままにしておくと,自動車通行上支障を生ずる虞があ
るから,特段の必要性のない限り,道路際の空間の草地などの移動可能な
安全な場所があるのであれば,一時的に当該場所に移動することもあり得
るし,本件事故に関する証拠を保全確保するため,実況見分を実施する場
合には,事故状況を再現したり,車両や道路等の正確な位置や距離を確認
ないし計測するため,加害車両(自衛隊車両)等を再度道路上に戻すこと
もあり得る。これらの措置を執ったからといって,実況見分や検証の結果
を不合理ないし不当ならしめるものとはいえない。」本件事故直後,加害
車両(自衛隊車両)は,一旦,本件事故地点付近の道路外の草地に移動され,
警察官の到着後に開始された実況見分に際して,道路上に移動されて止め
4
られ,実況見分終了後に,本件事故現場から移動されたものと考えられ,
実況見分調書は事故当日の実況見分の内容を記載したものであり,実況見
分調書添付の写真も当日に道路外に移動された車輌を撮影したものであ
る。
(4) 実況見分調書の現場見取図には擦過痕・タイヤ痕が記載されているにも
拘わらず,甲8の⑫乃至⑯につきタイヤ痕と擦過痕を示す矢印を示してい
るが,タイヤ痕と擦過痕が写っていないうえに,写真では測定基準が写さ
れてていないので,その位置が特定できないとし,実況見分調書の擦過痕・
タイヤ痕の記載が偽造であると主張しているのであろう。
しかしながら,前記2の(1),(3)で述べたように,平成11年10月7日
午後0時34分から午後1時20分までの間,小野寺立ち会いのもと,間
ノ瀬巡査部長を見分官とし,堀部警部補,早水巡査長を補助者として実況
見分を行ったことは明らかであり,実況見分調書添付の写真は,同一機会
に撮影された一連のものと認められ,その撮影内容に照らしても,本件事
故直後の状況を撮影したものと理解するのが自然なものである。また,本
件トレーラの擦過痕,本件道路のタイヤ痕・擦過痕を後日ねつ造したよう
な状況はうかがうことはできない。
甲8の⑬,⑭,⑮にはタイヤ痕が印象されており,実況見分調書の現場
見取図3は実況見分の結果を正確に記載したものである。
(5) 自動二輪車のスポークについて
原告は,甲8の⑩に写っている自動二輪車は,原告車両ではないと主張
するが,甲8の⑩に写っている自動二輪車はナンバー「1横浜あ6876」
の本件事故で原告が乗車していたバイクである。甲8の①乃至④の写真か
ら原告車は明らかにワイヤースポークのホイールである。実況見分調書添
付の写真は事故当日に撮影された一連のものであり,甲8の⑩の写真もそ
のうちの1枚であることから写真に写った原告車は当然にしてワイヤース
ポークである。
5