平成20年(ワ)第3371号 国家賠償請求事件
原 告 出 羽 やるか
被 告 大 分 県
準 備 書 面 (5)
平成21年1月7日
横浜地方裁判所第9民事部い係 御中
原 告 出 羽 やるか
原告は,被告の平成20年11月12日付け準備書面(以下「被告の準備書面」
という。)をうけて下記のとおり認否及び原告の主張を確認,整理補充する。
なお,略称等は本準備書面で新たに用いるものの他は従前の例による。
第1 本件交通事故の事実経過(争う)
原告の主張は,訴状,平成20年10月27日付け準備書面(2),平成20
年10月27日付け準備書面(3)及び平成20年9月29日付け証拠説明書
(3)の「甲20の立証趣旨」に記載のとおりである。
上記準備書面(3)4頁第5の6,原告車の損傷状況写真(甲8④)で堀部
警部補は下部の傷は「擦過及び黒色模様の色付着」と説明しているが,地上高
62センチメートルの上部の傷(甲33⑩)を看過している,との記載中「地
上高62センチメートルの上部の傷」は「地上高58センチメートルの上部の
傷」が正しい。
1 本件交通事故の受理(被告の準備書面1頁)(ア,イ,ウ,エ)
(1) 堀部警部補が間ノ瀬巡査部長とともに,「玖珠61」という交通事故処理車
で現場に向かった事実はない。(イ・エ)
(2) 事故当日,本件自衛隊車は道路外(草地の上)に移動されていない。(エ)
2 実況見分の実施(被告の準備書面2頁)(ア,イ,ウ,エ,オ)
(1) 早水巡査長は平成11年10月7日午前11時50分から実況見分を行い,
交通切符様式の実況見分調書を作成した。
1/8
(2) 堀部警部補及び間ノ瀬巡査部長は事故当日実況見分をしていない。(イ・エ)
(3) 「実況見分の結果」については争う。(ウ)
3 本件交通事故の事実認定(被告の準備書面7頁)
(1) 堀部警部補及び間ノ瀬巡査部長は事故当日実況見分をしていない。
(2) 玖珠署は「原告に道交法第70条の安全運転義務違反があると認め,道交
法第125条第2項第3号の規定に基づき,本件違反行為を交通切符(赤切
符)により送致することを視野に入れて捜査を進めることとした。」という。
赤切符は正式には「道路交通違反事件迅速処理のための共用方式」という
もので、交通反則通告制度が適用されない交通事件のうち、略式手続き(罰
金)で処理される事件に使用される。人身事故を伴うもの,否認事件、その
他交通切符を適用することが相当でないと認められる別に定める事件には使
用されない。
(3) 玖珠署は捜査を行うに当たつては,先入観にとらわれず,根拠に基づかな
い推測を排除し,被疑者その他の関係者の供述を過信することなく,基礎的
捜査を徹底し,物的証拠を始めとするあらゆる証拠の発見収集に努めるとと
もに,鑑識施設及び資料を十分に活用して,捜査を合理的に進めるようにし
なければならない。
(4) 玖珠署は「バイクと大型車による接触事故,バイクの転倒により男性1名
が負傷した(甲21)」との届出を受けた時点で加害者を刑法211条の規定
により送致することを視野に入れて捜査を進めなければならない。
4 小野寺に対する事情聴取(被告の準備書面8頁)
(1) 被告は,「平成11年10月8日,間ノ瀬巡査部長は交通切符様式の実況見
分調書を作成するとともに,小野寺に電話連絡をして10月12日に玖珠警
察署に出頭するよう要請した。平成11年10月12日,間ノ瀬巡査部長は,
玖珠警察署において任意出頭した小野寺の事情聴取に当たった。・・・。小野
寺の供述を交通切符用の供述調書に録取し,小野寺に対して読み聞かせたと
2/8
ころ,誤りのないことを申立て,調書末尾に署名押印した。」と主張している。
(2) 原告は,平成11年10月7日,早水巡査長が実況見分を行い,同日小野寺
の供述調書を録取したと主張している。
(3) 実況見分調書(甲7)作成の基となった資料等
調査嘱託に対する玖珠署長の回答(甲10,甲11)は,「当該実況見分調
書(甲7)の作成日時が異なった理由は,本件を一旦保留処分としていたと
ころ,出羽から民事提訴がなされ,送致する必要性を生じたため,検事の指
揮を受けた上で,事故当日の現場メモを基に実況見分調書を作成した経緯に
よる。」,「実況見分調書に添付されている写真は,堀部警部補が平成11年1
0月7日事故現場で撮影した。写真のネガは現存している。堀部警部補が作
成したとされる現場メモは現存していない。写真の他に,同調書作成の基と
なった資料等は存在しない。」である。
(4) 早水巡査長が作成した実況見分調書もしくは平成11年10月8日付け間
ノ瀬巡査部長が作成したという実況見分調書が,平成13年9月27日付け
堀部警部補の実況見分調書(甲7)作成の基となる資料となる。
5 原告の玖珠警察署への来署(被告の準備書面8頁)(ア,イ)
ア:「事前連絡なく若い女性を伴って」は「事前に連絡して原告の娘に付き添
われ」が正しい。イ:被告は「神奈川県に帰る前に,実況見分及び調書の作
成をしたいので,また来署してほしい旨を伝え,原告もその旨を了承した。」
と主張するが,間ノ瀬巡査部長は「・・・ここに一日一晩滞在するくらいの
気持ちで,時間,日にちをかえておいてください」と云い,原告は「明日は
もう横浜に,」と答え,同部長は「だから横浜に帰られるであれば来月日を決
めてですね,又こっちに下りてきていただく,その時は私も丸一日かかりき
りになる,」と了承している。(甲3・14頁)録音内容反訳書(1)
6 原告への再度の呼び出し(被告の準備書面10頁)(ア,イ,ウ,エ)
ア:不知。イ:認める。ただし,「原告が何の連絡もなく,実況見分や供述調
3/8
書の作成を行う約束を反古にして帰った」は「原告はそれでは(横浜)に帰っ
て家族と相談して,と答え,間ノ瀬巡査部長は「その方がいいでしょうね,1
週間後の11月5日,これをどういう風に処理していいか電話だけください」
と了承した,が正しい(甲3・32頁)。ウ・エ:認める。
7 本件事故の一時保留(被告の準備書面11頁)
間ノ瀬巡査部長は,事故の保留は規則上県内居住者しか適用がないと話して
いた。 「・・・県内のものしか適用がないんですよ,規則上,県内居住者で
すね,保留というのはね,・・・(甲3・28頁)」。
間ノ瀬巡査部長によれば,保留とは,「処分をしないで,綴りこみ,警察だけ
で終わっちゃいましょうやということ」である(甲3・27頁)。
8 本件交通事故の送致(被告の準備書面12頁)(ア,イ,ウ,エ,オ,カ,キ,
ク,ケ,コ)
ウ,キ,クは認め,ケは争う。その余は不知。
第2 原告の主張に対しての反論(被告の準備書面18頁)
1 被告が反論した原告の主張
(1) 実況見分調書(甲7)中,「実況見分の日時,平成11年10月7日午後0時
34分から午後1時20分まで」との記載は不実である。
堀部警部補は本件実況見分をしていない。
(2) 早水巡査長は,平成11年10月7日午前11時50分から実況見分を行
い,交通切符様式の実況見分調書を作成した。
(3) 間ノ瀬巡査部長は,平成11年10月29日以前には,本件トレーラー(炊
事車)を見分していない。
(4) 原告の実況見分調書添付の写真が,本件交通事故当日に撮影されていない。
「原告の実況見分調書添付の写真が,」は「堀部警部補が作成した実況見分調
書添付の写真(甲8)が,」が正しい。
2 被告の反論
4/8
原告は証拠を提出しているが,被告の反論に証拠はない。
第3 本件事故の実況見分の結果及び事実認定(被告の主張)(争う)
1 実況見分の実施 ウ:実況見分の結果(被告の準備書面2頁)
(1) 現場道路の車道幅員(イ)は約9.1メートルで,両側に白色ペイントで
外側線が引かれている。
(2) 原告車の損傷状況(オ)は,ハンドル右先端破損,右レバー先端擦過,ス
テップ右側後方に凹損,マフラー擦過,右前輪ホーク擦過,前照灯枠破損等
で小破であった。
被けん引車のフルトレーラの損傷状況(カ,b)は右側タイヤ枠擦過,右
側タイヤ枠擦過であり軽微であった。
(3) 事故発生の模様(キ)現場の痕跡等(a)(甲7参照)
現場路面を見分するに自衛隊車両の進路上中央線付近に新しいタイヤ痕1
条~a,同タイヤ痕の反対側車線上つまり原告車両の進路上に新しい擦過痕2
条~b,cが印象されていた。
(4) 事故発生の模様(キ)立会人小野寺の指示説明(b)(甲7参照)
立会人は,「私が最初に相手を認めた地点は㋐,その時の相手は①。危険を
感じブレーキをかけた地点は㋑,その時の相手は②。衝突した地点はⓧ,そ
の時の私は㋒,相手はⓧが右前部。私が停止した地点は㋓,相手が転倒した
地点は③。相手のバイクが転倒した地点は④」と各地点を指示説明した。
(5) 事故発生の模様(キ)衝突地点の認定(c)
以上を総合してⓧ地点を衝突地点と認定した上,各地点の位置を確定し,
かつ,相互間の距離を測定した。
2 本件交通事故の事実認定(被告の準備書面7頁)
本件交通事故の見分官間ノ瀬巡査部長及び補助者の堀部警部補は,本件交通事
故の当事者からの事情聴取を終えていなかったものの,実況見分の結果,
(1) 原告車両の右前ブレーキレバー曲り,炊事車の右タイヤフェンダーには,
5/8
ブレーキレバーと同じくらいの高さの部分に接触痕が認められること
(2) 自衛隊車両の進路上中央線から約43センチメートル入った所に約35セ
ンチメートルの真新しいタイヤ痕が印象されていること
(3) 同地点から原告車両の進路上に向けて擦過痕が印象されていること
(4) 自衛隊車両の進路上には,上記のタイヤ痕以外には痕跡がないこと
等の事実が判明したことから,本件交通事故は,原告が湯布院方面から小国町
面に向けて進行中,見通しの悪い下り坂の左カーブを進行するに当たり,ハン
ドル,ブレーキ等の的確な操作を誤って対向車線にバイクを進出させたことに
よって発生したものと判断した。
そして,本件交通事故は,被害車両に乗車していた小野寺ら自衛官には怪我
がなかったものの,加害者である原告には,「ハンドル,ブレーキ等の的確な操
作を誤って対向車線にバイクを進出させ,他人に危害を及ぼしたという道交法
第70条の安全運転義務違反があると認め,道交法第125条第2項第3号の
規定に基づき,本件違反行為を交通切符(赤切符)により送致することを視野
に入れて捜査を進めることとした。
(「被害車両に乗車していた小野寺ら自衛官」は「加害車両に乗車していた小野
寺ら自衛官」,「加害者である原告」」は「被害者である原告」が正しい。)
第4 本件道路の車道幅員
1 原告は,本件道路の車道幅員は5.5メートルであると主張する。
2 被告は,本件道路の車道幅員は約9.1メートルで,両側に白色ペイントで
外側線が引かれているという。
この道路の車道幅員は,実況見分調書添付の現場見取図第3図(乙第1号証)
によれば,別府方面に向かって上り車線(以下「自衛隊車線」という。)3.7
メートル,下り車線(以下「原告車線」という。)3.9メートルの合計7.6
メートルの車道幅員に,路肩幅員0.5メートル及び側溝幅1.0メートルを
加えたもの(9.1メートル)であることが認められる。
6/8
3 道路交通法第2条3号は,車道とは,「車両の通行の用に供するため縁石線若
しくはさくその他これに類する工作物又は道路標示によって区画された道路の
部分をいう」と定義する。又同3の4号では,路側帯とは,「歩行者の通行の用
に供し,又は車道の効用を保つため,歩道の設けられていない道路又は道路の
歩道の設けられていない側の路側帯よりの道路の部分で,道路標示によって区
画されたものをいう」と定義する。道路標識,区画線及び道路標示に関する命
令(昭和35年12月17日総理府・建設省令第3号)第7条は,「車道の外側
線」を表示する区画線は,道路交通法の規定の適用については,「路側帯」を表
示する道路標示とみなす,と規定する。道路交通法第17条は,「車両は,歩道
又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路
においては,車道を通行しなければならない。」と規定する。
4 本件道路は,大分県道路課の道路図面(甲第61号証)によると,車道幅員
は5.5メートルであり,路肩幅員は熊本方面に向って右0.5,左2.5メ
ートルで路面全幅員は舗装幅員と等しく8.5メートルである。
現状は,舗装幅員の限度いっぱいに外側線が引かれていて,路肩が消滅し,
その効用が失われている(甲第67号証)。
5 本件道路は道路構造令(昭和45年10月29日号外政令320号)の区分
では第3種第4級の道路である。
車線幅員は2.75,路肩は左0.75,やむをえない場合は0.5,右0.
5,設計速度は50,40又は30,やむをえない場合は20。曲線半径は設
計速度40のとき曲線半径60,やむを得ないとき50,設計速度30のとき
曲線半径は30,設計速度20のとき曲線半径15である。(単位メートル,
速度はキロメートル毎時)。曲線部の車線の拡幅は設計車両及び曲線半径に応じ
適切に拡幅することになっている。
本件道路は,昭和39年に完成しているので,道路構造令の基準を満たさな
い場合がある。
7/8
第5 実況見分調書添付の写真(甲8)
原告は,平成20年10月27付け準備書面(3)で,実況見分調書(甲7)
添付の写真(甲8)16葉はすべて,平成11年10月7日午後0時34分か
ら午後1時20分までの間には撮影されていないと主張している。
第1点 原告車の荷台に固縛された荷物(甲8①,②,③,④)
実況見分時には,原告車の荷台に固縛された荷物はない。
第2点 自動二輪車のスポーク(甲8⑩,甲25,甲26,甲27)
写真(甲8⑩)に写っている自動二輪車(バイク)は,原告車ではない。
第3点 間ノ瀬巡査部長に同行している自衛官(甲8①,⑦,⑩,⑪,⑫)
自衛隊が本件事故処理に関与している。
第4点 「徐行」の道路標示(甲8⑦,甲28)
この「徐行」の道路標示は事故当日には存在しない。
第5点 炊事車の衝突痕(甲8④,⑨,甲33⑩,⑪)
原告車の前輪右側ホークと炊事車の右輪のホイールナットが接触した。
第6点 草地の上の自衛隊車(甲8⑤,⑥,⑦,⑧,⑨)
事故当日,本件自衛隊車が道路外に移動された事実はない。
第7点 KP34.9の里程標(甲8⑪,甲29)
この里程標は事故当日には存在しない。
第8点 KP34.9の警戒標識(甲8⑪,甲29・甲8⑩,甲27)」
この標識は北行きの車から真正面に見え,南行きの車からは見えない。
第9点 原告車のタイヤ痕及び擦過痕(甲8⑫,⑬,⑭,⑮,⑯)
道路面だけが写され,タイヤ痕,擦過痕及び測定基準が写っていない。
第10点 路面にかかれた「バイク」の文字及び記号(甲8⑮,⑯)
堀部警部補はこれらのマークについて言及していない。
第6 その他,被告の準備書面,書証の提出を待って,必要に応じ主張立証を行う。
以上
原 告 出 羽 やるか
被 告 大 分 県
準 備 書 面 (5)
平成21年1月7日
横浜地方裁判所第9民事部い係 御中
原 告 出 羽 やるか
原告は,被告の平成20年11月12日付け準備書面(以下「被告の準備書面」
という。)をうけて下記のとおり認否及び原告の主張を確認,整理補充する。
なお,略称等は本準備書面で新たに用いるものの他は従前の例による。
第1 本件交通事故の事実経過(争う)
原告の主張は,訴状,平成20年10月27日付け準備書面(2),平成20
年10月27日付け準備書面(3)及び平成20年9月29日付け証拠説明書
(3)の「甲20の立証趣旨」に記載のとおりである。
上記準備書面(3)4頁第5の6,原告車の損傷状況写真(甲8④)で堀部
警部補は下部の傷は「擦過及び黒色模様の色付着」と説明しているが,地上高
62センチメートルの上部の傷(甲33⑩)を看過している,との記載中「地
上高62センチメートルの上部の傷」は「地上高58センチメートルの上部の
傷」が正しい。
1 本件交通事故の受理(被告の準備書面1頁)(ア,イ,ウ,エ)
(1) 堀部警部補が間ノ瀬巡査部長とともに,「玖珠61」という交通事故処理車
で現場に向かった事実はない。(イ・エ)
(2) 事故当日,本件自衛隊車は道路外(草地の上)に移動されていない。(エ)
2 実況見分の実施(被告の準備書面2頁)(ア,イ,ウ,エ,オ)
(1) 早水巡査長は平成11年10月7日午前11時50分から実況見分を行い,
交通切符様式の実況見分調書を作成した。
1/8
(2) 堀部警部補及び間ノ瀬巡査部長は事故当日実況見分をしていない。(イ・エ)
(3) 「実況見分の結果」については争う。(ウ)
3 本件交通事故の事実認定(被告の準備書面7頁)
(1) 堀部警部補及び間ノ瀬巡査部長は事故当日実況見分をしていない。
(2) 玖珠署は「原告に道交法第70条の安全運転義務違反があると認め,道交
法第125条第2項第3号の規定に基づき,本件違反行為を交通切符(赤切
符)により送致することを視野に入れて捜査を進めることとした。」という。
赤切符は正式には「道路交通違反事件迅速処理のための共用方式」という
もので、交通反則通告制度が適用されない交通事件のうち、略式手続き(罰
金)で処理される事件に使用される。人身事故を伴うもの,否認事件、その
他交通切符を適用することが相当でないと認められる別に定める事件には使
用されない。
(3) 玖珠署は捜査を行うに当たつては,先入観にとらわれず,根拠に基づかな
い推測を排除し,被疑者その他の関係者の供述を過信することなく,基礎的
捜査を徹底し,物的証拠を始めとするあらゆる証拠の発見収集に努めるとと
もに,鑑識施設及び資料を十分に活用して,捜査を合理的に進めるようにし
なければならない。
(4) 玖珠署は「バイクと大型車による接触事故,バイクの転倒により男性1名
が負傷した(甲21)」との届出を受けた時点で加害者を刑法211条の規定
により送致することを視野に入れて捜査を進めなければならない。
4 小野寺に対する事情聴取(被告の準備書面8頁)
(1) 被告は,「平成11年10月8日,間ノ瀬巡査部長は交通切符様式の実況見
分調書を作成するとともに,小野寺に電話連絡をして10月12日に玖珠警
察署に出頭するよう要請した。平成11年10月12日,間ノ瀬巡査部長は,
玖珠警察署において任意出頭した小野寺の事情聴取に当たった。・・・。小野
寺の供述を交通切符用の供述調書に録取し,小野寺に対して読み聞かせたと
2/8
ころ,誤りのないことを申立て,調書末尾に署名押印した。」と主張している。
(2) 原告は,平成11年10月7日,早水巡査長が実況見分を行い,同日小野寺
の供述調書を録取したと主張している。
(3) 実況見分調書(甲7)作成の基となった資料等
調査嘱託に対する玖珠署長の回答(甲10,甲11)は,「当該実況見分調
書(甲7)の作成日時が異なった理由は,本件を一旦保留処分としていたと
ころ,出羽から民事提訴がなされ,送致する必要性を生じたため,検事の指
揮を受けた上で,事故当日の現場メモを基に実況見分調書を作成した経緯に
よる。」,「実況見分調書に添付されている写真は,堀部警部補が平成11年1
0月7日事故現場で撮影した。写真のネガは現存している。堀部警部補が作
成したとされる現場メモは現存していない。写真の他に,同調書作成の基と
なった資料等は存在しない。」である。
(4) 早水巡査長が作成した実況見分調書もしくは平成11年10月8日付け間
ノ瀬巡査部長が作成したという実況見分調書が,平成13年9月27日付け
堀部警部補の実況見分調書(甲7)作成の基となる資料となる。
5 原告の玖珠警察署への来署(被告の準備書面8頁)(ア,イ)
ア:「事前連絡なく若い女性を伴って」は「事前に連絡して原告の娘に付き添
われ」が正しい。イ:被告は「神奈川県に帰る前に,実況見分及び調書の作
成をしたいので,また来署してほしい旨を伝え,原告もその旨を了承した。」
と主張するが,間ノ瀬巡査部長は「・・・ここに一日一晩滞在するくらいの
気持ちで,時間,日にちをかえておいてください」と云い,原告は「明日は
もう横浜に,」と答え,同部長は「だから横浜に帰られるであれば来月日を決
めてですね,又こっちに下りてきていただく,その時は私も丸一日かかりき
りになる,」と了承している。(甲3・14頁)録音内容反訳書(1)
6 原告への再度の呼び出し(被告の準備書面10頁)(ア,イ,ウ,エ)
ア:不知。イ:認める。ただし,「原告が何の連絡もなく,実況見分や供述調
3/8
書の作成を行う約束を反古にして帰った」は「原告はそれでは(横浜)に帰っ
て家族と相談して,と答え,間ノ瀬巡査部長は「その方がいいでしょうね,1
週間後の11月5日,これをどういう風に処理していいか電話だけください」
と了承した,が正しい(甲3・32頁)。ウ・エ:認める。
7 本件事故の一時保留(被告の準備書面11頁)
間ノ瀬巡査部長は,事故の保留は規則上県内居住者しか適用がないと話して
いた。 「・・・県内のものしか適用がないんですよ,規則上,県内居住者で
すね,保留というのはね,・・・(甲3・28頁)」。
間ノ瀬巡査部長によれば,保留とは,「処分をしないで,綴りこみ,警察だけ
で終わっちゃいましょうやということ」である(甲3・27頁)。
8 本件交通事故の送致(被告の準備書面12頁)(ア,イ,ウ,エ,オ,カ,キ,
ク,ケ,コ)
ウ,キ,クは認め,ケは争う。その余は不知。
第2 原告の主張に対しての反論(被告の準備書面18頁)
1 被告が反論した原告の主張
(1) 実況見分調書(甲7)中,「実況見分の日時,平成11年10月7日午後0時
34分から午後1時20分まで」との記載は不実である。
堀部警部補は本件実況見分をしていない。
(2) 早水巡査長は,平成11年10月7日午前11時50分から実況見分を行
い,交通切符様式の実況見分調書を作成した。
(3) 間ノ瀬巡査部長は,平成11年10月29日以前には,本件トレーラー(炊
事車)を見分していない。
(4) 原告の実況見分調書添付の写真が,本件交通事故当日に撮影されていない。
「原告の実況見分調書添付の写真が,」は「堀部警部補が作成した実況見分調
書添付の写真(甲8)が,」が正しい。
2 被告の反論
4/8
原告は証拠を提出しているが,被告の反論に証拠はない。
第3 本件事故の実況見分の結果及び事実認定(被告の主張)(争う)
1 実況見分の実施 ウ:実況見分の結果(被告の準備書面2頁)
(1) 現場道路の車道幅員(イ)は約9.1メートルで,両側に白色ペイントで
外側線が引かれている。
(2) 原告車の損傷状況(オ)は,ハンドル右先端破損,右レバー先端擦過,ス
テップ右側後方に凹損,マフラー擦過,右前輪ホーク擦過,前照灯枠破損等
で小破であった。
被けん引車のフルトレーラの損傷状況(カ,b)は右側タイヤ枠擦過,右
側タイヤ枠擦過であり軽微であった。
(3) 事故発生の模様(キ)現場の痕跡等(a)(甲7参照)
現場路面を見分するに自衛隊車両の進路上中央線付近に新しいタイヤ痕1
条~a,同タイヤ痕の反対側車線上つまり原告車両の進路上に新しい擦過痕2
条~b,cが印象されていた。
(4) 事故発生の模様(キ)立会人小野寺の指示説明(b)(甲7参照)
立会人は,「私が最初に相手を認めた地点は㋐,その時の相手は①。危険を
感じブレーキをかけた地点は㋑,その時の相手は②。衝突した地点はⓧ,そ
の時の私は㋒,相手はⓧが右前部。私が停止した地点は㋓,相手が転倒した
地点は③。相手のバイクが転倒した地点は④」と各地点を指示説明した。
(5) 事故発生の模様(キ)衝突地点の認定(c)
以上を総合してⓧ地点を衝突地点と認定した上,各地点の位置を確定し,
かつ,相互間の距離を測定した。
2 本件交通事故の事実認定(被告の準備書面7頁)
本件交通事故の見分官間ノ瀬巡査部長及び補助者の堀部警部補は,本件交通事
故の当事者からの事情聴取を終えていなかったものの,実況見分の結果,
(1) 原告車両の右前ブレーキレバー曲り,炊事車の右タイヤフェンダーには,
5/8
ブレーキレバーと同じくらいの高さの部分に接触痕が認められること
(2) 自衛隊車両の進路上中央線から約43センチメートル入った所に約35セ
ンチメートルの真新しいタイヤ痕が印象されていること
(3) 同地点から原告車両の進路上に向けて擦過痕が印象されていること
(4) 自衛隊車両の進路上には,上記のタイヤ痕以外には痕跡がないこと
等の事実が判明したことから,本件交通事故は,原告が湯布院方面から小国町
面に向けて進行中,見通しの悪い下り坂の左カーブを進行するに当たり,ハン
ドル,ブレーキ等の的確な操作を誤って対向車線にバイクを進出させたことに
よって発生したものと判断した。
そして,本件交通事故は,被害車両に乗車していた小野寺ら自衛官には怪我
がなかったものの,加害者である原告には,「ハンドル,ブレーキ等の的確な操
作を誤って対向車線にバイクを進出させ,他人に危害を及ぼしたという道交法
第70条の安全運転義務違反があると認め,道交法第125条第2項第3号の
規定に基づき,本件違反行為を交通切符(赤切符)により送致することを視野
に入れて捜査を進めることとした。
(「被害車両に乗車していた小野寺ら自衛官」は「加害車両に乗車していた小野
寺ら自衛官」,「加害者である原告」」は「被害者である原告」が正しい。)
第4 本件道路の車道幅員
1 原告は,本件道路の車道幅員は5.5メートルであると主張する。
2 被告は,本件道路の車道幅員は約9.1メートルで,両側に白色ペイントで
外側線が引かれているという。
この道路の車道幅員は,実況見分調書添付の現場見取図第3図(乙第1号証)
によれば,別府方面に向かって上り車線(以下「自衛隊車線」という。)3.7
メートル,下り車線(以下「原告車線」という。)3.9メートルの合計7.6
メートルの車道幅員に,路肩幅員0.5メートル及び側溝幅1.0メートルを
加えたもの(9.1メートル)であることが認められる。
6/8
3 道路交通法第2条3号は,車道とは,「車両の通行の用に供するため縁石線若
しくはさくその他これに類する工作物又は道路標示によって区画された道路の
部分をいう」と定義する。又同3の4号では,路側帯とは,「歩行者の通行の用
に供し,又は車道の効用を保つため,歩道の設けられていない道路又は道路の
歩道の設けられていない側の路側帯よりの道路の部分で,道路標示によって区
画されたものをいう」と定義する。道路標識,区画線及び道路標示に関する命
令(昭和35年12月17日総理府・建設省令第3号)第7条は,「車道の外側
線」を表示する区画線は,道路交通法の規定の適用については,「路側帯」を表
示する道路標示とみなす,と規定する。道路交通法第17条は,「車両は,歩道
又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路
においては,車道を通行しなければならない。」と規定する。
4 本件道路は,大分県道路課の道路図面(甲第61号証)によると,車道幅員
は5.5メートルであり,路肩幅員は熊本方面に向って右0.5,左2.5メ
ートルで路面全幅員は舗装幅員と等しく8.5メートルである。
現状は,舗装幅員の限度いっぱいに外側線が引かれていて,路肩が消滅し,
その効用が失われている(甲第67号証)。
5 本件道路は道路構造令(昭和45年10月29日号外政令320号)の区分
では第3種第4級の道路である。
車線幅員は2.75,路肩は左0.75,やむをえない場合は0.5,右0.
5,設計速度は50,40又は30,やむをえない場合は20。曲線半径は設
計速度40のとき曲線半径60,やむを得ないとき50,設計速度30のとき
曲線半径は30,設計速度20のとき曲線半径15である。(単位メートル,
速度はキロメートル毎時)。曲線部の車線の拡幅は設計車両及び曲線半径に応じ
適切に拡幅することになっている。
本件道路は,昭和39年に完成しているので,道路構造令の基準を満たさな
い場合がある。
7/8
第5 実況見分調書添付の写真(甲8)
原告は,平成20年10月27付け準備書面(3)で,実況見分調書(甲7)
添付の写真(甲8)16葉はすべて,平成11年10月7日午後0時34分か
ら午後1時20分までの間には撮影されていないと主張している。
第1点 原告車の荷台に固縛された荷物(甲8①,②,③,④)
実況見分時には,原告車の荷台に固縛された荷物はない。
第2点 自動二輪車のスポーク(甲8⑩,甲25,甲26,甲27)
写真(甲8⑩)に写っている自動二輪車(バイク)は,原告車ではない。
第3点 間ノ瀬巡査部長に同行している自衛官(甲8①,⑦,⑩,⑪,⑫)
自衛隊が本件事故処理に関与している。
第4点 「徐行」の道路標示(甲8⑦,甲28)
この「徐行」の道路標示は事故当日には存在しない。
第5点 炊事車の衝突痕(甲8④,⑨,甲33⑩,⑪)
原告車の前輪右側ホークと炊事車の右輪のホイールナットが接触した。
第6点 草地の上の自衛隊車(甲8⑤,⑥,⑦,⑧,⑨)
事故当日,本件自衛隊車が道路外に移動された事実はない。
第7点 KP34.9の里程標(甲8⑪,甲29)
この里程標は事故当日には存在しない。
第8点 KP34.9の警戒標識(甲8⑪,甲29・甲8⑩,甲27)」
この標識は北行きの車から真正面に見え,南行きの車からは見えない。
第9点 原告車のタイヤ痕及び擦過痕(甲8⑫,⑬,⑭,⑮,⑯)
道路面だけが写され,タイヤ痕,擦過痕及び測定基準が写っていない。
第10点 路面にかかれた「バイク」の文字及び記号(甲8⑮,⑯)
堀部警部補はこれらのマークについて言及していない。
第6 その他,被告の準備書面,書証の提出を待って,必要に応じ主張立証を行う。
以上