一般に教育というのは後戻りできません。
子供は一年一年成長しますし、成長にともなって学力も
伸長します。
どういう成長がその子供にとってふさわしいのか
それにたいする正解はありません。
何かを必死にやっていれば、他のことができませんから、
とりあえず小さい頃に楽器をやらせたり、そろばんや水泳や
多くのスポーツをやらせてみたりして、子供の個性を
みることも大切です。また子供さんにあった
塾に行くことも大切です。
智辯小学校が成り立っているのは
難関の中学校があり、それを受けさせたくない。
でも智辯で高校までめんどうみてほしい。
そういう気持ちで、幼稚園の頃に受験コースに入り
小学校から智辯での学習環境を確保したいという親の願いがベースに
あると思います。
ただ、いいことばかりではありません。
マイナスの要因です。残念ながら、別のリスクが有ります。
それは早いレベルと大量の宿題についていけるかということです。
それはお子様の資質によります。
公立小学校ははっきり言ってまともな宿題はありません。
教師は公教育でよくやっていると思います。
日本の小学校教育は世界的にも高い水準にあるそうです。
しかし、おしなべて平準化された教育で、公立の教育で
優れた才能を伸ばすということは期待できません。
最近東大の中に才能が豊かな小学生を指導する新しい試み
が行われています。（これはまた別の機会に書きます。）
公立の小学校の目標は、子供たちがたのしくみんなと仲良く
６年を過ごしてもらうことです。それで十分だと思います。
公立のこの環境で小学校の教師はよくやっていると思います。しかし
問題は親です。モンスターペアレントが増えています。そういう親のもとで育っている
子供はいじめも当たり前。現在も心ない親や子供たちに学校は振り回されて
います。残念ながらこれは事実です。
では、私立の小学校がいいかというとそこに
理想の教育があるわけではありません。公教育より学習の内容が多い。
選ばれた親とその子供たちが集まっているという特徴があります。
イギリスのボーディングスクールのように全寮制でもありません。
以前何人か智辯小学校に不適応を起こしている生徒さんが親子で
私の塾に相談しに来ていただいたり、塾で指導してほしいとこられたり
しました。出されている宿題はそう大変なものではないのですが、
相談に来られた生徒さんは完全未消化で智辯で勉強する理由が見いだせないほど
学力が身についていませんでした。別の生徒さんは完全不登校をおこし、
なにがなんでも学校に行けない状態でした。
ところが親のエゴが出てきて、せっかく入った智辯なんだからなんとか
続けさせてやりたいと願っていました。（それが親心です。私でもそう思います。）
しかし、子供にとっては親のエゴは大いなる迷惑だけで、
親の説得も、学校長や担任の説得も一度不登校になっている生徒さんには虚しく響きます。
話を聞いていると、どうも上から目線の説得や説教はまったく逆効果のようでした。
学校長は心理学の専門家でもなんでもないのです。とにかく学校に来ないと
もったいないとか親と同じことを言ってしまうのですね。
生徒さんは余計に学校にいけなくなります。というか二度と
学校に通えなくなります。
親にとっては大変つらい試練が続きます。
こういう時はすぐに心理学の専門家に相談しなくては
いけません。
ものには裏表があって、つねに自分がうまくいくと考えることは
楽ですが、そんなに人生は自分にばかり風が吹きません。
アゲンストの風が吹くこともあります。
みなさんが学校の説明会に言って、そういった負の部分を質問したとしても
学校側は絶対に公表しません。未来のことは誰もわかりませんし、
教育は本来、みんなの成長を信じてこそ成り立つものです。
前理事長の志は素晴らしいものがあります。そしてその志を実現し
高いレベルの大学に行く、医学部に師弟を進ませるという希望を
かなえています。しかし、その中でドロップアウトする生徒さんもいるということです。
親はもし自分のお子さんがそうなった時、しっかりと舵を切らなくてはなりません。
方向転換を渋ってはいけません。無理に航海に出たままでは船は難破してしまいます。
大きな嵐によって船の安全が脅かされたら、勇気ある撤退をする。
これは常に人生の中で大切なリスク管理なのです。
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