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【今日のブログ記事No.3112】■製薬会社から年間1000万円以上を個人で受領した医師リスト(2016年度)を公表します!

2019年02月06日 09時36分07秒 | 政治・社会
いつもお世話様です!                         

【杉並からの情報発信です】【YYNews】【YYNewsLive】を主宰する市民革命派ネットジャーナリスト&社会政治運動家の山崎康彦です。    

昨日火曜日(2019.02.05)夜に放送しました【YYNewsLiveNo.2712】の『メインテーマ』を加筆訂正して【今日のブログ記事】にまとめました。

【放送録画】 61分59秒

https://ssl.twitcasting.tv/chateaux1000/movie/523684006

【今日のブログ記事No.3112】

■製薬会社から年間1000万円以上を個人で受領した医師リスト(2016年度)を公表します!

非営利探査報道機関「ワセダクロニクル」とNPO法人「医療ガバナンス研究所」が共同で構築した「マネーデータベース『製薬会社と医師』」が1月15日に無料公開された。

http://db.wasedachronicle.org/

【画像】2019年2月3日(日)午後早稲田大学で開催された『一部の医師に製薬マネーが集中」 / データベースの活用』緊急シンポジューム!(参加された5人の医師、中央が上昌広・医療ガバナンス研究所理事長)

20190205シンポジューム

このデーターベースを使って、今まで公表されて来なかった「製薬会社と医師の『癒着の構造』」が暴露できるようになったのは画期的なことだ!

「製薬会社、医師に264億円 10万人中114人が1000万円超」「16年度に金銭提供を受けたのは国内の全医師の約3分の1に当たる約9万8千人。額は一部の医師に集中しており、100万円以上は約4900人。最高額は約2900万円で、1千万円以上受け取った医師の約8割が大学教授だった。薬剤の取り扱いが多い内科の医師が目立つという。」(西日本新聞記事)

本来医者とは、患者の命と健康を守るために『患者と向き合う』職業だが、製薬会社の利益のために裏で製薬会社と癒着して『製薬会社と向き合う』医者がいかに多いのかがよくわかる。

特に今回公表するリストには『2016年度に製薬会社から年間1000万円以上を個人で受領した医師』が96人載っているが、彼らは大学教授や医者としての『本来の報酬』とは別に1000万円以上の講演料などの高額報酬を製薬会社から『合法的』に個人で受け取っているのだ。

『利益相反』する製薬会社からの医者個人が受領する報酬や物品は全面的に禁止すべきだろう!
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▲製薬会社から年間1000万円以上を個人で受領した医師リスト(2016年度)

 名前    金額(円)     施設

1加来浩平 28,995,278 学校法人川崎学園川崎医科大学
2中村祐  25,833,816 国立大学法人香川大学医学部精神神経医学
3三鴨廣繁 22,702,234 学校法人愛知医科大学愛知医科大学大学院医学研究科
4横手幸太郎 21,808,656 国立大学法人千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学講座
5阿古潤哉 20,910,754 北里大学医学部循環器内科学
6野出孝一 20,607,413 佐賀大学医学部循環器内科
7竹内勤  20,341,570 慶應義塾大学医学部リウマチ内科
8伊藤浩a 20,206,473 国立大学法人岡山大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学
9田中良哉 19,680,108 産業医科大学第1内科学講座
10清水渉 19,527,818 日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野
11小田原雅人 18,468,921 学校法人東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科
12福井道明 18,389,048 京都府立医科大学大学院医学研究科
13佐田政隆 18,271,543 国立大学法人徳島大学
14西村理明 17,952,387 学校法人慈恵大学東京慈恵会医科大学
15中川秀己 17,774,297 東京慈恵会医科大学肝臓センター
16平山篤志 17,711,551 日本大学医学部内科学系循環器内科学分野
17河盛隆造 17,500,213 学校法人順天堂順天堂大学
18弘世貴久 17,466,005 学校法人東邦大学医学部内科学講座糖尿病代謝・内分泌学
19山本信之 17,403,887 和歌山県立医科大学内科学第三講座
20川島眞 17,369,111 東京女子医科大学皮膚科学
21稲葉雅章 16,840,591 公立大学法人大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学
22持田智  16,737,196 埼玉医科大学病院消化器内科・肝臓内科
23阿部雅紀 16,455,835 日本大学医学部内科学系腎臓・高血圧・内分泌内科学分野
24寺内康夫 16,039,879 横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学
25筒井裕之a 15,718,728 北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
26茶山一彰 15,171,016 広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門消化器・代謝内科学
27池田隆徳 15,069,514 東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野
28平野勉 15,008,555 昭和大学医学部
29石井均 14,963,665 公立大学法人奈良県立医科大学糖尿病学講座
30柴輝男 14,951,427 学校法人東邦大学東邦大学医療センター大橋病院
31室原豊明 14,641,516 名古屋大学大学院医学系研究科循環器内科学
32古家大祐a 14,546,121 学校法人金沢医科大学金沢医科大学
33森豊   14,493,898 東京慈恵会医科大学附属第三病院
34桑名正隆 14,229,401 日本医科大学大学院医学研究科アレルギー膠原病内科学分野
35竹内正弘 14,213,957 北里大学薬学部
36迎寛   14,141,206 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展科学分野(第二内科)
37北村忠弘 14,084,292 国立大学法人群馬大学生体調節研究所生活習慣病解析センター
38坪田一男 13,588,256 学校法人慶應義塾慶應義塾大学
39麻生好正 13,569,763 学校法人獨協学園獨協医科大学内科学(内分泌代謝)
40大久保公裕 13,516,235 日本医科大学耳鼻咽喉科学/頭頸部・感覚器科学
41大野見山崇 13,292,801 学校法人福岡大学福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科
42綿田裕孝 13,267,357 学校法人順天堂順天堂大学
43大石充 13,209,816 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学
44渡辺彰a 13,138,366 国立大学法人東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門
45横山修 13,039,452 福井大学医学部器官制御医学泌尿器科学講座
46鈴木康夫a 13,008,186 学校法人東邦大学東邦大学医療センター佐倉病院
47絹川弘一郎 12,869,489 富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
48山岸昌一 12,819,019 久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学
49中村正人a 12,760,055 東邦大学医療センター大橋病院循環器内科
50岡田洋右 12,540,316 産業医科大学医学部第一内科学講座講師
51河野茂 12,297,428 国立大学法人長崎大学
52鈴木啓悦 12,272,912 東邦大学医療センター佐倉病院泌尿器科
53秋下雅弘 12,135,437 東京大学大学院医学系研究科加齢医学
54服部信孝a 12,053,290 学校法人順天堂順天堂大学医学部神経学講座
55上田重晴 12,000,000 国立大学法人大阪大学
56萩野浩 11,817,383 国立大学法人鳥取大学医学部保健学科基礎看護学
57玉置淳 11,776,208 学校法人東京女子医科大学東京女子医科大学
58坂田泰史 11,725,726 国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科
59安藤朗 11,644,873 国立大学法人滋賀医科大学消化器内科
60門脇孝 11,636,265 東京大学大学院医学系研究科
61棚橋紀夫a 11,574,386 埼玉医科大学国際医療センター神経内科
62倉林正彦 11,510,327 群馬大学大学院医学系研究科
63宗圓聰 11,425,845 学校法人近畿大学近畿大学医学部奈良病院整形外科・リウマチ
64桑原宏一郎a11,392,393 国立大学法人京都大学
65関順彦 11,374,915 帝京大学医学部腫瘍内科
66平野照之 11,372,229 杏林大学医学部脳卒中医学
67前川聡 11,322,051 国立大学法人滋賀医科大学
68小室一成 11,232,334 国立大学法人東京大学大学院医学系研究科循環器内科学
69岩切勝彦 11,182,272 学校法人日本医科大学日本医科大学付属病院消化器・肝臓内科
70神谷英紀 11,056,969 学校法人愛知医科大学愛知医科大学糖尿病内科
71東田有智 11,043,640 学校法人近畿大学近畿大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー     
72樋口和秀 10,991,081 大阪医科大学第二内科
73中元秀友 10,980,653 学校法人埼玉医科大学埼玉医科大学病院総合診療内科
74寺本民生 10,966,524 学校法人帝京大学臨床研究センター
75赤司浩一 10,932,026 九州大学大学院医学研究院病態修復内科学(第一内科)
76舘田一博 10,859,156 学校法人東邦大学東邦大学医学部微生物・感染症学講座
77中村二郎 10,855,730 学校法人愛知医科大学愛知医科大学糖尿病内科
78木村和美 10,646,306 日本医科大学大学院医学研究科神経内科学分野
79春間賢 10,615,339 学校法人川崎学園川崎医科大学総合医療センター総合内科学2
80川上純 10,603,459 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学講座リウマチ・膠原病内科学分野
81沖英次 10,584,266 九州大学病院消化管外科
82福本義弘 10,542,467 久留米大学医学部内科学講座心臓・血管内科部門
83中里信和 10,520,582 東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野教授
84秋澤忠男 10,495,675 昭和大学医学部内科学講座腎臓内科学部門
85北川一夫 10,488,509 東京女子医科大学医学部神経内科学
86古川慎哉 10,446,930 国立大学法人愛媛大学大学院医学系研究科疫学・予防医学講座
87岸本暢将 10,311,879 学校法人聖路加国際大学聖路加国際病院
88長谷部直幸 10,295,357 国立大学法人旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野
89山中寿 10,259,823 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター
90佐藤伸一a 10,205,805 東京大学大学院医学研究科・医学部皮膚科学
91中西洋一 10,131,970 九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野
92中島淳a 10,088,555 公立大学法人横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室
93上野高史 10,053,165 久留米大学病院循環器病センター
94河合隆a 10,037,344 東京医科大学病院内視鏡センター教授
95益崎裕章 10,010,967 国立大学法人琉球大学大学院医学研究科
96植竹宏之 10,004,854 国立大学法人東京医科歯科大学大学院総合外科学分野教授
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【関連記事1】

▲製薬会社、医師に264億円 10万人中114人が1000万円超 「薬処方との関係、透明化を」

2019年02月02日 西日本新聞

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/483856/

非営利の調査報道メディアとNPO法人(いずれも東京)が、医師と製薬業界の関係を透明化しようと、製薬会社から個人として金銭提供を受けた医師の氏名や金額、講演料などの名目を検索できるデータベースを作成しインターネット上で公開を始めた。登録された医師は2016年度分で約9万8千人、金額は計約264億円。九州の医師17人を含む114人が1千万円以上を受け取っていた。

ジャーナリストや大学生らによる調査報道の非政府組織(NGO)「ワセダクロニクル」と、医師らでつくるNPO法人「医療ガバナンス研究所」が1月15日に公開した。名称は「マネーデータベース『製薬会社と医師』」。同研究所の尾崎章彦医師(福岡県出身)は「医師への金銭提供は、法的には問題がなくても薬の処方などの判断がゆがめられ、国民の健康にも影響が出る可能性がある。データベースで検証可能にしたい」と話す。

金銭提供を透明化する動きは2000年代に米国などで加速。国内の製薬会社でつくる日本製薬工業協会(製薬協)も11年に「透明性ガイドライン」を策定、加盟社は13年度分から医師名や金額をインターネット上で公表している。

しかし閲覧には1社ごとに許可を得る手続きが必要で、印刷やダウンロードを制約している社もあり「どの医師に何社からいくら支払われているのか、全容の把握は事実上不可能」(尾崎医師)。今回のデータベースは約20人がかりで、製薬協の加盟社とその関連会社計77社の公表データを入力し、約1年4カ月をかけて完成させた。17年度分も作成する予定。

   ◆    ◆

尾崎医師らが分析したところ、16年度に金銭提供を受けたのは国内の全医師の約3分の1に当たる約9万8千人。額は一部の医師に集中しており、100万円以上は約4900人。最高額は約2900万円で、1千万円以上受け取った医師の約8割が大学教授だった。薬剤の取り扱いが多い内科の医師が目立つという。

支払い名目の約8割を占めたのは講演料の約220億円。講演会は、製薬会社が一般の医師向けに薬や治療法に関する知識を提供するために開くもので、地元の大学教授や学会の有名医師などが講師に選ばれる。

福岡市の病院関係者は「講師は製薬会社が販売する薬の効能などを紹介し、薬の宣伝の場にもなっている」。16年度に約30回講師を務め計約250万円を受け取った九州の内科医は「講演会は現場の医師にとって貴重な勉強の場だが、製薬会社にマイナスになる話はしにくい」と明かした。

医師が処方する薬は「医療用医薬品」と呼ばれ、国内での売上金額は年間約10兆円。薬の代金には国民の税金や保険料が含まれる。製薬会社の意向に沿って医師が高価な新薬の処方を増やせば国の医療費が押し上げられる懸念もある。尾崎医師は「製薬会社と医師の関係の透明化は税金や保険料の使い道のチェックにもつながる。本来は公的機関や業界団体がデータベースを作成すべきだ」と指摘している。
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【関連記事2】

▲医者に製薬会社が払うお金の知られざる真実 支払いの実態を徹底的にデータ化してみた

上 昌広 : 医療ガバナンス研究所理事長

2019/02/01 東洋経済ONLINE

https://toyokeizai.net/articles/-/263058

1月15日、「マネーデータベース『製薬企業と医師』」が公開となった。これはワセダクロニクルと、私が主宰する医療ガバナンス研究所が共同で立ち上げたものだ。2019年1月23日現在、アクセスは90万件を超える。

このデータベースを使えば、2016年度に医師(医者)個人が、どのような製薬会社から、どのような名目で、どれだけの資金を受け取っていたかがわかる。

例えば、2016年当時に日本内科学会理事長を務めていた門脇孝(かどわき たかし)/東京大学糖尿病・代謝内科教授(当時)の場合、86回の講演会謝金などの名目で15社から総額1163万6265円を受け取っていた。会社別で最も多かったのは武田薬品工業で255万7076円だった。

異常に低い日本の製薬市場の成長率

このデータベースを公開するに先立ち、われわれはいくつかの調査研究を行い、その結果をトップページに掲載した。

「全製薬会社別 支払額ランキング」だ。多い順に挙げていこう。

第一三共 20億1500万円
中外製薬 11億8282万円
田辺三菱製薬 11億7100万円
武田薬品 11億6160万円
大塚製薬 11億4541万円

とくにトップ3は国内での売り上げ比率が高い。2016年度の連結売上高に占める国内の医療用医薬品の割合は、第一三共60%、中外製薬77%、田辺三菱製薬74%だ。

高齢化が進む先進国で、製薬業は成長が期待できる有望分野だ。その例外が日本である。日本の製薬市場の成長率は約2%。アメリカの7.3%はもちろん、先進国平均の6.2%を大きく下回る。

政府の薬価抑制は、今後も続く。日本の製薬会社が生き残るには、高い成長率の期待できるアメリカ、あるいは中国を含めた新興国に進出せざるをえない。そのためには新薬を独力で開発するか、外部から調達する必要に迫られる。武田薬品がアイルランドの製薬会社シャイアーを約6兆円で買収したのは、このような背景があるからだ。

ちなみに、2016年度、武田薬品の連結売上に占める日本の割合は29%で、アメリカ30%より少ない。欧州は16%、アジアは6%だ。今回の買収で、「武田はもはや日本の企業ではない」(日系製薬会社社員)というのが製薬業界の共通した見解だ。

海外で売れる新薬がない製薬会社は日本の市場を取り合うしかない。降圧剤であれ、糖尿病治療薬であれ、各社、同じような薬を売っている。売り上げに効くのは医師に対する営業だ。

製薬会社が売り上げを増やすためには、医師に金品を提供することは有効な策の1つだ。これはわが国だけの現象ではない。2016年8月にカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者たちは、20ドル以下の弁当でも、製薬会社から受け取った医師は、その製薬会社が販売する医薬品を処方する傾向があったという研究成果を報告している。

製薬会社から医師への利益供与で、弁当は最も些細なものの1つだ。やはり、いちばん効くのは金だ。

製薬会社から、大学や病院ではなく、医師個人に金を渡す方法は3つある。まず、講演料やコンサルタント料として支払う方法、2つめが、自社の記事広告に出演などの形でメディアを介して支払う方法、そして、NPOや財団など第三者機関への寄付金だ。今回、私たちが作成したデータベースで、明らかになったのは講演料やコンサルタント料として支払った金だけで、氷山の一角である。知人の製薬会社社員は「講演料と同等か、あるいはそれ以上の金をほかの方法で支払っています」という。

このように、われわれの調査には限界がある。メディアやNPOなどを迂回させる方法は、金の流れを隠蔽させる意図があるものもあり悪質なケースの可能性が高い。ただ、それでも、今回の調査からは、さまざまなことが分かってきた。

では、製薬会社は、どのような医師に金を支払っているのだろうか。

今回、データベースを公開するにあたり、「主要20学会別 理事平均受領額ランキング」も提示した。多い順に挙げてみよう。

日本内科学会 605万6879円
日本泌尿器科学会 499万9549円
日本皮膚科学会 457万8681円
日本眼科学会 251万2485円
日本精神神経学会 198万6443円

一方、製薬会社からの金が少ないランキングも見てみよう。

日本形成外科学会 38万7741円
日本プライマリ・ケア連合学会 41万2058円
日本臨床検査学会 57万4266円
日本麻酔科学会 61万9422円
日本病理学会 62万4098円
日本救急医学会 63万4990円

製薬会社と密接な学会ほど利益提供が多い

トップの日本内科学会と最下位の日本形成外科学会では15.6倍の差がある。新薬を使う機会が多いか少ないかで、製薬会社との付き合いは学会によって随分と違う。

製薬会社との距離が近い学会は、製薬会社の影響を避けられない。例えば、学会は各種診療ガイドラインを作成する。その作成者に、これだけの金が流れている。

2012年に社会問題となったノバルティスファーマの降圧剤論文不正事件(ディオバン事件)では、日本高血圧学会の理事に同社から巨額の金が流れていたことが分かっている。彼らの中には論文データを改ざんし、ノバルティス社が販売するディオバンの使用を促していた大学教授もいる。情報開示が進んでいたとしたら、ここまで「暴走」できただろうか。

日本専門医機構の理事長は寺本民生・帝京大学特任教授。専門は高血圧や高脂血症だ。2009~2013年まで日本内科学会理事長も務めた。学会の大物でもある。2016年度、15社から76件の講演などを引き受け、総額1096万6524円を受け取っていた。日本専門医機構と製薬会社の「親密」な関係がわかる。このような分析も、今回のデータベースができて可能となった。

厚労省は、この問題を重視している。医薬品の承認に関わる審議会の規定では、「審議品目の申請者等又は競合企業からの寄付金・契約金等の金額」について、500万円を超える年度がある場合には、「当該品目の審議又は議決中、審議会場から退室」、50万円を超え500万円以下の場合には、「分科会等への出席し意見を述べることができる。審議品目についての議決には加わらない」と規定されている。至極、妥当な基準だ。

もし、この基準を日本内科学会に応用すれば、学会の理事たちは、多くの診療ガイドラインの議決に参加できないことになる。

2016年当時、日本内科学会理事長を務めていた前出の門脇孝氏の場合、武田薬品、MSD、ノボノルディスクファーマ、アストラゼネカ、日本ベーリンガーインゲルハイム、アステラス製薬、田辺三菱、日本イーライリリー、小野薬品の9社から50万円以上の金を受け取っていた。

彼の専門は糖尿病だ。わが国で糖尿病治療薬を販売するのは約30社。このうち15社から金を受け取り、そのうち9社の金額は50万円以上と大きい。門脇氏の判断に、このような金が影響したかはわからない。ただ、少なくともこうした金の受け取りの情報は開示されるべきだ。そして、誰もが解析できるようにデータベースが整備されなければならない。これこそ、われわれが、データベースを作成し、公開した理由だ。

医師と製薬会社の関係についての情報開示は世界中で議論が進んでいる。わが国だけで問題となっている訳ではない。

嚆矢(こうし)は2010年にアメリカで制定されたサンシャイン法だ。アメリカ連邦政府が所管し、公的保険であるメディケア、メディケイドが管理するホームページにアクセスすれば、医師の名前を入力するだけで、製薬会社から受け取った金の総額、関連企業の株の所持といった情報を簡単に確認できる。データの二次利用も簡便で、その解析により、多くの学術論文が発表されている。
日本の製薬会社は情報公開を制限している

ところが、日本の状況は違う。ディオバン事件を受けて、日本製薬工業連合会は2013年から医師への支払いについて公開するようになった。しかしながら、それは形だけだった。というのも、一般人が利用できないように策を弄したからだ。

例えば、第一三共の場合、提供する医師名・施設名・金額の情報は「画像」情報で、テキストとして処理できない。これでは解析できない。

われわれは、このような「画像」をOCRで読み取り、1つずつ間違いがないか確認した。この作業には、のべ3000時間を要し、主にアルバイトの人件費として約400万円を費やした。

また、データを閲覧するに際しては、「本ウェブサイトに記載された内容を無断で転載・転用すること」を禁じており、違反が認められた場合には「情報提供の制限・その他の措置をとらせていただく場合があります」と警告していた。これは透明性向上の主旨に反する。この記述を知ったアメリカの医師は「アメリカではありえない。なんのための公開かわからない」とコメントした。

この状況に、われわれは問題意識を抱いた。だからこそ、データベースを作成し、公開した。まだ不十分な点もあるが、研究に資するデータベースになったと考えている。

このデータベースは無料で、誰でも利用できる。論文発表や記事作成に際して、誰の許可をとる必要もない。論文・記事を書いてもらって結構だ。

本来、このデータベースは日本製薬工業協会が音頭をとって、製薬会社自らが立ち上げるべきものだろう。ぜひ、2017年度分から始めてもらいたい。ただ、現在、そのような動きは聞こえてこない。その場合、われわれは次もやるつもりだ。蟷螂の斧かもしれないが、少しでも情報開示を進め、わが国の医療のレベルが向上することを願っている。

(終わり)

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情報発信者 山崎康彦
メール:yampr7@mx3.alpha-web.ne.jp
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