大和市革新懇のブログ

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憲法96条改定を考える

2013年06月10日 | 活動報告
昨日9日は革新懇の世話人会が開かれ、
憲法96条改定を考える学習会を行ないました。
講師は代表世話人のUさんでした

Uさんはまず、世間はこの問題をどう考えているのかと
ご自身の趣味でもある新聞の短歌投稿欄から
いくつかを紹介しました
○憲法は難攻不落の城に似て 落とすとすれば まずは外堀
○九が好き 憲法九条 坂本九 第九合唱 野球の九回
こうした短歌が一時期に選ばれること自体、どんな意味があるのか
考えてみたいものです

そうした上で現行憲法、自民改憲案の
憲法改定規定を比べました

まず現行憲法では
第96条(改正の手続き、その公布)①この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案して其の承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、其の過半数の賛成を必要とする
②憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体をなすものとして、直ちにこれを公布する
としています。
ここには、国民投票自体の規定が無く、有効となる条件などが定められていません。当然それらは政令又は法律と言う形で決められることになります。

自民党改憲案はどうなっているでしょうか
第百条 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行なわれる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする
2、憲法改正について前項の承認を経た時は、天皇は、直ちに憲法改正を公布する
となっています。
自民党の発表している「改正草案Q&A」では
「三分の二」から「過半数」に国会での発議条件を緩和する理由として
「3分の2」では「世界的に見ても、改正しにくい憲法」とし、
「憲法改正は、国民投票に付」すのだから、発議条件を厳格にすることは、「国民が憲法について意思表明する機会が狭められる」としています。

これをどう考えるべきでしょうか
まず「過半数」で改憲が発議できると言うことは、
政権が交代するたびに政権に都合の良いように改憲が発議されることにもなりかねず、憲法=国の最高法規がその都度変化することになり、安定した国づくりという点で大きな問題になります

こんな言葉があります
「民主主義の一番の危険は過半数の人が少数者を支配すること」
過半数を得ることはそれだけでは決して民主主義ではありません
少数意見を集約し、尊重することこそ民主主義の基本ではないでしょうか

「3分の2」という規定は、与党だけの発議ではなく、野党も含めた発議とすることで、改憲案自体をより公平・公正なものにしてから発議しなさいという意味があるわけです。
そもそも野党議員すら同意できない内容の憲法で、果たして国がまとまっていくでしょうか。最高法規の改定だからこそ厳格に発議条件を定めることに意義があると思います。

また「世界的に見ても、改正しにくい憲法」というのはどうでしょうか
各国の改正手続きを見てみると
米国   各院の3分の2以上の賛成、4分の3以上の州議会の承認
フランス 各院の過半数の賛成、両院合同会議で5分の3以上の賛成
ドイツ  連邦議会の3分の2以上の賛成、連邦参議院の3分の2以上の賛成
イタリア 各院の過半数の賛成で三ヶ月以上経過後に各院の3分の2以上の賛成
デンマーク国会の過半数の賛成→総選挙を行い、新国会での過半数の賛成、その後国民投票で過半数(ただし有権者総数の4割以上の賛成)

こうして見てみると日本だけが「改正しにくい」憲法ではないことは明らかではないでしょうか
むしろ現行憲法の規定は「世界的に見て極めて一般的な改正手続き」であると言えます。

また一度も改定されていないから、そろそろ改憲すべきだという人もいらっしゃいます
でもそれってどうなんでしょうか?
「お隣の家は10回も転居したそうだ。わが家も転居しよう」
こんな人はいませんよね
憲法もその内容・中身に問題があるなら、改憲を考えることも必要でしょう
しかし「外国が○回も改憲しているのに日本はしていないから改憲を」というのは、あまりに稚拙であり最高法規に関する議論としてふさわしくないと思います。


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